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Rick Turner Guitars / Renaissance Deuce Standard

Rick Turner Guitars / Renaissance Deuce Standard

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 ギター・リペアや製作などを行なうルシアーとして活躍し、60年代から楽器業界の発展に貢献してきたRick Turner(リック・ターナー)氏。現在も、ほかのメーカーにはないアイディアを盛り込んだ斬新なデザインのギターなど、オリジナリティ溢れる楽器を世に送り出しています。今回は、その中でも特に人気のある「Renaissance Deuce Standard」をご紹介しましょう。

Rick Turner Guitars / Renaissance Deuce Standard

マグネティック・ピックアップとピエゾ・ピックアップのブレンドで
多彩なサウンドメイクが可能

 ペグはPlanet Waves社のAuto Trimを使用しており、弦が巻き上がると自動的に余分な部分をカットしてくれる機能が搭載されています。指板はイペ材で、ネックとボディはともにマホガニー材を使用しています。ボディは一見ソリッドのように見えますが、アコースティック・ギターと同様に、板を曲げて作られるサイドとトップ&バック構成に、センター・ブロックを持つセミ・ホロー構造になっています。安易に板をくり抜くようなチェンバード構造ではなく、手間のかかる作りを採用しているところにリック・ターナー氏のこだわりを見ることができます。

特徴的なヘッドにはPlanet Waves社のAuto Trimペグが搭載されており、弦を巻いていくと自動的に余計な部分を切断してくれる便利な機能が付いている

ボディ・サイドにはボリューム、ピエゾ/マグネティック・ピックアップのブレンド、トーン(コイル・タップ・スイッチ)・ツマミが搭載されており、幅広いサウンドメイクが可能

トップ材はフレイム・フィギュアド・レッド・ウッドが使用されている。ピックアップはセイモア・ダンカンと共同開発されたハムバッカーと、ブリッジ下に搭載されたピエゾのふたつ

 Renaissance Deuce Standardの一番の推しポイントは、セイモア・ダンカンとの共同開発により生まれたマグネティック・ピックアップとピエゾ・ピックアップのブレンドが可能な点です。ふたつのピックアップをそれぞれ単独で使用したり、ブレンドすることによって、さまざまなニュアンスのサウンドが扱えるようになります。また、マグネティック・ピックアップはボディに設置されたトーン・ノブをプル(引き上げる)することによりコイル・タップされ、シングルコイル・ピックアップとしても使用可能です。ハムバッカー/シングルどちらのバランスも良く、とても扱いやすい印象でした。このマグネティック・ピックアップはアコースティック感を補助することが目的ではなく、フォスファー・ブロンズ弦を使用した場合に3弦が巻き弦になってもエレクトリック・ギターのサウンドが得られるようにカスタマイズされているようで、エフェクターの乗りも良好です。また、ピエゾ・ピックアップとプリアンプに関しても同様に、セイモア・ダンカンとの共同開発によるD-TAR(Duncan-Turner Acoustic Research)製のものが搭載されています。

斬新な見た目とは裏腹に
確かな演奏性を備える“AMPLICOUSTIC(アンプリコースティック)”

 以上のように、リック・ターナー氏によって一般的な「エレアコ」とは異なる発想で開発されたこのRenaissanceシリーズは、AMPLICOUSTIC(アンプリコースティック)と呼ばれています。また、工場出荷時のままでもライブやレコーディングで使えるようなセッティングに仕上がっていたことには驚きました。太さがありながらもスッキリしたサウンドでしたので、ライブハウスで余計な低音が出てしまい、セッティングがしにくいという心配もありません。

 見た目の斬新さからはなかなか想像できないような、ストレートで落ち着いたサウンドが印象的でした。低音域から高音域までバランス良く鳴りますし、プレゼンス領域のギラッとした音も良く出ています。楽器としてのポテンシャルが非常に高く、ボディが薄めに設計されており、演奏面でもまったくストレスがありません。動画中でも行ないましたが、超ロング・サステインの鳴りを持つので、通常のアコースティック・ギターを弾いている人からすると、驚きのサステインだと思います。ぜひ一度体感していただきたいです。

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製品情報

Rick Turner Guitars / Renaissance Deuce Standard

【スペック】
●ボディ:フレイム・フィギュアド・レッド・ウッド(トップ)、マホガニー(サイド&バック) ●ネック:マホガニー ●指板:イペ ●スケール:25.5インチ ●ピックアップ:ピエゾ、カスタマイズド・ダンカン・スタッグ・マグネット ●コントロール:ボリューム、ブレンド(ピエゾ/スタッグ・マグネット)、トーン/コイル・タップ ●ペグ:プラネット・ウェーブ・オート・トリム ●カラー:ナチュラル
【問い合わせ】
池部楽器店 https://www.ikebe-gakki.com/web-ikebe/Rick-Turner/index.html
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プロフィール

野村大輔(のむら・だいすけ)
1975年、東京都出身。エレキ・ギター、アコースティック・ギターのどちらも得意とし、歌の良さを引き出し曲に溶け込むようなギターアレンジを得意としている。また、幅広いジャンルをカバーしつつもブルースをベースにしたプレイ・スタイルを持ち味としたギタリスト。15歳からビートルズに憧れアコースティック・ギターを弾き始め、その後ジミ・ヘンドリックス、エリック・クラプトンなどに影響を受けエレキ・ギターを弾くようになる。様々なバンド活動をしながら10代でギター講師の仕事を開始し、現在ではレコーディング・サポート、ライブ・サポート、作曲、編曲、プロダクト・スペシャリスト、ギター講師、執筆活動など幅広く活動を続けている。

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