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  • 赤い彗星の再来か!? 伝説の名機Deep Impactの後継機が登場

「Future Impact I.」がすごい!

pandaMidi Solutions / Future Impact I.

  • 文:坂本信、ベース・マガジン編集部 動画試奏:河辺真 写真:小原啓樹 協力:景井裕二

2016年初頭、ベース・エフェクターの歴史を揺るがす一通のメールがベース・マガジン編集部に届いた。そこには何と“伝説的ベース・シンセ、Deep Impact SB1の後継機種が登場し、それを入手した”と書かれているではないか! 「Future Impact I.」と名づけられたそのペダルは、2015年末にハンガリーで100台のみ生産され、即完売したというシロモノらしい。さっそく情報提供者にコンタクトをとり、実機を借りることに成功。おそらく日本に1台しかないであろう本機の“世界最速レビュー”として、その性能をお届けする。

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伝説の名機「Deep Impact SB1」とは?

価格が3倍に!? 世界で人気の激レア・ペダル

▲これが伝説の名機、AKAI Professional/Deep Impact SB1だ! その赤い筐体とロゴのインパクトが絶大。

▲日本にひとつしかないプロトタイプ最終型。外寸や中身は市販品と同じで、ロゴなどはマジックの手書きだ。

 “Deep Impact SB1”という名前を聞いてピンときた人は、なかなかのエフェクター好きだろう。2000年初頭にAKAI Professionalから発売されたペダル型ベース・シンセなのだが、発売からわずか2年足らずで製造中止になってしまった幻の逸品である。しかし、10数年を経た現在、世界の好事家の間で圧倒的な人気を誇っており、当時の販売価格が3万円台だったにも関わらず、ヤフオクやeBayなどでは取引価格が 10万円台に上ることもあるほどだ。

 その理由は“圧倒的な反応の速さ”と“音色の太さ”。そして何より、プリセットされた音色の“センスの良さ”である。飛び道具になりがちなシンセ・ベースというエフェクターのなかでも、ベースとしての存在感を失わない“現場で使えるシンベ・サウンド”が、今なお絶大な人気を誇る由縁だろう。

進化した後継機「Future Impact I.」

Deep Impactのプリセットも継承した99音色

 Deep Impactの発売元だったAKAI Professionalはすでになく、その後継機であるFuture Impact I.はpandaMidi Solutionsというハンガリーのブランドから発売されている。pandaMidi Solutionsは、Deep Impactの電子回路を設計したアンドラーシュ・サライ氏が自身で立ち上げたブランドだ。その出自、性能、サウンド、どれをとっても正統的な後継モデルと言うわけだ。

 プリセットの音色が9種類だったDeep Impactに対し、Future Impact I.の内蔵プログラムは全部で99種類。コントロールはDeep Impactとほぼ同様だが、液晶パネルに“BANK”という項目が増え、3つの数字が表示されるようになったのが大きな変更点だ。“BANK”に表示されるのはエディット/バンク・アップ・ツマミで選べる0〜9までのプリセット。その横の“Prog”、“Data”に表示される数値は、Deep Impactと同様である。プログラム・スイッチで選べる0〜9までのプリセットが“Prog”に、上部中央のパラメーター・ツマミで選択した“Attack”、“Dynamics”といった各項目の設定数値が“Data”に表示される。“Data”の数値をエディット/バンク・アップ・ツマミを回して調節し、さらにエディット/バンク・アップ・ツマミを押すとプリセットの変更が保存できる。Deep Impactでは“Data”の数値が自動的に保存されたが、本機はエディット/バンク・アップ・ツマミを押すことで変更を確定する点が異なっている。

 ちなみにバンク0にはDeep Impactと同じ9種の音色がプログラムされている。バンク0でLED表示の下2桁をDeep Impactの2桁LEDの表示と同じにすれば、同じプログラムが呼び出せるという趣向だ。開発者のアンドラーシュ・サライ氏自らがこれら9種類のプログラムを両機で比較しているが、そのサウンドはまったく同じと言ってもいいだろう。当然、反応性、太さも同様。さすがは直系の後継機である。

アンドラーシュ氏による公式動画

専用ソフトウェアで音色を自由にエディット可能

 また、新たに追加されたのは音色だけではない。専用のソフトウェア(FI Sound Editor/Windows & Macの両方に対応)でパラメーターを自由にエディットし、作成したプログラムをFuture Impact I.本体にロードしたり、PCに保存することが可能となったのだ。ソフトウェアは公式ウェブサイトからダウンロードするのだが、インストールの必要はなく、ダウンロードしたファイルをダブル・クリックするだけでソフトウェアが開く。あとは使用する MIDIデバイスを選択し、MIDIデバイスのMIDI出力とFIのMIDI入力を接続するだけで、エディットの作業が始められるのである。

Future Impact Ⅰ.誕生はベーマガがきっかけだった!

 Deep Impactの廃番から10数年たったこのタイミングで、一体なぜ後継機が誕生したのか? その大きなきっかけとなったのはベース・マガジンが行なったアンドラーシュ氏への取材だった(下画像/2014年11月号)。詳細は現在発売中のベース・マガジン4月号に詳しいが、そのなかでもアンドラーシュ氏がはっきりとその影響を口にしているのでぜひチェックしてみてほしい。

▲Future Impact I.誕生のきっかけとなった、ベース・マガジン2014年11月号のベーマガ・ラボvol.2『伝説のエフェクター AKAI Deep Impact SB1を追え!』。

▲Future Impact Ⅰ.とDeep Impactのサイズを比較してみた。Future Impact Ⅰ.のほうがふたまわりほど小さいのがわかる。

【SPECIFICATIONS】
●コントロール:アウトプット・レベル、パラメーター、インプット・レベル、エディット/バンク・アップ、プログラム・スイッチ●入出力:インプット、アウトプット、MIDIイン、MIDIアウト●外形寸法:124(W)×153(D)×63(H)mm●重量:約610g●電源:DC9Vアダプター

ベース・マガジン2016年4月号に開発秘話が掲載中!

 リットーミュージック刊『ベース・マガジン2016年4月号』では、「Deep Impactの生みの親が語るFuture Impact I.誕生秘話」と題し、開発者のロング・インタビューを掲載中。ベース・マガジンによる2014年の取材当時に受けた刺激から完成に至るまでの経緯をアンドラーシュ・サライ本人が事細かに語っている。このハイクオリティなペダルを開発する苦労、そしてこの世に産み落とせた喜びの発露を是非ご一読いただきたい。

ベース・マガジン2016年4月号の詳細はこちらから!


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製品情報

pandaMidi Solutions / Future Impact I.

価格:オープン

【スペック】
●コントロール:アウトプット・レベル、パラメーター、インプット・レベル、エディット/バンク・アップ、プログラム・スイッチ●入出力:インプット、アウトプット、MIDIイン、MIDIアウト●外形寸法:124(W)×153(D)×63(H)mm●重量:約610g●電源:DC9Vアダプター
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プロフィール

製作者:アンドラーシュ・サライ
1953年生まれ、ハンガリー第二の都市デブレツェン出身。父親はハンガリー原子力研究所の創立者でもある原子物理学者で、兄は宇宙物理学者という科学者一家で育つ。幼い頃より父親の研究所で国内最高の技術者たちから電子工学などを学び、何と13歳でエレキ・ギターを自作してしまう。Deep Impact以外にもAKAI ProfessionalのUni BassやEWI4000s、フィッシュマンのアコギ用ピックアップやエフェクターを開発。現在は、自ら設立したPanda Audio社で、midiBeamなどの音楽関連デジタル機器の開発に勤しむ。

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