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“現行ボリューム・ペダル”試奏分析〜Current Volume Pedal Analysis

ボリューム・ペダル

エフェクター・ファンのバイブルとして高い人気を誇る『THE EFFECTOR book』(シンコーミュージック刊)。その最新刊であるVOL.37でフィーチャーされるのはボリューム・ペダルだ。音量を上げたり下げたりするだけという極めて簡素なデバイスでありがなら、実力者であればあるほどこの機器にこだわるのは何故か? それは音楽を奏でる上で、「ボリュームを操る」という行為が感情を表現する大きな武器になるからに他ならない。そんな地味ながら大きな可能性を秘めたデバイスを知るには最適な書となっている。ここでは本書と連動して、パッシブとアクティブのボリューム・ペダル全10機種の試奏分析をお届けする。各ペダルの個性を知って、自身のギター/ベース・サウンドの可能性を広げてみてほしい。

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プロローグ〜音量を変える──ただそれだけのためにあるペダルが持つ無限の可能性に迫る!

 自分が奏でる音に対してシビアなこだわりを持っている人ですら、「音量を変えるだけの機器に大枚をはたけない……」と感じるのが正直なところだろう。一般にボリューム・ペダルの目的として語られるのは、「楽曲の合間に出音をミュートする」「ギターを持ち替える際に信号をカットする」といった用途。たったそれだけのためであれば、ハイ・エンドなボリューム・ペダルを導入することに意義が見出せないのも無理はない。しかし果たしてボリューム・ペダルとは音を切るためだけに存在しているのだろうか? もしそうであれば、エレクトリック・ギター黎明期から現在に至るまで生産され続けている、そのニーズに納得のいく説明を見つけることができない。そう考えると、ボリューム・ペダルにもっと奥深い存在意義があることに気付くはずだ。

 ギターに限らず、音楽表現にとって重要なのは「抑揚」を操ることである。リスナーを圧倒したい時にはことさら激しい演奏で情熱を示し、聴く者の涙腺に訴えかけるメロウな旋律を奏でるのに繊細なタッチで対応するのは、表現者としての常套手段。そこでコントロールされているのは、音の強弱である。そして最大音量と最小音量の差、それが大きければ大きいほど演奏はダイナミックに響く。音量を変化させることは、エモーションを表現する上で欠かせない手法なのだ。ならば、それをリニアにコントロールできるボリューム・ペダルを使うことは、音の強弱が作り出すダイナミックな音空間を自由に闊歩することと同意である。つまりボリューム・ペダルとは音楽表現をより豊かに彩るためのデバイスなのだ。

 考えてもみれば、マイケル・ランドウ、ネルス・クライン、ラリー・カールトンなど名手と呼ばれるソロイストの足下にはボリューム・ペダルが必ず鎮座している。彼らが音量を巧みに操り、それこそが表現に深みをもたらしている根本である事実は見逃せない。そうしたプレイヤーたちが紡ぎ出す官能的なフレージングに憧れを持つ者であれば、ボリューム・ペダルは何よりも必携の機器なのである。

01 ERNIE BALL / #6180 Volume Pedal Jr.

Ernie Ball / #6180 Volume Pedal Jr.

[Specifications]
●コントロール:Pedal ●スイッチ:Adjust Taper Switch ●端子:Input、Output、Tuner Out ●サイズ:89mm(W)×254mm(D)×53mm(H) ●電源:なし ●価格:open price

