Famousからはじめよう! 実力がわかる5つのポイント
- 2024/03/11
Positive Grid / BIAS Mini Guitar
アンプのモデリング・アプリや関連製品を開発しているPositive Gridより、同社製のギター・アンプであるBIAS Head・Rackを軽量/小型化したBIAS Mini Guitarが登場。付属する専用ソフトウェア(BIAS AMP 2 Pro)を使用すれば、アンプに搭載されている真空管やスピーカーといったパーツを交換したり、異なるプリアンプとパワー・アンプ回路の組み合わせを実現するなど、自分だけのオリジナル・アンプ・トーンを作成することも可能である。今回はさまざまなギター・アンプやプロセッサーを愛用しているMUCCのミヤに登場願い、普段から使用しているお気に入りのアンプ・タイプをカスタマイズしてもらった。
現存するアンプが持つサウンドや質感を再現し、なおかつ真空管やトランスといった内部パーツに加え、スピーカーやキャビネット、マイクやそのマイキングの位置まで、自分が理想とするオリジナル・アンプをカスタマイズできる先進的なアンプとして話題を呼んでいるBIAS Head・Rack。そのサウンドや機能はそのままに、小型/軽量化して登場したのがBIAS Miniである(ギター/ベースともにラインナップ)。わずか2.4kgの筐体に300Wのパワー・アンプを内蔵し、アンプ/ヘッドフォン/ライン出力/FXセンドの出力先がボタンひとつで切り替えられるため、レコーディングから大きな会場でのライブ現場にまで対応。
最初から16のプリセットが用意されており、本体のツマミを操作すれば実機のギター・アンプ同様にコントロールすることはもちろん、付属する専用ソフトウェア(BIAS AMP 2 Pro/Mac、PC、iOSに対応)を使用すれば、無数のアンプ・タイプをリアルタイムで自由にカスタマイズ可能だ。さらにアンプのトーンをキャプチャーできるAmp Match機能や、トップ・プロを始めとする世界中のユーザーが作成したトーンが保存されているToneCloudを活用すれば、その選択肢は無限である。
こちらが、ミヤが実際にカスタマイズしたJC-120タイプのセッティングだ。JCはクリーン・サウンドに定評があり、ソリッドステート・アンプの代名詞とも言えるモデルだが、それゆえに真空管アンプと比べると音にスピード感があり、抑揚が少ない。しかし、それこそがまさにJCの個性であり、これほどまでに愛用される所以でもあると言えるだろう。今回ミヤはJCのプリアンプ部分をベースに、パワー・アンプ・セクションに大胆なモディファイを加えている。
まずは、トランジスタ・パワー部をアメリカン・サウンドの基本とも言える6L6管に置き換えた。これにより、真空管特有とも言える音のクセをうまく使い、JCのサウンドに変化を加えている。コンプレッションを抑えながらもミッド・レンジに膨らみのあるサウンドが特徴だ。さらに整流部分もソリッドステート仕様からGZ34管を使用した回路に変更している。ここでも音の膨らみを与え、さらに低域のリシェイプを行なっているという印象だろうか。あくまでJCのサウンドを生かすという意味でも、コンプレッションなどは最低限に抑えられていた。
また、出力トランスにはFATタイプをチョイス。レンジが広く、低域に十分なパワーを持つこのトランスは、ベース・アンプにも近いクリーン・サウンドを生み出している。いわばJCのプリアンプ・アウトからの信号を、高品質なハイパワー・オーディオ・アンプで鳴らしているようなモディファイだ。これはリアル・アンプの場合でも同じような印象のサウンドを生み出すセットアップだが、実際にこのセットを組もうとするとかなり大がかりな作業になる。まさにバーチャル・アンプならではの使い勝手だと言えるだろう。
続いて、ミヤが普段から愛用するメサ・ブギーのレクチファイヤー・タイプを、自身の愛用機に近いサウンドにモディファイ。プリアンプ・セクション(コントロール)に関しては、ミヤが実際に使用しているアンプとほぼ同じセッティングにしている。このデフォルトのダーク目なレクチファイヤー・サウンドから、好みのサウンドにモディファイをしていった。
肝となるのは、やはりFATトランスを採用している点だろう。実際のレクチファイヤーに近い迫力のある低域と、突き抜けるようなトレブルを併せ持ったワイド・レンジかつパワフルなサウンドに仕上がっている。これは90年代のカスタム・アンプやホッド・ロッド・アンプでも用いられた手法で、実際にマーシャル・タイプに200Wアンプのトランスやベース用のトランスを載せたという例もある。反対にプリアンプ部分は余計な歪みを与えずストレートに増幅している印象だ。また、レクチファイヤーはハイゲイン・ドライブ・サウンドなので、JCよりも若干コンプレッションを稼ぐべく各パラメーターが調整されている点にも注目しよう。このあたりはマニアックなサウンドメイクには欠かせず、ブリッジ・ミュートをした際の「ブンッ」というダイナミックなサウンドなどは、このあたりの設定で随分印象が変わってくる。
もう1つのポイントがマイキングだ。こちらのセクションは制作時のソフトウェアの機能で、ライン出力用のサウンドになる。ロック・サウンドを集音する際のド定番であるSM57をベースに、MD421というこちらも定番のマイクをセレクトしており、アタック感やミッド・レンジをSM57で抑えて、広がりのあるハイとローをMD421で補う印象だろうか。このあたりもバーチャルならではの攻めた音作りに欠かせないセクションだ。
