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ピックに満足…してる? MASTER 8 JAPAN他10枚付録『自分にぴったりのピックが見つかる本』で手元を見直そう!

ピック

たかがピック、されどピック。形や厚さ、素材など、その組み合わせはまさに無限。弾きやすさはもちろん音色にも大きな影響を与える手元の魔法の道具を、さほど試すことなく“ずっと使ってるヤツ”に満足している向きは意外と多いのでは? そんな皆さんに我々は提案したい。そのピックに、本当に満足していますか?と。えーえー、余計なお世話かもしれませんよ。しかしですね、今ピックは、こんなにも進化しているんです! そこで、10枚ものお試しピックが付いた本『自分にぴったりのピックが見つかる本』に連動して、ここでは次世代のスタンダードと目されるMASTER 8 JAPAN製品を中心にご紹介します。試したくなったら、ぜひ本も手にとってくださいまし。あ、この本、無類のピック・マニアとして知られるデジマート地下実験室の井戸沼室長が(多くのページを)執筆していますこと、一応お伝えしておきます。

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形、厚さ、素材が違う、お試し10枚付き!
自分にぴったりのピックが見つかる本』超絶発売中!

 おそらく最も安価にして絶大なサウンド&プレイアビリティの変化・効果を望める道具、ピック。100円を切る安価なものから1万円近くの値が付く手工品まで、今は本当にさまざまなピックが流通しています。本書は、形、厚さ、素材が異なる10種類のピックを付録(おまけ)し、実際に弾き比べながら自分にあったものを探すという斬新なピック・バイヤーズ・ガイド本。ピック10枚を買うと思って、ぜひお手にとってみてください。デジマート地下実験室井戸沼室長によるピック投げ実験から、素材分析まで、一生楽しめる情報量でピックにまつわるお悩みを解消します。

【CONTENTS】
■INTRODUCTION 〜付録ピックについて
■CHAPTER1 〜ギター上達の近道!?自分に合ったピックを見つけるべし
■CHAPTER2 〜定番から変わり種まで、最新ピック・カタログ102
■CHAPTER3 〜注目ブランドに製造秘話を聞く!ピック・メーカーの美学
■CHAPTER4 〜弘法は筆を選ぶ!?プロ・ギタリストのピック事情

1,600円+税
A5判 / 128ページ / ギター・ピック10枚セット付き

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次世代のスタンダードを提案する新進気鋭の国産ブランド
MASTER 8 JAPAN

 ピックにこだわる人ならきっと、MASTER 8 JAPANの評判を耳にしたことがあるだろう。噂のブランドの設立に携わった奥野浩一、吉田拓也の両氏に話を聞くとともに、使用アーティストに同ブランドの魅力を語ってもらった。

さまざまな思いを込めた新ブランドの発足

 MASTER 8 JAPANは、国内最大のギター・ピック専業メーカーである「IKEDA PICKS」の奥野浩一氏と、数々のアーティストのギタービルド/カスタム/メインテナンスを行なうカスタム・ギター・ブランド「L’s TRUST」の吉田拓也氏が立ち上げたピックのブランドだ。奥野氏はピック製作においてはまさに「マスター」と呼べる存在で、一方の吉田氏は楽器テック兼ツアー・マネージャーの立場から長年アーティストたちが抱える問題や悩みに向き合ってきた経緯があり、プロの現場が求めるものを熟知していた。二人が出会ったのも、あるライブ会場でアーティスト自身を介してものだったという。

 「その時に、奥野さんがピックの見本帳を持っていたんですが、自分が担当したアーティストのピックがあり、自分自身が中学生の頃に買ったピックがあり……もう、初対面なのに思わず『お世話になっております』と挨拶しました」(吉田氏)

 それもそのはず、「IKEDA PICKS」はもうすぐ50年になる長い歴史があり、ギタリストであれば誰でも一度はお世話になっているといっても過言ではない。だが、どちらかといえば黒子に徹してOEM生産を受けてきたメーカーなので、一般的には知られていないだけだ。その技術やノウハウの蓄積には圧倒的なものがある。それを存分に生かしたオリジナル・ブランドを作りましょう──吉田氏は、熱い思いと企画書を持って「IKEDA PICKS」本社がある岐阜県郡上市八幡町を訪れ、奥野氏を口説き落としたという。

