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  • 週刊ギブソンWeekly Gibson〜第158回

生形真一が語る渾身のシグネチャー・モデル SHINICHI UBUKATA ES-355

Gibson / Shinichi Ubukata ES-355 Vintage Ebony VOS

Nothing's Carved In Stoneのギタリストであり、国内屈指のES-355の使い手としても知られる生形真一氏のシグネチャー・モデルが発売されました。この新しいギターは、ES-355をベースに細部にまでこだわったオリジナリティ溢れるモデルです。今週は、本人による演奏・解説動画も交えて、Gibson Shinichi Ubukata ES-355 Vintage Ebony VOSの魅力に迫ります。

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ロックなセミアコES-355をベースに、新たなチャレンジを盛り込んだモデル
Gibson Shinichi Ubukata ES-355 Vintage Ebony VOS

 海外ではキース・リチャーズ、そして国内では生形真一氏が愛用することで、近年は“ロックなセミアコ”のイメージが確立された感があるES-355。ESシリーズの中でも一際ゴージャスなルックスと、セミアコの代名詞であるES-335以上に明瞭なアタックを持つES-355は、ブルースやソウルはもちろん、ロックするにも最高のギターです。長らくES-355を愛用してきた生形氏ですが、自分自身、そして自身のバンドNothing's Carved In Stoneが進化し続ける中で「ES-355に満足しているんだけど、新しいことにもチャレンジしたい」と考えたそうです。それが形になったのが、初のシグネチャー・モデルであるGibson Shinichi Ubukata ES-355 Vintage Ebony VOS。ES-355との相違点をあげてみましょう。

Gibson Shinichi Ubukata ES-355 Vintage Ebony VOS

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 まず、一目で違いがわかる外見上のポイントは、ES-355のfホールに対して、トリニ・ロペス・モデルなど一部のモデルで知られるダイヤモンド・シェイプfホールを採用している点です。しかもVOSのアンティーク・エボニー・フィニッシュに映えるようホール周りにはバインディングが施されており、ES-355とは“ギターの表情が大きく違う”ことに気がつくでしょう。次に、ES-355はピックアップ・カバーやブリッジなどの金属パーツがゴールドで統一され、それがゴージャスさを高めていますが、このニュー・モデルはVOS仕上げのニッケル・パーツで統一されています。ES-355のゴージャスさに比べると、ニッケル・パーツが醸し出す雰囲気はより精悍な印象を受けます。

生形自身の音にマッチする雰囲気を感じて採用したというダイヤモンド・シェイプfホール

バリトーン・スイッチを含めた金属パーツ類は精悍さを醸し出すニッケル・パーツで統一

 さらに、本器にはバリトーン・スイッチが搭載されている点も大きな特徴です。バリトーン・スイッチ自体はビンテージのES-355などにも搭載されているものですが、近年はよりストレートなサウンドが好まれることもあり、現在のギブソン・レギュラー・ラインナップのES-355にはバリトーン・スイッチは搭載されていません。生形氏が愛用しているES-355にもバリトーン・スイッチは搭載されていませんが、今回初めて、バリトーン付きを選択したという点が興味深いところです。

ヘッド裏には生形のトレード・マークであるスカル・マークが刻まれる

付属するハード・ケースにもスカル・マークがプリントされている

 そして、生形氏のモデルと言えば、トレード・マークのビグスビーB7テイルピースは外せません。これは、氏独特の低音のゴリッとしたニュアンスを生む、重要なファクターになっています。また、目には見えない部分ですが、太めのネックを好む生形氏のリクエストで、本器にもしっかりとした握り心地のネックが採用されています。これもより太いサウンドを生み出すための、重要な要素となっています。

Ubukata's Comment

想像以上の仕上がりで、今は完全にメインで使っています

──初めて自身のモデルに触れた時の印象は?
生形 制作の段階で、当然仕様についてシートでのやり取りはしていたんだけど、実器を手にしてみたら想像以上のものになっていたんで、本当に嬉しかったですね。