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初めての導入でも全く不自然さを感じない安定の動作

 “Jr.”というネーミングではあるが、ブランド特有の重厚なアルミ筐体は健在で、華奢な印象は全くない。サイズ的にもフル・サイズの“#6166”と比べて僅かな違いしかなく、その実用性を十分考慮した設計に老舗メーカーとしてのプライドを感じる。とはいえ、ペダルボードに載せることを考えれば、この数センチ、数百グラムの違いは圧倒的なアドヴァンテージだ。特にデッキをフラットにした時の高さは“#6166”よりも数ミリ低いだけではあるが、このレイアウトのおかげで、ボードの蓋が閉まるか閉まらないかの差が発生する場合だってあるのだから、全く馬鹿にはできない。
 駆動系はシンプルな紐の両釣り式(負荷調整用スプリングあり)で、トゥ側、ヒール側ともにバランスは良好に保たれている。デフォルトではやや硬めの設計なので、しっかりした踏み応えが欲しいユーザーに最適だ。昔ながらの250kΩ(Aカーヴ)ポットを用いたパッシブ・スタイルは、まさにシングルコイル・ピックアップ搭載のギター・ボリュームをそのまま外に出したような設計と言える。ギターを嗜むものならば馴染みのある効き方をするので、初めてボリューム・ペダルを導入するプレイヤーでも増減に不自然さを感じることは全くないはずだ。

【オフィシャルHP】

02 BOSS / FV-30H Foot Volume

BOSS / FV-30H Foot Volume

[Specifications]
●コントロール:Pedal ●スイッチ:なし ●端子:Input、Output、Tuner Out ●サイズ:80mm(W)×192mm(D)×58mm(H) ●電源:なし ●価格:open price

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徹底して実用本位な設計が施された新スタンダード

 エクスプレッション等の複合性能を持たない単機能タイプではあるが、全く新しいBOSSオリジナルのアルミ・ダイキャスト・シャシーを採用し、それまで長年同ブランド製ボリューム・ペダルの顔として君臨し続けた“FV-500”シリーズと同等の堅牢さと省スペース設計を両立した、まさに「一挙両得」なモデル。靴底にスッポリと隠れてしまうようなサイズでありながら、仰角も標準的なフル・サイズ・ボリューム・ペダルと同等な20度程度をキープしており、動作的な違和感は皆無だ。デッキのトップ面には天板の製造過程で幾何学的な段差模様が整形されており、スニーカーのように柔らかい素材のソールで踏めば凸凹が自然に引っかかるので踏み心地も良好だ。秀逸なのは駆動システムで、天板とポットは独自機構のクランク・シャフトとカムで直結。ギア・タイプによくある引っかかるような挙動もなく、また糸タイプのような磨耗によるポットの「回転ズレ」もまず起こりえない。実用本位で完成された真にヘヴィ・デューティーなモデルだ。なお、本機は“H”仕様なのでハイ・インピーダンス出力のギターの直後に接続しよう。別途、ロー・インピーダンス対応の“L”仕様も用意されている。

【オフィシャルHP】
【製品ニュースはこちら】
【Limetone AudioがモディファイしたLTV-30L、Hはこちら】

03 VOX / V860

VOX / V860

[Specifications]
●コントロール:Pedal ●スイッチ:なし ●端子:Input、Output、Tuner Out ●サイズ:90mm(W)×268mm(D)×62mm(H) ●電源:なし ●価格:¥14,000(税別)

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極限まで劣化を排した新設計がもたらす優れた音質

 いつ見ても、この「VOX」の抜きロゴは他を寄せ付けないインパクトがある。さらに、伝統的なワウとほぼ同じ筐体をベースにしていたかつてのモデルとは異なり、この“V860”の洗練されたシルエットは、ブランドの新時代到来を予感させるに十分な存在感を放つ。しかも、こうしたエクステンション・タイプのデバイスに対して誰もが気になる「シグナル・スルーの音」は、その響きに誰もが驚く高音質に仕上がっている。実はこの新型ボリューム・ペダル、内部は基板を一切用いないハンド・ワイアード構造で組まれており、完全なHi-Z対応のパッシブ・モデルであるにもかかわらず、たとえチューナー・アウトと同時使用したとしても、メイン信号がきちんと使えるくらいに“強い”のである。これで、せっかくのチューナー・アウト機能を「宝の持ち腐れ」にしてしまうことも減るに違いない。一方、ハード面では、今流行りのトルク調節スクリューの便利さが際立つ。中を開けることなく外からドライバー1本で踏み心地の調節ができるのは、言うまでもなく高い利便性を示す。また、細かな点ではあるが、デッキの駆動軸が旧型よりもかなり筐体中央へ寄ったことで、ペダル・アップとダウンの負荷の差が少なくなったことも評価に値するだろう。

