Marshall / DSL1C
多くのスタジオやライブハウスに常設されているマーシャルの真空管アンプ、JCM2000。そのサウンドと操作性を継承したコストパフォーマンス・モデルDSLシリーズが今回フル・モデル・チェンジし、1Wサイズの真空管アンプ、DSL1Cがラインナップに加わった。
Marshall / DSL1C
現代的な小型サイズながら伝統的なマーシャル・サウンドを生み出すこのDSL1Cは、おもにホーム・ユースに最適化されている。プリアンプ部にECC83を2本、パワー・アンプ部にECC82を1本搭載し、真空管ならではの「迫力のある」1W出力から、ベッド・ルームでの使用に最適な0.1Wまでアッテネート可能。0.1W時にも真空管ならではの倍音が感じられるのがうれしい。
チャンネルは、クラシック・ゲイン・チャンネルとウルトラ・ゲイン・チャンネルを選択することができる。クラシック・ゲイン・チャンネルは、トラディショナルなマーシャルのクリーン&ロー・ゲイン・クランチが持ち味。出力の高いハムバッカー・ピックアップなら十分なオーバードライブ・サウンドまで対応できるだろう。ウルトラ・ゲイン・チャンネルはDSLシリーズならではの深いハイゲイン・オーバードライブを生み出す。このチャンネルはジェフ・ベック的なアプローチから、多弦ギター／ダウン・チューニングによる激烈なサウンドまでカバーできる。
イコライザーは両チャンネル共通。プリアンプEQのミッド・レンジ部分を変えることができるトーン・シフト・スイッチも搭載しており、ノーマル時には昔ながらのマーシャル特有のEQ、スイッチをONにするとモダンなEQシェイプに変化する。さらにリバーブも搭載されているのはうれしいポイントだ。デジタル・リバーブならではの広がりのあるサウンドは、クリーンでもリード用の歪みに合わせても良いだろう。
深夜練習にも最適なヘッドフォン・アウトも搭載。ヘッドフォン・アウトはスピーカー・エミュレーター回路を通過するので、アンプの前にマイクを立てたサウンドをモニターしている感覚で使用できる。また、スピーカー・アウトからケーブルを抜けばサイレント・モード（スピーカーから音を出さない）となる。ヘッドフォン・アウトはそのままライン・アウトにも対応するので、DTM環境でも威力を発揮するだろう。
バック・パネルにはフット・スイッチ端子、エフェクト・ループ、オーディオ・イン端子、エミュレーテッド・アウト端子、0.1Wにまで出力を下げるロー・パワー・スイッチを装備している
クリーン・チャンネルはペダル・フレンドリーな印象なので、ペダル愛好家のみなさんにもお試しいただきたい1台だ。
また、今回ご紹介した1Wのコンボ・アンプのDSL1C以外にも、ヘッド・タイプのDSL1H、セレッションの10インチ・スピーカーを一発搭載した5W仕様のDSL5C、20W仕様ながらもフル・サイズ・アンプと同様にパワー管にEL34を2本採用し、プレゼンスとレゾナンス・コントロールも搭載することで、より細かいサウンドメイクが可能なDSL20HとDSL20Cもラインナップされているので、それぞれの用途に合わせて選んでほしい。
Marshall / DSL1H
Marshall / DSL1H（Back）
Marshall / DSL5C
Marshall / DSL5C（Back）
Marshall / DSL20H
Marshall / DSL20H（Back）
Marshall / DSL20C
Marshall / DSL20C（Back）
価格：オープン
価格：オープン
価格：オープン
価格：オープン
村田善行（むらた・よしゆき）
ある時は楽器店に勤務し、またある時は楽器メーカーに勤務している。その傍らデジマートや専門誌にてライター業や製品デモンストレーションを行なう職業不明のファズマニア。国産〜海外製、ビンテージ〜ニュー・モデルを問わず、ギター、エフェクト、アンプに関する圧倒的な知識と経験に基づいた楽器・機材レビューの的確さは当代随一との評価が高い。覆面ネームにて機材の試奏レポ／製品レビュー多数。
【使用機材】
使用ギター：Gibson Custom Shop / Les Paul Standard
使用ギター：Fender / Stratocaster