──具体的には、どのあたりが?
生形 このかっこよさ! 普通、バリトーン・スイッチはES-355とかの高級機種に付くからゴールドでしょう? それもゴージャスでかっこいいんだけど、バリトーンがニッケルだとこんなにクールになるのかと驚きました。VOSのちょっと使い込まれたようなフィニッシュと、ニッケル・パーツ、それとダイヤモンド・シェイプfホールが思っていた以上にマッチして、精悍な印象を受けましたね。

完全にメインとして活躍中という生形のシグネチャーES-355。ライブ・リハーサル中のスタジオにて撮影

──サウンド面はいかがですか?
生形 これまで使ってきたES-355は弾きこんであるんで、ちょっとビンテージっぽい鳴り方になってきているんですよ。でもこれは元気があって、ジャキッとした鳴り方です。ただ、ギブソンには歴史があって、独自のサウンドがあるでしょう? いろいろと細かいオーダーはしているけど、元々その音が好きで使っているので、ES-355と大きく音が変わるようなことはしていません。

──弾き心地についてはいかがでしょう?
生形 そこについては完璧にオーダーしているので、全く問題ないですね。ポイントは、太めのグリップです。その点は、太い音にも影響していると思います。とにかく、このギターが到着してすぐにメインで使っているけど、何の問題もないくらい弾きやすいですよ。もちろん今でもES-355も使っているけど、それはチューニング違いやピエゾの音(生形氏はステージ上でアコースティック寄りの音が欲しい時に備えて、ピエゾPUを後付けしたES-355を所有している)が欲しい時に登場する感じで、もうメインは完全にこれですね。

──このモデルを、どんな人にお薦めしたいですか?
生形 これは自分のシグネチャーではあるんですけど、ギブソンという世界的なブランドのモデルである以上、いろいろな人が使えるギターにしたいという思いがありました。だからバリトーン・スイッチを付けたというところもあります。元々、ギブソンの2ピックアップ/4コントロールのモデルは、セッティング次第で多彩な音が出せるんですけど、バリトーンを付けたことでさらに多彩な音が出せるので、ジャズの人、ブルースの人、いろいろな人に使ってもらえたら嬉しいですね。元々、ES-355がロックンロールやブルースに使えるギターだってことは歴史が証明しているし、もっと攻撃的な音やオルタナティブな音も出せるってことは、俺のギターを聴いてもらえばわかるんじゃないかな。

ギター・マガジン 2017年8月号に生形氏のインタビューが掲載されます!

 リットーミュージック刊『ギター・マガジン 2017年8月号』では本記事には掲載していない生形氏とギター・マガジン編集長による対談インタビューを掲載予定です。ここでは語られていないシグネチャー・モデル誕生の裏側にも触れていますので、そちらもぜひご期待ください!


※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは7月7日(金)更新を予定。

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製品情報

Gibson / Shinichi Ubukata ES-355 Vintage Ebony VOS

価格:¥655,000 (税別)

【スペック】
■ボディ:3プライ(メイプル/ポプラ/メイプル)■ネック:マホガニー ■指板:ローズウッド ■フレット:22 ■ピックアップ:MHSハムバッカー×2 ■コントロール:ボリューム×2、トーン×2、3ウェイ・ピックアップ・セレクター、バリトーン・スイッチ ■ブリッジ&テールピース:ABR-1、ビグスビーB7 ■カラー:エボニー
【問い合わせ】
ギブソン・ジャパン http://www.gibson.com/
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プロフィール

生形真一(うぶかた・しんいち)
1998年ELLEGARDEN結成。ELLEGARDENの活動として10年間の間に5枚のフル・アルバムをリリース。2008年9月7日新木場STUDIO COASTのライブにてELLEGARDEN活動休止。2008年5月活動休止発表後、Nothing's Carved In Stoneを結成。現在までに8枚のフルアルバムをリリース。独自の演奏スタイル、緻密なサウンド・メイキング、高度なアレンジ・スキルにより、熱心なファンの間ではもちろん、音楽業界内でも高い評価を得ており、近年はトップ・アーティストのサポートまで活動の幅を広げている。琴線に触れるエモーショナルなライブ・パフォーマンスで定評のある自身のツアーの他、各地のイベントやフェス等に精力的に出演中。

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