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  • 木材〜トーンウッドの知られざる世界 第17回

素敵な木遣いできる人が好き! 木フェチ・ウクレレをデジマートで探すの巻

  • 文:森 芳樹(FINEWOOD)

日本列島が大きく動き出した昨今、今月はウクレレ・シーンにも大きなムーブメントが押し寄せてきています。火付け役はご存知『ウクレレ・マガジンVol.13』。アコギ・マガジンの気分転換に編集されているかと思いきや、アーティスト、譜面、新製品レビュー、そしてアマチュア・ビルダーによる「ウクレレ総選挙」含むイベント・レポートなど情報満載。今回は同誌夏号リリース記念として、弾いて、見て、眺めて楽しめる“木遣い”ウクレレをデジマートで探してみます。

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24秒でわかるウクレレ・ヒストリー

 今や世界中でコロコロ、ポロポロと親しまれる癒し系楽器の代表格「ウクレレ」。その原型はヨーロッパ生まれの「ブラギーニャ」と呼ばれる小型弦楽器。19世紀後半、ポルトガルの船乗りが漂着したハワイに持ち込み、ネイティブ・ハワイアンにその製作方法が伝承される。その後博覧会等でメインランド(北米大陸)にもその存在が知られるようになり、1910年代にはかのマーティン社でも試作が開始。100本以上の試作を経た後、ハワイ・メイドとは比較にならない完成度の高い楽器としてソプラノ・ウクレレが世に出される。1920年代にはウクレレ大ブームが起こり、マーティン社では年間数万本を製造するまでの超人気楽器に。ウクレレは当時のマーティン社の経営屋台骨を支えていたとも言われる。同時に楽器としてメジャーな地位を得た。

 一方、日本では戦後のハワイアン・ブームで一気に広まったものの、エレキ/GSブームに押されウクレレ人気は下火に。ここからしばらくは長い厳冬の時代を迎える。地元ハワイでは独自の奏法で“ムード”ウクレレの世界を構築した日系2世「ハーブオオタ=オータサン=生き神様」らが活躍を続けた。その後時間を置いて、バブル経済崩壊を経た90年代半ばから第二次ブームが到来。柔らかいナイロン弦の使用、3コードで100曲可能、モバイル対応などなど敷居の低さを売りに老若男女問わず愛好家が増殖。今世紀になってからは“夏モノ”のレッテルを剥がし、通年楽器としてのポジションも確保した。ハワイアンの伴奏楽器としてだけでなく、ソロ・プレイで活躍するミュージシャンも多数出現するなどして、現在に至ります。

 デジマート読者の脳裏に浮かぶウクレレ・プレイヤーと言えば、マキシン? ジェイク? それともTブーさんでしょうか? 圧倒的ビッグ・タレント不在感は否めませんが、見方を変えれば、それほど庶民の生活に根づき、親しまれている日常楽器なのかもしれません。楽器としての素材はハワイアン・コア、マホガニーの二大巨頭はもとより、さまざまな素材(木だけはなく)が使われています。大手メーカーだけでなく、小規模工房、個人ビルダーさんの台頭が素材のグローバル化を促しているような気もします。トラディショナル素材を押さえつつ、ユニークな“木遣い”ウクレレが増えてきているのはラバー達にとって喜ばしいことです。それでは、今すぐに買える、現代木フェチ・ウクレレの数々を見ていきましょう。

ハワイアン・コア

 まずは敬意を表してこの素材から。“漆=JAPAN”なら、“コア=HAWAII”といった存在の御神木です。色、杢のバリエーションの豊かさはハワイの雄大な自然環境そのままを表しているように思えます。コア材からは見た目の違いによる数本をピックアップしてみました。

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フィドルバック・タイプ

 フィドルとはバイオリンの俗称で自転車をチャリンコと呼ぶのと同じ。そのバック(裏板)に使われるカーリー・メイプルのような材をフィドルバックと呼びます。杢のピッチが細かく、ウクレレのような小さな面でもびっしりとスジが入っています。おそらく日本で最も好まれているタイプですね。このスジ好きが高まると1cmの間にスジが何本あるかを争うことになります。

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グレイン・タイプ

 グレイン=タテ縞(しま)の主張が強いタイプです。土中のミネラルと木質成分の融合により縞が表われ、この男らしい外観になります。「♪タテの縞はわたし〜、ヨコのスジはあなた〜」といった曲(糸?)もありましたが、この縞は見事ですね! このルックスは出音の良さ(レスポンス、ボリューム感など)につながります。

