Bacchus 30周年記念スプリングキャンペーン
- 2024/03/22
VOX / VX50 KB
小型・軽量でありながら、50Wの大出力で高音質を誇るVOXのVXシリーズ・アンプに、キーボード用モデルVX50 KBが登場した。鍵盤をモチーフにしたホワイト&ブラックのカラー・デザインと、4.1kgの軽量ボディが目を引く可愛らしさであるが、鳴らす音は本格派。さっそく詳しく見ていこう。
8インチ・スピーカーにはコアキシャル2wayスピーカーを装備。低域から高域まで驚くほどクリアでバランスの良い出力が魅力だ。本体がコンパクトとなると気になるのが低音の音圧だが、鍵盤楽器の特性に合わせたバスレフ構造によって非常に抜けが良く、素直でパワフルに出ている印象。また、特筆すべきは新開発の真空管“Nutube”を搭載している点だ。消費電力は従来の真空管のわずか2%、サイズは30%以下でありながら正真正銘の3極真空管であり、真空管らしいふくよかなサウンドや豊かな倍音を省エネ・小型化と両立させたと言える。長寿命(連続期待寿命30,
VX50 KBは3チャンネル仕様で、マスターの他に独立したボリューム・コントロールとCLIPインジケーターを装備しているため、キーボードを3台まで理想のバランスで同時に鳴らすことができる。CH3のみマイク・インプットへの切り替えも可能なので、例えばキーボード+リード・シンセサイザー+マイクとして使用するのもオススメだ。AUX INも備えているので、オーディオ・プレイヤーなどを接続し、バックトラックを再生すれば一人でパフォーマンスするための十分なインプットが揃う。このように簡易PAシステムとして活躍する点もオリジナリティがあって好印象。
さらに、3チャンネル共通となるBASS、MIDDLE、TREBLEの3バンド・マスターEQを装備している。1チャンネルのみを使用してキーボード、シンセ・ベース、パッド、ストリングスなど、サウンドに応じたベーシックかつ柔軟な音色作りが可能な上、たとえば“BASS”のツマミでベースやリズム・トラックなどの低音の迫力を出しながら、“TREBLE”でピアノやエレピ、ウワモノのシンセサイザーのフレーズなどのきらびやかなサウンドをよりはっきりとブライトな印象にさせるなど、INPUTをフルで活用している際のミキシングにも大いに役立つ。CH3にマイクを接続していると、CH1、CH2に入力している楽器とのバランスで歌が聴こえにくい、という現象が起こるかもしれない。が、そんな時はPHASEスイッチを切り替えることで位相干渉を改善してくれる。低音のハウリングも抑えられ、歌がしっかり前に出て聴こえるようになるので、シンガーソングライターのパフォーマンスにおいても非常に実用的だ。
スピーカーからの出音のほか、LINE OUT端子も同時に使用可能なので、録音やパフォーマンスの際はアンプの音をマイクで拾いつつ、LINE OUTの音もミックスすることができるのだが、キーボード、シンセサイザーにとって、ラインの音だけで完結させない、という発想は重要だ。どちらかと言うとキーボードは、ギターやベースのように「アンプで音作りをする」という機会が少ない。リハスタではミキサーにラインでインプットすることが多いのではないだろうか。VX50 KBで出力される音の厚みや倍音の豊かさを、キーボードのサウンドを作る上で取り入れてゆくと、今までと同じ楽器の音でも新たな発見があるかもしれないし、音作りの幅が広がり楽しめるだろう。キーボード・プレイヤーが身近に置いておくのに大変便利なアンプであり、自宅練習はもちろん、小規模なライブ、レコーディングまで使い方次第で大活躍する唯一無二のアイテムとなっている。
価格:¥32,000 (税別)
AZUMA HITOMI
1988年東京生まれ。ソングライター/サウンドクリエイター/シンガー。中学時代から音楽制作を始める。2011年にメジャーデビュー後、2枚のアルバムをリリース。矢野顕子へのトラック提供やアナログ・シンセ・カルテット“Hello,Wendy!”としても活動中。1月28日に自主企画イベント“新世界★虎の穴~中級編~”を開催予定。