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新世代国産ベース9本の実力

新鋭国産ブランドのベース

ベーシストには、新しいもの好きであったり、自身が気に入った機材であればブランド規模如何に関わらず取り入れるなど、機材に対してオープンマインド、もしくは革新的であり、こだわりの強い人が多いと思う。それゆえ、大手メーカーの新製品と同様、もしくはそれ以上に、国内外の個人工房や新興ブランドへの興味は、常に高いのではないだろうか。そこで今回は、これまであまり大々的にご紹介する機会の少なかった新しい世代の国産ブランドを一堂に集めた。敏腕セッションマン=渡辺等による試奏とともに、各ブランドの実力に迫りたい。なお、『ベース・マガジン2018年3月号』には、渡辺による各モデルの試奏音源を収録したCDが付属するので、そちらもぜひチェックしてみてほしい!

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Altero Custom Guitars
Avvolge Active

ンテージ楽器を直系で進化させ、現代の楽器に昇華

 楽器製作の専門学校で学び講師も務め、楽器店リペアマンなど多彩な前歴を持つ安田氏と倉田氏のふたりにより、2010年に滋賀で創立したAltero Custom Guitars(アルテロ カスタム ギターズ)。オーダーメイドを主とする製作活動とともに、年間500本以上にも上るリペアやカスタムの実績で培った豊富な知識・経験に加え、現役のプロ・ミュージシャンやバンドマン、ライブハウスなど現場の声を反映し、フットワークの軽いフレキシブルな楽器作りを特徴とした工房だ。
 看板モデルであるAvvolgeのアクティブ・セミオーダー・モデルとなった本器は、スポルテッド・メイプル・トップの特徴的な杢目を、ビンテージ・バーストで彩った渋めの1本。クリア・ピックガードやマッチング・ヘッド、これも杢目がしっかり出たマダガスカル・ローズウッド指板と合わせて木の存在感を堪能できるモデルとなっている。一方で、6点止めのボルトオン・ジョイントやネック・エンドのトラスロッド・ホイール、ロック・プッシュ式のストラップ・ピン/エンド・ピンなど、モダンな実用性もポイント。ノードストランドのJタイプ・ピックアップ2基と、同18V仕様のプリアンプなども、トラディショナルなトーンを幅広いバリエーションとレンジで使うための選択と言えるだろう。3バンドEQのうち、ミドル・コントロールはプル・スイッチとなっており、帯域を1kHzと400Hzの2段階で使い分けられるのもその表われだ。

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プリアンプはノードストランド製を搭載している。コントロールは、マスター・ボリューム、バランサー、トレブル、ミドル、ベース。話題の“HATAノブ”も標準採用。

プリアンプのバッテリーは18V仕様。中央に見えるトリム・ポットでプリアンプのゲインを調整することができる。

【Specifications】
●ボディ:スポルテッド・メイプル(トップ)、ライト・アッシュ(バック) ●ネック:ハード・メイプル ●指板:マダガスカル・ローズウッド ●スケール:34インチ ●フレット数:21 ●ピックアップ:ノードストランドNJ4SE ●プリアンプ:ノードストランド3b(18V仕様) ●コントロール:マスター・ボリューム、バランサー、トレブル、ミドル(兼ミドル周波数切り替えスイッチ)、ベース ●ペグ:ゴトーGB2 ●ブリッジ:ゴトー201B-4 ●カラー:ビンテージ・バースト ●価格:420,000円 ●問い合わせ:アルテロ カスタム ギターズ(☎077-536-5160)

Watanabe’s Impression

 オーソドックスに見えて少し凝ったデザインですね。ネックも、ボディがたっぷりしているのに比べてかなり細めで弾きやすい。繊細なフィンガリングができるネックという印象です。サウンドは、リア・ピックアップがいわゆるJBタイプより少しフロント寄りなのか、音もふっくらとしていると思いました。はじめはEQを全部フラットにしましたけど、ミッドが出て丸みのある音ですね。フロント・ピックアップをうまく使えば、おもしろいトーンになりそうです。トレブルは、センターだとちょっとウェットな甘さがあったんですけど、少し上げるとピック弾きに合う食いつきが出ましたね。スラップのプルもそうで、アクティブとパッシブのハイブリッドなベースという印象です。ピックアップ自体はすごくオーソドックスですけど、3バンドのEQということもあって、ビンテージ楽器を直系で進化させ、現代の楽器に仕上げたという感じでしょうか。

Altero Custom Guitars's View

──本モデルの製作コンセプトは?
 オーナー様が、アグレッシブなライブ・バンドなので、取り回しの良さを考慮し軽量にしました。また、若いバンドということもあり、今後のバンド・サウンドの変化にも対応できるよう、プリアンプを内蔵しています。アクティブ時でもパッシブ時でも、それぞれのオイシイところが出せるようにバランスを取ってセットアップしています。ルックスに関しては、オーナー様の好みを形にするとこうなりました。今後はカタログ・スペックは作りませんが、オーダーメイドとともにワンオフ・モデルをどんどん製作していければと考えています。

──本モデルを製作するにあたって、参考にした既存のモデルやサウンドはありますか?
 フェンダー・ジャズ・ベースは大いに参考にしています。

──ユーザーにチェックしてもらいたいポイントは?
 デザインも含めた、トータルのバランスの良さ。アクティブ・モデルとはいえ、パッシブ時に良いのが大前提ですから。

──他ブランドとの差別化を図るために取り入れている、独自のアイディアはどんなところですか?
 他ブランドとの差別化というよりも、いわゆるカタログ・スペックがないに等しく、すべてのモデルが必然的にまったく別の楽器になっています。

──デザインや仕様で“日本人向き”ということを考慮している部分はありますか?
 このモデルに関しては、ボディ・サイズはジャズ・ベースと大差はないですが、グリップ・シェイプなどのネック回りに関しては、手の小さい日本人向けの形状にしています。ストラップを使用して立った状態で演奏するときのバランスもヘッド落ちなどないようにデザインしています。もちろん、重量にも気をつかっています。

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D's design
DB-1 "Insect Bass"

