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  • 新世代真空管Nutubeによる自作エフェクター・コンテスト開催!

KORG / Nutube BUILDER SUMMITイベント・レポート

KORG / Nutube 6P1

  • 文:井戸沼尚也 動画撮影・編集:熊谷和樹 写真:デジマート編集部

蛍光表示管技術を応用した新しい真空管として、ギタリストやペダル・ビルダー等から注目を集めているNutube。2017年2月、東京・杉並区で開催された『Nutube BUILDER SUMMIT』では、Nutube自作エフェクター・コンテストの結果発表やNutube講習会が行なわれた。ここでは自作エフェクター・コンテストの入賞作品を中心に、当日の模様を紹介していこう。なお、本記事の公開に合わせ、デジマートセレクトショップにてNutubeの販売を開始! 興味を持った方は、Nutubeを活用したエフェクター/アンプ作りに励んでみては?

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新世代真空管Nutubeとは?

 消費電力が大きい、耐久性が低い、ノイズが大きいなど、デメリットが目立つ真空管。しかし、ギタリストを中心に今だに愛されているのは、そのデメリットを補う独特のサウンドを有しているからだ。もし、デメリットのない真空管があれば──こうしたすべてのギタリスト、技術者などの夢を叶える新しい真空管として注目されているのが「KORG/Nutube」だ。

 Nutubeとは、従来の真空管と同じアノード・グリッド・フィラメントの構造を持ち、完全な3極真空管として動作する新世代の真空管だ。ノリタケ伊勢電子が持つ蛍光表示管の技術を応用することにより、従来の真空管に比べて大幅な省電力化、小型化、品質向上に成功。さらに、容積比は従来の真空管に対して30%以下となり、連続期待寿命30,000時間という長寿命を実現している。豊かな倍音を持ったチューブ独特の心地良いサウンドはもちろん、優れたリニア特性を備えた革新的な“機材”と言えるだろう。

KORG / Nutube

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力作ぞろいのNutube自作エフェクター・コンテスト

 このNutubeを使った自作エフェクター・コンテストの開催が昨年11月に告知され、『Nutube BUILDER SUMMIT』会場には最終選考に残った18の応募作品が並んだ。応募作品を審査したのは、下総淳哉(シンコーミュージック/『The EFFECTOR BOOK』)、和嶋慎治(人間椅子)、田中祐輔(Ovaltone)、エンドウ.(GEEKS/BLACKEND)、遠山雅利(KORG)、森川悠佑(KORG)の各氏。『Nutube BUILDER SUMMIT』の第一部はコンテストの入賞作品の発表で、次点、優秀賞、最優秀賞の各作品が順に発表された。

審査員一同。左から、和嶋慎治(人間椅子)、田中祐輔(Ovaltone)、エンドウ.(GEEKS/BLACKEND)、遠山雅利(KORG)、森川悠佑(KORG)。

入賞作品は、和嶋慎治(人間椅子)による試奏でサウンドをチェック。右は司会兼審査員の下総淳哉(シンコーミュージック/THE EFFECTOR book)。

 まず発表されたのは、次点に選ばれた『Nuverdrive』(福岡県/drugscore氏)。ミニ・サイズのオーバードライブ・ペダルで、コントロールはGainとVolumeの2つのみだが、Nutubeを使うことで本格的な真空管の音が味わえる。来場者に音を聴かせるために入賞作品の試奏を担当した和嶋氏は「使い勝手がいい! これが次点とはもったいないくらいの出来」とコメント。シンプルながら2つのNutubeの接続方法が秀逸な点、コンパクトな筐体にうまくまとめた点などが評価された。
 本来、次点は1作品の予定だったが、その出来の良さに次点として追加されたのが『Versatile Nutube Driver』(茨城県/佐久間悠氏)。ザクザク歪む、大型の筐体のハイゲイン・ペダルだ。審査員のOvaltone田中氏は「個人的には大好きなペダルです。音にインパクトがあるし、ルックスもパワーがあります」とコメント。和嶋氏の試奏で聴くことができたサウンドは、確かによく歪み、EQの効きも良かった。

次点その①『Nuverdrive』

次点その②『Versatile Nutube Driver』

 続いて優秀賞は、2作品が受賞した。1つめは『Nubrighter14』(兵庫県/重山竜馬氏)。Nutubeの特徴を活かしたペダル型アンプだ。エンドウ.氏は「スライダーのコントローラー、3Dプリンターで作ったと思われる筐体が素晴らしい! 回路的にも逆位相同士をぶつけてマイクロフォニック・ノイズを大幅に減らす工夫が面白かったです」とコメント。大きく音を変えるというよりは楽器の音を素直に増幅するタイプで、真空管が入ったブースター的な捉え方をすると用途が広がりそうなモデルだ。
 もう1つの優秀賞は『NT-01(Nutube Tremolo 01)』(広島県/神垣太持(ききょうや)氏)で、応募作品の中で唯一のトレモロ・ペダル。エンドウ.氏は「まずは音質が素晴らしく、とても気持ちの良いトレモロ。もっとスピードを速くすることができれば、さらに良かった。揺れるスピードに合わせて明滅するフィラメントの演出もNutubeならではで、普通の真空管ではできないところも評価が高かったです」と述べた。実際に聴くことができたサウンドは、ビンテージ・アンプのトレモロのような柔らかさを持ったものだった。

