フット・スイッチだけでスタート／ストップ、フィル・イン展開可能

Singular Sound / BeatBuddy MINI 2

　シンギュラー・サウンドのBeatBuddyシリーズはフット・スイッチでさまざまなコントロールができる、コンパクト・エフェクター・タイプのドラムマシンです。今秋にデビューしたBeatBuddy MINI 2は、先代BeatBuddy MINIの機能を拡張し、兄貴分的機種BeatBuddyに匹敵するコンテンツを収録しながら先代と同じコンパクトさと手軽さを維持しています。

　BeatBuddyシリーズの一番の革新性は、コンパクト・エフェクターの形状を踏襲している点にあります。フット・スイッチでリズム・パターンの再生／停止だけでなく、フィルを入れたりパターンを展開させたりできるので、ギタリストやベーシストなどが演奏を止めることなく、足でリズムを操作することが可能になるわけです。想定される用途としては自宅練習、ソロ・パフォーマンス、バンドでの曲作り、急遽ドラマーが休んでしまったリハーサルのピンチヒッターなどが考えられますが、どのシチュエーションでもコンパクトであるに越したことはなく、リズム・パターンのバリエーションは多ければ多いほど選択肢が広がります。そういった観点ではBeatBuddyよりもコンパクトで、先代のBeatBuddy MINIよりも収録コンテンツの多いBeatBuddy MINI 2はベストなセレクトだと言えるでしょう。

Singular Sound / BeatBuddy MINI 2

Singular Sound / BeatBuddy MINI 2

Singular Sound / BeatBuddy MINI 2

　本機が上位機種BeatBuddyに匹敵するコンテンツを収録しながらコンパクトさを維持できるのは、いくつかの機能を制限しているからです。スペック上の大きな違いは収録音源のクオリティで、BeatBuddyが24ビットなのに対して本機は16ビットとなっていますが、デモを聴けばわかるように実用上まったく問題ないレベルの音質を保っています。また、収録されたコンテンツは編集したり追加したりすることができないのですが、それをせずとも充分な数のパターンが収録されていますし、手軽さを優先すれば面倒な編集作業は不要とも言えるでしょう。

10種類のドラム・セット、24ジャンル、220以上のリズム・スタイルを収録！

　パネル上のコントロールは踏みやすい形状のフット・スイッチの他に中央左のボリュームと中央右のセレクターのみ。実にシンプルですね。セレクターはプッシュ・スイッチも兼ねていて押すごとにジャンル／ソング／テンポが切り替わり、ノブを回転することでパラメータが変化します。収録されているコンテンツは10種類のドラム・セット（音色）、24ジャンルの中から220以上のスタイルと実に豊富です。

向かって右側のツマミひとつで、ジャンル／ソング／テンポを簡単にセレクトすることができる

　ジャンル／ソングの中から任意のパターンを選び、停止状態からフット・スイッチを踏むとイントロ・パターンに続いて通常のパターンが再生されます。選んだソング情報を示すLED表示パネルに拍もわかりやすく表示されますね。再生した状態でフット・スイッチを踏むとフィルが再生されます。フット・スイッチを踏むタイミングによってフィルが変わるのがおもしろいですね。再生した状態でフット・スイッチを踏み続けるとトランジション（展開部とかバリエーション・パターンと同義ですね）に入り、トランジション時はフィルも変化しています。再び踏み続けると通常のパターンに戻ります。素早く2回連続で踏むとアウトロのパターンを再生して停止します。イントロ／アウトロ、フィル、トランジションはパネル上部のLEDで示されるのが親切ですね。

　すべてのパターンを聴いてみましたが、まず音楽ジャンルの幅の広さに脱帽です。ちょっと弾いてみようと思わせてくれるノリの良いパターンも多いですね。ただパターンを収録しているのではなく、ジャンルごとに分かれているので、即座に最適なリズム・パターンを呼び出せます。閃いたアイディアを失う心配もありませんね。コンパクトなのでエフェクター・ケースに忍ばせておけばいざという時にとても役に立つでしょう。