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  • 音量の小さなウクレレもナチュラルに再生するBose S1 Proを用いた野外ライブの可能性

Bose S1 Pro meets tamamix with 椎谷求

Bose / S1 Pro

そのクオリティの高さから、多くのミュージシャンから絶賛され、今最も注目が集まっているポータブルPAシステムのBose“S1 Pro”。その実力はさまざまな場所で証明されているが、今回使う場所は野外のライブ会場。11月3日に神保町で行なわれた音楽フェスティバル“OUR MUSIC FESTIVAL”のイベントのひとつとして、神田錦町にあるオシャレなカフェ“グッドモーニングカフェ”のテラス席でのライブだ。現場は別の会場からの音楽が鳴り響き、目の前の幹線道路には車が往来し、風も強いというシビアな環境。ここでBose S1 Proを使ってライブを行なったのは、ウクレレで弾き語るtamamixとギタリストの椎谷求のユニット。ウクレレは出力も小さくPAが難しい上、この環境だ。いくらBoseが優れていようと、正直今回ばかりは厳しいと思ったが、それは杞憂に終わった。この状況でもS1 Pro 2台のみで、半径50m程度に音が抜けて良音で響き渡る実力を証明してくれた。終演後ふたりに、S1 Proの印象をうかがった。

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tamamix with 椎谷求 × Bose S1 Pro

ウクレレの響きも美しく再生する注目のポータブルPAシステム

Bose S1 Pro Multi-Position PA system / 価格:78,000円(税別)

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 ボーズから登場した“S1 Pro”は、高音質かつ実用性に優れたポータブルPAシステムで、多くのミュージシャンから絶賛されている。本体には3chの入力があり、ch1、2にはマイクや楽器を直に差せる。もちろんウクレレの優しい響きも美しく出力する。ch3はBluetoothにも対応し、外部音源を流す際にも便利だ。なお、“Bose Connect”アプリを使うことで、2台のS1 Proを連携可能。本体には質の高いリバーブ&EQも内蔵する。さらに“ToneMatch”は、楽器に合わせた最適なEQをワンタッチで得られ、状況によって手軽に音作りが行なえる。場所を選ばず使えるバッテリーも標準装備し、最長11時間使用可能。ラインアレイ・システムを用いたスピーカー配列で、今回のような野外ライブでも実力を発揮する。なおオプションで、S1 Proを背負って運べる“S1 Pro Backpack”(価格:15,000円)もある。

Talk Session with tamamix & 椎谷求

ウクレレらしい丸いサウンドが鳴ってくれて
すごくウクレレにも合っていると感じました


●今回は野外ライブという厳しい環境でしたが、S1 Proを使ってみた印象はいかがですか?

tamamix 最初に音を出した瞬間に“スゴい!”って思いました。ウクレレも声も、音の伸びや響きがいいですし。

椎谷 “とりあえず音を出してみましょう”と言われて、ギターを突っ込んでオンにしただけで、すでにちゃんと調整されたサウンドみたいで驚きました。

●それぞれの楽器の出音に関してはいかがでしたでしょうか?

tamamix ウクレレって、パッと挿して出しただけだと、カタイ音になりがちなんです。でもウクレレらしい丸いサウンドが鳴ってくれて、すごく合っていると感じました。

椎谷 ギターはギブソンJ-45を使っているので、インブリッジ・タイプのスタンダードなピエゾ・ピックアップが内蔵されていますが、そのまま出力すると少しピエゾくさいサウンドになってしまいます。でもS1 Proは直差しするだけでいい音。タッチもしっかりと再現されるので、思わず指で弾きたくなるようなサウンドでした。アタックもすごくキレイに出力されて、まるでマイクで集音した音みたいに感じましたね。

tamamix 演奏していて気持ち良かったよね?

椎谷 そうだね。気持ち良くて、思わず弾き過ぎたかも(笑)。すごく演奏に集中できました。

●今回は、周りの音がかなり大きな状況でしたが、それでも会場のうしろの方まで音が抜けて聞こえてきて、本当に驚きましたよ。

椎谷 最初にスピーカーの配置を見た時に、自分より低い位置のうしろにポツンと置いてあるから、ここで大丈夫なのかなって思いましたけど、自然な感じにステージ上でも聞こえました。

●お互いの音の聞こえ具合いは?

