1977年に登場した、BOSSのコンパクト・エフェクター。その基本設計は発売当時から完成されており、アルミ・ダイキャストによる堅固なボディは、オン／オフ時に足がつまみに触れない2段式構造。そして、100万回の耐久テストをクリアするペダル・スイッチや電池交換が容易な本体構造、エフェクトのオン／オフ時のスイッチング・ノイズを軽減するFETスイッチ、信号の劣化を防止するバッファの搭載、電池とACアダプターの2ウェイ電源方式などによって、世界中のミュージシャンに愛されてきた。また、コンパクト・ペダルでは世界初となったデジタル・ディレイやピッチ・シフター、ルーパーなど、革新的なモデルを発表。これまでに累計119機種、全世界で合計1500万台以上のセールスを達成している（2017年6月時点）。

　そんなBOSSコンパクト・エフェクターが今年40周年を迎えるということで、その記念にコンパクト・エフェクターの初代3機種「OD-1 Over Drive」「PH-1 Phaser」「SP-1 Spectrum」を再現したリイシュー・モデルを特別限定パッケージで復刻。全世界で1,500台の限定BOＸセットとして発売される。1台1台ハンド・ワイヤリングによって製作され、回路調整を含めて国内の特別な生産ラインで行なわれている。もちろん、オリジナルのサウンドとレスポンスを完全に再現しつつも、電源保護回路やノイズ・フィルターを備えたPSAアダプター仕様の実現、エフェクトのオン／オフ状態を示すLEDの採用、強化されたバッテリー・スナップなど、現行モデルと同様に進化した部分も採り入れられ、現代においても充分に耐え得る仕様となっている。

　「OD-1 Over Drive」は、歪み系ペダルとしてはファズが主流だった当時において、真空管アンプのようなナチュラルな歪みを追求。非対称クリッピング回路を採用することで、温かみのある唯一無二のオーバードライブ・サウンドを実現した。今なお愛用者が多く、プレミアム・モデルとなっているのは周知の通りだ。今回の復刻版は、オリジナル・モデルの初期バージョンと同じ、クワッド・タイプのオペアンプを採用した回路設計となっており、非対称クリッピング回路に使用するダイオードなど、オリジナルのOD-1サウンドを再現するために必須となるパーツをひとつひとつ選別し、組み上げられている。

　「PH-1 Phaser」は、当時発売されていた他のフェイザー・ペダルに比べ、変調範囲を拡大し、より明瞭なサウンドを目指して開発。その結果、自然で軽やかなサウンドとロー・エンドの豊かなレスポンスを実現した。さらに、出力ブースト調整回路を搭載しているため、エフェクト・オン／オフ時の音量差が最小限に抑えられている。今回の復刻版では、4段の位相をシフトさせるFETをすべてチェックし、最適な動作をする個体を厳選。加えて、内部の半固定抵抗も手作業でひとつひとつ調整することで、40年前に発売された初代オリジナル機と同じ応答特性を実現している。

　「SP-1 Spectrum」は、1970年代のローランド製ギター／ベース・アンプに内蔵されていたエフェクトから派生したもので、周波数にピークを持たせてサウンドを強調するエフェクター。BOSSのコンパクト・エフェクターでは、中古市場でもっとも見つけるのが難しい、知る人ぞ知るレアなモデルだ。その効果は、ブースト・レベルが固定されたシングル・バンドのパラメトリック・イコライザーとも言える、非常に個性的なもの。SPECTRUMつまみによって、ブーストする周波数を設定（500Hz～5kHz）。そして、BALANCEつまみで原音とエフェクト音のバランスを調整する。ワウ・ペダルの位置を固定したようなサウンドを生み出したり、ベーシストが音抜けを良くするために用いたりもしていたようだ。前述のモデルと同様、半固定抵抗の調整やワイヤリングなどを当時と同じように手作業で行ない、オリジナルのサウンドを忠実に再現している。

　なお、専用ケースには40周年記念ロゴが入れられ、全世界1,500セットの限定生産セットということで、シリアル・ナンバー（輸送用の外箱に記載されている製造番号とは異なります）付きのメッセージ・カードを同梱。発売日は2017年8月26日（土）だが、すでに7月11日16:00より予約は開始している。争奪戦になることが予想されるので、ご予約はお早めに！　なお、市場想定価格は90,000円（税別）。

▲シリアル・ナンバー付きメッセージ・カード