Bose S1 Pro+ wireless PA system × 松井祐貴&井草聖二
- 2024/04/25
エレクトリック・ギター
デジマート・マガジン読者にはたまらない1冊のムックが刊行された。そのタイトルは『ギブソン・レス・ポール・カスタム・プレイヤーズ・ブック まるごとカスタム!』そう、ギブソン・レス・ポールの最高峰モデルであり、世界中で多くのギタリストが愛用しているレス・ポール・カスタムにスポットを当てたスペシャル・ムックだ。ここでは本誌と連動して、キング・オブ・エレクトリック・ギターの最高峰モデルである「カスタム」を、初年度の1954年からP.A.F.を搭載した1957年、1968年以降の再生産モデルなど、貫禄たっぷりのピンテージを中心に紹介したいと思う。比較的語られることの少なかった70年〜80年代モデル、そして現行モデルもしっかりフォローしているので、最後まで読み進めてもらえれば、きっとあなたに最適なカスタムが見つかるはず!
ギブソン・レス・ポールの最高峰モデルであり、世界中で多くのギタリストが愛用しているレス・ポール・カスタムにスポットを当てたスペシャル・ムックが登場です。カスタムだけに絞った本はおそらく史上初でしょう。
1954年の登場にはじまり、1957年からの3ハムバッカー仕様、1968年以降の再生産モデルなど、貫禄のビンテージ・モデルをグラフで一挙公開。さらに鮎川誠、菊地英昭(ザ・イエロー・モンキー)、浅井健一、フジイケンジ(The Birthday)、大渡亮(Do As Infinity)、NAKA(The BONEZ)といったプロ・ギタリスト愛用のカスタムをインタビューとともに紹介しています。
また、小倉博和によるビンテージの同年代カスタム&スタンダードの弾き比べ、飯室博による現行レス・ポール・カスタム試奏など、多角的な内容でギブゾン・レス・ポール・カスタムの魅力に迫った永久保存版の1冊です。
ここでは同書年代別グラフ(これだけでも買う価値あり!)と連動して、レス・ポール・カスタムを初年度から現行モデルまで、つぶさにご紹介していきたいと思います。
レス・ポール・モデルが登場した2年後、1954年7月に行なわれたNAMMショウでデビューしたのが、ギブソンのソリッド・ボディとしては最上級モデルとなるオール・エボニー・ブラック・フィニッシュのレス・ポール・カスタムだ。まずはレス・ポール・カスタムの誕生から1961年にSGシェイプへと変更されるまでの同モデルを見ていこう。
レス・ポール・カスタムは1954年7月に行なわれたNAMMショウでデビューを果たすが、本書では、1953 〜1954年初頭までに制作されたと思われる貴重なプロトタイプを掲載している。レス・ポール氏からの“タキシードのようなブラックのギター”というリクエストを受けて開発されたブラック・ビューティーの歴史はこのギターの仕様から始まった。
[1954年製Les Paul Customをデジマートで探す]
1955年のカスタムも引き続き、ピックアップはアルニコVマグネットが使われたP-480と、P-90の組み合わせだ。ちなみに、P-480のカバーには2つの丸い窪みが入るようになっていた。
[1955年製Les Paul Customをデジマートで探す]
1956年に入っても見た目の仕様に大きな変更はない。1950年代のレス・ポール・カスタムは、1ピース・マホガニー・ボディ、1Pマホガニー・ネック、ロングテノンという仕様は変わらない。
[1956年製Les Paul Customをデジマートで探す]
セス・ラヴァーによって出願されたハムバッキング・ピックアップ(P-490)が、57年からギブソンのギターにマウントされた。レス・ポール・カスタムもハムバッカーへと変更されたが、57年初頭にはまだシングルコイルのモデルが出荷されていた。
[1957年製Les Paul Customをデジマートで探す]
1958年からスタンダードは、ゴールドのフィニッシュからメイプル・トップの美しさを強調したサンバーストへと変更された。しかし、レス・ポール・カスタムはスタンダードほどの大きな変更点はない。
[1958年製Les Paul Customをデジマートで探す]
カスタムに限って言えば、スタンダードのように1959年のみが飛び抜けて評価が高いわけではない。ただし3つのP.A.F.がマウントされた1957年〜61年までのカスタムは、ビンテージ的な市場価値が高い。
[1959年製Les Paul Customをデジマートで探す]
写真のギターは1961年製のレス・ポール・カスタム。スタンダードは、1961年からSGシェイプへと切り替わるが、カスタムはオリジナル・シェイプのまま、1961年途中まで出荷されていた。
