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Yamaha MusicCastで楽しむ 新たな“音楽空間”

Yamaha MusicCastワイヤレスネットーワークオーディオ

ヤマハが提供するワイヤレスネットワークオーディオ“MusicCast(ミュージックキャスト)”をご存じだろうか? テレビ用サウンドバーから音楽用スピーカー、音楽アンプ、アナログレコードのターンテーブルまでMusicCast対応製品は多彩なラインナップを誇り、それら単体で使えるのはもちろんのこと、複数台を家庭内のWi-Fiネットワーク接続で組み合わせると、さらなるリスニング体験をもたらしてくれる。本企画では、MusicCast対応製品の数々をサウンド・エンジニア森田良紀氏(studioforesta)に使ってもらい、さまざまな導入例とともに音質評価をいただく。

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先進のワイヤレスネットワークオーディオ機能「MusicCast」とは?

feature_yamaha_mc_foresta_logo.jpg “好きな音楽を家中どこでも楽しむことができる音楽システム”をコンセプトにしたMusicCast。ヤマハがリリースしているMusicCast対応製品の数々は見た目から想像できないほど非常に多くの機能を持っている。ポイントごとにまとめて見ていこう。

① 専用アプリ「MusicCast CONTROLLER」にて遠隔操作ができる

 スピーカーやパワーアンプなど音声出力があるMusicCast対応製品では、音源プレーヤーを直接ケーブルでつないで聴けるだけでなく、パソコンやスマートフォン、NASなどのサーバーに保存された音楽/インターネットラジオなどをWi-Fi経由で飛ばすことも可能。その設定には専用アプリ「MusicCast CONTROLLER」を使用し、iPhoneやiPod touch、iPad、Android端末に対応。

MusicCast専用コントロール・アプリ「MusicCast CONTROLLER」ひとつで複数の部屋に設置したMusicCast対応製品をコントロールできる

パソコン、モバイル端末内の音楽コンテンツはもちろん、ストリーミング音楽配信サービスのSpotifyやDeezer HiFi、IPサイマルラジオのradiko.jpなども再生可能だ

リンク機能を使えば、例えばリビングルームをマスターにしてキッチンでも同じコンテンツを共有する、といったことが可能だ

② MusicCast対応製品同士で同じ音楽をシェアできる

 MusicCast対応製品を複数持っている場合、同じ音源を同時に再生することができる。もちろん家庭内の同一Wi-Fi圏内であれば異なる部屋にあっても大丈夫なので、リビングやキッチンで同じ音楽を楽しめるというわけだ。個々でボリュームコントロールもでき、もちろん別々の音源を流すこともできる。

図のように複数の部屋に設置したMusicCast対応製品をアプリでコントロール、様々な音楽コンテンツを共有できる

③ radiko.jp/Spotify/Deezer HiFi(有料)などのストリーミング・サービスに対応

CD音質の16bit/44.1kHzによるストリーミング音楽配信が話題の「Deezer HiFi」のコンテンツもMusicCastのWi-Fi接続であれば音質を劣化させることなく共有できる

 実は個々のMusicCast対応製品にradiko.jp/Spotify/Deezer HiFiのプレーヤー機能が入っており(対応は機種による)、MusicCast CONTROLLERでコントロールが可能。ぜひ知っておいていただきたいのは、スマホから音声を飛ばしているのではなく、Wi-Fi接続したMusicCast対応製品自身で受信・再生できるという点で、スマホからの音声送信の乱れなどは考えなくていい。“Spotify対応”などと銘打った製品も多いが、MusicCastはそれをネイティブ再生できていることが実はすごいのだ。

④ 最高192kHz/24bitの音声ファイルに対応

 音楽を高音質で楽しみたいならばここは絶対に押さえておきたいポイントだ。MusicCast対応製品は最高192kHz/24bitのAIFF/WAV/FLACファイル、および96kHz/24bitのApple Losslessファイルに対応。これはWi-Fi接続だから可能なことであり、当然Bluetooth再生よりもずっと高音質だ。

⑤ MusicCast CONTROLLERのアイコン登録が面白い

 MusicCast対応製品を置いた部屋の写真を撮って、「Living Room」「Kitchen」「Bedroom」といったようにMusicCast CONTROLLERへアイコン登録できる。各部屋のMusicCast対応製品がひとつのアプリからコントロールできるのは実際に使ってみると非常に便利。のように同一音源を複数のMusicCast対応製品から流すときもこの画面で簡単にセッティングできる。

モバイル端末内のお気に入りの写真や好きなイメージを使って部屋の名前や表示をカスタマイズできるのも楽しい

シチュエーション別にMusicCast対応製品をチェック!