椎谷 普段だと聞き取りづらい音もあったりしますが、今回は大きい音を出していないにも関わらず、しっかりと聞こえてきましたね。それにアコースティックさを失わず、音が立っていました。

tamamix そうだね。聞き取りやすかったね。

●ボーカルも出力しましたが、いかがでしたか?

tamamix 歌も歌いやすかったですね。うまく言葉にできないけど、ちょうどいい感じなんです。今回は外で演奏しましたが、外で演奏している感じではなく、室内で演奏している感じというか。

椎谷 音質的にシビアな環境で演奏すると、変に力んでしまったりしますが、今日は力みゼロ(笑)。音がキチンと出てくれるので、タッチも優しく弾きたくなります。だから、優しい音が届いてくれますね。状況によっては、優しく弾くと音が他のパートの中で埋もれてしまい、ちゃんと聞こえないということもありますが、S1 Proではそれがないと思います。逆に強く弾いても、そのニュアンスがちゃんと出てくれるのもいいですね。

●Boseブランドの印象を教えていただけますか?

tamamix もともとBoseの製品はクオリティが高いって感じていました。この製品に関しても、他のミュージシャンの方から良い評判を聞いていたので、どれだけスゴイのだろうと思っていたんです。実際にライブをしてみたら、その評判どおりの製品でした。

椎谷 自宅でテレビにBoseのモニター・スピーカーをつないで使っているんです。5.1chとかではなく、ステレオのスピーカーを探していて、いろいろと聞き比べた結果Boseの製品を選びました。音のクオリティがすごく高くて、小さいのに低域もしっかりと出ます。Bose製品は、求めやすくても手を抜いていない印象ですね。そのスピーカーは、我が家のマスト・アイテムです(笑)。

●S1 Proも驚くような価格ですよね。

椎谷 今回使ってみてぜひ欲しくなりました。バッテリー駆動もできて、本体だけでも3chまで入力(※XLR/2ch、Aux In/1ch)できますし、EQもリバーブもある。軽量で音もすごくいい。このまま持ち帰りたいです(笑)。

tamamix 普段使っている同じような機材がありますが、それと比べるとクオリティが段違い。見た目がカッコいいのも素敵。ぜひ今後も使いたいですね。

Bose T4S ToneMatch Mixer

ライブはT4S ToneMatch MixerとS1 Proを組み合わせてPAシステムを構築

 今回はtamamixがボーカルとウクレレ、椎谷求がギターとコーラスで4ch必要だったため、Boseの小型4chミキサー“T4S”を用いてPAシステムを組んだ。すべての回線を一度T4Sに入力し、同モデルのEQとリバーブを使って出音をコントロール。T4Sからの信号を2台のS1 Proに送り、ステレオで出力した。もちろんミキサーがなくても、2台のS1 Proがあれば4chまで楽器を入力できるが、T4Sを用いた方が音のバランスが取りやすく、ライブ中も音を調整できて便利だ。

 2台のS1 ProのEQはフラットにセッティング。今回はモニターも兼ねていたため、演奏者よりも低い位置にスラントして2台を設置し使用した。とてもシンプルなPAシステムだが、過酷な状況でも音が抜けて耳に届き、演奏したふたりも音が聞き取りやすく、ストレスなく演奏に集中できたという。

Bose T4S ToneMatch Mixer

Bose T4S ToneMatch Mixer / 価格:78,000円(税別)

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AGM1812.jpg 本記事は、リットーミュージック刊『ウクレレ・マガジン Vol.20 Winter 2019』の記事を抜粋・転載したものです。ジャネット・クライン、ロン・アーティースII、わかないづみのインタビューのほか、新しいウクレレのレビューや奏法特集、イベント・レポートなど、ウクレレの最新情報が満載です。ぜひチェックしてみてください!

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製品情報

Bose / S1 Pro

価格:¥78,000 (税別)

【スペック】
●定格出力:60W ●再生周波数帯域(±3dB):62Hz-17kHz ●最大音圧レベル(1m):103dB (109dB Peak) ●指向特性:水平120°×垂直50° ●スピーカー・ユニット:2.25インチ・ドライバー×3、6インチ・ウーハー ●入力端子:XLR/フォーン・コンボ端子×2、3.5mmステレオ・ミニ(Bluetooth対応) ●出力端子:フォーン ●外形寸法:240(W) x 332(H) x 282(D) mm ●質量:7.1kg ●付属品:リチウム・イオン・バッテリー
【問い合わせ】
ボーズ TEL:0570-080-021 https://probose.jp/product/boses1-pro/
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プロフィール

tamamix(たまみっくす)
2006年頃からYouTubeにウクレレの弾き語りを投稿し、合計再生回数が140万回を超え、徐々に音楽活動を本格化。2011年にショーロクラブの沢田穣治を迎えアルバム『u・ku・lu』でデビュー。2016年にはパーカッションの岡部洋一をディレクターに迎え、2ndアルバム『たまもの』をリリース。CM音楽にも参加し、心に残る歌声とウクレレで、全国各地で精力的にライブを行なっている。

椎谷求(しいや・もとむ)
洗足学園短期大学、さらにバークリー音楽大学で音楽を学び、卒業後プロのプレイヤー、作曲家、アレンジャーとして活動を開始。2011年にはSiiya Brown名義でアルバム『Mr. Guitar Gentleman』を発表し、12年からは芳垣安洋が率いるオルケスタ・リブレのギタリストとしても活動する。ジャズをベースに、ギターだけではなく、マンドリン、バンジョーなどマルチに弦楽器を弾きこなす才人。

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