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斎藤誠が弾く! マーティン2018年ニュー・モデル & 超豪華D-200 DELUXE

Martin / 000-28、OM-28、D-41、D-42、D-200 DELUXE

  • 制作:デジマート・マガジン 取材・文:坂本信 写真撮影:八島崇 動画撮影&編集:熊谷和樹 録音:嵩井翔平

好評連載MARTIN TIMES。19回目となる今回は、マーティンを代表するスタンダード・シリーズの2018年モデルを4本(000-28、OM-28、D-41、D-42)紹介します。使い込まれたビンテージ風の渋いルックスと、現代の音楽シーンに合わせてスペックを変更した演奏性が同居する2018年モデルのサウンドを、お馴染み斎藤誠氏の演奏でお楽しみください。また今回は特別に、2017年に話題を呼んだ超豪華仕様のD-200 DELUXEも登場! めったに聴けないその音に要注目です。

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斎藤誠が弾く!
マーティン2018年ニュー・モデル & D-200 DELUXE

Special Talk Session
斎藤誠が語る! マーティン2018年モデル
000-28、OM-28、D-41、D-42、D-200 DELUXEの魅力

新仕様となった2018年スタンダード・シリーズの特徴

 マーティンにはD-18やD-28、000-28のように、数十年にわたって製造され続けてきた息の長い人気モデルがある。これらはマーティンの定番であるばかりでなく、“アコースティック・ギターの世界そのもの”における標準器としての地位を堅持しているが、長年の間にネック・ジョイントやブレイシングの位置およびその形状、スタイル28以上のモデルではボディ材のローズウッドがブラジリアンからイースト・インディアンに……といった具合に、それぞれの時代における音楽的要求や環境などのさまざまな理由から、モデル名は変わらないものの、細かい仕様変更が行なわれてきた。

 近年では時代を経たビンテージ楽器のルックスが好まれる一方で、演奏面ではフィンガー・スタイルやピック弾きを織り交ぜ、楽器の音域をフルに使った現代的なスタイルへの対応が求められるようになっている。マーティンのラインナップの中心となるスタンダード・シリーズで、それにいち早く対応したのが定番の1本であるD-18だ。すでに2012年にはエイジング・トーナー仕上げやべっ甲柄のピックガード、オープン・ギアのペグといったビンテージ風の外装を採用する一方、ネックはロー・オーバル・シェイプにハイ・パフォーマンス・テーパー、それに合わせてナット幅もわずかに広い1 3/4インチという、モダン・スタイルの演奏性を提供するモデルに生まれ変わっている。

 D-28もこれに続き、昨年(2017年)には同じ方針によるモデル・チェンジが行なわれた。そして今年のNAMM SHOWでは、スタンダード・シリーズのほかの機種もこれらのドレッドノートに倣う形で仕様変更されることが発表されたのである。

 そこで今回は、新仕様となった000-28とOM-28、そして、同じ40番台でいまひとつ違いがわかりにくかったと思われるD-41とD-42を、お馴染み斎藤誠氏のデモ演奏を交えてご紹介しよう。

Standard Series
000-28

000-28


000-28(Back)

バインディングやヒール・キャップなどの白いパーツは、落ち着いたアンティーク・ホワイトに変更

オールド・スタイルに変更されたロゴ

黒からべっ甲柄に変更された、ブリッジ・ピンのドットとピックガード

 1931年にドレッドノートの製造が始まるまで、000はマーティンのラインナップ中で最大サイズのボディだったが、現在ではむしろコンパクトなギターの代表格となっている。2018年仕様の000-28における変更点のうち、サウンドに最も大きな影響を与えるのは、Xブレイシングが従来のノン・スキャロップトからスキャロップトになったことだろう。また、ペグがオープン・ギアに、バインディングがボールド・ヘリンボーンにそれぞれ変更され、以前の仕様よりさらにオールドらしい雰囲気がプッシュされている。
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【Specifications】
●トップ:シトカ・スプルース ●サイド&バック:イースト・インディアン・ローズウッド ●ネック:セレクト・ハードウッド ●指板:エボニー ●ブリッジ:エボニー ●スケール:24.9インチ(632.5mm)●ナット幅:1 3/4インチ(44.5mm)●トップ・ブレイシング・パターン:スタンダードX・スキャロップト ●価格:¥470,000(税抜き)

