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TC楽器の“ReFINE”プロジェクトが中古/ビンテージ・ギター&ベースに新たな息吹を吹き込む!

TC楽器 ReFINEプロジェクト・ギター&ベース

上質な材を使用した造りの良い中古ギター&ベースを新しいコンセプトのもとにリフレッシュ、電装系やハードウェアをグレードアップし、新たな息吹を吹き込んで再び世に送り出す新プロジェクトを、東京・新大久保に店舗を構える中古楽器の老舗、TC楽器が“ReFINE”と銘打ちスタートさせた。今回はそのリファインされたギター、ベース数点を動画で紹介しつつ、TC楽器の提案する新たな中古楽器の楽しみ方を詳しく掘り下げていこう。

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TC楽器 presents “ReFINE” project

ReFINEとは? 〜良質な中古をもとに夢のコンセプトを実現

 中古楽器販売・買取の老舗として知られるTC楽器。リーズナブルなユーズド品から貴重なビンテージまでを取り扱う幅広い品ぞろえと、それらすべてに最適な調整を施していることで人気のショップだ。

 年間で1万点もの楽器を扱う同店だが、注目すべきはそれらすべてを調整する同店のリペア・チーム。お店の性質上、入荷するギターは数千万円のビンテージから数万円の中古まで多岐にわたり、状態もさまざま。これらをすべて販売できるレベルにしなくてはならないリペア・チームには、当然高いリペア技術が問われるわけだ。その職人技を生かし、中古楽器に“新たな価値”を加えることはできないか? ──そんな発想から生まれたのが、今回のReFINEプロジェクトである。

 ReFINEプロジェクトとは、中古・ビンテージの優れた個体の“素材の良さ”を生かしながら、まったく新しいコンセプトを付加して新たなプロダクトとして生まれ変わらせる企画だ。単に修理・改造するだけではなく、そこから一歩踏み込んでオリジナリティ溢れる1点モノとして再生するのがポイントである。

 そのほか、このプロジェクトにはさまざまなこだわりが存在する。以下に列挙しよう。

こだわり① ベースとなるモデルの選定

 モディファイのベースとなるモデルには、当然もともとのポテンシャルが高いモデルを選定。そこからさらに、すでに改造やパーツ交換が施された、オリジナル度が低めの個体をセレクトする。TC楽器では貴重なオリジナル・モデルの損失は望んでいないためだ。

こだわり② 上質な材を使用したモデルで再生!

 さまざまな規制から上質な木材がますます貴重になっている中で、ReFINEプロジェクトでは中古/ビンテージの上質な材に着目。特にプロジェクトの第1弾となる今回は、70~80年代に富士弦やマツモクなどで製造された良質で作りの良い“ジャパン・ビンテージ”として知られる国産モデルをベースに選定した。

こだわり③ 今のシーンで使える仕様に

 一般的に、中古楽器は使い勝手が悪いという印象を持たれがち。そうしたイメージを払拭し、あくまで楽器として現代のシーンで十分に使える弾きやすさ、扱いやすさを重要視する。

 ちなみに今回のプロジェクトには、TC楽器のオリジナル・ギターであるTACHIKOMA GTATD-GTを手がけた老舗工房が木工加工や塗装技術の面で全面的にバックアップ。さらに最終セットアップは、TC楽器の精鋭リペア・チームの中でも魔術師の異名をとる田中壮一郎氏が担当している。

TC楽器・リペア担当の田中氏による熟練のハンダ付け作業

動画でも紹介したフェンダー・ジャパン1987 ST57-140 “EXTRAD”に指板を付け足してスキャロップド加工を施す作業

同ストラトへのリアハムPU用のザグリを入れている加工作業

同じく動画で紹介した80年製グレコEG800PR、ReFINE前のピックアップ

EG800PRに特製エスカッション を追加! なんとカートリッジ式で簡単に3シングルやP-90×3仕様にできるのだとか

ReFINEされた楽器には“TC-TUNE”のデカールが貼られる

 この企画を担当した商品管理部の小河内誠氏は“来年開店30周年を控え、扱ってきた量が桁違いに多いTC楽器だからこそできることだと思います。これは、新たな中古楽器の楽しみ方の提案でもあります”と語る。今回発表されたReFINEプロジェクトの10本は、あくまでも第1弾。今後はより貴重なビンテージをベースにした企画も進んでいる。また、自分が所有する1本をReFINEしてほしいというリクエストも大歓迎だとか。もしも自宅で眠っているギターがあれば、これを機に攻めのモディファイを依頼してみるのもアリだ。

ReFINEプロジェクト・モデル10本を一挙紹介!