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ストレス・カーリー・タイプ

 人によって感じるストレスはさまざまでしょうが、雄大な大自然を誇るハワイで育った木にもストレスはあります。隣に生えてきた成長の早いイヤな奴、つま先下がりのスライス必至足場、ハワイ名物強風等々。でもご心配なく、そのストレスは時によって、木材内部にアーティスティックかつ立体感のある杢目を育ててくれます。この1本もその恩恵を余すところなく活かしていますね。

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プレーン・タイプ

 あくまでシンプリーレッドなコア材です。素直でまっ直ぐな木目は育ちの良さを物語っています。主張こそしませんが、内に秘めたる芯の強さは出音として最もハワイらしさというかウクレレらしさを与えてくれます。国内の個人ビルダーさんにもこの手の材を好む方が増えてきています。

マホガニー

 人気のセ、実力のパ、見た目のコア、音のマホ。今やそんなざっくりしたキャッチフレーズを叫ぶ人は、ほぼいなくなりました。人気・実力とも兼ね備えた最新マホガニー・ウクレレをご紹介します。

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キューバン・マホガニー

 長年、幻と呼ばれていたキューバン・マホガニー。それらの材が2015年現在、再び楽器として見ることができるようになりました。マホガニー好きにとっては感涙ものです。このキューバン・マホガニー材は、軽いのにとても硬い質感で、実にウクレレらしい音色を奏でています。

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フィギャード・タイプ

 コアに比べて杢目のバリエーションは少なめですが、中にはこんな姿を見せてくれるものもあります。プラムプディン・フィギャードなどと呼ばれるマホガニー独特の変態杢です。木取りの妙で、これを正柾目に挽くと、おそらくこんな激しい杢目にはならなかったと思います。個体の特性をうまく生かした木取りにより、抜群に存在感ある楽器に仕上がっています。

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キルト・サペリ

 こちらはフィギャードの中でも板目面を活かしたキルト・タイプ。メイプルでお馴染みの杢ですが、サペリも含めたマホガニー類ではその存在自体が、かなり稀ちゃんです。ギターサイズなんかで出てくれば、かなりの高価格で取引されている中、ウクレレで使っていただきありがとうございます。

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シンカー・タイプ

 長年、河底で熟成してきた沈木(まくらぎ、じゃないよ)を使ったものです。枯れた地色をあえて着色せず、シンプルなフィニッシュで仕上げてあります。木の質感をダイレクトに感じたい方にお勧めの、おねだん以上のウクレレです。

メイプル

 ひと口にメイプルと言えど、さまざまな属性の方がいらっしゃいます。

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カラード・タイプ

 かわゆく色づけされたメイプル材、木目が見えて良かったです。鈴鳴りとも称される、高音に特徴のあるメイプル・ウクレレ。見た目のかわいさだけでなく、音色もこれからの時期、癒しと涼しさを与えてくれるに違いありません。

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カーリー・タイプ

 見た目も作りも特徴的なハープ・ウクレレ。薄手のボディには堅めのカーリー・メイプルがよく合います。低音弦を響かせながら爽やかなメロディを奏でる、そんなテクを交えずとも、普通に弾けばWILD EARS部分が共鳴(共振?)して不思議な体験を味わわせてくれます。

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キルト・タイプ

 オール・キルト・メイプルのウクレレは珍しいですね、扱いの難しい材ですから、よほど素性の良い材であることが写真からも見てとれます。たくさんの材の中から選定することが可能なメーカー・ブランドならではの1本です。

その他の材

 ギターやベースよろしく、ウクレレもさまざまな材が用いられる時代となりました。個々に見ていきましょう。

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マンゴー

 果実樹としては珍しく楽器に使われるマンゴー。木素材としては原産地のアジア各国からだけでなく、ハワイ、中南米などから供給されています。素朴な質感ながら、色、杢の変化に富み、トロピカル感満載です。かつてはコアの噛ませ犬ような扱いを受けた時代もありましたが、今やウクレレ向けトーンウッドとして確固たるポジションを築いたと言えるでしょう。

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ジリコテ

 シックな色目に複雑怪奇なスパイダーウェブ調の杢目が特徴のエキゾチック材。シャム柿とも呼ばれますが、柿の木でもシャム(タイ)産でもなく、メキシコ近辺出身のラテン・エキゾチック・ウッドです。日本には床柱、座卓や仏壇材として昭和時代から輸入されていました。今は日本国内より海外での評価、人気が高い材ですが、ローズ系の流通資源の減少とともに国内でも人気が高まること間違いなしです。

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アマゾン・ローズウッド

以前、当連載のポスト・ブラジリアン材特集で取り上げたこともあったアマゾン君。ブラジリアンより重厚な質感は真性ローズウッドとしての威厳を誇っているかのようです。国内では楽器として、ほとんど流通していませんので後学のため、ぜひお触りしたい1本です。

