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堀江晶太(PENGUIN RESEARCH)が弾く! GENZLER MG350-BA10 Combo

GENZLER AMPLIFICATION / MG350-BA10 Combo

ハイエンドなベース・アンプに定評のあったゲンツ・ベンツの創始者/開発者ジェフ・ゲンツラーが、自らの名を冠して2015年に立ち上げた新ブランドが“ゲンツラー”だ。ベース専用キャビネットでは世界初となる“ラインアレイ・システム”の採用を始め、現場主義の先見性と高い技術力を惜しみなく投入した同社製品のなかから、今回は350Wの高出力で多彩な音作りが可能なMG-350ヘッドと、10インチ・ネオジウム・ウーファー1基と2.5インチ・ネオジウム・ドライバーを4基搭載するBass Array10-2ラインアレイ・キャビネットで構成されたベース・コンボ・アンプ、MG350-BA10 Comboをピックアップ。自身のバンドであるPENGUIN RESEARCHのほか、数多くのアニメ/ゲームの音楽制作で注目を集めている新進気鋭のベーシスト/クリエイターである堀江晶太に、その実力をチェックしてもらった。

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独自のスピーカー・システムを搭載した
全方位型の画期的ベース・アンプ

 MG-350ヘッド・アンプとBass Array10-2キャビネットで構成されたMG350-BA10 Combo。

 MG-350は、モデル名どおり最先端のクラスDパワーアンプ設計を採用した出力350Wのモデルだ。ミドルの中心周波数を150Hzから3kHzの間で選択できるミドル・フリケンシー・コントロールを含む3バンドEQに加え、同社アンプ・ヘッドのフラッグシップ・モデルであるMAGELLAN 800にも搭載されている2種のEQカーブを切り替え可能な“コントゥアー”コントロールも装備しており、緻密にも直感的にも音色を作り込んでいくことが可能だ。入出力端子には、出力のマイク/ライン・レベルやプリ/ポストの切り替えが可能なダイレクト・アウトのほか、外部CD/mp3プレーヤーなどを接続できるAUXイン、自宅練習時などに効果的なヘッドフォン・アウトも備える。

▲本機は、1ノブでサウンド全体のキャラクターを変化させるコントゥアー・コントロール(カーブ・スイッチで調整するEQカーブを2種類から選択可能)と、ミドル周波数可変(150Hz〜3kHz)の3バンドEQ(ベース=75Hz周辺、トレブル=6kHz周辺/±15dBのブースト/カット可能)を装備

▲バックパネルには、スピーカー・アウト×2、インピーダンス切り替えスイッチ、AUXイン、ヘッドフォン・アウト、バランスド・アウトなどを装備する

 キャビネットに目を移すと、やはり特徴となるのは、縦に4基搭載された2.5インチ・ネオジウム・ドライバー。ラインアレイ・システムと呼ばれるこの方式は、リスニング・オーディオやPAシステムの分野では認知度の高い方式で、縦の指向性の抑制、横の指向性の拡張がおもな効果となる。メイン・スピーカーは10インチのネオジウム・ウーファーで、これらふたつの方式のスピーカーを同一上に置くことで、相互干渉や位相差を回避し、分離感のないより自然なサウンドで、5弦などの低域のクリアさや中域&高域のノイズの低下を実現しているのだ。

▲キャビネットは、やや上向きにスラントした筐体となっており、小型ながらモニタリングにも配慮された作りになっている

▲“コンボ・アンプ”ではあるが、アンプ・ヘッドはキャビネットに取り付けられた金具にねじ止めされている(手で操作可能)だけなので、ヘッドとキャビネットを簡単にセパレートすることもできる

▲ひとつの10インチ・ネオジウム・ウーファーと、縦に4基並んだ2.5インチ・ネオジウム・ラインアレイ・ドライバーが、同一上に並べられているのが最大の特徴

 また、ヘッドとキャビネットを合わせても11.3kgという軽量さを実現したことで可搬性にも優れているうえ、高周波自動検知ユニバーサル・スイッチ・モード電源(SMPS)によって、電圧を自動的に検知/設定(100~240Vに対応)してくれるため、世界中で使用することができる。国内はもとより、海外も視野に入れた活動を展開しているベーシストからも重宝されそうだ。

