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  • あのディック・ボークがセレクトしたグァテマラン・ローズウッドを使ったCTM スタイル45!

斎藤誠が弾く!マーティンCTMスタイル45 “グァテマラン・ローズウッド”

Martin / CTM D-45、CTM 000-45、CTM OM-45、CTM 00-45

  • 制作:デジマート・マガジン 取材・文:坂本信 写真撮影:八島崇 動画撮影&編集:熊谷和樹 録音:大屋努

斎藤誠氏と共にマーティン・ギターの魅力を伝えていく「MARTIN TIMES〜It’s A Beautiful Day」。前回はマーティン弦を深く掘り下げてみましたが、今回は連載初となるカスタムショップ = CTMモデルを取り上げてみました。しかも4本すべてがスタイル45でサイド&バックには“グァテマラン・ローズウッド”を採用、さらに材をセレクトしたのはあのディック・ボーク! という超スペシャル・バージョンのCTMモデルなのです。斎藤誠氏がいかに特別な4本をプレイし評価したのか、ぜひご覧ください!

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斎藤誠が弾く!マーティン CTM “グァテマラン・ローズウッド” スタイル45
Martin CTM D-45 / 000-45 / OM-45 / 00-45

斎藤誠が語る! マーティン・カスタムショップ
CTM スタイル45 “グァテマラン・ローズウッド”の魅力

マーティン社の精鋭職人グループ“カスタムショップ”が制作する
グァテマラン・ローズウッドのCTMモデル

 マーティン・ギターの型番のうち、ハイフンの後の2桁の数字は装飾のグレードを示すが、そこにはボティ材の種類も含まれ、10番台がマホガニー、20番台以降がローズウッドというのが基本である。個々のスタイルの仕様は、1833年に創業して以来、音楽の最前線でギターの歴史と関わってきたマーティンの豊富な経験に基づいて策定され、その中でも価格やグレードなどのバランスの取れた、いわば“スウィート・スポット”のモデルが定番として生き残ってきた。つまり、ほとんどの場合は、好みに応じて定番のモデルを選んでおけば間違いないのである。

 とはいえ、清水の舞台から飛び降りるつもりで、少なからぬ予算で憧れのブランドのギターを買うとなれば、他の人とは違う、自分だけの1本が欲しいと思うのも人情だ。マーティンではそうしたこだわり派のために、ペンシルヴァニア州ナザレスの本社工場内に20人ほどの腕利き職人を集めた“カスタムショップ”を設置し、定番モデルを基本に細かい仕様を変更した、特別モデルの製作に応じている。ここで作られるのが、型番に“CTM”を冠したカスタムショップ・モデルである。

 CTMモデルでは、装飾はもちろん、ボディなどの材も選択できる。トップ材の基本となるシトカ・スプルースの他にもアディロンダックやイタリアン・アルパイン、ジャーマンなど、ボディ材なら基本のインディアン・ローズウッドの他にブラジリアンやマダガスカルなどが用意されている。今回ご紹介するカスタムショップの4機種はすべて、レギュラー・モデルの最高峰となるスタイル45を基本にした豪華なモデルで、ボディにはグァテマラン・ローズウッド(Guatemalan Rosewood)という希少材を用いているのが特徴である。グァテマラン・ローズウッドはその名のとおり、中央アメリカのグァテマラを中心とする地域で産出されるローズウッドで、やや明るい色味と鮮やかな木目、ローズウッドらしい密度が特徴と言えるだろう。

 ちなみに、これらの4機種に使用されたグァテマラン・ローズウッドは、マーティン社のディック・ボーク氏が日本のユーザーのために自らセレクトしたものである。ボーク氏は1973年の入社以来、マーティン社のデザイン・クラフツマンとして製品の開発に携わるばかりでなく、アーティスト・リレーション部門の設立においても指導的な役割を果たし、会社とアーティストの橋渡し役としても重要な存在になっている。ひょうきんな人柄で親しみやすいボーク氏は、文字通りの“名物男”である。

Martin CTM
D-45 Guatemalan Rosewood

Martin CTM / D-45 ※試奏したギターはこちらから購入できます。


Martin CTM / D-45(Back)


