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mabanuaが語る“UNIVERSAL AUDIO Apolloラック”を選んだ理由

UNIVERSAL AUDIO Apollo 8

UAD2プラグインのリアルタイム・プロセッシングを行なうDSPや、プリアンプの名機をエミュレートできるUNISONテクノロジーを搭載した人気のオーディオI/O、UNIVERSAL AUDIO Apolloシリーズ。日本ではテーブルトップ型のApollo Twin MKIIが幅広いユーザー層に支持されているが、1UサイズのApolloラックも多くのプロ・ミュージシャンやレコーディング・エンジニアに愛用されている。ここでは非凡なドラマーであるとともに、トラック・メイカー/シンガー・ソングライターとしても活躍するmabanua氏に、愛機“Apollo 8”について語っていただいた。

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さまざまなモニター環境を作るために最適なApollo 8の出力

── UNIVERSAL AUDIO Apollo 8を導入した経緯を教えてください。

mabanua  ヘッドフォン出力からの音が良いオーディオ・インターフェースをずっと探していて、Apolloを試聴したらすごく音が良かった。ほかに比べてすごくタイトな音質だったんです。ヘッドフォン・アンプとして使うならApollo Twin MKIIでも良いかなと考えたんですが、自分はドラマーなので将来的にUNISONテクノロジーを使ってNEVEやUAのマイクプリを再現した状態でドラム録音をしたい。それならアナログ入力が多いApolloラックが必要だろうと思いました。さらに外部のDAコンバーターも併用したかったのでデジタル・アウトも欲しい。そういう理由で複数のアナログ入力端子とS/P DIFデジタル出力を搭載しているApollo 8を必然的に選んだという感じですね。

── スピーカーとヘッドフォン、どちらで作業されることが多いですか?

mabanua  基本的にスピーカーですが、最終的な音決めではヘッドフォンを使います。とにかくいろんな環境で聴き比べできるようにモニター環境のパターンをたくさん作るようにしているんです。普段はDAWの音はApollo 8のデジタル・アウト経由でDAコンバーターからスピーカーへ送っていますが、Apollo 8のアナログ・アウトとスピーカーを直接つないで出音を確認することもあります。Apollo 8のモニター・ファンクション・スイッチにDimをアサインして音量を下げられるようにしてあるんですが、音量によっても出音のバランスが変わるので、Dimで音量変えてミックスの確認する時もすごく使いやすいですね。

ラックの上段から順にUNIVERSAL AUDIO Apollo 8、SHADOW HILLS Mono Gama(フレームはINDELL AUDIO 506)、ANTELOPE AUDIO Zodiac、LINE 6 Pod Pro、REAL SOUND LAB APEQ-2Proなどが並ぶ。ラックの上にはBEYERDYNAMIC DT 250/80、SENNHEISER HD650が置かれている

── 1つの作品を作る上でいろいろなモニター環境を試されるんですね。

mabanua アレンジして終わりだったらヘッドフォンもスピーカーも1個ずつあれば問題ないですけど、ミックス・ダウンして納品するとなるとここできっちり判断しておかないとまずいですからね。ヘッドフォン・アウトも機種によって音のキャラクターが違うので、外部DAコンバーターのヘッドフォン・アウトにもつなぎ変えてチェックします。ヘッドフォンは密閉型とオープン型の2つを使い分けていて、カスタムのイヤフォンも使っています。Apollo 8にはフロントにヘッドフォン端子が2つもあって、しかもボリューム・コントローラーが独立しているところもとても便利ですね。あと、最近ウッド・コーンのコンポを買ったので、これを部屋の後ろにセットしてApollo 8とつないでモニター環境を増やそうかなと思ってます。Apollo 8のリア・パネルにはまだ使っていないモニター・アウトが空いているので。

mabanuaが愛用するUADプラグイン

── Apollo 8 Quad(DSP×4基搭載モデル)を選んだのは、UADプラグインをたくさん使うことを想定されてのことでしょうか?

mabanua  そうですね。以前、実機のTHERMIONIC CULTURE Culture Vultureを持っていたんですが、機材の入れ替え時に手放しちゃって……実は一番後悔していることなんですよ(笑)。だけど、それがUADプラグインで出てることを知って“これは欲しい!”と思って。そのほかにもプレート・リバーブのEMT 140の音質が良いと評判だったので、これらを使うならなるべくパワーがあった方が良いんじゃないかと考えました。

mabanua氏が使用しているUADプラグインの一部:(写真左から)Thermionic Culture Culture Vulture、EMT 140、NEVE 1073 preamp、UA610-A

