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NATIVE INSTRUMENTS Komplete 11を愛用するクリエイター

NATIVE INSTRUMENTS / Komplete 11シリーズ

プラグイン・インストゥルメントとエフェクトをパッケージしたKompleteシリーズ。ポップスやロック、映画音楽など、トラック制作からエンジニアリングに至るまで、多くのクリエイターに愛用されている。ここでは、作曲家の横山克、音楽プロデューサーの本間昭光、蔦谷好位置に登場いただき、それぞれがオススメするソフトを挙げ、Kompleteの魅力について語ってもらった。

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NATIVE INSTRUMENTS Komplete 11

▲Komplete 11 Ultimateに収録されているインストゥルメントとエフェクト

 Kompleteシリーズは現在バージョン11で、製品数によってKomplete 11/Komplete 11 Ultimate/ Komplete 11 Selectにラインナップされている。収録内容としては、大きくオーケストラ&シネマティック、シンセサイザー、サンプル&アコースティック・インストゥルメント、エフェクト・ツールとなっており、特に定番と言えるソフト・サンプラーのKontakt 5、シンセやエフェクトをカスタムできるツールReaktor 6、アナログ・モデリング・シンセMassiveなどは、多くのクリエイターが使用しているのを目にするだろう。  

 これらのソフトのインストール/アップデート/アクティベートは、付属ソフトNative Accessに一元化されており、ワンクリックで最新状態に更新することができる。またKomplete 11シリーズからはダウンロード版も用意されている。さらに、NATIVE INSTRUMENTS製ハードウェアとソフトをリンクさせる機能=NKS(Native Kontrol Standard)が、これら膨大な数のソフトウェアを管理/コントロールするのにひと役かっており、Komplete Kontrol Sシリーズの鍵盤を使えば、主要なパラメーターが自動的にノブにアサインされ、キー・スイッチに合わせてLEDも点灯する。NKSによってクリエイター自身が自由にプラグインを統合することが可能となる。

[対応OS(2017年6月現在)] Mac:OS X 10.10以上/Windows:Windows 7以降

ラインナップ

Komplete 11
69,800円
アップデート・フルバージョン:12,400円 ◎45製品、13,000以上のサウンド、155GBにも及ぶインストゥルメントとエフェクトを収録

Komplete 11 Ultimate
139,800円
アップデート・フルバージョン:24,900円
◎87製品、18,000以上のサウンド、500GBにも及ぶインストゥルメントとエフェクトを収録

Komplete 11 Select
24,800円
◎11製品、2,500以上のサウンド、25GBにも及ぶインストゥルメントとエフェクト

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横山克(よこやま まさる)

【プロフィール】
ドラマ、アニメ、映画などの映像音楽を中心に活躍、アイドルなどへの楽曲も手掛ける。ドラマ『Nのために』、映画『ちはやふる』、アニメ『機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ』『四月は君の嘘』、ももいろクローバーZ「Chai Maxx」など。2017年10月より放送のNHK連続テレビ小説『わろてんか』の音楽を担当することも決定している。

Web Site
http://miraclebus.com/composer/masaruyokoyama

Twitter:@masaruyokoyama

Komplete Kontrol

製品ページhttps://www.native-instruments.com/jp/products/komplete/keyboards/komplete-kontrol-s-series/software-details/

Komplete Kontrol S-Seriesキーボードのソフトウェア部分。インストゥルメント・ライブラリーのブラウズやハードウェア・マッピングを行うことができる。NKSフォーマットに対応し、Kompleteソフトウェアとキーボードをシームレスに統合可能

 みなさん、Kompleteの音源すべてを立ち上げたことはありますか? “自信がないです……”という人にオススメなのがKomplete Kontrolソフトウェア。Komplete Kontrol S-Seriesキーボードのインターフェースとして動作するソフトですが、カテゴリーごとに音色が探せるので、普段使わない音源の発見にもなりますし、S-Seriesキーボードとの組み合わで、MonarkやRazorを、それこそアナログ・シンセのように使うことができます。標準で割り当てられているパラメーターも大変考えられていて、普段触らないようなパラメーターの発見にもなります。あまり使わない音源だけど、こんなに音良かったっけ?!と驚くことも多いです。Kompleteの膨大な内容を把握するために、実は一番役立っているソフトなのです。

