独特の渋さと美しさが融合した
fホール&チェンバード・モデル

　メタル・フロントやパール・フロントに代表される、芸術的な美しさのゼマイティス・ギター。その中でもスーペリア・シリーズは比較的装飾を抑えたシンプルなモデル群という位置付けで（それでも個性的で美しいモデルばかり）、このチェンバレンは木の質感を活かしたトップ面とfホールの存在感が際立ったモデルだ。本器は、センター・ブロックを持つセミアコ構造ではなく、チェンバード（中空）構造。ボディのテイルピース後方に形状の異なる5箇所の中空部分と、6弦側のブリッジ&テイルピース横に1箇所の中空部分を持っている。それによって、バランスの良いトーンと軽量化を図っているという。確かに、実際に手にとってみてもソリッド・エレクトリックによくあるズシッとした重量感はなく、試奏ではサウンドに微かなエア感を含み、不要なローやハイがない端正なハムバッカー・サウンドをアウトプットしてくれた。また、ヘッド周りやブリッジ周りの美しさにも目を奪われたが、メイド・イン・ジャパンの確かな製品作りにも感心させられた。とにかく弾きやすく、ピッチも良い。渋さと美しさが上手く融合した本器のセンスは、特に大人のギター＆ボーカルに似合いそうだ。