[1960〜61年製Les Paul Customをデジマートで探す]
ギブソン社は1961年からレス・ポール・モデルを軽量なオール・マホガニー製のSGシェイプへと切り替えたが、1960年代後半になるとロックが世界的な流行となり、市場から再びレス・ポールを望む声が高まった。そこでギブソン社は1968年の途中からレス・ポール・モデルの再生産を開始した。ここでは再生産モデルとして特に人気の高い68年、69年から74年までの各モデルを見ていこう。
[1968〜1974年製Les Paul Customをデジマートで探す]
市場からレス・ポール・モデルの復活を望む声が高まり、1968年にスタンダードとカスタムが登場した。現代のトゥルー・ヒストリックのような緻密なリイシューではなく、カスタムは、それまでの1ピース・マホガニー・ボディを廃し、2ピースのメイプルをトップに使った、スタンダードに近い仕様で復活した。
[1968年製Les Paul Customをデジマートで探す]
1969年には他のモデル同様の変更が加えられ、ヘッドの大型化、ギブソン・ロゴの変更、強度を上げるためネック・ボリュートの追加、3ピースのマホガニー・ネック、薄いメイプルを挟んだ3ピースのマホガニー・バック、ロングテノンの廃止という仕様へ変更されていく。
[1969年製Les Paul Customをデジマートで探す]
1970年も引き続き、3ピース・マホガニー・ネック、メイプル・トップ、マホガニーの間に薄いメイプル材を挟んだ3ピースのパンケーキ・ボディという仕様が継続された。1970年代に入ると、ボディのトップ・カーブが浅くなる。
[1970年製Les Paul Customをデジマートで探す]
1970年代に入ると本体重量の重たいカスタムが増えるが、当時求められていた音質にも考慮したと考えられる。また、1971年から写真のチェリー・サンバースト、チェリー・フィニッシュがカスタムに追加された。
[1971年製Les Paul Customをデジマートで探す]
基本的な仕様は1971年とほぼ変わらないが、引き続きピックアップは、Tボビンのステッカー・ナンバード。コンデンサーは、ブラック・ビューティーが付いていた。
[1972年製Les Paul Customをデジマートで探す]
1972年から1ピース・マホガニー・ネック&ボディで登場したのが、写真のレス・ポール・カスタム54だ。こちらはP-480も復活させており、スタンダード58よりも再現力が高いように感じられる。
[1972〜73年製Les Paul Customをデジマートで探す]
1974年頃からペグは、キーストン・ボタンのグローヴァー102Gへと変わった。ピックアップは、引き続きステッカー・ナンバード。
[1974年製Les Paul Customをデジマートで探す]
1970年代に入ると、ギターは歪ませたディストーション・サウンドが主流となり、よりソリッドでヘヴィな音が求められるようになった。ギブソン社はレス・ポール・デラックスなどラインナップを拡充すると同時に、生産効率や材料の見直しなども含めた仕様変更を行なっていく。特に1974年以降のカスタムはよりソリッドなサウンドとなり、HR/HMのギタリストから支持された。
[1975〜1989年製Les Paul Customをデジマートで探す]
1974年からギブソンは、ナッシュビル工場へと移転を開始する。それに伴って、各工程の見直しなども行なわれ、1975年途中からはネックはマホガニーから、メイプルの3ピースへと変更された。
[1975年製Les Paul Customをデジマートで探す]
1976年にはメイプルの3ピース・ネックへと切り替わった。さらにナッシュビル・チューン・オー・マティックとなり、音質的にマホガニー・ネックの時代とは異なってくる。
[1976年製Les Paul Customをデジマートで探す]
ごく少数のみ製作されたと思われる1980年製のオール・ゴールドのレス・ポール・カスタム。カスタムは、ブラックのみならず1970年代以降は様々なカラーが登場する。この頃から、ギブソンのロゴに“i”ドットが復活するようになった。
[1980〜1984年製Les Paul Customをデジマートで探す]
1981年頃まで見ることができるナチュラル(ブロンド)フィニッシュのレス・ポール・カスタム。この頃からネック裏のボリュートもなくなっていくが、まだこのギターにはボリュートが見られた。ネックは、3ピースのメイプル・ネックだが、マホガニーの1ピース・バックとなる。
[1980〜1984年製Les Paul Customをデジマートで探す]