最後はオレンジ・アンプ・タイプのセッティング。普段からコンパクト・エフェクターを多用するミヤらしく、ペダルとの相性を見ながらセットアップされているのが興味深い。これはアナログ・ペダルとデジタル・アンプの相性がとても良いという好例にもなるだろう。ツマミ位置を見ると、ゲインを抑えてアウトプットをフルにしている。これはヘッドルームを広く取り、外部ペダルとのマッチングを図っているのだ。このあたりはリアル・アンプで音を作り込んできたミヤのセンスが生きている。歪み/ブースター系のペダルを多用するので、プリアンプ・セクションではプリEQで低域をスッキリとさせているのだろう。
さらにミッド・ゲインに設定された内部ゲイン・セクションや、高めのバイアス・セッティングなど、プレキシ・マーシャルのようなテイストも加えられている印象だ。パワー・アンプ部分にはEL34を、TOPOLOGYはプッシュ/プルをセレクトしており、これらはブリティッシュ・アンプの王道とも言えるセットアップだろう。レゾナンスが上がっているのは、オレンジのキャビネットを鳴らした際の低域の回り込みや迫力感を加えるためだろうか。
いずれによ、ライブを中心に活動するバンドマンらしいリアルな音作りが確認できるセットアップとなっているのが興味深い。ぜひライブ会場でアンサンブルに混ざった時に、これらの音がどう聴こえるのかをチェックしてほしい。おそらく、この動画で感じる印象とまた違ったバンド・サウンド内でのギターの存在が確認できるはずだ。
自分のイメージに近づけるという作業ができたら
シミュレーションという領域を超える気がします
BIAS Miniはアンプ・シミュレーターというより、「1台の中に何十台も入ってる実機のアンプ」として使えました。ソフトウェアでは、かなり深いところまでカスタマイズできるんですよ。僕はもう39歳のミュージシャンなので「このトランスがどんな音で、真空管にかける電圧を上げ下げするとどうなるか」とかを知っていますけど、知らない人からすれば、何から手を付けたらいいのかわからないくらいカスタマイズの選択肢がある。でも今の若い人たちは、それをすごく研究して細かく設定できると思うんですよ。だから一回のめり込んで、自分のイメージに近づけるという作業ができたら、シミュレーションという領域を超える気がします。実機のアンプではできないことがたくさんできてしまうので、そこが良いですね。
僕は以前からBIAS Rackを使っているんですけど、BIAS Miniはなんだか音が使いやすくなっているイメージがあって、すごく良かったです。あとはデジタル機器なのでレイテンシーがないことはないんですけど、ほとんど感じられなくて、最初は戸惑いましたね。だから音が速く、固めに聴こえるんですけど、それって自分のピッキングが「粗いよ」って言われている気もするんです。僕が普段から使っているメサ・ブギーのアンプの1chってめちゃくちゃ音が速いんですけど、それに近いものがありました。
昨日レコーディングがあったので、実際にBIAS Miniを試してみたんですよ。「せーの」で録っていたので、ドラムの音とかが被らないように、自分はパワー・アンプ・アウトからキャビネットにつないで出力された音をモニタリングして、Pro Toolsにはライン・アウトのキャビネット・シミュレーターを介した音を録音するという形だったんですけど、BIAS Miniのライン・アウトの音は自分がキャビネットで聴いているものよりも良いイメージだったので、そこが素晴らしかった。なので、レコーディングなどの制作環境で使ってもいいですね。
アンプ・シミュレーターっていっぱいあるじゃないですか? 僕のまわりの友達とかもそうなんですけど、激しい音楽をやっている人が使っていることが多くて、そこがフィーチャーされがちというか、すごく粗い歪みが得意なアンプだと思われていると感じるんですよね。でも、クリーンやクランチも突き詰めていくとすごく使えるので、もっといろんな人に触ってもらいたいな。BIAS Miniはパワー・アンプ付きでこのサイズなのに、けっこう軽くて持ち歩きもしやすいんですよ。しかもツマミも少ないし、ほかのアンプ・シミュレーターより操作が難しくなくて潔いです。アナログのインプット/アウトプットにちゃんと力を入れて、こだわって作ってるからこそ音が良いんだなという気もしますし、そこの手を抜いていないというのが良いポイントですね。
2018年12月31日(月)までにBIAS Head & Rackシリーズを購入すると、トーンマッチ・ペダル・エフェクト、BIAS Pedal Twinシリーズ(通常価格39,800円)が必ずもらえる、お得なブラック・フライデー・セールが開催中。詳細はこちらから!
◎ 期間:2018年11月21日(水)〜2018年12月31日(月)
◎ 対象製品のご購入方法:全国の販売店、またはMIオンライン・ストアにてご購入頂けます。
◎対象製品:BIAS AMP HEAD 、BIAS Rack、BIAS Head DSP、BIAS Rack Processor
価格:¥99,800 (税別)
ミヤ
ロック・バンド、MUCCのギタリスト。歌謡調のメロディやヘヴィなサウンドを軸に、さまざまなジャンルのスタイルを混ぜた独自の楽曲で海外でも大きな人気を得る。近年はシンセを取り入れた斬新な音世界にも足を踏み入れるなど、常に新しい音を求めており、百花繚乱の音色を生み出すミヤのプレイはバンドの軸だ。MUCCのほかに「X SUGINAMI」というX JAPANのコピー・バンドなどでも活動している。メンバー個々にスポットを当てたMUCC初のプレイヤー・ブックも好評発売中!