 ここからは、音のプロフェッショナルであるレコーディングエンジニアの森田良紀氏に登場いただき、彼のstudioforestaにてさまざまなシチュエーションでMusicCast対応製品を試してもらった。

今回の試聴に協力していただいた森田氏のプライベートスタジオ「studioforest」のコントロールルーム

studioforestaオーナーの森田良紀氏。レコーディングの他にも映像撮影やライブストリーミングなども手掛ける

リビングで映画/ゲーム/音楽を楽しむ

 最初に登場するのは、サウンドバーとサブウーファーを組み合わせたフロントサラウンドシステム、MusicCast BAR 400。これをラウンジにあるテレビに接続し、家庭のリビングを想定してチェックしてもらった。森田氏がゲーム機でサラウンド音声対応のゲーム、そしてDeezer HiFiのステレオ音源で音質評価をした。ちなみに、MusicCast BAR 400はバーチャル3Dサラウンド技術“DTS Virtual:X”によって、擬似的に3D空間を作り出すモードが付いている。

B1Fのラウンジをリビングに見立て、テレビにMusicCast BAR 400を接続してゲームや音楽の音質をチェック。サラウンド・チェック時にはMusicCast 50(写真手前)を接続した

インテリアにすっきり馴染むデザインとサイズのMusicCast BAR 400の音質で映画、ゲームなどのエンターテイメントがより楽しくなる

 「まずステレオモードで試してみたところ、いわゆるサウンドバーの印象とは大きく異なり、失礼ながら想像していたよりもずっと良い音でした。音の輪郭もしっかりしていて、サブウーファーの低域も相まってゲームをしていたらサラウンドの臨場感がすごい(笑)。Deezer HiFiの音源も流してみましたが、非常にナチュラルで良いですね。3Dサラウンドモードは各音の輪郭が柔らかくなりますが、包み込まれる感じが心地良く、聴く音によって使い分けるといいと思います。なお、サラウンドチェック時にはリア(リスナーの背後)にステレオスピーカーのMusicCast 50を追加するというセッティングも試してみました。普段は別の場所でリスニング用に使用している物を本格的なサラウンド環境にしたい際に使い回せるのはお得な感じがしますね。そういったスピーカー割り当てもMusicCast CONTROLLERのMusicCast Surround機能で簡単に設定できるし、何よりワイヤレスだからスピーカーケーブルをつなぐ必要が無い。セッティングの自由度は非常に高いと感じました」

■MusicCast BAR 400

MusicCast BAR 400 / 価格:オープンプライス (市場予想価格:税別65,000円前後)

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 MusicCast BAR 400はいわゆるサウンドバーとサブウーファーを組み合わせたフロントサラウンドシステム。HDMI/ステレオミニ/光デジタルといった入力端子を備え、PCM/Dolby Digital/DTS Digital Surroundフォーマットなどへ対応。擬似的に3D空間を作り出すバーチャル3Dサラウンド技術“DTS Virtual:X”によって迫力の臨場感が得られる。

デスクトップスピーカーで本格リスニング

 続いてはデスクトップ型のステレオスピーカーMusicCast 50をチェック。日ごろのエンジニアの仕事でもリスナーの環境を想定して、このサイズのスピーカーでいわゆる“ラジカセチェック”を日ごろから行なっているという氏。いつもは別の小口径スピーカーを使っている氏の耳に、MusicCast 50はどう響いたのか?

デスクトップ型ステレオスピーカーMusicCast 50。誇張がなくナチュラルなサウンドはサウンドチェックにも最適

 「音は誇張が無くてナチュラル。無理に高域や低域を伸ばして派手にしたスピーカーも民生機には多いですが、MusicCast 50はそんな脚色をせずにどこまでも無理をしていない音。ある意味、現代的だと思いましたね。アナログ入力(ステレオミニとRCAピン)もあるので、ここに入力した音を他のMusicCast対応製品に飛ばして聴くこともできます」

■MusicCast 50

MusicCast 50 / 価格:オープンプライス (市場予想価格:税別60,000円前後)

MusicCast 50(リア)

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 35W+35Wアンプを内蔵した2ウェイ・ステレオスピーカー。10cm口径アルミコーンウーファーとホーン形バッフルを備えた3cmドームツィーターを備え、クリアで迫力のあるサウンドを目指して設計。2系統のアナログ入力端子(ステレオミニ、ステレオRCAピン)、そして光デジタル音声入力端子が備わっており、多彩な入力に対応できる。

