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Heavy Gauge Guitars【2018ギター工房放浪記。】

Heavy Gauge Guitars

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敬遠されがちな極端な改造・調整も、豊かなアイディアで対応!

 前項に引き続き、こちらも船橋市の工房をご紹介。JR、東武、京成線の船橋駅から至近にあるのがこのHeavy Gauge Guitars。約20年にわたり医療機器メーカーなどで営業や薬事申請などをしていた大城淳氏が、脱サラして2014年6月にまずは中古楽器店としてスタート、現在は修理、調整、改造やコンポーネントなどにも対応している。楽器店の店主としては珍しい経歴の持ち主だが、高校時代から、凹んだフレットを擦り合わせしたり、木目を生かしたくてアクリル板から透明ピックガードを自作。その後道具を揃えてリフレットやリフィニッシュまで手がけるようになったという。その理由として大きかったのは、自身のストラトに.012~.054の弦を張っているという点。イレギュラーな調整が必要となるせいか、手近なショップに持ち込んでも要望が伝わりにくかったり、出来にも満足できなかったため、結局全部自分でやるようになったという。独学で学んできただけでなく、開業にあたって専門学校に通って基礎から学び直してもいる。

「レイ・ヴォーン、ザック・ワイルド、ゲイリー・ムーアが好きで、太い弦を使っていたんです。お店の名前はそこから。“Heavy Gauge Guitars”という響きも気に入ったし。たまに“全部太い弦張ってあるんですか?”って聞かれますけど(笑)、販売しているエレキは基本的に.009~か.010~ですよ(笑)」

 そう語る大城さんの理想のお店とは?

「親しみやすいお店にしたいですね。僕はギターを通じて友達ができたので、そういう場所にしたいというのもあります。わかりやすく、詳しく、誠実に。中古ギターを販売する場合は、良くないところや修理履歴などもできるだけ紹介しています。修理や調整、改造に関しても、ちゃんとデメリットも伝えることは心がけてます。また、自分のプレイヤーとしての経験も生かして相談にも応じています。例えばアームの調整などは通常のシンクロ・タイプはもちろん、ムスタングのダイナミック・トレモロなど、調整そのものはもとより、使い方までしっかり説明。ダウン・チューニングが一般化したせいか、太い弦に関する相談も多いです。やっぱりネックが心配なのは当然ですしね」

 今のところは独自のアイディアの引き出しを増やして、修理や調整、改造、コンポーネントなどでお客さんひとりひとりに応えていくのがおもしろいという。実際、プレイヤー目線で実用性や操作性も重視したアイディアをいくつか実現している。その一例が、ロータリー・スイッチを使用した3段階のモード切り替えスイッチだ。

「例えば見た目は普通のストラトのままで、トーンのひとつをウチのモード切替スイッチにできます。追加される音色は一般的なミニ・スイッチを用いた改造に準じていますが、単にサウンド・バリエーションを増やすのではなく、“演奏中では一般的なストラトと同じく5wayスイッチを主体に操作しやすくする”、“曲によってモードを使い分ける”という点がポイント。単純によくある改造をするだけじゃなくて、使い勝手も考えて実現できるアイディアがあればどんどん提案しています」

 客層は幅広く、しかも偏りが少ないそう。地元のプロ・ミュージシャンも多いとのことだ。

「修理依頼の内訳は、古いモデルのオーバーホール、レストアが一番多いです。次にフレットやナットなどネックまわり、次が配線関係。ブログに載せているからか、ピックガード製作も多いかな。普通のはもちろん、透明アクリルとか木材で!というのが多いですね。気に入っていただいたお客さんがリピーターになってくれたり、そこから紹介で広がることもすごく多くて。ウチでギターを修理したおじさんのバンド仲間の娘さんが、高校で軽音部に入って“中古にしなさい”って言われたから来たとか(笑)」

 頑固そうな店名とは裏腹に、あらゆる客層のあらゆる要望に柔軟に対応しているHeavy Gauge Guitars。丁寧な対応で必ず納得の行く結果が得られるはずだ。

Shop Data

Heavy Gauge Guitars(ヘヴィ・ゲージ・ギターズ)

〒273-0005
千葉県船橋市本町5-1-9 2F
047-481-8597
http://heavygaugeguitars.com/

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