インパクトのあるルックスと
前代未聞のネック・グリップが生むロック・トーン

 一度は高校教師の道を進みながらも、かねてからの夢をあきらめきれず楽器製作の専門学校に通い直し、2010年に茨城に工房D's designを構えた土居洋之氏。手がける楽器のみならず、自らが実践した夢をあきらめないという姿勢が、同工房に集うバンドマン/ベーシストの信頼を勝ち得ているであろうことは疑いない。ちなみに、土居氏が衝撃を受けたベース・サウンドはメタリカのクリフ・バートンとのことで、ロック・ベーシストならば注目したい工房と言える。
 その土居氏が、試行錯誤の末に生み出したのがインパクト充分な本器だ。“昆虫”を意味するモデル名どおり、クワガタを思わせるヘッド・デザインがまず目を惹くが、それがボディ・デザインにも流用されている点にも注目したい。とはいえ単なる変形ベースではなく、教師時代に機械設計や製図、情報技術などを専門としていた土居氏らしく、まず人間工学的な取り回しやバランスの良さに注力したデザインであることがポイントだ。その顕著な例が、“ECSTR”と名付けられた独自のネック・グリップ。強度はもちろん、音の立ち上がりやサステインに深く関わるネックの厚みを保持しつつ、演奏性にストレスを与えないため、台形にシェイプされたのが、このグリップだ。また、強度の確保とともにポジションの把握にも意味があるボリュートや、プルに配慮した指板処理など、設計と使用感の両立に対するこだわりが随所に見て取れるだろう。

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本器の最も特徴的な部分が、この台形のネック・グリップだ。“Easy to play with Classic form and Shake hand form. Thick and Rigid”、略してECSTRネックと名付けられたこのネック形状は、ネックの厚みを確保しつつ、クラシック・フォームでは親指の置き場を確保し、握り込みフォームにおいてはチョーキングやビブラート時の支点となる。強度も抜群で、ロング・サステインが期待できる。

低音弦側は28フレット、高音弦側は24フレットを装備。高音弦側のエンドは大胆にカットされており、プル時もスムーズに指が弦の下に潜り込む。

【Specifications】
●ボディ:スポルテッド・メイプル(トップ)、チェスナット(バック) ●ネック:ジャパニーズ・メイプル ●指板:シャム・ローズウッド ●スケール:34インチ ●フレット数:24/28 ●ピックアップ: EMG P(フロント)、EMG J(リア) ●プリアンプ:アギュラーOBP-3 ●コントロール:ボリューム、バランサー、トレブル、ミドル(兼ミドル周波数切り替えスイッチ)、ベース ●ペグ:ゴトーGB350 ●ブリッジ:ゴトー404BO ●カラー:シースルー・ブルー ●価格:270,000円 ●問い合わせ:D's design(0294-24-6003)

Watanabe’s Impression

 PJレイアウトのピックアップやEMGということも相まって、スペクターを思い起こしますね。とにかくこのベースはネックのグリップに驚いたんですが、握り込んでも大丈夫ですし、ポジション移動などもスムーズにできてすぐに馴染みました。NSデザインのエレクトリック・アップライトみたいに、親指の収まりが良いんですよね。サウンドは、Pタイプのピックアップ、それもリバース・マウントということもあって、下の帯域ほど音が締まりますし、やはりミッドが強めですね。形の印象もありますけど、すごくロック向きのサウンドで、ピック弾きはすごく良かったです。“ザ・80年代のアクティブ・ベース”というサウンドなんですけど、EQの設定も良いのですごくキレイなハイも出せる。スティングレイのような覆い尽くすハイと比べると、ちょっとベールがかかっている感じで、意外と繊細なベースです。歪ませてもちゃんと抜けてくれると思いますね。

D's design's View

──本モデルの製作コンセプトは?
 狙ったサウンドのポイントは、ピアノの低音鍵を叩いたときのようなタイトで立ち上がりが速くロング・サステインで、低音弦から高音弦までの各弦がぼやけずに解像度の良い出音であること。かつ各弦の出力バランスにも優れていることです。そしてスタジオ・ユースだけでなくステージでの長時間の演奏でも疲労しないボディ・バランスの良さと無駄な力の入らないネック・グリップを持つこと。それらをすべて包含してもデザイン・コンセプトを破綻させないトライ&エラーの果てに創り上げられたベースがこの“Insect Bass”です。

──本モデルを製作するにあたって、参考にした既存のモデルやサウンドはありますか?
 サウンド的にはスペクターNS-2が登場したときの衝撃が忘れられず、それを超えるものを作りたいという欲求がありました。デザイン的には特にモデルということではありませんが、ネッド・スタインバーガー氏やB.C.リコ氏のような、フェンダー/ギブソン・デザインの呪縛を振り切ったうえで美しく完結させるセンスには非常に刺激を受けています。

──ユーザーにチェックしてもらいたいポイントは?
 まず見るからに異質な形状のネック・グリップです。その厚みから絶対に弾きにくいと想像されがちですが、試奏していただいた方からは想像とはまったく違うという感想を多くいただいていております。さらに可能であれば長時間弾き続けてみていただいて、指の疲労度の低さも体感していただきたいです。そしてそのネックから生み出されたサウンドをぜひ体験してもらいたいです。またチャンスがあればストラップを付けて演奏していただいて、ボディ・バランスの良さも体感していただければと思います。

──他ブランドとの差別化を図るために取り入れている、独自のアイディアはどんなところですか?
 まず楽器デザインがトラディショナル・デザインではなくオリジナル・デザインであること。そのボディとヘッドが統一性のあるデザインであること。“ECSTR” という独自構造を持ったネック・グリップ。複数の役割を持つ“NHT” ネック・ボリュート。材料にシャム・ローズウッドやチェスナット、ジャパニーズ・メイプルなど独自な素材をひとつひとつタップ・トーンを聞き選定して使用していることなどです。

──デザインや仕様で“日本人向き”ということを考慮している部分はありますか?
 特に“日本人向き”に配慮してデザインや仕様を決めてはいませんが、ネック・グリップ形状を決める基準となっているのは製作している日本人の手ですから、自ずとより日本人の手にマッチする形状にはなっているかもしれません。

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焔-HOMURA- 5st.