Emotive Strings[Komplete 11 Ultimeteに収録]

製品ページhttps://www.native-instruments.com/emotivestrings/

Dynamedionによって開発された、レガート・ストリングスのフレーズやアルペジオを収録したライブラリー。シンプルに素早くストリングス・セクションのスコアリングが可能。ブダペストにてライブ・レコーディングされ、収録容量は28GBにおよぶ

 Emotive Strings を制作しているDynamedionとはよく仕事をしていて、このライブラリーを収録したブダペストのホールでオーケストラを録ったことも何度もあります。わざわざ海外で録音するのは、やはり大人数の質感とホールの豊かな響き、そして日本のミュージシャンとは違うフレーズの捉え方が欲しいからです。Emotive Stringsは、その要素を手軽に楽曲に取り入れることができます。フレーズも使いやすいものが考えられていて、キーも自由に設定でき、大変扱いやすいです。

Replika XT[Komplete 11 Ultimeteに収録]

製品ページhttp://www.native-instruments.com/replikaxt

5つの異なるディレイ・モードと高度な操作オプションを備えたマルチモード・ディレイ。また、7種類のタイム・ベース・エフェクトを内蔵し、反復音にフェイズ効果やフィルタリング、ピッチ効果を加えることができる。エフェクトのみの使用も可能

 コンポーザーとエンジニアで最も使用用途が違うのはリバーブとディレイだと思います。私の場合は、センドでの使用に限らず、インサートでどんどん挿していくのですが、そのときに活躍しているのがReplika XTです。このソフトの便利なところは、まず一般的なディレイに求められる要素をすべて満たした上で、さらにクリエイティブな要素……SaturationやFrequency Shifterなどを加えられるところ。また、ディレイ・タイムをmsec単位だけではなく小節単位でも設定できるので、フィードバックの値を設定しやすく非常に音楽的です。意外と見過ごされがちですが、クリエイターにとって便利なエフェクトが、Replika XTをはじめ、Kompleteには多いです。

Kompleteの魅力

 現代は多くの音色やプラグインを集めたソフトウェアが複数あり、それらすべてがクオリティが高く、実践的であります。その中で定番になっていくというのは、それだけほかの人と同じ音色を使っている、ということになり、オリジナリティを出すには、独自の使い方や音作りが必須だと思っています。そのような点でもKompleteは、Komplete Kontrolやクリエイターに向いたエフェクトによって、独自の使い方ができるようになっているのが気に入っています。


本間昭光(ほんま あきみつ)

【プロフィール】
作編曲家、キーボーディスト、プロデューサー。1988年、マイカ音楽研究所に入学し、松任谷正隆氏に作曲アレンジを師事。その後本格的に活動を開始し、槇原敬之のバンド・マスター、ポルノグラフィティへの楽曲提供、いきものがかりのサウンド/ライブ・プロデュース、劇伴、音楽監督など、精力的に活動の幅を広げている。

Web Site
https://www.bluesofa.co.jp/html/artist/homma.html

Twitter:@akimitsuhomma

Scarbee Rickenbacker Bass[Komplete 11 Ultimeteに収録]

製品ページhttps://www.native-instruments.com/scarbeerickenbackerbass/

RICKENBACKER公式製品で、中域のパンチ力が特徴的な4003サウンドを提供する。Scarbeeベース・シリーズで初めてピック演奏によるサウンドを収録しており、ネックとブリッジ・ポジションでの演奏のほか、手によるミュート演奏も録音されている

 絶妙な古さ、実機っぽさが再現されていて、存在感があります。また、このソフトでしっかりフレージングしてデモを作っておくと、生に差し換えるときに、RICKENBACKERだけでなく、それ以外のどんなベースでも対応できるんです。そのため、本番でどんなベースを使うのか、選択肢を残しながらデモを作るために重宝していますね。

Rise & Hit[Komplete 11 Ultimeteに収録]

製品ページhttps://www.native-instruments.com/risehit/

独自のビルドアップ表現を実現するためだけに設計された、初のインストゥルメント。オーケストラ、オーガニック、シンセといった8GB以上のサンプルの中から音を選び、レイヤーの追加、編集、エフェクトを追加することで独自のサウンドを生成可能