【Specifications】
●出力:350W(4Ω) ●プリアンプ:クラスD ●スピーカー:10インチ・ネオジウム×1、2.5インチ・ネオジウム・ライン・アレイ×4 ●コントロール:ミュート・スイッチ、ボリューム、カーブ選択スイッチ、シェイプ、ベース、ミッド、ミッド周波数、トレブル、マスター・ボリューム、ダイレクト・アウト・PI N1グランド/リフト・スイッチ、ダイレクト・アウト・EQプリ/ポスト・スイッチ、ダイレクト・アウト・レベル・マイク/ライン・スイッチ ●入出力端子:インプット、スピーカー・アウト×2、AUXイン、ヘッドフォン・アウト、ダイレクト・アウト ●外形寸法:394(W)×381(D)×406(H)mm ●重量:11.3kg ※市場実勢価格:136,000円前後

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Horie's Impressions
堀江晶太がMG350-BA10 Comboの実力を検証!

EQをフラットのセッティングで弾いて、それで何の不足も感じない

 ゲンツ・ベンツのヘッドは昔試したことがあって、独特なクセはあれど、セッティングがハマると素直な音がする印象があるんです。僕は生音のベースを弾くのが好きで、そのときの音とアンプで鳴っている音にギャップがあるのが好きじゃなくて。生音で弾いているときにこう出てほしいと思うところが、そのまま出てくれる感じがあります。ちゃんと木材の音がするっていうか、そのニュアンスが弾いていてよく伝わってくる。試奏を始めてからしばらくはEQをフラットのセッティングで弾いていて、それで何の不足も感じないくらいでした。ということは、スピーカーも含めて、やっぱりちゃんと設計されているからなんだろうなって思います。もちろん、部屋の環境やセッションごとにEQを使って調整するのもやりやすいと思います。ベースのEQはかなり強力で、フルまで出すことはないでしょうってくらい増幅できますし、逆にカットして使っていくのもけっこう好きですね。音が軽やかになってスピード感が出やすい。ミドルは周波数帯を選べるから、幅は広いですよね。ピンポイントでクッと上げてくれる印象で、音色にもうひとつ味付けをしたいとき、おいしいポイントを狙っていくのも使いやすいと思います。トレブルは個人的にはカットの方向が好きですね。アンサンブルでは、ハイを切ったほうが、そこに逃げられるほかのパートができることで、結果、ベースが聴こえてくるということも経験上多くて。だから、音作り自体はアタッキーにしたうえでミックスのときに4k以上をばっさりカットすることもあるんですよ。そういったところをアンプで狙う場合、トレブルを下げると“ただこもるだけ”みたいなことも多いんですけど、このアンプは鳴っている音の中核の色はそんなに変化させずに、上の聴こえ方を変えてくれる。ちゃんと音楽的に減衰するっていうのかな。こもらせるだけならベース本体のトーンでいいと思うので、ベース本体や右手のピッキングだけじゃコントロールしきれない部分をうまくカットしてくれるありがたいトレブルですね。

音だけ聴けば、例えば10インチ4発とかのキャビなのかなって思うくらい

 スピーカーに関しては、最初はこのサイズなので、家での練習用かなと思ったんです。でも、ロー感の不足も感じないし、“小さいからしょうがないか”とか“小さいなりには出ているな” っていうことを全然感じさせない仕上がりに驚きました。10インチ1発のスピーカーだと、わりと上と下がバッサリとカットされて、“この上は出ないからラインで補強するか”とか、諦めたりもするんですけど、これはロー感もちゃんとあって、ラインも見える。ルックスを見ずに音だけ聴けば、例えば10インチ4発とかのキャビなのかなって思うくらいですね。もちろん厳密に言えば、スーパー・ローとかは得られないかもしれないですし、いわゆるロックの“アンプを背負ったときの音圧感”とかは難しいのかもしれないですけど、自分が弾いていて違和感があるかないかでいうと、まったくない。それは、やっぱり、このラインアレイ・システムが生きているってことなんでしょうね。