1982年製のレアなオール・シルバーのレス・ポール・カスタム。さらに当時はオプションであった、クロム・メッキのシルバー・パーツが使われている。オール・シルバーのカスタムは、アメリカの有名ギター・ショップ、ギター・センターのオーダーでも製作されたことがある。
[1980〜1984年製Les Paul Customをデジマートで探す]
やや黄ばんでしまっているが、アルパイン・ホワイトの1983年製レス・ポール・カスタム。ネックは1981〜82年頃を境にメイプルからマホガニーに変更され、ネック裏のボリュートはない。木部のスペックだけを見れば1968年製のカスタムに近い。
[1980〜1984年製Les Paul Customをデジマートで探す]
トップに美しい2ピースのフレイム・メイプルが使われた珍しいカスタム・プラス。バックの塗装はスタンダード同様のチェリー・レッド。1989年〜90年頃から発売が開始されたようだ。ピックアップは短期間のみ存在する基盤タイプのものが付いていた。
[1985〜1989年製Les Paul Customをデジマートで探す]
ビンテージのレス・ポール・カスタムに続き、現行モデルも確認していきたい。ここではギブソン・カスタム製のハイエンド・モデルを7本ピックアップしている。いずれも“カスタム”の名に恥じない名器が揃っている。
1980年の飛行機事故で行方不明になりながら、奇跡的に本人の元に戻ってきたギターを採寸し、製作された究極のレプリカ。ピーター・フランプトンがメインで使っていたレス・ポール・カスタムで、ベースは1954年製だ。それを3ハムバッカー仕様に改造し、センター・ピックアップ・ボリュームを設けることで、3つのピックアップを有効活用する配線となっている。36本が作られたがその内1本を本人が使い、残り35本が販売された。トム・マーフィーがリアルなエイジドを施し、ピーターの愛器を忠実に再現。ピックアップは、トム・ホームズ製だ。
【Specifications】
●ボディ:1Pマホガニー ●ネック:1Pマホガニー ●指板:エボニー ●ピックアップ:トム・ホームズ×3 ●コントロール:2ボリューム(フロント&リア・マスター、センター)、2トーン(ピーター仕様配線)、3ウェイ・トグル・スイッチ ●備考:本人サイン入り、トム・マーフィー・エイジド
●価格:2,825,000円(税別)
ギブソン・カスタムの中でも、さらにハイエンドなモデルを生み出すプロジェクト“カスタム・クリムゾン”から登場した特別なカスタム。このプロジェクトは2012年に始まり、元々はヴァレーアーツの創設者としても知られるマイク・マクガイアが監修。しかし現在は彼が引退し、ごくわずかな本数のみ熟練の職人が製作に携わる。トップには、極上の杢目が浮き出た5Aグレードのキルテッド・メイプルを贅沢に使用。木材の生鳴りの良さを最大限に生かすためトップ塗膜も薄く、ピックアップはオールラウンドな57クラシックが選択されている。
【Specifications】
●トップ:5Aキルテッド・メイプル ●バック:マホガニー(チェンバー・ボディ) ●ネック:5Aフレイム・メイプル&ウォルナット ●指板:エボニー ●ピックアップ:57クラシック×2 ●コントロール:2ボリューム、2トーン、3ウェイ・トグル・スイッチ
●価格:1,632,000円(税別)
ミュージシャンやコレクターが所有する貴重なビンテージ・ギターをプロファイリングし、音や傷、修理や改造の跡等も含めて細部に渡り再現するのがギブソンのコレクターズ・チョイスだ。このギターは、ニューヨークにある楽器店“ミュージック・ズー”のオーナー、トミー・コレッティ所有の1959年製カスタムを再現。ピックアップ・カバーの退色、ボディに刻まれたウェザー・クラック、ストラップ・ピンの位置が変更されている点など詳細に作り込まれている。ピックアップは、アルニコ3が使われたカスタムバッカーがマウントされいる。
【Specifications】
●ボディ:1Pマホガニー ●ネック:1Pマホガニー ●指板:エボニー ●ピックアップ:カスタムバッカー×3 ●コントロール:2ボリューム、2トーン、3ウェイ・トグル・スイッチ ●備考:カスタム・エイジド
●価格:1,130,000円(税別)
1957年製のレス・ポール・カスタムを再現した、トゥルー・ヒストリックの57モデル。同シリーズは、2015年から登場し、生産数を限定、木材の選別や工程の見直しによるニカワ接着などを行ない、それまでのヒストリック・コレクションよりも、さらにビンテージ・ギターの魅力を再現。これまで57仕様のカスタムは、レアな2ピックアップのモデルだったが、カスタム・オーダーによる3ピックアップ仕様が追加された。マウントされているピックアップはカスタムバッカーで、ボディはもちろん1Pマホガニー製だ。
【Specifications】