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ピンク・アイボリー

 文字通りおピンクな木です。淡いベビーピンクからヴィヴィドなピンクまでその色差は激しく、やや遊び過ぎてしまった感が強い個体もあります。原産地は意外やアフリカ。硬い質感と、上質なアイボリー(象牙)のような木肌は実にプリティな存在ですが、材の保管や加工には人(木)一倍手間がかかります。

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アフリカン・ブラックウッド

 かつては“アフリカ黒檀”の名前でも輸入されていました。主たる用途は木管楽器のパーツなど。滑らかで水分を弾く力が強いからだそうです。何しろ重く硬く、割れやすく、内包された皮組織(入り皮といいます)が頻繁に見られる厄介な木です。ところが丁寧に仕上げられた材は凄まじく高質感を醸し出し、漆黒の奥深さを感じさせてくれます。このウクレレも思わずほおずりしたくなるようなスベスベ木肌が写真から伝わってきます。

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マートルウッド

 月桂樹の一種で、この木を切っていると手作りカレーライスを思い出してしまいます。草っぽい色目を除いて、仕上がるとメイプルに似た雰囲気を持っています。このブランドの十八番的な材ですが、杢のバランスや出音の良さから、さらに人気がでそうなマーくんです。

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屋久杉

 日本の銘木というより、今や世界に名を知られる存在となった屋久杉。ブランド杉の中でもやはり別格の存在感を醸し出しています。掛け値なしに稀少な屋久杉をボディ全面に使用したウクレレがありました。プロ・ミュージシャンにも愛用者が多いウラノギターズの1本。繊細な仕事ぶりが知られる製作家ならではの素材チョイスでした。

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トチ

前回の和材特集でも取り上げてトチ。今や国産材で最も人気が高い樹種のひとつになりました。今回取り上げたトチはその中でも工芸品向けに特に人気が高いスポルティッド材。バクテリアによって仕上げられるフリーハンドな墨絵模様です。柔らかい材ゆえウクレレにも実にお似合いです。

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 引き続き、和材から桜ウクレレをチョイス。花びらインレイもキレイですね。今年のハンドクラフトギターフェスで発表された最新モデルです。このカテゴリー、和材総本家ディバイザーさんの勢いはとどまりそうにありません。

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ムーン・スプルース

マスターグレードのムーンスプルースが奏でる音色は完成から半年を経て、より一層熟成しております。ウクレレ・ビルダー界のサードウェイブ、BLUE MOON CRAFTの手による1本です。FINEWOODという店で扱い中です。月に帰る前にデジマート決済でポチっとな。

番外編

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ペルナンブコ

 ブラジル原産のハードウッド、高比重、オレンジ色のニクイやつです。バイオリンなどの弓にこの木を使います。弓に張った馬毛のポテンシャルを最高に引き出し、弦を擦り、甲板を振動させるにはどうしてもこの木に限るようなのです。その音響特性をtanδという数値で測定すると針葉樹並かそれ以上の値を持つとか。そんな数値にとらわれるまでもなく、先人たちはしっかり適所適材を見抜いていたわけですね。引き続き手前味噌で申し訳ありませんが、筆者プロデュースによるオール“ペルナンブコ”ボディのコンサート・モデルです。本器まだ完成しておりません。Coming Soon 扱いですが、なにとぞご容赦を。


まとめ

 デジマートで買える木フェチ・ウクレレの数々、いかがでしたでしょうか? 何ぶんネット上では商品の入れ替わりが激しく、他にも取り上げたいと思っていた楽器が次々と売却済になってしまう有様(そのためのサイトなのですが)。今回ピックアップしたものも、いつまでもあると思うな親と木フェチ・ウクレレ状態です。いざボーナス握り締めて楽器店へ直行! いやデジマートに掲載されている商品はすべて自宅に居ながらお求めいただけます。この時代に生まれた喜びに感謝です。

 次回、7月27日(月)の更新をどうぞお楽しみに。


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プロフィール

森 芳樹(FINEWOOD)
1965年、京都府生まれ。趣味で木材を購入したのが運の尽き、すっかりその魅力に取り憑かれ、2009年にレア材のウェブ・ショップ、FINEWOODを始める。ウクレレ/アコースティック・ギター材を中心に、王道から逸れたレア・ウッドをセレクトすることから、“珍樹ハンター”との異名をとる。2012年からアマチュア・ウクレレ・ビルダーに向けた製作コンテスト“ウクレレ総選挙”を主催するなど、木材にまつわる仕掛け人としても知られる。

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