プロ・ベーシストが開発に関わった
新世代の独自JB系モデル

 ゴスペラーズや加藤ミリヤのサポートで活躍するベーシスト、後藤克臣氏が開発から関わり、材の選定に至るまでこだわりを込めた本器。その、シグネチャーを超えたポテンシャルを新提案として打ち出すために立ち上げられたプロジェクトが焔-HOMURA-だ。
 まさに燃え上がる炎(焔)を模したかのようなボディ・デザインと、大胆にえぐれたヘッド・デザインが目を惹くが、単なる独自性の追求ではなく、サウンドと演奏性を兼ね備えるためのアイディアがその基盤となっている。ひとつは小型・軽量なゴトー製GB-11Wペグの採用で、ヘッド・デザインとともにヘッド重量の軽減が図られており、全体のバランスの良さを実現。また、通常より2フレットほど下げて設けられた1弦側カッタウェイは、最終フレットへのアクセスはもちろん、相対的に低音弦側の質量を増やすことでボトム感が出る設計となっている。フル・サイズのボディ質量を保ちつつ、バランスや演奏性、サウンドを考慮した結果と言えるだろう。
 また、ネックにはKTS製のチタン・バーが埋め込まれており、剛性はもちろん、音の立ち上がりや倍音の響きなどを向上。ノードストランドのNJ-5ピックアップとサドウスキーの2バンド&マスター・トーン・プリアンプVTCも、プロならではの実用的な組み合わせで、アクティブ/パッシブどちらでもバツグンのパフォーマンスを実現してくれるチョイスと言える。

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ゴトー製のペグが5つ一直線に並ぶヘッドは、かなり大型の部類に入るだろう。裏から見ると、1弦だけが見えるというデザイン形状もかなりの個性派と言える。

コンパクトかつ丁寧にまとめられたコントロール・キャビティ。電池を設置するスペースがジャスト・サイズで設けられているのも安心感がある。プリアンプにはサドウスキー製VTC-KITをチョイス。

【Specifications】
●ボディ:ライト・アッシュ ●ネック:メイプル ●指板:メイプル ●スケール:34インチ ●フレット数:21 ●ピックアップ:ノードストランドNJ-5×2 ●プリアンプ:サドウスキー VTC-KIT ●コントロール:マスター・ボリューム、バランサー、マスター・トーン(兼アクティブ/パッシブ切り替えスイッチ)、トレブル/ベース(2連2軸) ●ペグ:ゴトー GB11W ●ブリッジ:ゴトー・カスタム ●カラー:チェリー・サンバースト ●価格:310,000円 ●問い合わせ:黒澤楽器店(☎03-5911-0611)

Watanabe’s Impression

 ベースEQは、半分くらいでも少し歪むぐらいのウルトラ・ローが出ますね。見た目は派手ですけど、いわゆる王道のドンシャリ系アクティブJBタイプだと思いました。ネックの作りやブロック・ポジションも70年代JBタイプ系ですね。ただ、デザインもそうですけど、そこをベーシックにして新しいベースを作るというのはおもしろい発想だと思います。音を出してみれば製作者の意図や目指しているものがハッキリわかると思いますね。ただ、ドンシャリ系ではあるんですけど、ピックで弾いても過度に暴れないですし、上品にまとめてくれる感じがあります。興味深かったのが、2バンドEQに加えてマスター・トーンもあることで、このトーンの絞り具合でかなりいろいろな音が作れそうです。ベースがハッキリしているぶん、トーンを絞ればモコモコのサウンドも作れますし、使い勝手はありますね。ローB弦のハリや鳴りもしっかりしていて、ちゃんと4弦の延長線上のローB音という感じがあります。

焔's View

──本モデルの製作コンセプトは?
 どのステージに入っても、この1本で完結できる。ジャンル問わずに使える。どこにもないもの。

──本モデルを製作するにあたって、参考にした既存のモデルやサウンドはありますか?
 サウンド的には70年代のJB。モデル的にもやはり70年代のJB。パッシブ・ベースを機軸にして、利便性の高い応用の利くアクティブ回路をということでVTCをセレクト。

──ユーザーにチェックしてもらいたいポイントは?
 指、ピック弾き問わずピッキングの際のアタック感の速さ。ボディ・バランス。5弦ベースでの難関でもある“ローB”のテンション感とハリのある開放弦でのローB音。

──他ブランドとの差別化を図るために取り入れている、独自のアイディアはどんなところですか?
 幾度となく、後藤克臣氏とディスカッションを繰り返し、数十パターンのデザインを起こして辿りついたボディ・シェイプとヘッド・シェイプ。“焔”というキーワードを想像させるボディ~ヘッドまでのトータル・デザイン。

──デザインや仕様で“日本人向き”ということを考慮している部分はありますか?
 JBスタイルのフルサイズ・ボディでありつつも、ディンキー・スタイルも取り入れ、持ったときにストレスのないように、シャープかつコンパクトに感じるサイズ感。

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Kazu Guitar Village
KGV FPJ-Paduk/W.Ash Matt.NTL

木の温かみを感じさせるアコースティック・トーンと
良好な5弦のテンション

 高校生の頃から楽器の構造に興味を持ち、ケヤキ材でボディの自作までしてしまったという長屋一成氏。その長屋氏が大手楽器メーカー勤務や楽器製作の専門学校ディレクターなどを経て、2012年に岐阜にオープンした工房が、Kazu Guitar Villageだ。メーカー勤務時代は、量産ラインとオーダーメイド工房のふたつに携わり、多と個両面からの楽器製作を見てきた長屋氏の、こだわりの1本を見てみよう。
 アッシュをパドゥークでサンドイッチしたボディは、ナチュラル・カラーのマット仕上げもあって高級感のある落ち着いた印象。表裏のコンター加工から覗くアッシュの白味と、パドゥークの茶褐色も良いコントラストだ。また、デザインのみならずサイズの大きさが存在感を主張するヘッドも、パドゥークの化粧板で全体の統一感を生んでいるが、そのカーブのなめらかさや、ペグの落とし込みなど、丁寧な作業が光っている。楽器製作を“育てる気持ち”と語る長屋氏だけに、愛情を感じる部分だ。また、24フレット部から始まる大きめの1弦側カッタウェイだが、6点止めボルトオン・ジョイントもあって強度は充分。演奏性とサウンドの両立もしっかりと考えられている。EMGのソープバー・タイプPJピックアップには、アギュラーの3バンドEQプリアンプOBP-3TKを合わせているが、ミッドはプル・ノブで帯域可変が可能。レトロさとモダンさを兼ね備えた1本だ。

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ネックは3ピースのメイプルで、ボディに6点止めボルトオンにてディープ・ジョイントされている。ヒールは丸くなめらかに加工されている。

