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【Fender/NAMM2018】製品イノヴェーション・ヴァイスプレジデントに訊くEffects Pedals

Fender/Pedal

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 NAMM Show 2018にて発表され大きな話題となっているフェンダーのエフェクト・ペダル6機種。ここではそれらのエフェクターのデザイナーであり、プロダクト・イノヴェーション・ヴァイスプレジデントのスタン・コーティー氏に開発の背景を聞いた。

SANTA ANA OVERDRIVE

PUGILIST DISTORTION

MARINE LAYER REVERB

MIRROR IMAGE DELAY

THE BENDS COMPRESSOR

LEVEL SET BUFFER

◎スタン氏のインタビュー翻訳はコチラ↓↓↓

 スタン・コーティーです。フェンダー製品開発部門のヴァイス・プレジデントで、今回発表されたペダルの設計を担当しました。12年間フェンダーに勤め、さまざまな役職を経験してきましたが、製品開発に関わる仕事がほとんどでした。

──まず今回リリースされるペダル類はすべて完全オリジナル回路で作られているそうですが、どれほど開発期間を要したのでしょうか?
 すべてのペダルが白紙の状態から設計され、他社製品を参考にしたところはありません。ペダルによって開発期間は異なりました。コンプレッサーには5〜6年ほど、ディストーションは2年で完成しました。目標とするサウンドが明確な場合は短期間で仕上げることができましたが、ソフトウェアの開発だけで言うと、平均2年はかかっています。

──エンジニアの方々は、どこか別のブランドでペダル作りを学んできた経歴をお持ちなのですか?
 このペダルのプロジェクトに携わったのは、私を含め、3人です。全員ペダル作りの経験はありませんでしたが、全員プロとしての経歴を持つほどのギターの腕前を有します。よって、これらのペダルはギタリストとしての豊富な経験から、ギタリストにとって本当に必要なものをピックアップし、設計しました。

──例えばペダルボードを組んでいるギタリストにとって、Level Set Buffer Pedalはどの位置に置いて、どのように使うべきペダルなのでしょうか? 併せてHI-FREQツマミとLoadスイッチの用途も教えてください。
 Level Set Bufferは多くのギターを持ち替えるギタリスト向けのバッファー・ペダルです。バッファーですので、まずは信号を強化する役割があり、多くのペダルを接続しても、サウンドが劣化しなくなります。LEVELノブで出力レベルを、HI-FREQノブで高域の強さが調整できます。例えばハムバッカーはシングルコイルに比べて出力が高く、トーンも暗めです。ハムバッカー搭載のギターと、シングルコイル搭載のギターを持ち替えた場合、通常はピックアップの出力レベルとサウンド・キャラクターの差からアンプやドライブ・ペダルのゲインなどを細かく調整し直す必要がありますが、Level Set Bufferがあれば、これ1台で調整が完了するのです。

──一般的なコンプレッサー・ペダルは、ナチュラル(スタジオ・ユース)志向か、あるいはEQ的プリアンプ的に音色を積極的に変化させるものに大別できるかと思いますが、The Bends Compressor Pedalはどちらに属するものですか? 加えて、Recoveryツマミはどんな働きをするのでしょうか?
 どちらかというとエフェクティブなコンプのジャンルに入るでしょうか。しかし繊細なかかり方から派手なかかり方まで調整できますので、ギタリストにとってはオールマイティなコンプとしてお使いいただけます。通常ギターで使用するコンプは、高いレベルの出力を圧縮して、信号を均一にする役割があります。Recoveryノブは、圧縮した信号を元のレベルに戻すのに要するタイムを調整します。

──Marine Layer Reverbのサウンドは、ビンテージ・アンプに搭載されているようなスプリング・リバーブを狙ったものなのでしょうか? 加えて、VARIATIONとFILTERというスイッチの機能を教えてください。
 ご存知のように、フェンダーでは素晴らしいサウンドのスプリング・リバーブを搭載したアンプから、ソフトウェアでスプリング・リバーブをエミュレーションしたアンプまで製作しています。しかしMarine Layer Reverbはスプリング・リバーブを模倣したペダルではありません。カテドラルの中にいるような深めなリバーブから、小さな部屋の中にいるような浅いリバーブ、そして残響音にオクターブ成分を付加して華やかな演出が可能なSimmerといったリバーブ対応を搭載しています。音に広がりを与える一般的なリバーブの用途だけでなく、クリエイティブなサウンドスケープを演出するのにも使用可能です。

──近年トランスペアレント系のローゲイン・オーバードライブが流行っていますが、Santa Ana Overdrive Pedalは一般的なドライブ・ペダルのなかでは、どんな系統に位置づけられるペダルでしょうか?
 このペダルの設計者はアレックス・アギュラーという人です。ベース・アンプ界で名の知られている人ですよね。実はアレックスはギターが非常に上手なのです。彼はSanta Ana Overdriveをナチュラルなチューブ・アンプが奏でるオーバードライブ・サウンドを目指しました。内部電圧を上げることでダイナミック・レンジをチューブ・アンプの特性に近づけています。極めて繊細なドライブから、ミッド・ゲイン、ハイ・ゲインまで、幅広いオーバードライブが楽しめます。決して高価な製品ではありませんが、高価なペダルに匹敵する表現力を提供します。

──Pugilist Distortion Pedalは、ふたつのディストーション回路を持っていて、それをミックスして音作りをするタイプのようですが、それぞれどんな特徴のサウンドなのでしょうか? また、どうしてそのような構造にしたのでしょうか?
 Ch1とCh2はそれぞれ異なるサウンドの特徴があります。Ch1はCh2に比べるとクリーン寄りです。私のおすすめの設定は、Ch1をブライトなクリーン寄りに設定し、Ch2を暗めなハイ・ゲインに設定します。BLENDツマミでふたつのチャンネルをミックスすることで、明瞭なアタック感とコード感のある、強烈なディストーション・サウンドを生み出すことができるのです。

──Mirror Image Delayは一見シンプルなディレイのようですが、革新的なポイントはどこなのでしょうか? 加えてDotted 1/8スイッチは、どんな働きをするスイッチなのですか?
 Mirror Image Delayは多機能ですが、ノブやスイッチにはそれぞれひとつの機能のみを割り当てているので、わかりやすい製品だと思います。シンプルな操作で、複雑なディレイ空間を作ることが可能です。Dotted 1/8スイッチは、ディレイ音のタイミングを符点八分音符にし、リズミカルな演出が可能になります。

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製品情報

Fender / Effects Pedals

【問い合わせ】
フェンダーミュージック TEL:0120-1946-60 http://www.fender.co.jp
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