小型スピーカーで気軽に音楽鑑賞

 続いては、MusicCast 50よりも小さく、インテリアに溶け込むデザインのデスクトップスピーカー、MusicCast 20。モノラル出力だがウーファーの低音を補強する2個の新開発大型パッシブラジエーターによって、サイズを感じさせないサウンド。実は、森田氏が今回最も感動したMusicCast対応製品が本機だ。

ナチュラルかつサイズを感じさせないサウンド、インテリアに溶け込むデザインが魅力のMusicCast 20

 「聴きたい帯域がギュッと詰まって、すごく聴きやすい。音は非常にナチュラルで、それをこの小型サイズで実現してしまうところに驚きました。音楽鑑賞が楽しくなるし、すぐにでも1台欲しい(笑)。それに、モノラルスピーカーはエンジニアの仕事仲間にも実はすごく注目されているんですよ。最近はAIスピーカーが普及し始めていますが、あれって基本モノラルなんですよね。AIスピーカーで音楽を聴く時代が来ているわけで、僕らエンジニアも、制作した音源をモノラルでチェックする必要性が今後増える。MusicCast 20はそういうプロの現場でも使える製品だと思いました」

 しかもMusicCast 20を2台合わせると、従来のステレオリスニングもできるという柔軟な設計。ここで森田氏は、スタジオにおけるMusicCast 20のもうひとつの使い方を提案してくれた。スタジオでミックス中のサウンドをMusicCast 50に入力し、Wi-Fi経由で違う部屋に置いたMusicCast 20に飛ばすというものだ。

 「スタジオに入り切れないほどクライアントが大人数の場合、外のロビーで仕事をするディレクターさんも居るんです。そんなときに、スタジオのMusicCast対応製品からロビーにあるもう1台のMusicCast対応製品に音を送って、スタジオの中でどんな音源を聴いているのかをロビーで把握してもらえるのはすごくいい。Wi-Fi接続なのでケーブルの心配も要らないし、音量コントロールも独立して行なえる。何より非圧縮伝送なので音質が良いのが素晴らしいです。しかもMusicCast 20はインテリアに溶け込むデザインなので、普段からロビーに置いてあっても違和感がまったく無いですね」

■MusicCast 20

MusicCast 20 / 価格:オープンプライス (市場予想価格:税別30,000円前後)

MusicCast 20(リア)

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 2ウェイユニットと2個のパッシブラジエーターを内蔵したモノラルスピーカー。新開発の9cm口径アルミコーンウーファーと、3cmドームツィーターを備え、横幅150mmのコンパクト設計。Bluetoothオーディオ機能、iOS端末やiTunesのためのAirPlayにも対応している。

アナログレコードを想定したリスニング環境

 アナログレコードが見直されている中、MusicCast対応製品にはネットワークターンテーブルのMusicCast VINYL 500もラインナップされている。通常のターンテーブルとして使用できるほか、他のMusicCast対応製品にレコードの再生音を飛ばせ、さらに冒頭で触れたように音楽ストリーミングサービスの再生音を出力端子(RCAピン)からアウトプットすることも可能。MusicCastならではの多機能な製品だ。

アナログレコードとストリーミングサービスが1台で楽しめるネットワークターンテーブルMusicCast VINYL 500

 「レコードをワイヤレスでMusicCastスピーカーに飛ばせるのは新しい感覚ですね。ターンテーブルとスピーカーが離れた場所に設置できるというのは地味にうれしいです。自分は接続が面倒なので、普段はあまりレコードを聴く習慣が無いのですが、これだけ手軽にサウンドを飛ばせるのであれば、聴く頻度は上がりそうです」

■MusicCast VINYL 500

MusicCast VINYL 500 / 希望小売価格:90,000円(税別)

MusicCast VINYL 500(リア)

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 安定した回転が得られるベルトドライブ方式と剛性に優れたストレートトーンアームを用いたネットワークターンテーブル。フォノ出力に加えて、内蔵の高音質フォノイコライザーアンプによるライン出力も用意している。Wi-Fiで他のMusicCast対応製品へレコードの再生音を送ることも可能。