 MASTER 8 JAPANの名には、さまざまな思いが込められている。ピック製作に熟達した者を表わす “MASTER”。“8”には、我々が生きる上でなくてはならない酸素(元素番号8)のような存在になりたいという思いや、末広がり、郡上八幡の八などを込めている。そしてJAPANには、日本発のブランドであることの誇りを込めた。ロゴマークは、“8”を中心にして、花びらが8方向に広がっている。これは「IKEDA PICKS」の創業者:池田正夫氏が、創業以前に造花製作を行なっており、そこからピック製作に発展していった経緯を踏まえてのもの。先代の思いを受け継ぎ、新たな製品を開発していくという決意の表われでもある。

プロの現場の高評価が口コミで拡散

 MASTER 8 JAPANとして最初に作ったモデルが、INFINIXシリーズ。その名の通りINFINIXという新素材で作られており、アクリル系のような独特の透明感のある美しいピックだ。

▲ギター・ピックに初めて採用されたINFINIXという材料で成形される同シリーズ。柔軟性、形状記憶性、対磨耗性に優れており、弦への吸い付きが非常に良いのが特徴だ。シェイプはトライアングル/ティアドロップ/ジャズの3種類で、厚さも各シェイプ3種類(トライアングルとティアドロップは0.6mm/0.8mm/1.0mm、ジャズは0.88mm、1.0mm、1.2mm)を用意。さらに、それぞれハード・グリップの有無もラインナップ

[MASTER 8 JAPAN INFINIXシリーズをデジマートで探す]

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 「このINFINIX素材というのは、今までにピックとして使われたことはないものです。柔軟性、形状記憶性、耐摩耗性に優れているんですね。それをペレットという粒状で仕入れて、成形してピックを作ってみたところ、私も相当いろいろな素材を触ってきたつもりですが、今までにない新しい感覚だと思ったんです。そこで早速吉田さんにサンプルを渡して、さまざまなアーティストのご意見をいただくことにしました」(奥野氏)

 ライブ、レコーディングなど数多くのプロの現場で使われたINFINIXは「弦への吸い付きが良い」、「ピックノイズが少ない」、「長時間の演奏でも削れにくく、ニュアンスが変わらないのが良い」、「指への密着性も優れている」といった高い評価を受け、それが口コミで広がり、市販のスタートに弾みをつけた。同時にアーティストとのリレーションを強化し、その要望を反映して改良を重ね、さらに製品をブラッシュアップ。特にシグネチャー・モデルについてはアーティスト毎の要望に沿って一個一個まったく仕様が違うものとなっている。そこで得たノウハウは、通常のINFINIXシリーズ、D-801シリーズ(こちらは、素材にジュラコンを採用。あえてエッジを残し、アタックを出しやすくしたモデル)に反映し、グリップ感などを高めたモデルも発売されている。アーティストとMASTER 8 JAPAN、そして一般ユーザーとの間で、好循環が生じている状態だ。

▲ピックの材料としては定番のジュラコンを使用したD-801シリーズ。研磨行程に特徴があり、エッジを限りなく残すことで、巻き弦に対するアタックを出しやすくしている。シェイプはINFINIXとも若干異なっており、厚みはトライアングルとティアドロップがそれぞれ0.6mm/0.8mm/1.0mm、ジャズは0.8mm/1.0mm/1.2mmとなっている。ハード・グリップの有無を含めると、こちらのシリーズだけで計18パターンを用意

[MASTER 8 JAPAN D-801シリーズをデジマートで探す]

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 若手がこれから生涯使えるピックを!  MASTER 8 JAPANのピックは、「ピックにこだわるベテランはもちろん、若いプレイヤーにぜひ使って欲しい」という思いがあり、次世代のこだわりピックとしては価格が抑えられている(INFINIXのレギュラーシリーズや、アーティストのシグネチャー・モデルで販売価格150円)。高価なハイエンド・ピックも珍しくない昨今、素材からこだわり、打ち抜きではなく成形で作り(INFINIX)、グリップにも一手間かけている(例えば某アーティスト・モデルはバンドロゴを印刷した上にグリップを付けている)と考えると、むしろ安いかもしれない。制作側としては「適正なものを、適正な価格で提供する。ほかの一般的なピックよりは少し高いが、価格以上のものは必ず提供できるから試してみて欲しい」という。「今、二十歳のギタリストが、これから30〜40年末長く愛用できるピックを作りたい」という、MASTER 8 JAPAN。これからも目が離せない、要注目のピック・ブランドだ。