 現代の音楽では劇伴だけでなく歌モノでもSEは必要不可欠のサウンドです。このRise & Hitは、そういった音楽に対応するプリセットがたくさんあり、エディットも自由度が高いので、レイヤーやフィルタリングで楽曲に合うSE系の音を手軽に作ることができます。昔のようにあからさまなリバース・シンバルではなく、Rise & Hitでサッと音を作ることが多いですね。

Kinetic Metal[Komplete 11/Komplete 11 Ultimeteに収録]

製品ページhttps://www.native-instruments.com/kineticmetal/

サウンド・デザイナー、ジェレミア・サヴェージの構想によって生まれたインストゥルメント。メタリックなサウンドから、変幻するテクスチャー、繊細で音程のあるパーカッションまで生成可能。FXホイールでバリエーション豊かなサウンドを生み出すことができる

 最近は劇伴も手掛けることが増えてきたのですが、ちょっと変わったループを使いたいときにKinetic Metalは非常に有効です。ForgeとFXをリンクさせて使うケースもありますが、リンクさせなくてもそれぞれがちょうど良いサウンドです。これで作った法則性のないループを薄く混ぜることで、全体のイメージが変わるので、よく使っています。これは歌モノでも活用していますね。

Kompleteの魅力

 Kontaktの設計が分かりやすくできているので、これだけたくさんの音源がありますが、迷わず音を選ぶことができ、デモを作る段階では定番のソフトとして役に立っています。特に最近は劇伴系の仕事も増えてきて、Symphony系の音源や最新のThrillなど、即戦力で使えるものばかりでとても助かっていますね。


蔦谷好位置(つたや こういち)

【プロフィール】
音楽プロデューサー/作曲家。2004年よりagehaspringsに加入し、YUKI、Superfly、ゆず、エレファントカシマシ、back numberなど多くのアーティストへ楽曲提供やプロデュース、アレンジを手掛けている。

Web Site
http://www.ageha.net/archives/ageha_creator/tsutaya_koichi

Twitter:@koichitsutaya

Guitar Rig 5 Pro[Komplete 11/Komplete 11 Ultimeteに収録]

製品ページhttps://www.native-instruments.com/guitarrig5pro/

17のアンプと27のキャビネット、54のエフェクトが用意された、ギター/ベースのシミュレーター。アンプやキャビネットの組み合わせ、マイク・ポジションの設定で、柔軟かつ独自のサウンドメイクが可能

 エレキギターのサウンドを作るときに、生で弾いたギターにも、ソフト音源で打ち込んだ音にもよく使っています。打ち込みで完結する場合はほとんどGuitar Rig 5 Proで音作りをしていますね。レコーディング・スタジオでエレキギターをアンプで録る場合でも、ラインでも録っておいて、それを家に持ち帰ってGuitar Rig 5 Proを通すこともあるんです。Superflyや米津玄師で、生と混ぜて使った曲もありましたね。生に寄り添うというより、派手にしたい、抜けをよくしたいときに役立っているんです。

Session Guitarist Strummed Acoustic
[Komplete 11/Komplete 11 Ultimeteに収録]

製品ページhttps://www.native-instruments.com/sessionguitariststrummedacoustic/

スタジオ・ミュージシャンによるアコースティック・ギターのパターンを収録。柔軟な操作性で演奏位置やアクセントなどをコントロール可能で、複雑なジャズ・コードにも対応している

 アコギのライブラリーはいろんなメーカーの製品を持っているんですけど、Session Guitarist Strummed Acousticは本チャンまで使うことがある音源です。最近ではトロピカル・ハウスっぽいサウンドのときに使ったことがあったんですけど、ストロークを打ち込むのも楽ですし、抜けも良く、サイド・チェインかけてフレーズを構築しました。生で録ってもなかなか再現できない、打ち込みならではの質感になるんです。打ち込んだあとにオーディオ化して、さらにチョップしてパターンを作ることもあり、本当にいろんな場面で重宝していますね。

Session Strings Pro[Komplete 11 Ultimeteに収録]

製品ページhttps://www.native-instruments.com/sessionstringspro/

48GBにもおよぶインストゥルメントとアンサンブルのサンプルを収録したストリングス音源。複数のベロシティ・レイヤーと29のアーティキュレーションにより、幅広い表現が可能となっている