自宅シアタールームで大音量再生

 もし大画面プロジェクターを用いたシアタールームが作れたらならば、サウンド面も十分こだわりたいところ。森田氏の地下にあるスタジオで、そんなホームシアターをMusicCast対応製品で構築してみた。キーとなるのは、ハイグレード7.1ch AVレシーバーのRX-A1080。Blu-rayプレーヤーからRX-A1080にHDMIで入力し、そこからプリアウトでフロント・センタースピーカー(Line 6 L2t)×3台、リア・サラウンドバックスピーカー(BLUESKY製)×4台、サブウーファー(BLUESKY製)×2台へ出力。計7.2ch環境というわけだ。その迫力たるや、森田氏も絶賛する。

映像コンテンツの場面に応じて適切な音場に自動調整してくれる“SURROUND:AI”機能を搭載した7.1ch AVレシーバーRX-A1080

映像撮影やライブ配信にも使用する地下のスタジオスペースを利用して7.2ch環境の大迫力シアタールームを構築

 「10年ほど前に購入したヤマハのAVアンプを今でも使っていますが、やはり10年の進歩を感じさせる音質と操作性でしたね。特に映画は音が大事なので、音が良くなるとあれも観たい、これも観たいってなりますね。以前観た映画をもう一度観直して、再評価したり、新しい発見ができたりするのも楽しいです。MusicCast CONTROLLERアプリの他にAVアンプ専用コントロールアプリ「AV CONTROLLER App」がとても便利で、シネマDSP機能でサラウンド空間を直感的に調整できるのが面白かった。特筆すべきは“SURROUND:AI”で、サラウンドは場面によって音の演出が過剰に聴こえてしまうときもあるのですが、この機能をオンにしておくと場面に応じて適切な音場に調節をしてくれること。ヤマハのエンジニアが何千というシーンに適した音場効果をAIに学習させてデータベース化しているというのも説得力があります。これからシアターの設置を見据えて家を建てる方であれば、RX-A1080を中心にホームシアターを組んで、初めからMusicCastで各部屋とコンテンツを共有できるように設計するのがオススメです」

■RX-A1080 AVレシーバー

RX-A1080 AVレシーバー / 希望小売価格: 140,000円(税別)

RX-A1080 AVレシーバー(リア)

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 ハイグレード7.1ch AVレシーバー。映像/音楽を入力可能で、7入力/3出力のHDMI、アナログのRCAピン入力やフォノ入力、デジタルオーディオ入力などを搭載。独自の音場創生技術とAI技術とを融合した革新的サラウンド体験“SURROUND:AI”、Dolby Atmos&DTS:X対応デコーダー、ESS社製ES9007Sを搭載したD/Aコンバーター部など、多くのテクノロジーを詰め込む。

総評〜TOTAL IMPRESSIONS

 スピーカーの良さを実感できるテレビはある程度の値段もしますし、テレビで映像と音楽の両方を楽しむ方であれば、MusicCast BAR 400はMusicCast入門としてオススメだと思います。音質もヤマハらしく素直なサウンドなので、音楽を良い音で聴けるスピーカーとしても使えますし、BAR 400をベースにMusicCastを拡張していく楽しみが得られるという意味でも良いスタートだと思います。

 実際にMusicCastを試すまでは、BluetoothやAirPlayの延長と考えていたんですよ。でも単なる無線メディアではなく、リンクすることで威力を発揮することが分かりました。ここで見てきたパターンはほんの一例で、台数が増えるほどにMusicCastの便利さが実感できる。AmazonのAlexa搭載デバイスに対応している点もいまのライフスタイルにとてもマッチしていると思います。

Amazon Alexa搭載デバイスに対応しているので音声による基本的な操作も可能だ(写真のデバイスはEcho Dot)

 今回のMusicCast対応製品全般に言えるのは、普段の生活の中でBGMを鳴らすスピーカーとして、“存在はしているんだけど、邪魔にならない良いサウンド”を鳴らしてくれる感じが素晴らしい。なので、Deezer HiFiやSpotifyといった音楽配信サービスやスマホの中の音楽をBGMとして流しておきたい方には最適だと思いますね。MusicCast CONTROLLERアプリが使いやすくよくできている、というのも高評価につながりました。細かい点ですが、ルームのサムネイルを自分で撮影した部屋の写真や好みの写真に差し替えてカスタマイズできるのはMusicCastを使う楽しみのひとつだと思います。

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製品情報

プロフィール

森田良紀(もりた・よしのり)
studioforestaのエンジニアとして録音からミックス、マスタリングまで手掛ける。moumoonや大森靖子などの音楽にかかわる映像制作や生放送番組の制作も行なっている。

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