ピックアップはEMG製を搭載。フロントはEMG40P、リアはEMG40Jの組み合わせで、いわゆる5弦用のPJレイアウトになっている。

【Specifications】
●ボディ:パドゥーク/ホワイト・アッシュ/パドゥーク ●ネック:メイプル ●指板:ウェンジ ●スケール:34インチ ●フレット数:24 ●ピックアップ: EMG40P(フロント)、EMG40J(リア) ●プリアンプ:アギュラーOBP-3TK/PP ●コントロール:マスター・ボリューム、バランサー、トレブル、ミドル(兼ミドル周波数切り替えスイッチ)、ベース、アクティブ/パッシブ切り替えスイッチ ●ペグ:ゴトーGB-720 Go ●ブリッジ:KGVオリジナル ●カラー:マット・ナチュラル ●価格:480,000円 ●問い合わせ:Kazu Guitar Village(☎0581-53-2565)

Watanabe’s Impression

 カール・トンプソンやウォル、ケン・スミスにインスパイアされた感じですけど、確かにすごくウッディでアコースティックなサウンドです。懐かしいというか馴染みのある音色ですね。ボディや指板材の選択もそういった意図が見えますし、指板に若干アールが付いているのもアコースティック楽器っぽさがあります。サウンドは、EMGのピックアップということもあってミドルがキレイですね。EMGならではのレンジ、特にミドルの良さをボディ材がうまく引き出している感じで、よく考えられていますね。丸みがあるトーンですけどスラップもガツンと来るし、何よりローB弦の鳴りが気持ち良いです。内蔵プリアンプも良いんですけど、パッシブで使ったり、それに外部プリアンプを合わせてみるのも良さそうだと思いました。ウォームなトーンのなかでもバリエーションが得られるんじゃないかな。大きめなヘッドのデザインはおもしろいアイディアだなと思いましたけど、バランスも良いですし、化粧板とペグの落とし込みなど凝った作りになっています。

Kazu Guitar Village's View

──本モデルの製作コンセプトは?
 弾きやすい5弦ベース。

──本モデルを製作するにあたって、参考にした既存のモデルやサウンドはありますか?
 特になし。

──ユーザーにチェックしてもらいたいポイントは?
 違和感のないローBとテンション。

──他ブランドとの差別化を図るために取り入れている、独自のアイディアはどんなところですか?
 見て探してください(笑)。

──デザインや仕様で“日本人向き”ということを考慮している部分はありますか?
 スケールとネックのニギリ形状。

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L’s TRUST
LSTJ-LH

今のシーンにもマッチする現代マテリアルを活用した
ビンテージの再構築

 楽器製作の専門学校を卒業後、テクニシャンや海外ミュージシャンの機材サポートなどを経て、2011年にL’s TRUSTを設立した小田一貴氏。工房設立の大きなきっかけとなったのは同年の東日本大震災で、“ミュージシャンが本当に頼れる楽器工房”との思いがL's TRUSTという名前に込められている。工房兼ギャラリーLUTHIER'S HILLでは材の選定もできるほか、楽器製作時の端材を利用した木製雑貨なども扱っており、木材との触れ合いも大切にしている工房だ。
 そのL's TRUSTの1本は、パッシブ4弦モデルLSTJ-LH。ネック・バインディングとブロック・ポジション・マークが70年代JBを思わせるが、材構成的には、アルダー・ボディにメイプル・ネック、ローズウッド指板といったビンテージライクなモデルだ。なかでもこだわっているのがネック材と指板材の加工で、剛性はもちろん、しなりも見越してサウンドメイクを行なっているという。ネック・ポケットの設計もこだわりで、1弦側カッタウェイを若干深めに取れているのも、そういった設計の成果だろう。ピックアップはフェンダーのオリジナル・ジャズ・ベース・モデルが搭載されているが、好みによって他モデルも選択可能。またひと際目を惹くアルマイト加工のピックガードだが、ロゴ・マークとともに記された“The Whole New Vibes”というキャッチコピーが、単なる伝統の再現ではないことを主張している。

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存在感のあるアルマイト加工を施した重量のあるピックガードには、“The Whole New Vibes”というスローガンと、白馬をモチーフにしたロゴ・マークが刻まれている。

ブリッジは、プレートがハード・ジンク製、サドルがブラス製のゴトー404BOを採用している。スティール・サドル・モデルに比べると、柔らかみのある音色となる。

【Specifications】
●ボディ:アルダー ●ネック:メイプル ●指板:ローズウッド ●スケール:34インチ ●フレット数:20 ●ピックアップ:セレクタブル ●コントロール:ボリューム×2、トーン ●ペグ:ゴトーFB30 ●ブリッジ:ゴトー404BO ●カラー:ダーク・ブラウン ●価格:オープンプライス(市場実勢価格350,000円前後) ●問い合わせ:エルズトラスト

Watanabe’s Impression

 今回のラインナップのなかでは一番ビンテージ寄りで、ネックのグリップやブロック・ポジションなども70年代JBタイプという感じですね。ただ、ピックガードやペグ、ブリッジなど、そこかしこに現代のマテリアルをうまく使っている印象があって、ビンテージを再構築しているという印象です。サウンドも、昔ながらのクラシック・ロックな感じなんですけど、どこかモダンさが感じられるというのもおもしろい。リア・ピックアップがちょっとブリッジ寄りな感じなので、ビンテージよりはタイトなニュアンスが出るのかもしれません。そういう意味でも、アクティブとは違う方向性でビンテージをモダン化、今時の使われ方に対応させているというのはすごいですね。ちょっと弦高が高めの設定なんですけど、それもあってボトムもしっかり出ますし、アンサンブルを支えるようなプレイに合いそうです。フラット弦も合いそうですね。逆に弦高を少し下げれば、もっとシャープさが出ると思います。弾き込んでいくうちに、さらに化けそうな印象ですね。

L’s TRUST's View

──本モデルの製作コンセプトは?
 シンプルなJBタイプなので“本家に追従しながら”ですが、サウンド面では音を真っすぐに飛ばせるようにやや柔軟性のあるネックと硬質な指板、それとある程度の重量もあるボディ材を組み合わせてあります。装飾面ではアダルトな雰囲気を出すためにブロック・インレイ、暗めのフィニッシュにアルマイト加工を施したピックガードを合わせました。ピックガードも重量があるのでボディの振動にコンプレッションを与えていると思います。例えばこれをはずせば見た目の問題だけではなくサウンド面でも大きな変化を楽しめると思います。