 それでは、今回発表されたReFINEプロジェクトの10本を紹介していこう。それぞれが新しいコンセプトのもとにモディファイされたユニークな製品であり、工房、リペア・チームの技が光る逸品ばかりだ。これらは2018楽器フェアのTC楽器ブースでも展示・販売されるので、気になる方はぜひ足を運んでチェックしてもらいたい。

Fender Japan(TC-TUNE)
1987 ST57-140 “EXTRAD” ReFINE

Fender Japan(TC-TUNE)1987 ST57-140 “EXTRAD” ReFINE (Top)

Fender Japan(TC-TUNE)1987 ST57-140 “EXTRAD” ReFINE (Back)

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 80'sフェンダー・ジャパンの最高グレード・シリーズであるEXTRADをベースにした1本。木材は当時の最上級品を採用している。ReFINEされた箇所は、リアの1ハム仕様、305Rのフラットな指板アール、ジャンボ・フレット、さらに24フレット仕様への延長とハイ・ポジションのみスキャロップ加工、トレモロ・ユニットに初期のFRT-3、シュパーゼルのロック・チューナー、電装系アップグレードなど多数。ピックアップをスラントし、ピックガードからの吊り下げではなくダイレクト・マウントしている点もポイントだ。完全なる80年代ハードロック仕様に進化!
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【Specifications】
■ボディ:アルダー(2p) ■ネック:メイプル(1p) ■フレット:24 ■ピックアップ:VooDoo HB59’s × 1 ■ブリッジ:Floyd Rose FRT-3 Gold(Early Ver.) ■ペグ:Sperzel Trim-Lok Satin Gold ■スケール:648mm ■重量:3.39kg ■ケース:“hundred” ソフトケース

Greco(TC-TUNE)
1980 EG800PR ReFINE

Greco(TC-TUNE)1980 EG800PR ReFINE(Top)

Greco(TC-TUNE)1980 EG800PR ReFINE(Back)

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 3PU、オリジナル製作のエスカッション、そしてリフィニッシュされた渋いサンバーストの色味が本器の強烈な個性となっている。なんとPUはカートリッジ式で、3シングル、P-90×3発など好みの仕様に応じて差し替えることができる。カートリッジの交換を容易にするソケット配線もオーダー可能だ。リアのボリューム・ノブを引っ張り上げると、センターPUがONになりフェイズ・アウト・サウンドを簡単に作り出せる(補足:ノーマル2PUのLPサウンド(リアVOLノブ下げ)と、3PUのLPサウンド(リアVOLノブ上げ)の2通り楽しめる仕様)。サウンド・バリエーションがとにかく広いが、もとの音が図太いため、特に70年代ハードロックとの相性は抜群だ。
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【Specifications】
■ボディ:ソリッド・メイプル・トップ/マホガニー・バック ■ネック:マホガニー(1p) ■指板:ストライプド・エボニー ■フレット:22 ■ピックアップ:Original U-2000 × 3 ■ブリッジ:Original ■ペグ:ワッフル・バック・タイプ ■スケール:628mm ■重量:4.92kg ■ケース:“hundred” ソフトケース

FERNANDES(TC-TUNE)
E1980s BO-50 ReFINE

FERNANDES(TC-TUNE)E1980s BO-50 ReFINE(Top)

FERNANDES(TC-TUNE)E1980s BO-50 ReFINE(Back)

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 スルーネックのいわゆるPBタイプである80年代初頭のフェルナンデスBO-50を、超ロング指板仕様のフレットレス器にリファイン。指板はなんとピックアップ位置まで延長されている。もともとサステインの長いスルーネックに、指板には固いエボニー材をチョイス、さらに電装系のグレードアップとPUをバルトリーニに交換したことが相まって、フラット・ワウンド弦を張ってもロング・サステインを実現。ブリッジとペグのグレードアップも、良い効果を生んでいる。これらの変更によって、変態的なプレイにもしっかりと応えてくれるスーパー・ベースとなった。
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【Specifications】
■ボディ:セン ■ネック:メイプル+マホガニー(5p)スルーネック ■指板:エボニー ■ピックアップ:Bartolini 8S ■ブリッジ:Gotoh 201B-4 Black ■ペグ:Grover Black ■スケール:870mm ■重量:3.89kg ■ケース:“hundred” ソフトケース