Makoto’s Impression

 このギターにはミュートから始まるピック弾きのストロークの曲を選びましたが、これは現場入りする前から決めていました。000はドレッドノートほど音が広がらないだろうから、ミュートを交えたロック的なアプローチや、歌のバッキングのようなビートを感じる弾き方が良いかなと思ったんですよね。今回ブレイシングがスキャロップトになったとはいえ、試奏した4本の中では一番おとなしい音で、そういう楽器はガンガン弾けるという意識が僕の中にはあるんです。だからこの曲でも、展開部のところではけっこうリズミカルで細かいカッティングもやりましたが、思ったとおり、このギターにピッタリでしたね。

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Standard Series
OM-28

OM-28

OM-28(Back)

OMのボディ周りは000と同仕様だが、ピックガードは小型のものになっている

ビンテージ感を演出するダイヤモンド&スクエアのインレイとヘリンボーンのパーフリング

オープン・ギアのペグはシャーラー製を採用

 OMは、1929年にペリー・ベクテルの注文を受けて、マーティンで初めて14フレット・ジョイント・ネックを採用した画期的なギターである。スタンダード・シリーズのOM-28は、スキャロップトXブレイシングやハイ・パフォーマンス・ネック、ボールド・ヘリンボーンといった多くの仕様がすでに採用されており、2018年モデルではバインディングやエンド・ピースがアイボロイドからアンティーク・ホワイトに、バック・ストリップがジグザグからスタイル28にといった、小規模な変更のみとなっている。
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【Specifications】
●トップ:シトカ・スプルース ●サイド&バック:イースト・インディアン・ローズウッド ●ネック:セレクト・ハードウッド ●指板:エボニー ●ブリッジ:エボニー ●スケール:25.4インチ(645.2mm)●ナット幅:1 3/4インチ(44.5mm)●トップ・ブレイシング・パターン:スタンダードX・スキャロップト ●価格:¥470,000(税抜き)

Makoto’s Impression

 OMは僕にとって一番馴染みがありますが、このギターは鳴りも良かったし、粒立ちも一番ハッキリしていたと思います。デモは前半が指弾きで、途中からピック弾きに変わりますが、指の腹で弾いてもアルペジオが1音1音キレイに出てくれますね。ロング・スケールでテンションの強いOMはだいたいそうなのかもしれませんが、000だと少しがんばらなきゃと思うところでも、OMだとあまり力を入れなくても音が強く出てくれるのが僕にはありがたいんですよ。ちなみに、最初のAセクションで指弾きしていたのと同じフレーズが最後に少しだけピック弾きで再現されるので、指弾きでも力強い音が出るOMらしさを確かめてもらえるんじゃないかと思います。

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Standard Series
D-41

D-41


D-41(Back)

バインディングとブロック・インレイのロゴは40番台ならでは。ポジション・マークはヘキサゴン

豪華なアバロンのパーフリング

カラフルな素材を組み合わせた、スタイル45仕様の美しいバック・ストリップ

 D-41はもともとマーティンの歴史研究者として知られるマイク・ロングワースによる、“D-45のように豪華な装飾を施しながらも価格を抑えたギターを”という提案を受けて、1970年に発売された比較的新しいモデルである。2018年仕様での変更点は、バインディングなどの仕上げとペグ(エンクローズド・ギアからオープン・ギアに)がビンテージ風に、サウンドや演奏性に関わる部分としては、ブレイシングがフォワード・シフテッドに、ネックがハイ・パフォーマンス・タイプに、それぞれ変更されている。
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【Specifications】
●トップ:シトカ・スプルース ●サイド&バック:イースト・インディアン・ローズウッド ●ネック:ジェニュイン・マホガニー ●指板:エボニー ●ブリッジ:エボニー ●スケール:25.4インチ(645.2mm)●ナット幅:1 3/4インチ(44.5mm)●トップ・ブレイシング・パターン:フォワード・シフテッドX・スキャロップト ●価格:¥680,000(税抜き)