 ストリングスの打ち込みをする際に、一番初めに立ち上げているソフトがSession Strings Proです。何より動作が軽いですし、キー・スイッチによって、アーティキュレーションを簡単に打ち込める。ストリングス・アレンジをする際に、アーティキュレーションを変える度に設定をいじったり、違うサンプルを読み込んだりするのは、時間もかかってクリエイティブではないですからね。また、将来生のストリングスに差し換える場合を想定したシミュレーションもしっかりできるので、ストリングス・アレンジをする際には欠かせないソフトです。

Kompleteの魅力

 Kompleteだけでなく、NATIVE INSTRUMENTSの製品全体に言えることなのですが、ソフトの動作が軽くて使い勝手が良いです。曲を完成させるまでのプロセスにおいて、ストレスなく作業できるのをしっかりサポートしてくれています。今回挙げたソフト以外にも、Session Horns ProやDamage、Solid Bus Compなど、僕の制作に役立っているライブラリーはたくさんありますし、Kompleteはこれからも制作の中核を担ってくれると思います。


Other Recommend Software

Massive(Komplete 11/Ultimate/Select収録)

▲ Massive

  製品ページhttps://www.native-instruments.com/massive/

 [製品概要]
 ベースとリードに特化したバーチャル・アナログ・シンセ。3つのオシレーターと2つのフィルター、モジュレーション、エフェクトなどにより幅広い音作りに対応する。人気アーティストによる1,300以上のプリセットも搭載。

Form(Komplete 11/Ultimate収録)

▲ Form

 製品ページhttps://www.native-instruments.com/form/

 [製品概要]
 Reaktor 6 上で動作するサンプル・トラッキング・シンセ。最近のダンス・ミュージックによく聴く、ボーカルの一部を利用したサンプラー・サウンドも、直感的なインターフェースで素早く簡単に、高いクオリティで作成することができる。

Drumlab(Komplete 11/Ultimate/Select収録)

▲ DrumLab

 製品ページhttps://www.native-instruments.com/drumlab/

 [製品概要]
 38種類のドラム・サンプル・セットをベースにしたドラム音源。独自のレイヤリング技術で組み合わせてサウンドを生成できるほか、ドラムに最適されたエフェクト・チェーン、900以上のドラム・パターンも用意されている。

The Mouse(Komplete 11 Ultimate収録)

▲ The Mouse

 製品ページhttps://www.native-instruments.com/themouth/

 [製品概要]
 ボーカルなどのオーディオ素材から、メロディやハーモニーを作り出せるエフェクト。ボコーダーとしてはもちろんのこと、ケロケロ・ボイスへの加工も自由自在。“Beats Mode”では、ドラム・パターンも加えることができる。


Pick Up!! Thrill

 製品ページhttps://www.native-instruments.com/thrill/

▲ Thrill

 [製品概要]
 映画のサウンドトラックやゲーム音楽などに役立つツール。オーケストラ、環境音、独自のインストゥルメント、声、ピッチ付き金属音、シンセ・ドローンなど、950以上のサウンド・ソースが内蔵されており、それらをX-Yコントロールのモジュレーション、さまざまなブレンド・モード、カスタム・クラスター、コンボリューション・エフェクトの組み合わせで、独自のサウンド・セットを作ることができる。また編集可能なプリセットも250以上用意されている。

 【註】*ThrillはKomplete 11にはバンドルされていません。NIオンラインショップにて販売中。

▲ Thrillのトレーラー。サウンド・トラックはすべてThrillで作られている

▲ Thrillを使ったサウンド・トラックの解説動画

 製品ページhttps://www.native-instruments.com/thrill/


【キャンペーン開催中】
KOMPLETE 11シリーズのアップデート版、アップグレード版などが期間限定で半額に

 NATIVE INSTRUMENTSでは2017年7月2日までKomplete 11、Komplete 11 Ultimateのアップデート版、アップグレード版が期間限定で半額になるキャンペーン「サマー・オブ・サウンド」を開催中だ。

 このキャンペーンは、これまでのKomplete/Komplete Ultimateユーザーのほかに、Komplete 11 Selectが付属する同社のキーボード・コントローラーKomplete Kontrol Sシリーズや、ビート・メイキング・ツールMaschineシリーズも対象となる。是非機会に最新のKompleteシリーズを導入してみてはいかがだろうか。

キャンペーン詳細ページ

https://www.native-instruments.com/jp/specials/komplete/summer-of-sound-2017/

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