Orville by Gibson(TC-TUNE)
1992 Les Paul Standard ReFINE

Orville by Gibson(TC-TUNE)1992 Les Paul Standard ReFINE(Top)

Orville by Gibson(TC-TUNE)1992 Les Paul Standard ReFINE(Back)

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 本器は、“こんな色のレス・ポールが欲しい!”という声に応えて製作された、ライトなリファインの1本。南国の光り輝く空と海をイメージしたというサーフブルー・スパークルという独自の色合いが、実に爽やかでカッコいい! もちろんポイントはカラーだけではなく、ベースの個体には世界的にも評価の高いオーヴィル・バイ・ギブソンのレス・ポール・スタンダードを選択。PUをセイモア・ダンカンのSH-55セス・ラバーに変更、電装系もCTSやスイッチクラフトに替えており、サウンド面でも抜かりはない。見て良し、弾いて良しのギターに生まれ変わっている。
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【Specifications】
■ボディ:ソリッド・メイプル・トップ/マホガニー・バック ■ネック:マホガニー ■指板:ローズウッド ■フレット:22 ■ピックアップ:Seymour Duncan SH-55n/b Seth Lover Model ■ブリッジ:Original ■ペグ:Original ■スケール:628mm ■重量:3.93kg ■ケース:“hundred” ソフトケース

Fender Japan(TC-TUNE)
1986-1987 ST57-55 ReFINE

Fender Japan(TC-TUNE)1986-1987 ST57-55 ReFINE(Top)

Fender Japan(TC-TUNE)1986-1987 ST57-55 ReFINE(Back)

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 スタジオ・ミュージシャンに絶大な人気を誇る、有名なハイエンド・ギターをリスペクトしたモデル。リファイン箇所は、スペシャル・サイケデリック・フィニッシュ、手触りの良いマットな仕上げのネック・グリップ、リアハム加工、PUにワイドレンジでロー・ノイズなレース社のアルミトーン・シングルコイルとラウドなサウンドを放つ同デスバッカーを搭載、電装系のグレードアップ、タップ・スイッチ(リア)、ウィルキンソン・ブリッジ、ゴトー・ペグへの交換など。派手なルックスとワイドでバランスに優れたサウンドを持ち、使い勝手良くリファインされている。
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【Specifications】
■ボディ:アルダー ■ネック:メイプル(1pc) ■フレット:21 ■ピックアップ:Lace Alumitone Single-Coil × 2、Lace Alumitone Deathbucker × 1 ■ブリッジ:Wilkinson VG300 Chrome ■ペグ:Gotoh SD91 Nickel ■スケール:648mm ■重量:3.20kg ■ケース:“hundred” ソフトケース

Fender Japan(TC-TUNE)
1989 PB75-70 ReFINE

Fender Japan(TC-TUNE)1989 PB75-70 ReFINE(Top)

Fender Japan(TC-TUNE)1989 PB75-70 ReFINE(Back)

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 比較的、ライトなリファインが施されたモデル。1950年代のメアリー・ケイ風にラッカーでブロンド・フィニッシュに仕上げられ、ゴールド・ハードウェアを搭載したプレシジョン・ベース・モデル。ありそうでなかったオールディな雰囲気が堪らない1本だ。ピックアップにはオールド・サウンドの再現に定評あるリンディ・フレーリンを採用し、電装系もグレードアップされ、サウンド的にもオーソドックスなプレベらしい使える音に仕上がっている。音の立ち上がりが速いため、見た目以上に現代的な演奏にもついてきてくれる頼もしいベースだ。
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【Specifications】
■ボディ:セン ■ネック:メイプル(1p) ■フレット:20 ■ピックアップ:Lindy Fralin P-Bass ■ブリッジ:Vintage-type Gold ■ペグ:Gotoh Gold ■スケール:864mm ■重量:3.98kg ■ケース:“hundred” ソフトケース

Fender Japan(TC-TUNE)
1988-1989 PJ-40 ReFINE

Fender Japan(TC-TUNE)1988-1989 PJ-40 ReFINE(Top)

Fender Japan(TC-TUNE)1988-1989 PJ-40 ReFINE(Back)