──本モデルを製作するにあたって、参考にした既存のモデルやサウンドはありますか?
 フェンダー・ジャズ・ベース。

──ユーザーにチェックしてもらいたいポイントは?
 シンプルな作りなので“無事之名馬”タフネスさです。木材やハードウェアのセレクト、相対的な重量バランス、組み込みに気をつかっています。またどのような弦高や演奏方法でも本器の良さを引き出していただけると思います。

──他ブランドとの差別化を図るために取り入れている、独自のアイディアはどんなところですか?
 単純に配線(パーツと線材)のストレスを軽減するためコントロール・ザグリをプレート一杯に広く掘ってあります。アースの取り回しなども極力トラブルが起きないような処置をしています。カスタム要素としてハムノイズを軽減したい場合はピックガードを含めたシールディング処置を構想しています。そう考えるとピックガード自体がこの作品のサウンド、ウエイト、カスタム要素に大きな影響を与えています。

──デザインや仕様で“日本人向き”ということを考慮している部分はありますか?
 フィジカル面に関しては特にありませんが、昨今のさまざまな音楽シーンに対応できるようしっかりとした母体を目指しました。

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PROVISION GUITAR
TTOB5-#007-ROSE

敏腕ベーシストとコラボした
ライブ/レコーディングでの即戦力5弦ベース

 1988年の創業以来、その確かな技術が口コミで広まり、確固たる信頼を得ている山口県のギター工房、プロビジョンギター。ユニコーンのEBIや井上富雄、根岸孝旨、山口寛雄、SHISHAMOなどが愛用していることでも、その実力は推して知るべしだろう。
 そのプロビジョンと、スタジオからライブまで幅広く活躍するベーシスト=種子田健のコラボレーションによって生まれたのが、このTTOBシリーズ。本器TTOB5-#007はその7モデル目で、バール・メイプル・トップの複雑な杢目が主張する5弦ベースだ。ボディは、シースルーのオレンジで染められた前述のトップとアルダー・バックだが、その間にローズウッドを挟み込むことでラミネイトに上品なアクセントが生まれている。このひと手間も、確かな技術に裏打ちされたこだわりだ。ピックアップはスラントされたポールピースが特徴的なノードストランドBig Singles 5で、プリアンプはバルトリーニの3バンドEQ、NTMBにマスター・トーンという組み合わせ。NTMBのミッドは250Hz固定となっているが、アクティブ/パッシブ双方でのパフォーマンスが考えられたコントロールだ。また、従来よりサドルの接触面が大きいバビッツのFCH-5Bブリッジや、小型・軽量なヒップショット製ウルトラライト・ペグなども練られた選択で、特にペグは35インチ・スケールでのヘッドの軽量化に大きな役割を果たしている。

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コントロールは、フロント・ボリューム、リア・ボリューム、マスター・トーン、ミドル、ベース、トレブルという構成。マスター・トーンはアクティブ/パッシブ切り替えスイッチを兼ねている。

ブリッジは、サドル底面が常にベース・プレートと密着する革新的な構造で知られるバビッツ製を起用。振動のロスをなくすことでロング・サステインに寄与する。

【Specifications】
●ボディ:バール・メイプル/ローズウッド/アルダー ●ネック:メイプル ●指板:ローズウッド ●スケール:35インチ ●フレット数:21 ●ピックアップ:ノードストランドBigSingles5弦×2 ●プリアンプ:バルトリーニNTMB ●コントロール:ボリューム、トーン(兼アクティブ/パッシブ切り替えスイッチ)、ミドル、トレブル/ベース(2連2軸) ●ペグ:ヒップショット・ウルトラライト・クローバー・キー3/8 ●ブリッジ:バビッツFCH-5B ●カラー:シースルー・オレンジ/ナチュラル ●価格:400,000円 ●問い合わせ:プロビジョンギター(☎0836-54-0278)

Watanabe’s Impression

 35インチで、見た目的にもデラックスな印象があるベースです。作りもしっかりしていて高級感がありますし、ハイエンドのJBタイプという感じですね。80年代ぐらいから出始めたハイエンドのロング・スケール多弦ベースを、しっかりJBタイプに落とし込んでいると思います。サウンドも、ハイのキレやローB弦の鳴り方はやはり35インチならではのもので、グランド・ピアノのようなイメージも感じました。ピック弾きでもしっかりローが出ますし、ブリッジ・ミュートしたフレーズでも音の芯がはっきり出ていますね。意識しないで弦を押さえてもしっかり鳴ってくれますし、弾きやすくできていますよ。それと、最近の流行なのか、これも3バンドEQにマスター・トーンが付いていて、音作りの幅は広いと思います。アクティブ・ベースとして完成されているけど、パッシブらしい使い方もできるというハイブリッド感が特徴でしょうか。内蔵プリアンプを外部プリアンプと同じ感覚で使って、マスター・トーンで色づけするというのもアリだと思います。

PROVISION GUITAR's View

──本モデルの製作コンセプトは?
 4弦から持ち替えても違和感なく使える5弦、ローBがしっかり鳴る5弦、パッシブ/アクティブの音量差がなく、どちらもステージ、レコーディング即戦力の5弦がコンセプトです。試奏モデルの指板はローズウッドですが最上機種はハカランダ指板になります。またボディがアルダーの機種もございます。お好みのサウンドに合わせてチョイスしていただければと思います。

──本モデルを製作するにあたって、参考にした既存のモデルやサウンドはありますか?
 種子田 健氏の意向を十二分に反映したモデルになっています。

──ユーザーにチェックしてもらいたいポイントは?
 先ほどのコンセプトの項目と同じになりますが4弦から持ち替えても違和感なく使える5弦、ローBがしっかり鳴る5弦、パッシブ/アクティブの音量差がなく、どちらもステージ、レコーディング即戦力の5弦。このポイントをぜひお試しいただきたいです。またローズウッド指板、ハカランダ指板、アルダー・ボディの各仕様もお好みに合わせてチェックしていただければと思います。