ヘッドのロゴも現行と同じブロック体となっている。

このD-45はモダンな仕様で、ペグはロートマチックを採用している。

ヘキサゴン・インレイはモダンな印象だが、1939年から採用されている。


バインディングは通常のアイボロイドの代わりに、ヨーロピアン・フレイム・メイプルを使用。

バインディングに合わせて、エンド・プレートももちろんヨーロピアン・フレイム・メイプルを使用。

比較的シンプルな追い柾の木目だが、大型のドレッドノートで使うと豪華な雰囲気が出る。

 レギュラー・モデルでも十二分に高級感の味わえるD-45だが、このモデルではトップ材が通常のシトカ・スプルースから、マニアの間で評価が高い、1940年代のビンテージ・マーティンにも使用されていたのと同じ樹種である、アディロンダック・スプルースに変更されている。いっぽう、装飾はあえてビンテージのレプリカにはこだわらず、ボディとネックのバインディングも通常の真っ白なセルではなく、ヨーロピアン・フレイム・メイプルを採用。明るい色調のグァテマラン・ローズウッドとのコントラスト差を抑え、全体として上品な雰囲気を醸し出している。
※ギター提供:イケベ楽器店 Heartman Guitars 電話:03-6415-4169
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【Specification】
●トップ:アディロンダック・スプルース ●サイド&バック:グァテマラン・ローズウッド ●ネック:マホガニー ●指板:ブラック・エボニー ●ブリッジ:ブラック・エボニー ●スケール:25.4インチ(645.2mm)●ナット幅:1 3/4インチ(44.5mm)●トップ・ブレイシング・パターン:スタンダードX・スキャロップト ●価格:オープン

Makoto’s Impression

 以前のMartin Timesで40番台特集をやった時にも、このクラスのドレッドノートを何本も弾きましたが、そこにこれが入っていたら、かなり突出していたんじゃないかな。僕はドレッド恐怖症みたいなところがあるんですが(笑)、これは高音域の響きや低音のふくよかさだけが魅力じゃないという感じで、個人的にドレッドノートを弾いてこれほど違和感がないのは初めてでした。デモは6/8拍子のワルツっぽい曲で、ドレッドノートだからピックもいつも使っているハードよりもミディアムのほうが優しい音がするかなという、固定観念がありましたが、そういうことは関係なく、良いギターだからいつものハードでいつも通りに弾いて全然大丈夫でしたね。

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Martin CTM
000-45 Guatemalan Rosewood

Martin CTM / 000-45


Martin CTM / 000-45(Back)


瀟洒な雰囲気を醸し出す、ゴールデン・エラ・スタイルのマーティン・ロゴ。

丸みのあるヘッドにビンテージ風のバタービーン・ノブにオープンバックのペグ。

スタイル45のスノーフレイク・インレイは端正で上品だ。


サドルもロング・タイプで、全体をビンテージ仕様で統一しているのがわかる。

バインディングとエンド・プレートは、象牙の模様を再現したアイボロイドを使用している。

ビンテージによく見られる、派手さを抑えた柾目に近いバック材がセレクトされている。

 ドレッドノートと並ぶ定番の“トリプル・オー”は、コンパクトで弾きやすく、バランスの良さが魅力である。本器はスタイル45にふさわしい、プレミアム・グレードのシトカ・スプルースをトップ材に採用しているのが特徴だが、このトップ材にはマーティン社が新しく開発したビンテージ・トーン・システム(VTS)による特殊処理が施されている。新品の状態から豪華で高品質なサウンドが楽しめる45に、弾き込んだ味わいが加えられた逸品で、それに合わせてヘッドのインレイやペグなども、ビンテージ風のものが選ばれている。
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【Specification】
●トップ:シトカ・スプルース VTS ●サイド&バック:グァテマラン・ローズウッド ●ネック:マホガニー ●指板:ブラック・エボニー ●ブリッジ:ブラック・エボニー ●スケール:24.9インチ(632.5mm)●ナット幅:1 3/4インチ(44.5mm)●トップ・ブレイシング・パターン:ゴールデン・エラX・スキャロップト ●価格:オープン