【オフィシャルHP】

Jim Dunlop / DVP4 Volume (X) Mini Pedal

Jim Dunlop / DVP4 Volume (X) Mini Pedal

[Specifications]
●コントロール:Pedal、Minimum Level(Trim Pot) ●スイッチ:ON/OFF、Tip/Ring、Tuner/Exp ●端子:Input、Aux、Output ●サイズ:76mm(W)×153mm(D)×65mm(H) ●電源:なし ●価格:¥22,000(税別)

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様々な場面で実力を発揮してくれる高い利便性が魅力

 兄貴分である“DVP3”の基本機能をそのままに、縦横比をほぼ半分にまで切り詰めたコンパクト・エフェクター・サイズの複合型ボリューム・ペダル。“Low Friction Band-Drive”という、スライド・バーとシリンダー部の接触でベンド判定をする特許技術により、よくあるギアや紐のタイプとはまるで違う滑らかなペダルの動きを実現している。トルクも常に均一であり、どのポジションでも非常にヌルヌルと動くので、この上がりぎわが極端な250kΩポッドでもMAX近くで細かな軌道修正が可能だ。デッキの仰角は深めに作られており、たっぷりとした奥行きのある踏みしろを感じられることに加え、6角レンチ1つで任意にペダルの負荷を調節できるとあって、ハードとしての小ささの不利は使っていてほとんど気にならない。また、ヒール・ダウン時にも手前に4cmほどの高さが残る設計なので、フチのあるエフェクターボードに入れる際にも無理なく収まってくれそうだ。“AUX”端子はエクスプレッション・ペダルとしても使え、近年のデジタル・モジュール等に対しての安定した動作で定評のある“DVP3”と遜色のない機能を備える。これは1台持っていて決して損はしないボリューム・ペダルである。

【オフィシャルHP】

05 Mission Engineering / VM-1 w/LED BK

Mission Engineering / VM-1 w/LED BK

[Specifications]
●コントロール:Pedal ●スイッチ:Mute ●端子:Input、Output、Tuner Out ●サイズ:100mm(W)×252mm(D)×77mm(H) ●電源:006P(9V電池) ●価格:¥24,305(税別)

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ワウ・ペダルと共通の弾き心地がプレイヤーに安心感を与える

 同型のワウ・ペダル筐体を用いて、ケンパーやイーヴンタイド等の特定機器に対するエクスプレッション・ペダルを数多くラインナップすることで知られる同ブランドの、これまた同じ筐体を流用したパッシブ・タイプのボリューム・ペダル。近年は各社オリジナルのシャシーを用いて操作性の向上を図る傾向が強い中、こうした“Cry Baby”スタイルの浅い仰角と前後非対称のスウェルに、なんとも言えない安心感を覚える人も少なくないはずだ。トゥ側の踏み込みスイッチは「ミュート・モード」切り替え用で、そのモードに入っている間だけ“OUT 2”ジャックに信号が流れる仕組みが施されている。つまり、“OUT 2”にチューナー等を接続しておけば、「ミュート・モード」になるまでチューナーはメイン・ラインである“OUT 1”側の信号と物理的に遮断される形となり、音質を左右する不用意な信号分散による減退や、チューナーからのグラウンド・ノイズの回り込み等を完全に防止できる仕様だ。トゥ・スイッチは初期設定ではかなり奥目に設定されているので、付属のスペーサーやワッシャーを入れてスイッチの感度を自分好みに調整しよう。ちなみに9V電池はLEDインジケーター専用で、たとえ切れてしまっていても動作自体には全く影響しない。

【オフィシャルHP】

06 Tapestry Audio / Bloomery VP Active

Tapestry Audio / Bloomery VP Active

[Specifications]
●コントロール:Pedal ●スイッチ:なし ●端子:Input、Output、Tuner Out ●サイズ:57mm(W)×198mm(D)×57mm(H) ●電源:9VDC ●価格:open price