 ラインアレイに関しては、ツイーター的な役割かなと思ったんですけど、ただそれだけではないんですね。僕はツイーターがあんまり好きじゃなくて、気にしなくてもいいんだけど鳴ってしまう、ピッキングのちょっとカチッとしたニュアンスのところとか、外音には何の影響もないんだけど自分としては気になる弾きムラとか、明らかにセパレートされた別の成分が出てくるようなものって、弾いていて気になっちゃうことが多いんです。でもこのキャビネットは、セパレートで出力している印象自体がないんですよね。すごく自然。それがおもしろい。普通の10インチ1発だと、もうちょっと、音のぎゅっとした塊がゴロッと出てくるんですけど、そういう密度の高さも感じつつ、イヤミのない上のほうがスッと出てくる。ヘッドとスピーカーのマッチングが良くて、音の上のほうの細かいところもちゃんと再生してくれてる気がするんです。あと、だいたいベースって、スピーカーをどこで聴くかによって音が全然変わるじゃないですか。スウィートスポットから一歩と言わず半歩ズレただけで、聴きたかった音像がマスキングされるような感じというか。そこをちゃんとケアしてくれているのは、弾き手の気持ちをわかってくれているなって思います。

アタックの粒立ちとかリリースのスピード感を汲んでくれて、
ダイナミクスをしっかりと出してくれる

 僕はアタックとサステインが見える楽器が好きで、それを再現してくれる音響機器が好きなんです。このアンプはアタックの粒立ちとかリリースのスピード感をすごく汲んでくれて、ダイナミクスをしっかりと出してくれる。だから今回、弾いていてすごく楽しかったですね。あと最近は、僕もそうなんですけど、足下に並べたエフェクターで音を作り込む人も増えてますよね。そういう場合に、作り込んでからアンプに入力して強いピッキングで弾くと、エフェクターにアンプが負けちゃう機種というのもあるんですけど、これは音が潰れない受け皿の広いところもある。そういう意味で、使うベーシストのタイプやジャンルも問わないタイプでしょうね。それがとても好印象です。

ベース・マガジン 2018年6月号発売中!

 本記事は、リットーミュージック刊『ベース・マガジン 2018年6月号』の特集記事を抜粋・転載したものです。本誌では、ラインアレイ・システムの詳細な解説から、堀江氏によるMG350-BA10 Comboの使いこなし術、おすすめセッティングまで掲載していますので、知識を深めたい読者はぜひご一読ください。また、表紙巻頭では、67年にわたるエレキ・ベースの歴史のなかで、圧倒的支持を得続けるプレシジョン・ベースとジャズ・ベースを大特集。オリジナルにして最高峰であり、すべてのエレクトリック・ベースの指標となっている2大モデルを、さまざまな角度から徹底検証していきます。そのほかにも、巻頭特集と連動した奏法特集『プレベの名演 vs ジャズベの名演』などを収録した注目の1冊となっています。ぜひチェックしてみてください!

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製品情報

GENZLER AMPLIFICATION / MG350-BA10 Combo

価格:オープン

【スペック】
●出力:350W(4Ω) ●プリアンプ:クラスD ●スピーカー:10インチ・ネオジウム×1、2.5インチ・ネオジウム・ライン・アレイ×4 ●コントロール:ミュート・スイッチ、ボリューム、カーブ選択スイッチ、シェイプ、ベース、ミッド、ミッド周波数、トレブル、マスター・ボリューム、ダイレクト・アウト・PI N1グランド/リフト・スイッチ、ダイレクト・アウト・EQプリ/ポスト・スイッチ、ダイレクト・アウト・レベル・マイク/ライン・スイッチ ●入出力端子:インプット、スピーカー・アウト×2、AUXイン、ヘッドフォン・アウト、ダイレクト・アウト ●外形寸法:394(W)×381(D)×406(H)mm ●重量:11.3kg ※市場実勢価格:136,000円前後
【問い合わせ】
イースペック TEL:06-6636-0372 http://genzler.jpn.org/
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プロフィール

堀江晶太
ほりえしょうた●5月31日、岐阜県出身。学生時代からDTMに没頭し、上京後、音楽制作会社に入社する。2013年からは独立し、LiSA、茅原実里、ベイビーレイズJAPANらの楽曲の作編曲を手がけた。2015年にPENGUIN RESEARCHを結成し、2016年1月にシングル「ジョーカーに宜しく」でメジャー・デビュー。最新リリースは2018年1月に発売したEP「近日公開第二章」。今年7月8日(日)には、日比谷野外大音楽堂にてワンマン・ライブを開催する。ボーカロイド・クリエイター“kemu”名義での創作活動も行なう。

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