日本最大の楽器店舗チェーンを持つ島村楽器のオリジナル企画による、ハイエンド・シリーズのJBスタイルの1本。60年代のモデルを彷彿させるオーソドックスな仕様だが、各部材にクオリティの高いものを選んでいる。アルダーは希少材というわけではないものの、近年ではあまり重くない良材が少なくなっている傾向がうかがわれるが、本器に採用されたものはほどよい重さで、ネックとの重量バランスも良好、サウンドも引き締まっている。ネックは北米産のメイプルだが、100年以上低温の水中に沈んでいる間にバクテリアが不純物を分解することで、安定度と音響特性が向上しているというヘリテイジ・ウッドを採用。木目も細かく、握った時の剛性感もある。指板のローズウッドにも、色の濃い上質のものが選別されている。

　ハードウェアでもっとも特徴的なのはチタン製のKTS製ブリッジだろう。軽量で硬質な素材の効果か、楽器の反応が速く、ビンテージ仕様でありながらモダンな質感を帯びたサウンドになっている。また、トラスロッドのナットはヘッド部分にあり、調整時にネックを取り外す必要がない。ヒストリー・ブランドでお馴染みのサークル・フレッティング・システムのフレットには、耐久性や音質の面で評価の高いジェスカー製のものを使用している。さらに、電気系では独自開発のピックアップをはじめ、CTS製ポットやスイッチクラフト製ジャック、スプラグ製オレンジ・ドロップと、定評のあるブランドものを採用している。

　これらの大きなポイントの他にも、ハイ・ポジションの演奏性を高めるファストアクション・ジョイントの採用や、ネックをシルキーフィール・グリップという生木の感触に近い仕上げにするなど、自然な演奏性を追求した細かい配慮がなされており、クオリティの割には抑えられた価格と相まって、非常に実用性の高い楽器に仕上がっている。

ピックアップにはブランド・オリジナルのHBJ-1を採用。ボディの仕上げはラッカーだ。

コントロールはごくオーソドックスな2V1T。パーツには定評あるアメリカ製のものを採用。

ファストアクション・ジョイントに合わせて、プレートもやや斜めにカットされている。

ナットは高級感が漂うオイル含浸の牛骨で、上質な指板材や緻密なネック材とよくマッチしている。

ローズウッド指板のネックだが、トラスロッドはネックの裏側から仕込んである。

ペグにはゴトー製GB-2を採用。ヘッド裏には独自仕様のロゴが並ぶ。

HISTORY / TH-BJ4/R