▲INFINIX/D-801ともに用意されているハード・グリップ(すべり止め加工)も同社の企業努力の賜だ。トライアングル型は花をモチーフとしたブランド・ロゴ、ティアドロップ型は数字の8を意識した模様、ジャズ型は8角形の図と、シェイプによってサンド部分のデザインが異なる。これはしなりの範囲や汗の溜まりづらい分量などを考慮してのこと。表側には、デザインを邪魔しないために透明のサンドで加工するというこだわりようだ。さらに新しくINFINIX HARD POLISHシリーズが登場。INFINIXを新たな次元に進化させるべく、ラウンドしたエッジ面を実現し、耐摩耗・ピックノイズの少なさはそのままに、マイルドかつ骨太なサウンドメイクを狙った加工となっている。驚異のグリップ力を持つRubber Gripにも注目(写真右下)

[MASTER 8 JAPAN INFINIX Hard Polishモデルをデジマートで探す]

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▲MASTER 8 JAPANのアーティスト・シグネチャー・シリーズは、いずれもプロ・ミュージシャンの要望が完璧に反映されており、そこらの市販モデルとは異なるこだわりが詰め込まれている。その第1弾はCrossfaithのHiro(b)で、納得のいくピックが完成するまでに1年を要したという。現在は、計11枚のギタリスト/ベーシストのシグネチャー・モデルがラインナップ(Hiroのピックは後述)

[MASTER 8 JAPAN ARTIST SIGNATUREシリーズをデジマートで探す]

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プロが語るMASTER 8 JAPANの魅力
Hiro(Crossfaith)

【Profile】 高校生の時にベースを手にし、ザ・ユーズドのジェフ・ハワードなどに影響を受ける。Crossfaithは地元大阪で結成され、ロックとエレクトロを融合させた音を武器にワールドワイドで活動を行なう。2015年、メジャーデビューアルバム「XENO」をリリース。これまでに世界で約40カ国をツアーで回り、各国のフェスでもメインステージでのアクトを務める。

 世界規模で活躍するCrossfaithのベーシスト、Hiro。MASTER 8 JAPANとシグネチャー・モデルの契約をした最初のアーティストである彼に、どのような経緯を経て現状のピックにたどり着いたのかを語ってもらった。

ピックはサウンドメイクのポイント! いろいろ試す価値があるものだと思う

──以前はどんなピックを使用していたのですか?

 最初はダンロップのおにぎり型の0.8mmですね。それをCrossfaithに入った頃まで使っていたんですが、BPMが速い曲が増えるにつれて、それではキツくなってきて……。楽器屋さんに行って、ピックを片っ端から試したんですよ。そしたらティアドロップのほうが速いストロークには向いているなと感じたんですね。厚みについては、ドロップBチューニングでしっかりと音程を出すために1mmに変更しました。ただ、それもその後ベースを改善することで(弦を裏通しにするなど)テンションを稼げるようになったので、ピックはまた薄くなっていき、現在は0.8mmと0.6mmを使い分けています。

──ベーシストで0.6mmのティアドロップとは珍しくないですか?

 そうですね、僕の周りだと0.8mmか1mmのトライアングルが多いです。でも、MASTER 8さんに作ってもらっている僕のモデルだと、弦の太さやBPMの速さに負けることはないですね。

──自身のシグネチャー・モデルのスペックについて教えて下さい。

 僕のモデルは、素材はポリアセタール(ジュラコン)です。研磨時間を短くして、エッジを残してあるのが特徴で、それで0.8mmや0.6mmでもスピード感があるフレーズが弾けますし、独特のギャリッとしたアタックが出せます。あとは、グリップにもこだわりました。僕は結構がっちり指に止まるのが好きなので、よくあるサンドグリップからさらに進化した、新しいハード・グリップを作ってもらいました。

──そもそもMASTER 8 JAPANとの付き合いはどのように始まったんですか?

 MASTER 8 JAPANを立ち上げた吉田さんが、ずっと僕らの楽器テックをしてくれていたんですよ。それでいろいろ悩んでいるときに、「こんなピック、作れるよ」という提案をしてくれて、僕のほうからもこういうものが欲しいというお願いをして、一緒に開発していった感じです。バンドの音響チームも含めて、ピックのサウンドを検証しながら作っていけたのが良かったですね。

──ちなみに、0.8mmと0.6mmの使い分けはどのように?