── 普段使っているUADプラグインはこの2つが中心ですか?

mabanua  はい。Thermionic Culture VultureとEMT 140に加えてNEVE 1073プリアンプをメインで使ってます。実機はアナログだから音が良いと思われがちなんですけど、ApolloのUNISON機能はプリアンプを回路からエミュレーションしていて音やせもしてないし、中域がガッチリしているようなあのNEVEの感じがあります。欲しい音のキャラクターによってほかのハードのプリアンプと使い分けているんですが、ビンテージっぽい音を録りたい時はUNISONでNEVE 1073プラグインを使っています。そのほかにもAPI 500シリーズのEQプラグインを持っていて試行錯誤しながら使っているところです。あと、Shadow Hills Mastering Compressorは試聴したらすごく良かったのでこれから買おうかなと思っています。

UAD Shadow Hills Mastering Compressor:2ミックスのマスタリング用コンプレッサー。実機の価格は100万円以上だが、UADプラグインなら3万円前後で入手できる

mabanuaが音楽制作で意識していること

── Apollo 8を外部スタジオに持ち運んで使うことはありますか?

mabanua  メジャーなスタジオの場合は機材がそろっているのでApollo 8で録る必要性があまり無いのですが、自分がやっているバンド(Ovall)とかインディーズのプロジェクトが結構あって、そういう時に手ごろなスタジオを借りて録音するならApollo 8のUNISON機能が一番役に立つよねって仲間と話してたところです。

── 制作ではソフト音源の使用が多いですか?

mabanua  そうですね。ほとんどはソフト音源だけで作っちゃうんですよ。生楽器をいかにソフト音源で再現するかという、演奏の技術と音源の音の良さを高めていきたいですね。良いプリセットをできるだけ多く知っておくことも仕事のスピードと音の良さにつながっていくはずです。生っぽく感じさせるためには空気感で、その中で一番重要なのはリバーブじゃなくて、アンビエンスやルームなんですよ。これがあるかないかで全然音の広がりが変わるんです。UADプラグインでも感じますが、最近のソフトウェアはすごく良くできてますね。

── Apolloのミキサー部をコントロールしてできるソフトウェアConsoleには、レイテンシーを感じることなくソフト音源にUADプラグインがかけられるバーチャル・インプットがあり、モノラル換算でApollo Twin MKIIは4つ、Apollo 8は8つ用意されています。ソフト音源を演奏する時に使うと面白いかもしれません。

mabanua えっ、そうなんですか? じゃあやっぱりApollo 8を買っておいて良かったですね。オーディオ・インターフェースを20〜30万円クラスの中からを選ぶ場合って、どれも十分クオリティが高いと思うので迷うと思うんですが、Apollo 8は、UADプラグイン専用のDSPとUNISON機能を搭載している明確なメリットがあって「待ってました!」って感じですよね。デザインもかっこいいですし。

こちらも合わせてご覧ください
→ 中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES)が語る“UNIVERSAL AUDIO Apolloラック”の魅力

UNIVERSAL AUDIO Apolloラック・シリーズのラインナップ

Apollo8

実勢価格 Duo:245,000円(税別)/Quad:288,000円(税別)

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 18イン/24アウト仕様。UNISON対応のマイクプリを4基備えフロント・パネル左のノブでゲインを調整することができる。DSPを2基搭載する“Duo”と4基の“Quad”の2つのバリエーションをラインナップ。Apolloシリーズの中で唯一S/P DIFイン/アウトを装備している。

Apollo 8P

実勢価格 340,000円(税別)

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 16イン/20アウト仕様。UNISON対応のマイクプリを8基備えApollo 8と同じくフロントのノブでゲイン調整が行える。DSP搭載数は4基。

Apollo 16

実勢価格 340,000円(税別)

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 18イン/20アウト仕様。マイクプリは非搭載(UNISON非対応)だがD-Sub 25ピンの入出力を備え、Apollo 8/Apollo 8Pの2倍のアナログ接続数に対応する。DSPの搭載数は4基。リアにはThunderbolt端子×2やMADIイン/アウト、AES/EBUイン/アウト、モニター・アウトL/R、ライン・アウト1~8と9~16、ライン・イン1~8と9~16などが用意されている。

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Universal Audio / Apolloラック・シリーズ

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