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斬新なメカニズムが導入されたオリジナリティ溢れる逸品

 横幅わずか約6cmというスリムな外観を誇るが、本体部分の素材はスティールの折り曲げ筐体を採用していて、巷のフル・サイズのボリューム・ペダルより遥かに重量があるので、床においても意外なほど安定した踏み心地を実現している。また、天板の動きと平行になるスライド式のポットを採用するという大胆なアイデアにより、踏み込んだ距離に応じたボリューム・カーヴのイメージをかなりリニアに感じ取ることができる仕様が施されているのは有り難い。また、デッキ自体の傾斜領域が平均よりはるかに広い25度以上を確保していることに加え、ポットそれ自体を前後にずらして初期位置を自由に決められるので、広い踏みしろのどの場所でどの音量にしたいか、目で見ながら細かく設定することが可能だ。
 信号は、入力/出力段それぞれに搭載された“TC720”オペアンプによって二重にバッファードされている。ペダルを可変させても出力インピーダンスを均一に保てるのはアクティブ仕様ならでは。通すだけでサウンドがかなりマットな質感を帯びてくるので、セオリー通りギターの直後に置くだけでなく、歪みの後ろ(空間系の前)に置いても良好な結果が得られた。なお電池は使えず、外部9VDC電源でのみ駆動可能だ。

【オフィシャルHP】

07 VOCU / Baby Volume Pedal

VOCU / Baby Volume Pedal

[Specifications]
●コントロール:Pedal、Min、Max ●スイッチ:Mute 、Toggle/Momentary ●端子:Input、Output ●サイズ:95mm(W)×45mm(D)×52mm(H) ●電源:9VDC ●価格:¥22,000(税別)

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世界最小クラスの筐体デザインにして驚きの多機能を搭載

 世界最小クラスの筐体に収められたアクティブ・タイプのボリューム・ペダル。しかし、そこは小型且つ高性能なパワー・サプライやセレクターでおなじみの職人工房が手がける製品だけあり、ただ小さいだけではなく、おおよそボリューム・ペダルとして思いつく機能をこれでもかと詰め込んだ、高い自由度を備えつつ確かな実用性も併せ持つユニットに仕上げられている。今や業界標準の機能になりつつあるミニマム・ボリューム(“MIN”)はもちろん、つま先を下ろし切った地点の音量を100%を超えて(デフォルトでは最大約+6dB〜+12dBブースト。“MIN”コントローラーの値による)設定できるマックス・ボリューム(“MAX”)も、本機には当たり前のように備わっている。オーナーが望めば、基板上のトリムを動かしてさらなるブースト領域を開拓できる上、踵側に備わったミュート・スイッチもモーメンタリー・タイプに切り替えることが可能という、至れり尽くせりの多機能ぶりだ。駆動システムも非接触系の光センサーを用いたことでペダルに余計な負荷がかからない上、他の機構ではあり得ないくらい滑らかで連続したカープを得ることができる。まさに、「トラベル・サイズ・ボリューム・ペダル」の最高峰にして決定版と言って良いだろう。

【オフィシャルHP】

08 Hilton Electronics / Pro Guitar Pedal

Hilton Electronics / Pro Guitar Pedal

[Specifications]
●コントロール:Pedal、Off Point ●スイッチ:なし ●端子:Input、Output、Tuner Out ●サイズ:94mm(W)×269mm(D)×59mm(H) ●電源:9VDC ●価格:open price

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世界中のプロ・ミュージシャンを魅了する至高のモデル

 何年も前から米国のスタジオ・ミュージシャン等を中心に高い評価を受ける高級機種だけに、やはり一目見ただけでも纏っているオーラが違う。ペダル・ベンドによる仰角をなるべく広く取りたいという都合上、シャシーの高さを抑えにくいボリューム・ペダルという機材において、フル・サイズ筐体でありながら一般的なものよりも最大で2cm近くも座高を下げることに成功しているこのデザインが凄い。ペダルはトゥ・ダウンした状態でもわずかに手前に傾斜しているが、その斜角に生じるわずか数ミリの低さが、演奏時の疲労係数を大きく軽減するのは間違いないだろう。そしてアクティヴならではのロー・ノイズも大きな武器。信号ラインを稼動部と完全に切り離す「赤外線制御システム」により、ギアやカムの動く擦過音がシグナルに乗ることはなく、ポットを搭載していないので機構に由来するガリも永遠に発生しない。サイドに備えた“オフ・ポイント・コントローラー”(ミニマム・ボリューム)も操作しやすく、現場でエフェクトやアンビエンスの効果に合わせることのできるフットワークの良さも、隙のない仕様と言えるだろう。パッシブ至上主義者たちが、この高級ボリューム・ペダルにこぞって乗り換えた気持ちがよくわかる。