Makoto’s Impression

 先日、僕のラジオ番組で浜崎貴司さんとセッションをしたんです。その時にD-41を弾かせてもらったんですけど、彼のD-28とは全然違うなぁと思ったんですよ。低音弦がものすごく鳴るけれど、だからと言って高音弦の音を覆いつくしてしまうわけじゃなく、バランスが良いところにビックリしました。それで今回D-42と比べたら、ほかの弦も音量が違うんですよね。こういうバランスのDは今までに弾いた覚えがなくて、すごく自分に合っているような気がしました。これは今回の発見でしたね(笑)。デモはジョン・レノンがボブ・ディランに影響を受けて最初に作った曲みたいな(笑)、鳴りに余裕のあるアコースティック・ギターのストロークが味わえるものを選びました。

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Standard Series
D-42

D-42


D-42(Back)

スタイル42からは、ブリッジの両翼部分にも華やかなスノー・フレークのインレイが入る

ネックのマルチ・ストライプ・バインディングと、指板周りのアバロン・インレイもスタイル42の特徴

ピックガードは塗り込み風で、エッジがなめらかに仕上げられている

 “42”は19世紀末から存在する由緒あるスタイルだが、ドレッドノートのスタイル42となると、当時ラジオで人気を博したテックス・フレッチャーのために1934年に1本のみ製作された“左利き用で指板に彼の名前のインレイを入れた個体”や、いくつかのカスタム品、1980年代以降に登場した限定モデルしか存在せず、1996年にようやくスタンダード・シリーズに加わり、2018年にほかの機種と同様の仕様変更が行なわれた。D-41とのおもな違いは、ボディ上の指板周りのアバロン・インレイと、ブリッジ上のインレイの有無、指板上のインレイ・スタイルである。
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【Specifications】
●トップ:シトカ・スプルース ●サイド&バック:イースト・インディアン・ローズウッド ●ネック:ジェニュイン・マホガニー ●指板:エボニー ●ブリッジ:エボニー ●スケール:25.4インチ(645.2mm)●ナット幅:1 3/4インチ(44.5mm)●トップ・ブレイシング・パターン:フォワード・シフテッドX・スキャロップト ●価格:¥860,000(税抜き)

Makoto’s Impression

 このギターには、指弾きを基本にした一番おとなしい曲を選びました。途中でピック弾きに変わりますが、そこも本当にそお〜っと弾いていて全体が優しいサウンドになっているので、繊細な楽器が合うかなと思ったんです。この手の曲では、低音弦の音が太すぎると、プレーン弦を指で弾くメロディのパートが負けちゃうんですよ。その点、D-42だと41よりも高音の伸びがハッキリと聴こえてくるから、やはりこの曲で使ったのは正解だったと思います。本来の40番台が持つゴージャスな感じも、曲の雰囲気にピッタリ合っていたような気がしますね。ひとりでつま弾いたときのうれしい感じが何とも言えません。

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Limited Editions
D-200 DELUXE

D-200 DELUXE


D-200 DELUXE(Back)

トップやボディ材だけでなく、ハワイアン・コアなどの装飾用材も選りすぐりのものを使用

ヘッドと指板をまたぐ大胆なインレイや彫刻を施したノブなど、すべてが豪華な特別仕様

D-200に付属するRGM社の特製腕時計

 2017年にマーティン・ギターの製造台数が200万台を突破した記念として、1833年の創業から184年という“時間の経過”をテーマに、同じペンシルベニア州で手工時計を製造しているRGM社とのコラボレーションにより企画された、生産本数50本の限定モデル。時計をモチーフとしたインレイを全面に施し、トップには見事なベアクロウ杢の浮き出たイングルマン・スプルース、ボディはCITESの規制以前に仕入れたブラジリアン・ローズウッドを使用し、さらにはRGM社の特製腕時計も付属するという、文字どおりの超豪華モデルである。
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【Specifications】
●トップ:イングルマン・スプルース ●サイド&バック:ブラジリアン・ローズウッド ●ネック:ジェニュイン・マホガニー ●指板:エボニー ●ブリッジ:エボニー ●スケール:25.4インチ(645.2mm)●ナット幅:1 3/4インチ(44.5mm)●トップ・ブレイシング・パターン:フォワード・シフテッドX・スキャロップト ●価格:オープン