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 ジャズ・フュージョン界の重鎮が愛用する超有名なモデルを手本に、80'sフェンダー・ジャパンのPJベースをリファイン。ロー・インピーダンス・ピックアップの代表格EMGと、定番人気プリアンプのバルトリーニXTCTを搭載し、ワイドなサウンド・レンジと抜群のレスポンスを実現している。パワフルなサウンドが特徴で、線が細くなりがちなリアの音も十分使える。また、プリアンプも優秀で、スラップ向きの派手な音から落ち着いた大人のサウンドまで自由自在に作り出せる。もともとピックガードレスのPJ-40にMM風のピックガードを製作、白ボディに合わせてこだわりのホワイトEMGを採用した。
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【Specifications】
■ボディ:バスウッド ■ネック:メイプル ■指板:ローズウッド ■フレット:20 ■ピックアップ:EMG PJ White Set ■プリアンプ:Bartolini XTCT ■ブリッジ:Omega Bass Bridge Chrome ■ペグ:Hip Shot HB6C-3/8 Clover Key Ultralite Chrome ■スケール:864mm ■重量:3.86kg ■ケース:“hundred” ソフトケース

Greco(TC-TUNE)
1989 EGC-600 ReFINE “Samurai”

Greco(TC-TUNE)1989 EGC-600 ReFINE “Samurai”(Top)

Greco(TC-TUNE)1989 EGC-600 ReFINE “Samurai”(Back)

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 ロックなイメージのブラック・カスタムをベースに、和のテイストを加えたゴールド・カラーの特注アルミ彫金パーツで重厚な雰囲気にリファインしたモデル。金(侍)と銀(忍者)、対になった2モデルのうちの1本だ。本器は4.55kgとそれなりに重量のある個体だが、それでなければ出せないパワフルなサウンドが持ち味だ。ペダルで歪ませる人は、ゲインのつまみを2目盛くらい下げてちょうどいいはず。フロントPUの甘く太い音とリアPUのカラッと明るいサウンドの差が明確で、使いやすい。ネック裏の塗装が剥がされ、つや消しに再塗装されており、この弾き心地が最高!
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【Specifications】
■ボディ:ソリッド・メイプル・トップ/マホガニー・バック ■ネック:マホガニー L.A.C. ジョイント ■指板:ローズウッド ■ フレット:22 ■ピックアップ:Original Screamin’ × 2 ■ブリッジ:Original ■ペグ:Original Rotomatic ■スケール:628mm ■重量:4.55kg ■ケース:“hundred” ソフトケース

YAMAHA(TC-TUNE)
1970s SB-700 ReFINE

YAMAHA(TC-TUNE)1970s SB-700 ReFINE(Top)

YAMAHA(TC-TUNE)1970s SB-700 ReFINE(Back)

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 ヤマハが世界に誇る名器SuperBassをモダンな1ハム仕様にリファイン。ルックスもサウンドも一新し、個性派ベースに仕上がっている。見た目のインパクトが強いブビンガ材のピックガードは、熟練の職人技でボディに完全に落とし込んである。ハムバッキング・ピックアップにシンプルなパッシブ・サーキットを組み合わせ、パワフルで太いサウンドが持ち味。シリーズ/パラレル・スイッチは、パラレルにするとドンシャリ気味のトーンが得られる。また、もとのネックがしっかりしていることもあり、ロー〜ミドルがよく出るのも特徴だ。
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【Specifications】
■ボディ:アルダー ■ネック:メイプル(1p)ボルトオン ■フレット:20 ■ピックアップ:Seymour Duncan SMB-4A MM Alnico V ■サーキット:パッシブ、1ボリューム、1トーン、シリーズ/パラレル・スイッチ ■ブリッジ:Schaller 3-D4 CHROME ■ペグ:Original ■スケール:864mm ■重量:4.05kg ■ケース:“hundred” ソフトケース

Aria Pro II(TC-TUNE)
1980 LS-500 ReFINE “Ninja”

Aria Pro II(TC-TUNE)1980 LS-500 ReFINE “Ninja”(Top)

Aria Pro II(TC-TUNE)1980 LS-500 ReFINE “Ninja”(Back)