【オフィシャルHP】

09 Lehle / Mono Volume 90

Lehle / Mono Volume 90

[Specifications]
●コントロール:Pedal、Gain Control、Min Control ●スイッチ:なし ●端子:Input、Dir Output、Vol Output、 ●サイズ:100mm(W)×260mm(D)×66mm(H) ●電源:9-15VDC(or 7-12VAC) ●価格:¥33,200(税別)

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足の動きに極めて忠実な可変が得られる革命的な弾き心地

 楽器用単体ボリューム・ペダルの機構としては異例とも言える、磁気センサーによるVCA制御を実用化。要するに、ペダルに連動した磁石が動くことによって、電気を帯びた物体内に生じる電位差──「ホール効果」により発生した磁界をセンサーが感知し、シンセサイザーなどで使われるVCA(電圧制御増幅器)と呼ばれる音量をコントロールするモジュールを動かしているわけだ。実際の動作はというと、信じられないくらいのダイレクト感を備える。ギアや紐といった機構に由来する「バラつき」や「遅れ」、そして光学式にありがちな末端部分でのブツッとした「途切れ」も皆無。蛇口をひねるような確かさで、音量を思った通りに最後までコントロールできる。これで磨耗や劣化もほぼないというのだから凄い技術だ。そしてリールと言えば、やはりその高品位なバッファの音質についても触れておかねばなるまい。フラットすぎて無機質になることもなければ、ハイファイすぎて耳に痛くなるわけでも決してない。非常に滑らかなのにレスポンスが良く、楽器としての旨味のある帯域を常に自然な形で持ち上げてくれる。今回試した中では、唯一、巨大システムの最後段に置いても性能を100%出し切れるモデルだと感じた。

【オフィシャルHP】

10 Sonuus / Voluum

Sonuus / Voluum

[Specifications]
●コントロール:Pedal、Effect ●スイッチ:ON/OFF、▲、▼、Save、Active、Hi/Lo、Pedal/Envelope/Midi ●端子:Input、Output、Midi In、Midi Out、USB ●サイズ:171mm(W)×192mm(D)×73mm(H) ●電源:単3電池×4/9VDC ●価格:open price

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“エフェクター”と呼ぶことのできる唯一のボリューム・ペダル

 基本性能として収録されている、ボリューム、ゲート、コンプ、リミッター、LFOトレモロを単独もしくは複数同時に使用するのが本来の使い道なのだろうが、シンプルなペダル操作による“VOLUME”機能だけでも恐ろしく多機能を誇る。音量設定、ペダル・ブースト、ユーザー・プリセットを利用してペダルの動きを記憶させて、それを再生したり、速度を変えたり……と、それだけでも高い利便性を備える濃厚なダイナミクス系総合ユニットではあるが、実はギタリストらしく地味に使ってみるほど、このマシンの凄みがわかってくる。特にテーパーを自在に選択・変化させ、アナログ式モデルではあり得ないような直線的な動作以外のカーブも試していくと、いかに今までのアナログ・ボリューム・ペダルが狭い領域の動作しかしていなかったかが良くわかるはずだ。しかも、内部の音声信号がデジタル制御のコントロール系とは完全に分断されているため、アナログ的な減衰ともほぼ無縁。通常、連続可変すると失われてしまう僅かな帯域すら逃さず発音されるのだ。しかもMIDIも搭載するので、それらを全て自分の「音」の一部として呼び出せるのも便利過ぎる。これぞ真にボリュームを“エフェクト”できるデバイスだ。

