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- 2024/03/22
Peavey / HP2 Deep Ocean TR
Peaveyと言えばアンプやPA機器に関して本国アメリカで絶大な人気を誇るが、ギターやベースも80年代からオリジナリティ溢れるモデルをプロデュースしてきた。スタンダードなボルト・オン・モデルはもちろん、ビザール・ギター的なデザインやモダン・シェイプまでの幅広いラインナップを、オルタナティブ・バンドからカントリー・ミュージシャン、そして世界的に有名なトップ・ミュージシャンが愛用したことでも有名だろう。
本器は外見こそ「EVH Wolfgang」を連想させるが、そのWolfgangをベースに、細部にブラッシュアップを加えたニュー・モデルだ。
若干非対称なネック・シェイプは、「Peaveyマジック」と言えるような素晴らしく握り心地の良いフィット感とグリップ感で、長時間弾いても本当にストレスがない。いかなるフォームやシェイプでも支点となる左手の親指が自然に落ち着く場所に置けるような印象で、このあたりはトップ・プロの意見がフィードバックされていると感じる。バーズアイ・メイプルの見事なネックは厚めの指板で、オイル・フィニッシュと合わせて貼りメイプル特有の腰高な音のイメージを覆す。エアー感のあるサウンドの要は、このネックにあると言えるだろう。トラスロッド部分は鉄芯に加え、ネック内部に2本のカーボン・ファイバー・ロッドが組み込まれており、ネックに強度を加えている。ペグは3対3の配置だ。
ボディ・トップにはハイ・グロス・フィニッシュされたグラデーションが生きる上質なメイプルを配し、ボディ・バックにはバスウッドをセレクト。これにより、エアー感としっかりしたボトムの響きが得られる。非対称のボディ形状は抱えた際に驚くほどしっくりくる重量のバランスを持っていた。ネック・ジョイント部分にもコンター加工が施されているため、ハイ・ポジションも非常に弾きやすい。
ピックアップにはPeaveyのカスタム・ハムバッキング・ピックアップがマウントされている。このピックアップは2段階のワックス・ポッティングを施されたあと、ボディにダイレクト・マウントされているということで、ダイレクト・マウント・モデルの特徴と言えるタイトな印象だけでなく、ミッド・レンジに空気感が感じられる独自のサウンドを生み出している。超低ノイズでありながら冷たい印象にならない素晴らしいチューニングだ。
コントロール類はシンプルで、マスター・ボリューム、マスター・トーン、そして3ポジション・トグル・スイッチのみ。迷いなく演奏に集中できる。さらに、ボリュームとトーンのツマミがプッシュ/プル・スイッチを兼用しており、ボリュームでリア、トーンでフロントの各ピックアップを、ハムバッカー/シングルコイル(スプリット)に切り替えることが可能だ。クリーン・サウンドでのチャンキーで歯切れの良いカッティングから、分厚いクランチ、さらに重厚なディストーションまで、幅広いニーズに応えることができる。
今回ご紹介したHP2は、Peavey/Floyd Roseライセンスのダブル・ロッキング・トレモロを搭載したモデルだが、T.O.M.(チューン・オー・マティック)ブリッジ&ストップ・テイルピースを搭載したモデルもラインナップされている。
Peaveyの創始者であるHartley Peavey氏のイニシャルである「HP」を冠して登場したHP2は、躍進を続けるアンプ部門だけでなく、ギター部門でも「Peaveyの世界観とクオリティ」を感じさせてくれるだろう。
価格:¥420,120 (税込)
村田善行(むらた・よしゆき)
ある時は楽器店に勤務し、またある時は楽器メーカーに勤務している。その傍らデジマートや専門誌にてライター業や製品デモンストレーションを行なう職業不明のファズマニア。国産〜海外製、ビンテージ〜ニュー・モデルを問わず、ギター、エフェクト、アンプに関する圧倒的な知識と経験に基づいた楽器・機材レビューの的確さは当代随一との評価が高い。覆面ネームにて機材の試奏レポ/製品レビュー多数。
【使用機材】
使用アンプ:Peavey / 6505MH Japan Edition