Makoto’s Impression

 今回いちばんしっくり来たのがこれでした。隣の芝生が青く見えるというか(笑)、自分のギターにない部分が良く見えます。持った感じが柔らかいんですよ。ただ、普通の000だと音量感がなくなってしまうものが多くて、僕が000を避ける理由はそれなんだなと思いますが、これは音量感があって、それに加えてこの綺麗でゴージャスな音がでっかい魅力として襲ってくるんです(笑)。こういう優しくてバランスの良いギターは久しく弾いたことがないですね。1弦から6弦までのバランスも良くて、低い音域から高い音域までつながるフレーズを弾いても、すごくスムーズです。自分の部屋でずーっと弾いていたくなるほど、幸せになれるギターです。

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Martin CTM
OM-45 Guatemalan Rosewood

Martin CTM / OM-45


Martin CTM / OM-45(Back)


今回の4本の中でもっとも豪華な装飾を持つのがこのOM-45。トーチ・インレイも特別なタイプだ。

ネックのバインディングももちろんコア。3フレット目のポジション・マークが目を引く。

ポジション・マークもトーチ・インレイ風の特別なデザインを採用。


サイド材の木目も表情豊かだ。バインディングやヒール・キャップは虎目がはっきり出たコア材を使用。

この角度から見ると、ボディ・トップのアンバー・トーンとコア材の相性の良さがよくわかる。

装飾に負けない、ダイナミックな板目のバック材。

 000と同じボディとドレッドノートと同じスケールを組み合わせたOMは、トップ材にイタリアン・アルパイン・スプルースを使用している。バイオリンやクラシック・ギターにもよく使われるこの材は、北米産のシトカやアディロンダックに比べるとふくよかな中音域に特徴があり、鉄弦ギターでありながら心なしかクラシック・ギターのような味わいが加わるところが面白い。また、本器は4本の中で唯一、トップにアンバー・トーン1933という、古風で深みのあるステイン風の仕上げが施されており、その色調に合わせてバインディングに見事な虎目の出たコア材を採用するなど、シックで高級感のあるデザインになっている。
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【Specification】
●トップ:イタリアン・アルパイン・スプルース ●サイド&バック:グァテマラン・ローズウッド ●ネック:マホガニー ●指板:ブラック・エボニー ●ブリッジ:ブラック・エボニー ●スケール:25.4インチ(645.2mm)●ナット幅:1 3/4インチ(44.5mm)●トップ・ブレイシング・パターン:ゴールデン・エラX・スキャロップト ●価格:オープン

Makoto’s Impression

 僕にとってはお馴染みのはずのOMですが、これは全然違って、むしろ本来のOMに近いかな。同じボディの000と比べると、OMはやっぱり攻めてるなあと思います。強くピッキングした時のアタックは、000ならコンプレッションがかかるけれど、OMはそのまま出ますからね。ドレッドノートだとアタックの低音がもっと下のほうに行ってしまうけれど、OMだとそこまで下がらない。僕はそういうアタックが欲しいんですよ。ただ、このOMは中音域から低音域にかけての部分にもしっかりとした音の塊があって、ダイナミクスに余裕がある感じです。アタックに幅があって、よりハイファイな感じですね。色はいかにもアメリカ人が好きそうな感じだなあ(笑)。

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Martin CTM
00-45 Guatemalan Rosewood

Martin CTM / 00-45


Martin CTM / 00-45(Back)