──他ブランドとの差別化を図るために取り入れている、独自のアイディアはどんなところですか?
 目に見える独自なアイディアはありませんが弊社はユーザーの方々からネックが強いと言っていただけますので、そのあたりの目に見えないアイディアをこれからも進めていきたいと考えています。

──デザインや仕様で“日本人向き”ということを考慮している部分はありますか?
 ナット幅(45mm)も含めたネックやボディ・サイズは通常の5弦より日本人向きに弾きやすさを考慮して製作しています。

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Vellmor Guitars
VJB-524DLX ALD/R

こだわりのネック製作によりドライブ感を生む、
24フレット仕様のJBタイプ

 Gacharic Spinのベーシスト、F チョッパー KOGAのシグネチャー・モデルでも馴染み、長野県松本市の工房Vellmor Guitarsは、大手楽器メーカーで30年にわたり楽器製造に携わってきた金井孝一氏が2012年に設立。金井氏ひとりによるハンドメイド製作を行なっているという、まさに個人工房だ。
 本器は看板モデルであるVJBシリーズのアクティブ5弦モデルだが、ディープ・ジョイントによる6点止めボルト・オンを採用したDX仕様となっているほか、同ブランドでは珍しくピックガードとコントロール・プレートも搭載しており、トラディショナルな趣を持った1本だ。“現場での使用に耐えうる楽器製作”を追求してきた長年の経験から、特に木取りやトラスロッドの仕込みに独自のこだわりを持つ金井氏らしく、本器のネックも柾目取り、カーボン補強など、強いネックを実現するための方策が採られている。それはまた鳴りの良さにも関係し、ディープ・ジョイントと相まって圧倒的なロー感を生み出しているわけだ。ピックアップは同ブランド・オリジナルのJタイプを2基。18Vで駆動するバルトリーニNTMBのミドルはミニ・スイッチにより250Hzと840Hzで切り替えることができ、スラップ向きのドンシャリ・サウンドから、指弾き向きのコシ、ピック弾きでのアタック感など、幅広いトーンに対応してくれる。微細なラメが入ったメタリック・レッドの鮮やかさも、ハツラツとした1本だ。

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本器のコンセプトのひとつは、JBタイプながら24フレットを装備しているということ。スケールは標準的な34インチを採用している。

プリアンプはバルトリーニのNTMBで、18V仕様となっている。通常のNTMBのハイ・ミッドの周波数帯域は800Hzだが、840Hzに変更されているのがこだわりポイントだろう。ロー・ミッドは250Hz。

【Specifications】
●ボディ:セレクテッド・アルダー ●ネック:ハード・メイプル(センター取り仕様、カーボン・フレーム仕様) ●指板:セレクテッド・ローズウッド ●スケール:34インチ ●フレット数:24 ●ピックアップ:オリジナルSWJ-5n(フロント)、オリジナルSWJ-5b(リア) ●プリアンプ:バルトリーニNTMB ●コントロール:ボリューム×2、ミドル、トレブル/ベース(2連2軸)、アクティブ/パッシブ切り替えスイッチ、ミドル周波数切り替えスイッチ ●ペグ:ゴトーGB528 ●ブリッジ:ゴトー404BO-5 ●カラー:スパンキー・レッド・メタリック ●価格:290,000円 ●問い合わせ:ベルモアギターズ(☎0263-31-6730)

Watanabe’s Impression

 JBタイプなのに24フレットという、ちょっと凝ったコンセプトのベースですね。ただ、24フレットですがエクステンションされている感じはなく、従来のJBタイプと同じ感覚で弾けました。サウンドは、EQの効きが弦の歪み感というかビビり感もうまく拾ってくれてドライブ感が出ますし、激しめのプレイをしたときに気持ち良かったです。スラップはもちろんなんですけど、個人的にはピック弾きとの相性が良かったですね。単なるドンシャリというよりは、ミドルも出しつつドンもシャリもあるという感じで、ロック向きのサウンドだと思います。EQを上げればローもハイもビックリするぐらい出てきますし、プリアンプがブースター代わりにもなるというか、エフェクティブな使い方までできる感じですね。ただパッシブでも使えますし、そのあたりの切り替えの幅は広いと思います。オリジナルのピックアップも、出力が高いというよりはハイ・ミッドが強く出るという印象で、オールマイティな幅はありつつ、ロックで一番光るベースという感じです。

Vellmor Guitars's View

──本モデルの製作コンセプトは?
1. 24フレット仕様のJBタイプ・モデル。
2. アルダー材+3バンドEQのアクティブ回路を搭載し幅広いジャンルに適応。
3. ディープ・ジョイント仕様のネック・セット。
4. 重量の軽量化と演奏性の高さを追求。
5. 故障やトラブルがなく安心して使える楽器。

──本モデルを製作するにあたって、参考にした既存のモデルやサウンドはありますか?
 特になし。

──ユーザーにチェックしてもらいたいポイントは?
 トータル・バランスの良さ。ディープ・ジョイントによる音抜けや鳴りの良さ。演奏性が良いところ。

──他ブランドとの差別化を図るために取り入れている、独自のアイディアはどんなところですか?
 オプションとして、ボディの中心部にハード・メイプルを仕込む“メイプル・センターブロック仕様”を設定しています。24フレット仕様のベースの場合、質量がかなり小さくなるため、低域や弦振動を補う目的でハード・メイプルのブロック材をボディ・センターに仕込むものです。これによって、よりタイトな低音が得られるとともに弦振動と音の抜けが抜群に良くなりました。

──デザインや仕様で“日本人向き”ということを考慮している部分はありますか?
 24フレット仕様にすることでボディ形状が小振りになっている点。ナット幅も46mmとして、弾きやすさを考慮しています。

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Wood Custom Guitars
Vibe Standard-4 Limited

