Session Master｜Ghost in the Echo
いやー、盛り上がりましたね、ギター・マガジン主催の自作エフェクター・コンテスト“Handmade Effects Competition”！ 最優秀賞作品の2機種はデジマートでも絶賛販売中です。で、その実力はどれほどのものか、デジマート地下実験室の“室長”という名の奴隷であるワタクシが、チェックしてみました。
Session Master（真空管プリアンプ＋オーバードライブ）
最優秀グランプリ（歪み部門）を獲得した、石井伸之介氏製作のSession Master。大きめの筐体とツマミの多さに一瞬扱いが難しいのでは？と思いましたが、触ってすぐに良い音が飛び出してきました！ 実はギターを弾く人なら誰でも扱える簡単設計です。要は上部がアンプのツマミ、下部がODのツマミで、アンプ部で基本となるサウンドを作り、OD部分で色をつけていけばOK！ 驚いたのは、基本となるチューブ・プリアンプの音色の艶やかさです。ソリッド・ステート・アンプに繋げばチューブ・ライクな音に、チューブ・アンプに繋げばワンランク上のアンプの音になります。そこそこレベルのチューブ・アンプを必死こいてスタジオに持って行くより、これ1台持ってスタジオの適当なアンプに繋いだ方がイイ音になるかもしれないと思いました。OD部分はTSっぽい感じですが、TSよりカバーできる範囲ははるかに広いです。さすがグランプリ、艶やかな音色が印象的なペダルで、特にプリ部の音は最高でした！
Session Master
by 石井伸之介
[Specifications]
●コントロール：【プリ部】トレブル、ミドル、ベース、プリ・ボリューム、マスター・ボリューム、ミッド・スイッチ、ブライト・スイッチ【ドライブ部】ドライブ、トーン、ボリューム、モード・スイッチ、クリップ・スイッチ●真空管：12AX7●入出力端子：インプット、アウトプット●外形寸法：115（W）×183（D）×59（H）mm（スイッチ含む）●重量：740g●電源：15Vアダプター
Ghost in the Echo（スプリング・リバーブ＋ディレイ）
優秀賞（アイディア部門）を受賞した、佐々木篤氏製作のGhost in the Echo。このペダルのことを改めて文章にしようとして手が止まり、困り果てました。だってこれ、何にも似ていない……。私、実は結構リバーブ好きなんですが、この音は過去に聴いたことがありません。このペダルは、凶暴な発振用スイッチが付いていたり、その発振の仕方を「ピゴー！」から「ズゴゴゴッッ！」に変えるミニ・スイッチが付いていたり、ツマミがやけにでかいのも足でグリグリ回してピッチを変化させてくれという意図なんでしょう。どっから見ても正統派の変態ペダルなんですが、実は普通に弾いた時の響きが音楽的なところにヤラれます。これを繋いで部屋を暗くすれば、すぐに曲が作れそうです。今は変態ペダルも多様化していて本当にいろいろなヘンテコ・ペダルがありますが、ただお遊びにしか使えないモノと、音楽できるモノの差は大きいんじゃないでしょうか。その意味でも、素晴らしいペダルだと思います。
Ghost in the Echo
by 佐々木篤
[Specifications]
●コントロール：ディレイ・タイム、フィードバック、ミックス、発振スイッチ●入出力端子：インプット、アウトプット●外形寸法：177（W）×116（D）×65（H）mm（スイッチ含む）●重量：660g●電源：9Vアダプター
デジマートとギター・マガジンがタッグを組んで開催した読者参加型の自作エフェクター・コンテスト“Handmade Effects Competition”で見事初代チャンピオン＆準グランプリに輝いたエフェクターを使用して、今回特別に気鋭の音楽集団THE NOVEMBERSの小林祐介とケンゴマツモトがスペシャル・ナンバー「Ghost of the well」を書き下ろしてくれた。そのレコーディング風景のドキュメンタリー映像と、エフェクター作者の受賞コメントは特集ページでチェックできるぞ！
価格：￥86,000 （税別）
価格：￥49,800 （税別）
井戸沼 尚也（いどぬま・なおや）
大学在学中から環境音楽系のスタジオ・ワークを中心に、プロとしてのキャリアをスタート。CM音楽制作等に携わりつつ、自己のバンド“Il Berlione”のギタリストとして海外で評価を得る。第2回ギター・マガジン・チャンピオンシップ・準グランプリ受賞。現在はZubola funk Laboratoryでの演奏をメインに、ギター・プレイヤーとライター／エディターの2本立てで活動中。
◎井戸沼尚也HP 『ありがとう ギター』
◎井戸沼尚也 室長Twitter