優秀賞その①『Nubrighter14』

優秀賞その②『NT-01(Nutube Tremolo 01)』

 最優秀賞に輝いたのは、独立2チャンネルのドライブ・ペダル『NuTuber』(神奈川県/川井洋平氏)。審査員全員が認めた万能型のドライブ・ペダルで、その完成度は突出していた印象。KORGの遠山・森川両氏も「電源電圧を可変式にしたアイディアは他の真空管では簡単にはできないもの。音色のバランスも良いです」と絶賛。製作者の川井氏はSunfish Audioのブランド名でエフェクターの販売もしているビルダーで、誰もが納得した最優秀作品だった。

最優秀作品『NuTuber』。2チャンネル仕様のドライブ・ペダルで、電源電圧を9〜30Vの間で調整できるのがポイント。

川井洋平氏(Sunfish Audio)受賞インタビュー

最優秀作品賞を受賞した川井洋平氏。エフェクター・ブランドSunfish Audioのビルダーでもある。

──「NuTuber」のコンセプトを教えてください。
 1台で様々な場面で使えるようなエフェクターを目指して開発しました。回路的にはNutube自体のナチュラルな歪みを生かせるような構成にしてあります。
──設計上、最もこだわったポイントは?
 歪みエフェクターではダイオードなどで信号をクリップして歪みを作ることが多いですが、真空管アンプの歪みを再現したかったので、NuTuberではそれらを使用せずにいかにかっこいい音が作れるか、という点にこだわって開発しました。
──電源電圧を調整するというアイディアは、どのようにして思いつきましたか?
 試作段階で様々な電源電圧を試した際に、どの電圧でも良さのある音が出せると感じました。そこで電源電圧の可変を思いつきました。
──実際にNutube搭載のエフェクターを制作してみて、Nutubeに対してどんなメリットを感じましたか?
 通常の真空管とは違い、省スペース、低電圧低消費で回路を作ることが出来る点です。発熱もほとんど無いので特にエフェクターなどの筐体に余裕が少ない場合でも使うことが出来る点は大きなメリットであると感じました。
──最後に最優秀賞を受賞した感想をお願いします。
 今回最優秀賞を頂けて本当に嬉しく思っています。ビルダー・サミットでも色々なアイディアをもった作品をたくさん拝見し、とても勉強になりました。これからの自分の作品に生かせればと思っています。

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ペダル・ビルダーたちに薫陶を与えた、Nutube講習会〜特別講演会

 第2部は、Nutube講習会が開催された。Nutubeを使った3種類(OD、CLN、 DST)の回路図について、Nutubeの発振を防ぐ方法について、Nutubeを使った様々な回路について、第1部で審査員を務めたKORGの遠山・森川両氏から説明があった。Nutubeの発振対策は、自作コンテストでも十分に行なわれていないものが目についたが、非常に重要なポイント。Nutubeの下にスポンジを取り付けて物理的に振動を抑える方法(KORGから専用キットが発売される予定)、ケースに入れて空気振動を抑える方法、真鍮で上から押さえつける方法などが示された。
 続いて、現役のエンジニアとしてはレジェンド・クラスのKORG三枝文夫氏が登壇し、特別講演を行なった。電子楽器の歴史を紐解き、Nutubeの生い立ちを語る姿に会場が引き込まれる。「エフェクターは音楽がなければ普及しない。しかし、エフェクターには音楽自体を支える力がある。もっともっと新しいエフェクターを、いつか誰かが作ってくれることを楽しみにしている」という言葉に、会場中のビルダーの背筋が伸びた。

第二部・Nutube講習会の様子。Nutubeの特性を生かすための参考回路図を紹介した。

会場に展示されていた、Nutubeの振動を抑制するキット(市販化予定)。

三枝文夫(KORG)による第三部・Nutube講演会の様子。彼はUni-Vibeの設計者でもある。

 『Nutube BUILDER SUMMIT』終了後は、会場に設置されたNutube搭載試作機及び「VOX/MV50」の試奏タイム。来場者が思い思いにNutubeの音を楽しんでいた。雑然とした試奏環境であったため音色の追い込みはできなかったが、実際にVOX MV50を弾いてみて「ピッキングした時のバイト感、コンプレッション感は、まさにチューブ・アンプのそれだ」と感じたことを記しておく。

VOXのMV50シリーズ。左から「MV50 Rock」、「MV50 Clean」、「MV50 AC」が並ぶ。

KORGが開発した、Nutube搭載機材の試作第一号機。2チャンネル仕様のアンプ・ヘッド・システムだ。

Nutubeとディスクリート回路によるハイブリッド構造を持つ、ペダル型プリアンプ。

こちらはラック・タイプのプリアンプ、Nurack-G。キャビネット・シミュレーターも搭載する本格派。

イベント後の試奏タイムの様子。特にVOX/MV50には多くの人が詰め寄り、人波が絶えることはなかった。

会場内には、自作エフェクター・コンテストにノミネートされた全18作品がズラリ並べられていた。

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製品情報

KORG / Nutube 6P1

価格:¥5,000 (税別)

【問い合わせ】
http://korgnutube.com/jp/
※上記Nutube特設サイトの専用フォームよりお問い合わせください。
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