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 2本ある和テイストのブラック・レス・ポール・モデルの中の1本で、こちらはNinjaと名付けられている。もともとは年季の入ったサンバーストのボディ・トップだったが、精悍なブラック・カラーにブラッシュアップ。さらに特注アルミ彫金パーツを採用して、ジャパン・ビンテージの魅力を際立たせた。この個体はフロントPUでもしっかりとハイが出て、クリーン・サウンドが抜群! センター・ポジションの音も良い。もちろん、ルックスから期待する歪みのサウンドも良好で、PUと電装系のグレードアップ、オイル・キャパシター採用が功を奏しているのか、音の良い個体だ。
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【Specifications】
■ボディ:ソリッド・メイプル・トップ/ マホガニー・バック ■ネック:メイプル ■指板:ローズウッド ■フレット:22 ■ピックアップ:Gotoh Humbucker ×2 ■ブリッジ:Original ■ペグ:Gotoh ■スケール:628mm ■重量:4.25kg ■ケース:“hundred” ソフトケース

TC楽器 リペア担当 田中壮一郎氏インタビュー

 最後は、TC楽器リペア・チームの魔術師こと田中壮一郎氏のインタビューをお届けしよう。ReFINEプロジェクトの製品はもちろん、TC楽器で販売されるギター&ベースはすべて氏の手を通っているという、まさに最後の“門番”とも言える存在の田中氏に、本プロジェクトへの思いを聞いた。

TC楽器にしかできないプロジェクトだと思います

TC楽器 リペア担当 田中壮一郎氏

──ReFINEプロジェクトの楽器にはヘッド裏に“TC-TUNE”のデカールが貼られていますが、これは田中さんが最後に施すそうですね?
 はい。最終的な組込みや調整はすべて私が担当し、ReFINEプロジェクトの楽器には、新たな楽器に生まれ変わった証として“TC-TUNE”のデカールを貼付しました。

──田中さんの高いリペア技術はどのように習得されたのですか。
 数千万のビンテージから数万の中古まで、とにかく扱ってきた楽器の経験値がある、というのは言えると思います。TC楽器にある膨大な量のギター/ベースはすべて私が調整しているので、経験値は高いほうだと思います。

──リペアをする上で、気をつけている点は?
 まず1点は、当たり前ですが楽器として使える状態にすることです。どんなにカッコいい楽器でも、使えないと意味がないですから。もう1点は、長く使える状態にすることです。どちらも当たり前のことですが、当店に入ってくる楽器はすべて状態が異なるので、その2点をきちんと押さえることが大事なんです。

──どのようなReFINEを施すかは田中さんが決めているんですか?
 
スタッフ全員でアイディアを出し合っていますが、自分がベースを弾くこともあり、ベースのアイディアは私が出すことが多いですね。スタッフ全員が無数の楽器を見てきているので、それぞれに合った仕様を選びつつ、時に遊び心も混ぜながらやっています。常日頃、“このギターは材がいいから、ここが変われば最高だな”みたいな話をしていて、そんな日常的に出てくるアイディアを形にしたのがこのReFINEなんですよね。TC楽器だからこそできるプロジェクトだと思います。

──最後に今回のプロジェクトに関する思いを。
 今回は第1弾として80年代の国産モデルをもとにしたわけですが、あくまで当時の製品や技術をリスペクトし、“伝承”することが大切だと思っているんです。ReFINEされたギターを弾くことで、若い世代が国産モデルの良質な木材や製作技術の高さを知っていただきたいですね。それは中古楽器店としての使命だと思っています。ただその一方で、当時の国産モデルは今の目で見ると電装系が弱かったりするので、それらを現代のシーンで使えるように積極的にReFINEしていきたいんです。どのモデルも派手な改造がされていますが、長く使える楽器に仕上がっていますので、楽しみながら使い続けてほしいですね。

TC楽器 店舗案内

feature_tc_refine_logo_tcg.png■住所:〒169-0073 東京都新宿区百人町1-11-23
■TEL:03-5386-4560
■営業時間:11:00〜20:00(休日:水曜定休・祝祭日は営業、年末年始)
■WEB:https://www.tcgakki.com/

ギター・マガジン 2018年11月号は10月12日発売!

 本記事は、10月12日(金)発売のリットーミュージック刊『ギター・マガジン 2018年11月号』から一部転載しています。

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製品情報

TC楽器 ReFINEプロジェクト/エレキ・ギター&ベース

【問い合わせ】
TC楽器 TEL:03-5386-4560 https://www.tcgakki.com/
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