こだわりの木材を使用しパッシブ・サウンドを極めた
ニュー・タイプのJBモデル

 楽器製作の専門学校卒業後、楽器メーカーに務め、2016年に滋賀で個人工房Wood Custom Guitarsを設立した上田和希氏。楽器製作のほかに、木材の調達/供給も手がけており、ブランド名どおり木材には並々ならぬ愛情とこだわりを持った人物だ。
 同ブランドでは、SupremacyやVibeなど、大胆なシングル・カッタウェイ・モデルやバックアイ・バールの強烈な杢目を生かしたモデルもリリースしているが、本器はStandardの名前どおりトラディショナルな趣を重視した1本となっている。ただ、やはり木材へのこだわりはあふれており、ネックにはロースト加工を施して含水率や吸水率を下げたクォーターソーン・メイプルを採用。状態の安定性を高めているほか、軽量化も図られて取り回しも向上している。一方でサウンドメイク上不可欠な重量を得るためと、デザイン的なアクセントも合わせて、ヘッドの表裏にはエボニーの化粧板を施しているのも、こだわりの部分だ。ピックアップは徐々に注目を集めている新興メーカー、Kariya-PickupsのJタイプを2基搭載。こういったつながりも、若い世代の楽器製作者たちの躍進を表わす顕著な例と言えるだろう。オーソドックスなJBタイプではあるが、緩やかなカーブと若干の傾斜を設けたネック・ジョイント部の加工など、ハイ・ポジションの演奏性への配慮と加工技術は、確実に新しいひらめきを感じさせるポイントだ。

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ブランド名が象徴するように、木材の品質にはこだわりを持っているという同社。1ピースの指板/ネックには、見事な杢目が浮き出たクォーターソーン・メイプルを、ローステッド加工を施して使用している。

ローステッド・メイプルによるヘッドの表面と裏面には、厚めのエボニーの突き板が貼られている。これによりヘッドの重量を稼いでいる。

【Specifications】
●ボディ:アルダー ●ネック/指板:ローステッド・クォーターソーン・メイプル ●スケール:34インチ ●フレット数:21 ●ピックアップ:Kariya-Pickups Jタイプ×2 ●コントロール:ボリューム×2、トーン ●ペグ:ゴトーGB-2 ●ブリッジ:ヒップショット・スタイルB ●カラー:ビンテージ・バーガンディミスト・メタリック ●価格:280,000円 ●問い合わせ:Wood Custom Guitars(☎0748-43-1869)

Watanabe’s Impression

 ローがすごく良い帯域で鳴ってくれる感じですね。弾いていてレスポンスも良いですし、素晴らしい出来ですよ。JBタイプとしても、今まで弾いたことがない印象で、バランスの良さやデッド・ポイントのなさなどはビンテージとは違いますね。パッシブのハイエンドというイメージです。指板はメイプルですが、一般的なメイプル指板のサウンドを想像しているとちょっと違った印象で、あまりパキパキした感じはないですね。ふくよかさがありますし、それでいて高音弦にはツヤやかさもあります。ピックアップもブーミーなところはなく、どのレンジでもしっかり鳴っていますし、ピックで弾けばキラっとしたところも出る。シンプルな楽器なのにすごいですよ。材の特性をしっかり考えて作っているというか、ブランド名どおり木材にこだわっているのはすごく感じられます。これも弾いていくうちにさらに育ちそうですし、電気“生楽器”として優れているというか、パッシブで極めるハイファイというイメージで、新しいジャンルかもしれません。

Wood Custom Guitars's View

──本モデルの製作コンセプトは?
 ローステッド・メイプルに合わせて軽めのアルダー・ボディを選択いたしました。ヘッド重量が欲しかったので、かなり厚めのエボニーでサンドしております。軽いタッチでもレスポンスが速く、ローステッドの豊かな鳴りを再現できるよう製作いたしました。

──本モデルを製作するにあたって、参考にした既存のモデルやサウンドはありますか?
 ありません。

──ユーザーにチェックしてもらいたいポイントは?
 触ってみないとわかりづらいかもしれませんが、発音良くレスポンスが速いところです。

──他ブランドとの差別化を図るために取り入れている、独自のアイディアはどんなところですか?
 かなり緩めのラジアスやヒール・カットなど。

──デザインや仕様で“日本人向き”ということを考慮している部分はありますか?
 弾きやすいテンション感を意識して製作しております。また小ぶりのディンキー・シェイプを採用しております

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Ximera
arxi 4strings

ふたつの国産ブランドの化学反応により生まれた
伝統を超えていく個性派

 埼玉県でソニック・ブランドを展開するベース・クラフツマン界のご意見番・竹田豊氏と、カスタム・オーダーを含む柔軟な製作体制とサーモウッドなど大胆な新技術の導入で知られる兵庫県のサゴ・ニュー・マテリアル・ギターズのコラボレーションという、まさに世代を超えた化学反応を体感できるのが、この新ブランドXimeraだ。楽器メーカー同士のコラボという点がまず興味深いが、デザイン、木工、塗装をサゴが、ピックアップ設計・製作、組み込み・セットアップをソニックが担当するという分業制で、両社の良いところ取りとなっている。
 その結晶とも言えるarxi(アルヒ)の具体例では、サーモウッド・アルダーのボディや重硬なリグナムバイタ材を用いた指板、琥珀のような透明感と輝きを見せる塗装などは、サゴの真骨頂。伝統から一歩踏み出したボディやヘッドのデザインも、ならではのポイントと言える。一方、組み込みやセットアップといった直接の技術面のみならず、独自のアイディアで電装パーツ類なども数多く開発しているソニック。ノイズ・キャンセラーを装備したJupiter LJB-01Xピックアップや、ボヌールの“デュアル・ミッドEQ”BH-2M、サドル部分とボールエンド部が分離したTri-Tone Separate Bridgeなど、同ブランドのアイディアがふんだんに盛り込まれている。ミドルに特化したEQというのも新しい試みで、相乗効果の理想的な具現と言えるだろう。

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プリアンプには、ソニックの2バンド・イコライザー、ボヌールBH-2Mを装備している。2バンドとはいえ、通常のトレブル/ベースではなく、ハイ・ミッド/ロー・ミッドとなっているのが独特だ。

指板材はリグナムバイタ。これはハマビシ科の広葉樹で、非常に硬いのが特徴だ。ナットはオイルド・ボーンのものを装備している。

【Specifications】
●ボディ:サーモ・アルダー ●ネック:ハード・メイプル ●指板:リグナムバイタ ●スケール:34インチ ●フレット数:21 ●ピックアップ:ソニックJupiter LJB-01X×2 ●プリアンプ:ソニック・ボヌールBH-2M ●コントロール:ボリューム×2、トーン(兼アクティブ/パッシブ切り替えスイッチ)、ハイ・ミッド/ロー・ミッド(2連2軸) ●ペグ:ゴトーGB528 ●ブリッジ:トライ・トーン・セパレート・ブリッジ“スティール” ●カラー:アルギエバ ●価格:543,300円 ●問い合わせ:サゴ・ニュー・マテリアル・ギターズ(☎06-6439-6377)、ラムトリックカンパニー(☎048-224-7915)