ヘッドに施された優雅なトーチ・インレイ。この形は1930年前後に使用されていたもの。

000と同じオープンバックのペグだが、ヘッドは角がシャープなスタイルになっている。

やはり45だとスノーフレイクのインレイがよく似合う。


バックはもちろん、サイドやネック・ヒール脇にまで入念に施された、45スタイルのパーフリング。

ブリッジは古風なピラミッド・タイプを採用。トップ材はアディロンダック・スプルースだ。

こちらもバック材の木目は落ち着いた柾目だが、黒いヤニの線がはっきりしていて表情がある。

 今回の45シリーズの中ではもっともコンパクトな本器は、D-45と同様、トップ材にアディロンダック・スプルースを使用している。ブリッジは細身のピラミッド・タイプで、これは19世紀から1930年代頃までの古いマーティンで標準だったものだが、ネックがこの頃の12フレット・ジョイントではなく14フレット・ジョイントで、しかもグリップが最新のパフォーミング・アーティスト・スタイルということで、必ずしもビンテージ仕様にこだわっているわけではない。このように、標準仕様にこだわらずにデザイン面での遊びができるのも、カスタムショップならではの楽しさである。
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【Specification】
●トップ:アディロンダック・スプルース ●サイド&バック:グァテマラン・ローズウッド ●ネック:マホガニー ●指板:ブラック・エボニー ●ブリッジ:ブラック・エボニー ●スケール:24.9インチ(632.5mm)●ナット幅:1 3/4インチ(44.5mm)●トップ・ブレイシング・パターン:ゴールデン・エラX・スキャロップト ●価格:オープン

Makoto’s Impression

 00でこれ以上良いギターはあるのかっていうぐらい、素晴らしい出来ですね。デモ演奏の曲は3フレットにカポタストを付けて弾きましたが、カポを外して弾くとまた全然印象が違います。コンパクトなギターなのにスケールの大きな音がする。実は昔のギターはみんなそうだったのかもしれませんが、今でもその気になればこういう音が作れるっていうのがすごいですね。前に試奏した000や00の17にも、あれにしかない魅力というのはあって、自分の000-17も気に入って使っていますが、このギターを弾いている時の幸せ感というのはやはり他では感じられない、45のカスタムならではのものなんでしょうね。

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Makoto’s Impression〜試奏を終えて

 今日は、馴染みのあるモデルでしかも高級なギターが勢ぞろいしたので、試奏していても楽しかったですね。ディック・ボークさんと言えば、僕のOM-28カスタムも彼がスペック・シートを持って材や仕様を選んでくれました。あと、僕がNAMMショウのイベントでローレンス・ジュバーと共演した時には、彼がなぜか飛び入りしてきて(笑)、ビートルズの「ドント・レット・ミー・ダウン」を歌ったんですよ。そこにいるだけで、周りをハッピーにしてくれる人です。もちろん、デザイン・クラフツマンとしての実力やセンスのある人ですから、その彼が選んでくれた材ということで安心感がありますよね。木目もそれぞれの仕様や装飾に合わせたんでしょうけれど、どれもぴったりです。実際に弾いても、どれも本当に良いギターだと思いました。ドレッドノートにしても、本来なら他の3つのタイプと全然違う音がするはずなんですが、今回は4本全てに統一感があるという印象でした。ただ値段が高いというだけじゃなく、本当に選ばれた、音楽的な楽器なんだなあと思いましたね。どの楽器もすごく充実しています。今回は“幸せ感”という言葉を連発していますが(笑)、どのモデルを弾いても実に幸せな気持ちになれますよ。

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製品情報

プロフィール

斎藤誠(さいとう・まこと)
1958年東京生まれ。青山学院大学在学中の1980年、西慎嗣にシングル曲「Don’t Worry Mama」を提供したのをきっかけに音楽界デビューを果たす。1983年にアルバム『LA-LA-LU』を発表し、シンガー・ソング・ライターとしてデビュー。ソロ・アーティストとしての活動はもちろん、サザンオールスターズのサポートギターをはじめ、数多くのトップ・アーティストの作品への楽曲提供やプロデュース活動、レコーディングも精力的に行なっている。2013年12枚目のオリジナル・フルアルバム『PARADISE SOUL』、2015年にはアルバム「Put Your Hands Together!斎藤誠の嬉し恥ずかしセルフカバー集」と「Put Your Hands Together!斎藤誠の幸せを呼ぶ洋楽カバー集」の2タイトル同時リリース。そして2017年4月26日には全曲マーティン・ギターによる弾き語り&セルフ・カバーの待望の新譜、『ネブラスカレコード〜It’s a beautiful Day〜』をリリース! また、本人名義のライブ活動の他、マーティン・ギターの良質なアコースティック・サウンドを聴かせることを目的として開催されている“Rebirth Tour”のホスト役を長年に渡って務め、日本を代表するマーティン・ギタリストとしてもあまりにも有名。そのマーティン・サウンド、卓越したギター・プレイを堪能できる最新ライブ情報はこちらから!

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