●ボディ:1Pマホガニー ●ネック:マホガニー ●指板:エボニー ●ピックアップ:カスタムバッカー×3 ●コントロール:2ボリューム、2トーン、3ウェイ・トグル・スイッチ
●価格:1,102,000円(税別)
レス・ポール・カスタムは1961年以降、SGシェイプへと変更された。その後68年にレス・ポール・シェイプで復活。その当時の仕様をベースに開発されたのがこのモデルだ。ボディは、1Pマホガニー・バックとメイプル・トップの組み合わせで、ネックも1Pマホガニー製。ワッフル・バックのチューナー、ワイヤー付きのブリッジ、トップ・ハット・ノブなども再現されている。ピックアップは、アルニコ3マグネットが使われたカスタムバッカー。メイプル・トップとやや肉厚なネックが相まって、太いサウンドが得られる。
【Specifications】
●トップ:メイプル ●バック:マホガニー ●ネック:1Pマホガニー ●指板:エボニー ●ピックアップ:カスタムバッカー×2 ●コントロール:2ボリューム、2トーン、3ウェイ・トグル・スイッチ
●価格:813,000円(税別)
リミテッド・カスタム・ランとして登場したのが、ボディにヒール・レス&コンター加工、さらにブリッジにフロイド・ローズがマウントされ、テクニカルな演奏に対応したこのモデル。ボディが薄く、軽量に作られている。70年代後半〜80年代に活躍したHM/HR系のギタリストは、レス・ポールのブリッジ部をザグリ、アーム付きブリッジをマウントして使っていたが、それ以上に弾きやすく現代的に仕上げられた仕様だ。ピックアップは出力が高い496Rと498Tだが、芯の部分にはカスタムらしさが感じられるソリッドな音質が得られる。
【Specifications】
●ボディ:1Pマホガニー ●ネック:1Pマホガニー ●指板:リッチライト ●ピックアップ:496R(フロント)、498T(リア)●コントロール:2ボリューム、2トーン、3ウェイ・トグル・スイッチ ●備考:フロイド・ローズ・ブリッジ
●価格:724,000円(税別)
昨年、“ハンド・セレクト”モデルとして登場したハードロック・メイプルのフィギュアが美しい、スペシャルなカスタム。元々ゴールドのハードウェア仕様だったが、今年はシルバーへと変更されている。杢目を生かしたシースルーの青いピーコック・フィニッシュがボディ・トップに吹かれ、バインディングや突き板のダイアモンド・インレイもブルーで統一され、インパクトの強いルックスとなっている。ピックアップは、490Rと498Tの組み合わせで、パワフルで使いやすい音色が得られる。同時に赤いレッド・ウィドウも登場した。
【Specifications】
●トップ:フィギュアド・プレーン・メイプル ●バック:マホガニー ●ネック:マホガニー ●指板:エボニー ●ピックアップ:490R(フロント)、498T(リア) ●コントロール:2ボリューム、2トーン、3ウェイ・トグル・スイッチ
●価格:662,000円(税別)
【CONTENTS】
●ビンテージ・カスタム・ギャラリー(1953〜1961、1968〜1974、1975〜1989)
各年代のカスタムを細部やパーツなどの写真で徹底検証
●現行レス・ポール・カスタム徹底試奏
飯室博が現行の注目モデルをチェック
●カスタム・プレイヤーズ
・鮎川誠、菊地英昭(ザ・イエロー・モンキー)のカスタム・コレクション&スペシャル・インタビュー
・浅井健一、フジイケンジ(The Birthday)、大渡亮(Do As Infinity)、NAKA(The BONEZ)の愛用カスタムも大公開
●カスタム・プレイヤーズ・グラフィティ
レス・ポール、ジミー・ペイジ、キース・リチャーズ、ジミ・ヘンドリックス、エース・フレーリー、ピーター・フランプトン、ミック・ロンソン、ランディ・ローズ、ジョン・サイクス、ザック・ワイルドら、ロック史を彩ったカスタム愛用者を紹介
●1968/1969再生産レス・ポール・カスタム研究
◎定価2,376円(本体2,200円+税)
◎A4変形判 / 144ページ
▼Historic Selectだからこそなせる究極のヘヴィ・エイジド! 1957 Les Paul Custom
▼生形真一とGibson Guitars 後編:Les Paul Custom、ES-Les Paul、J-45(1954 Les Paul Custom VOS)
▼飯室博 meets Gibson Custom True Historic Les Paul [GT&Custom編](True Historic 1957 Les Paul Custom “Black Beauty”)
▼鮎川誠 meets 1968 Les Paul Custom VOS Antique Ebony
価格:¥2,200 (税別)