Watanabe’s Impression

 EQはハイ・ミッドとロー・ミッド、マスター・トーンというおもしろい構成なのですが、確かにふたつのミッドで味付けしていくのがこのベースの音作りかなと思います。ふたつのミッドを上げめにした、いわゆるプレベ的な音を狙っても、プレベとも違って音のツブ揃いがすごく良いですし、細かいところもくっきり出ていましたね。単にその帯域を上げているというよりは、ちゃんと押し出してくれる印象です。低域が潜る感じもないですし、アンサンブルのなかのすごく良い位置で鳴ってくれると思いますよ。ドンシャリの逆というか、確かにオールマイティではないんですけど、ロック向きですごくおもしろいベースですし、歪みエフェクターなどを使ってもちゃんと抜けてくると思いますから、そういったプレイヤーには特にオススメですね。それにしても、同じJタイプ・ピックアップ構成でもここまで違うものができるのかというか、振り切ったコンセプトだと思いました。作りも非常に丁寧ですし、ヘッドのデザインや処理も凝っていますね。

Ximera's View

──本モデルの製作コンセプトは?
 攻めたアイディアと緻密で繊細な仕事を融合して、国内外にメイドインジャパンの良さをまったく新しい形で提案したいと思いました。分業の詳細は、デザイン、木工、塗装をサゴ・ニュー・マテリアル・ギターズで、ピックアップ設計・製作、組み込み・セットアップをソニックで行なっています。それぞれの単独のブランドではなかなかできないスペックを具現化できたと思います。

──本モデルを製作するにあたって、参考にした既存のモデルやサウンドはありますか?
 JBスタイルのピックアップを載せているのでジャズ・ベースということになるかもしれませんが、各ピックアップにノイズ・キャンセラーを装備したり、2バンドEQプリアンプを内蔵したりと、まったく別物として仕上げました。もちろんジャズ・ベースのサウンドも出ます。

──ユーザーにチェックしてもらいたいポイントは?
 見た目のカッコ良さは一番大事だと思います。また、仕上げが良いとか、弾きやすいというのは当然の部分なので、ノイズの少なさとサウンド・バリエーションの広さでしょうか。

──他ブランドとの差別化を図るために取り入れている、独自のアイディアはどんなところですか?
 一番注目してほしいのはSagoとSonicのコラボ・ブランドだということです。お互いの持つノウハウやアイディアを惜しみなく出し合った結果、それぞれ単独では作り得なかったものができあがったと思っています。具体的には、リグナムバイタ指板やサーモ・ボディの採用、ペイズリー柄にガラスフレーク・ラップ塗装のフィニッシュなどは、Sagoがオリジネーターですし、独自のアイディアだと思います。オリジナルのサーキットやブリッジには、これまでSonicが培ってきたノウハウを注ぎ込んでいます。

──デザインや仕様で"日本人向き"ということを考慮している部分はありますか?
 考慮したわけではありませんが、これまで日本人のオーダーがほとんどで、そのデータをもとにいろいろ考えたので、結果、日本人向きになっているかもしれません。ただ、むしろ世界で通用する楽器にしたいと考えています。

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Total Impression

伝統的な楽器の作りに、新しい知識や試みが取り入れられ
時代性を反映した楽器作りというのも感じました。

 国産9ブランドの試奏ということでしたが、ここまで個性的なモデルたちが出てくるとは思いませんでした。もっと、いわゆるレプリカ・モデルが多いと思っていたので、新しい時代が来たなというのが率直な感想です。伝統的な楽器の作りに、新しい知識や試みが取り入れられているというのが全体的な特徴だと感じましたし、多様なリズムやジャンルの細分化、その組み合わせが進んでいる現代の音楽や、時代性を反映した楽器作りというのも感じました。どのベースもクオリティが高かったですし、やはり日本の楽器はしっかり作られていますね。
 全体的に、JBタイプが基本というのはありましたけど、そのなかにこれまでの楽器のDNA、例えばスペクターやカール・トンプソンなどの個性が顔を覗かせることもありましたし、また新しいステージが開けているように思いました。ひと回りして80年代っぽさが来ているようにも感じますし、60年代や70年代の楽器そのままではなく、そういった80年代的なアレンジが入っているようにも思います。
 もう一点、これまでのいかにもアクティブっぽいベースに比べて、3バンドEQにマスター・トーンが付いていたり、パッシブでもハイファイだったりと、アクティブとパッシブの垣根がずいぶん変わってきたのも印象的でした。
 個人的には、Kazu Guitar Villageのアコースティック感は自分がイメージしているサウンドに近くて良かったですし、Wood Custom Guitarsも素晴らしかったですね。それと、見た目的に最初はちょっとと思ったD's designも弾きやすかったですし、スペクターのDNAを受け継いでいる感じで良かったです。これこそ個人の思い入れがハッキリ出ているという点で、個性的なベースですね。
 これまでのビンテージの再現のような流れは、それまでなかったから必要とされたと思うんですけど、そのシーンが熟成しジャンルや価値が確立されたからこそ、次に踏み出せるようになってきたのかなと思います。これだけ個性的な楽器がたくさん出てきて、それに引っかかるプレイヤーもいる。それがまた新しい音楽のインスピレーションになるんだと思いますね。

ベース・マガジン 2018年3月号では、
本記事で取り上げたベースの音が聴けます!

 本記事はリットーミュージック刊『ベース・マガジン 2018年3月号』の特集記事「新世代国産ブランドの実力」を転載しています。同記事はCD連動特集で、ここで紹介した珠玉のベースたちを渡辺等氏が試奏した音源を収録。目で見て、耳で聴いて楽しめる特集となっています。ぜひチェックしてみてください!

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プロフィール

渡辺等
わたなべ・ひとし●1960年7月30日生まれ。19歳よりプロ活動を開始。ジャンルを問わず国内ファーストコールのベーシストとして数多くのアーティスト・サポートを展開してきた。ソロ・アーティストとしては、これまでに5作品をリリース。エレキ&ウッド・ベースやチェロに加え、マンドセロ、ブズーキなど特殊な弦楽器に対する造詣も深く、ジャンルにとらわれない幅広い活動を行なっている。

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