 会場によっても違うんですが、ステージ上では0.6mmのほうが気持ちが良くても、会場で聴くと0.8mmのほうが音程感が良いという場合もあるので、そこもPAさんと相談しながらですね。それから、海外では灼熱の野外でライブということもよくあるので、そうなるとあまりの気温の高さにピックが柔らかくなってしまうこともあるので、その分、硬いのを多く持って行ったりします。あとは、レコーディングでは曲によって0.8mmのほうが合う場合もあるので、細かく使い分けていますね。

──ピック選びのコツを教えてください。

 僕はけっこうな数を買いましたね。例えば、高校生だった頃の自分にとっては、ピック1枚が100円だとしても決して安い買い物じゃなかったんです。大変だと思うんですけど、弦の張り替えをちょっと我慢してピックを買ってみるのもいいと思うんです。弦やシールドを変えると音は変わりますけど、ピックはそれに比べると値段が安いわりに、大きく音が変わるサウンドメイクのポイントですから。試す価値はありますよ。

【Hiro Signature Pick】
強いアタックと速いレスポンスを意識し、研磨時間を短くしてエッジを残したというシグネチャー・モデル。通常、ピック作りは「削ってナンボ」であるが、逆転の発想で作られ、そのアイディアはレギュラーのD-801シリーズに受け継がれている。また、開発中にHiroの発案で格子状のサンド・グリップが生まれ、そちらはTOTALFATのJoseのシグネチャー・モデルで採用された。

[Crossfaith Hiroシグネチャー・モデルをデジマートで探す]

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編集担当からのお知らせ
PICK THE BEST 2.5mm

 『自分にぴったりのピックが見つかる本』の目玉として多種多様な計10枚のピックを付録していますが、MASTER 8 JAPANとともに推したいのが、2.5mm厚のピックです。定番のFenderピックJim Dunlop Tortexに慣れ親しんだ人も多いかと思いますが、近年の流行りでもあるV-PICKSChicken Picksのような厚めのピックの弾き心地も捨てがたく、ぜひ皆さんにもあの感触を体感してほしいと思った次第です。

 ピック製作会社である池田工業さんに協力してもらい、完全オリジナルの1枚を製作しました(製作過程のすったもんだはぜひ本書でチェックを!)。ピックに並々ならぬこだわりを持つ大村孝佳さんにもこの2.5mmピックを試奏してもらいましたが、“これは解像度が高い。付録のピックの中では最もソロに向いていると思います。音の密度が細かい。(一般的なピックと比べ)アナログとデジタルくらい違いますね。コードの音も悪くないです”というありがたいお言葉をいただきました。ギタマガ編集部内の評判も良く、特に速弾き系プレイヤーとの相性は抜群のようです。

 なお、こちらのピックはデジマートセレクトショップでも購入可能となりました! 気になった方はまず本を買っていただき、今後も使ってもいいなと思ったらぜひお買い上げを。もちろん、ピックのみの購入も大歓迎! 今までのピックとは異なる新しい弾き心地を体感できるはずです。

(ギター・マガジン書籍編集部/坂口)

PICK THE BEST 2.5mm

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【CONTENTS】
■INTRODUCTION 〜付録ピックについて
■CHAPTER1 〜ギター上達の近道!?自分に合ったピックを見つけるべし
■CHAPTER2 〜定番から変わり種まで、最新ピック・カタログ102
■CHAPTER3 〜注目ブランドに製造秘話を聞く!ピック・メーカーの美学
■CHAPTER4 〜弘法は筆を選ぶ!?プロ・ギタリストのピック事情

【付録ピック】
1. おにぎり型 セルロース 0.5mm
2. おにぎり型 ポリアセタール 0.6mm
3. おにぎり型 INFINIX 0.8mm or 1.0mm(MASTER 8 JAPAN)
4. ティアドロップ型 ジュラコン 0.6mm(MASTER 8 JAPAN)
5. ティアドロップ型 硬質塩ビ 0.8mm
6. ティアドロップ型 ウルテム 0.8mm
7. ジャズ型 PPS 1.2mm
8. ジャズ型 メタカーボネート 1.0mm
9. シャークフィン型 ナイロン 1.0mm
10. ティアドロップ型 デルリンⓇ 2.5mm

1,600円+税
A5判 / 128ページ / ギター・ピック10枚セット付き

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