Makoto’s Impression

 これは先日の伊勢丹のイベントでもちょっと弾きましたが、今回改めてちゃんと弾いてみて、これだけの装飾のためにいろんな部分がミュートされるかと思ったら、そうでもなかったというのが一番の驚きでしたね。世界中のギター・メーカーでこういうことができるのはマーティンだけだろうし、そこにマーティンならではの遊び心や余裕が感じられます。こういう記念モデルが作られてうれしいと思う人も絶対にいるでしょうね。このギターのデモ演奏はあらかじめ用意した曲ではありません。これを実際に手にできた僕は相当な幸せ者だなぁと感じながら、その素直な気持ちを表現してみました。今後、これ以上のギターを弾く機会はないでしょう(笑)。

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Makoto’s Impression〜試奏を終えて

 今回は、用意してきた曲と楽器の組み合わせが現場に来てから自然に決まって、それがすごくうまく行った感じでした。2018年仕様は要するに、“それまで真っ白だったギターが使い込んだ感じの仕上げになった”ということですね。真新しい色のギターというのも弾く時にはそれなりのモチベーションになるけれど、使い込まれた美しいギターを弾いていると思えば、やっぱり落ち着きますよね。僕ぐらいの年齢になると、自分と同じくらいの年月を歩んできたようなイメージが漂いますし。僕が最初にマーティン・ギターを意識したのは、ビートルズの『ハロー・グッドバイ』のプロモーション・フィルムで、ジョン・レノンが買ったばっかりの真っ白いD-28を使っているイメージが強かったんですよね。でも、時代の流れとともに使い込んだ感じに仕上げる技術も確立してきて、何か感慨深いものがあります。2018年仕様のモデルは、そのほとんどがスキャロップト・ブレイシングで最初から鳴りやすくなっているので、持った瞬間から“いいなぁ~”って気持ちになれるんですよね。あと、個人的にはシャーラー製のオープン・ギアのペグが好きです。ビンテージのルックスの中に新しいものを入れてきたなっていう感じがしますし、デザインがカワイイですよね。

Martin Times〜It's a Beautiful Day バックナンバーはこちらから!

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製品情報

プロフィール

斎藤誠(さいとう・まこと)
1958年東京生まれ。青山学院大学在学中の1980年、西慎嗣にシングル曲「Don’t Worry Mama」を提供したのをきっかけに音楽界デビューを果たす。1983年にアルバム『LA-LA-LU』を発表し、シンガー・ソング・ライターとしてデビュー。ソロ・アーティストとしての活動はもちろん、サザンオールスターズのサポートギターをはじめ、数多くのトップ・アーティストの作品への楽曲提供やプロデュース活動、レコーディングも精力的に行なっている。2013年12枚目のオリジナル・フルアルバム『PARADISE SOUL』、2015年にはアルバム「Put Your Hands Together!斎藤誠の嬉し恥ずかしセルフカバー集」と「Put Your Hands Together!斎藤誠の幸せを呼ぶ洋楽カバー集」の2タイトル同時リリース。そして2017年4月26日には全曲マーティン・ギターによる弾き語り&セルフ・カバーの待望の新譜、『ネブラスカレコード〜It’s a beautiful Day〜』をリリース! また、本人名義のライブ活動の他、マーティン・ギターの良質なアコースティック・サウンドを聴かせることを目的として開催されている“Rebirth Tour”のホスト役を長年に渡って務め、日本を代表するマーティン・ギタリストとしてもあまりにも有名。そのマーティン・サウンド、卓越したギター・プレイを堪能できる最新ライブ情報はこちらから!

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