Bose S1 Pro+ wireless PA system × 松井祐貴&井草聖二
- 2024/04/25
Trace Elliot / ELF
ELF(童話に出てくる小さな妖精)と名づけられたTrace Elliotのベース・アンプ・ヘッドは、幅17.1cm×高さ3.4cm×奥行き10.4cm、重量730gと超小型軽量ながら200W/4Ωの出力という驚異的なスペックを持っています。しかも超小型だからといってクオリティを犠牲にすることなく、音作りの中枢となるメイン・アンプとしても充分に活用できる画期的な製品です。
フロント・パネルには、インプットとヘッドフォン・アウトの間に5つのノブがビッシリと並んでいます。それぞれ、ゲイン、ボリュームのほかに、ベース、ミッド、トレブルの3バンドEQと、コントロールは大変シンプルです。“P”と記されたLEDはパワー・インジケーター、“S”と記されたLEDはシグナル・インジケーターとして機能し、適切なインプット・レベルではグリーンに、インプット・レベルが大きすぎた場合はオレンジに点灯し、内蔵のコンプが作動します。ゲインは出力の大きいアクティヴ・ベースでも問題なく対応できる充分なヘッドルームがあり、どんなベースでも調整しやすく設定されています。
バック・パネルにはACインレット、電源スイッチ、スピーカー・アウト、グラウンド/リフト・スイッチ、ライン・アウトを装備しています。本体がこれだけ小型なのに外部にACアダプタを必要とせず、一般的なACケーブルのみで駆動するのは驚異的ですし、例えば異なるACケーブルにリプレイスして、その違いによる音色差も楽しめますね。トップ・パネルには冷却用のスリットがあり、一定時間連続稼働すると内蔵ファンが静かに動作するのが、可愛らしくもあり頼もしくもあると感じました。
早速試奏してみると、イマドキのアンプらしく太くクリアな方向性ながら適度なコンプ感があり、大きめの音量にしても散漫にならずまとまりの良い音色です。3バンドEQは効きが良いうえに癖がなく扱いやすいので、ここで積極的な音作りをするのも良いですが、基本的な音作りはベース本体やプリアンプに任せ、ELF自体のEQはフラットに設定し、接続するキャビネットや環境に合わせて微調整する目的で活用するのが使いやすいと感じました。裏を返せば、ELFの音質はとても優秀で充分な実用性があり、小型軽量化だけがウリではない本格的なベース・アンプだということです。実際にバンドのリハーサルでも使ってみましたが、音量/音圧の面においてもまったく問題ありませんでした。動画の中でも紹介しているアクティヴ・ベースや、「Trace Elliot / Transit B」のようなプリアンプを積極的に活用した音色も柔軟に受け止めてくれました。
Transit Bは従来のTrace Elliot製ベース・アンプに搭載されていたグラフィックEQを5バンドEQに落とし込み、コンプやドライブなどベースの音作りに不可欠な機能を盛り込んだ多機能なベース用プリアンプです。プリ・シェイプやベース・エンハンスメントを活用すれば音作りもしやすく、豊富な入出力を装備しているので自宅練習にもとても適しています。視認性に優れたLED表示のほか、ミュート/チューナー機能も搭載しているので、ステージでの機動性もバッチリですね。
また、ELFには10インチ1発の「1×10″ Cabinet」と8インチ2発の「2×8″ Cabinet」、ふたつの専用キャビネットがラインナップされており、それぞれ同型機が美しくスタックできる窪みと、ELFがピッタリと収まる窪み(インデント・スペース)が設けられています。1×10″ Cabinetは後方に、2×8″ Cabinetは前方にバスレフ・ポートがあり、それぞれの音色キャラクターは異なりますが、どちらもサイズ感を上回る音量で迫力のある低音を再生可能です。2×8″ Cabinetはスタックすればライブ時にはラインアレイ効果でモニタリングしやすくELFを操作しやすい高さになると思いますし、1×10″ Cabinetは重心が低くまとまりの良い音色が魅力だと感じました。
ELFには持ち運びに便利な専用ケースも付属し、本体サイズはもちろんですが価格も超お手頃です。正規輸入代理店取り扱いの製品を購入すればメーカー正規保証が受けられるので、万が一故障した際も安心ですね。自宅練習や宅録をはじめ、これまでスタジオやライブハウス常設のベース・アンプで音作りに悩んでいた人は、ELFさえあればどこでも安心して同じ環境から音作りを始められるのでオススメです。
価格:¥35,800 (税別)
価格:¥48,000 (税別)
価格:¥83,000 (税別)
価格:¥35,800