【オフィシャルHP】

THE EFFECTOR book編集者が語る「ボリューム・ペダル特集」後記

 ネコがマタタビの香りに抗えないように、ギタリストはペダル式エフェクターがあると踏まずにはいられない性質を宿しています。ネコにマタタビ、ギタリストにペダル式エフェクター。ギタリストは、ワウだろうがワーミーだろうが、ペダルがあると踏まずにはいられない生き物なのです。これはもう本能と言っていいでしょう。今回のボリューム・ペダル特集に連動して動画を制作してくれたJake Cloudchair氏曰く「足を使うと一層エモくなる」。これはまさに言い得て妙。ペダルを踏み込むにつれて、鈴鳴りから轟音へと滑らかに変化していく際の感情が昂るあの感じ。尾てい骨から延髄にかけて弱電流が走るかのような恍惚は、思わず吐息が漏れ出してしまう類いのもの。フレージングにいっそうの感情が混じり込んでいくのは間違いありません。

 しかしマタタビがその主成分たる「マタタビラクトン」「アクチニジン」「β-フェニルエチルアルコール」、この3つの配合バランスによって効能が異なるのと同様に、ボリューム・ペダルも構成パーツによって変化特性が違ってきます。ボリューム・ペダルにおける「マタタビラクトン」とも言えるポットにしても、PECの“RV4”やアレン・ブラッドレイの“Type-J”はスケール感のある響きが心地好く、アルプスの“RK27”が備える滑らかなカーヴにはゾクゾクするような艶やかさを感じずにはいられません。他にも例えば東京コスモスの“RV24”が備える野太い音色にも捨て難いものがあるでしょう。ポットを使用しない「光学式」や「VCA方式」のモデルも存在していて、そのペダル操作と音色変化がピタッと一致する感触に痺れるプレイヤーがいるのも事実です。そこに配線材、ジャック、ペダル可変角度、ペダルのトルク……といった様々な要素が絡まることで、各ボリューム・ペダルが備える個性は大きく変化。正解と断言できる組み合わせはなく、得られるエモ味の度合いは使う人との相性に完全依存します。

 プレイに官能を纏わせることができる名手ほどボリューム・ペダルにこだわっている印象があります。きっと彼らは自らをよりエモーショナルな領域へ導いてくれるモデルを欲して、日々楽器店を彷徨っているのでしょう。それはいつまで経っても出音にさらなる快感を求めて止まないギタリストの性とも言えます。ボリューム・ペダル未経験のみなさんも、この秋、ギタリストとしての本能を刺激するためにもボリューム・ペダルを踏み踏みしてみてはいかがでしょうか? エモ言われぬ悦楽をお約束しますよ。ちなみにネコミミを装着して試すと効果絶大かもしれません。(下総淳哉/THE EFFECTOR book)

[The EFFECTOR BOOK Vol.37] Volume Pedal experiment by Jake Cloudchair

THE EFFECTOR book VOL.37 ADJUSTMENT AUTUMN 2017 ISSUEで詳細をチェック!

THE EFFECTOR book VOL37 本記事はシンコーミュージック刊『THE EFFECTOR book VOL.37 ADJUSTMENT AUTUMN 2017 ISSUE』での特集企画「“現行ボリューム・ペダル”試奏分析〜Current Volume Pedal Analysis」の中でより詳しく紹介している。ここで紹介した各機種の内部写真、ペタルのオープン/クローズ写真とともに、より詳細に解説している。加えて、ボリューム・ペダルの起源から遡るヒストリー、その構造や動作、音量と音色の関係を深く掘り下げた考察、実践的なボリューム・ペダルの使用方法など、ボリューム・ペダルを多角的に再考するには最適な1冊となっている。第2特集では40周年を迎えたBOSSをフィーチャー。我らがデジマート地下実験室室長(井戸沼尚也)によるエクスプレッション・ペダルの可能性を探った検証、トーン・マニア絶賛の「DEEPER’S VIEW」を連載する村田善行氏 × 魚頭圭氏による「Amp Summit 2017」イベント・レポートなど、その他の見どころも満載だ。本記事とあわせてぜひご一読いただきたい。

項数:112P
定価:1,620円(税込)
問い合わせ:シンコーミュージック


『THE EFFECTOR book VOL.37』のページ・サンプル


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