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高松浩史(THE NOVEMBERS)meets Line 6 HX Stomp

Line 6 / HX Stomp

  • 制作:デジマート・マガジン 取材・文:デジマート・マガジン編集部 写真:西槇太一 動画撮影・録音:森田良紀 動画編集:熊谷和樹

Line 6のベース/ギター・プロセッサー・シリーズ“Helixファミリー”に、ほぼ同等のスペックを持ちながら、それらを小型の筐体に凝縮したHX Stompが仲間入りした。その完成度の高さで、すでに多くのユーザーを射止めている本機だが、ベーシストにおいては導入を逡巡している向きもあるのではないだろうか? ダイナミック・レンジやレスポンス、アンプ/エフェクト・モデリング・サウンドはベースにも適しているのか。そしてプロセッサーに馴染みがないベーシストにも扱いこなせるだろうか。今回は、THE NOVEMBERSの高松浩史に、ほぼ初対面の状態でHX Stompに触れてもらい、短時間で使いこなせるか“実験企画”を敢行。リアルなインプレッションを語ってもらった。

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高松浩史(THE NOVEMBERS)× Line 6 HX Stomp

about Line 6 HX Stomp
アンプ、エフェクター、DI、オーディオI/Oを兼ねる“最強のストンプボックス”

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 人気ギター/ベース・プロセッサー「Helixシリーズ」の最新モデルHX Stompは、Helixと同じDSPチップとHXモデリング・エンジンを搭載しながらも圧倒的なコンパクト・サイズを実現し、熱狂的な支持をもってシーンに受け入れられた。ファミリー製品と同じアンプ/キャビネット/エフェクトのHXモデルや、Mシリーズやストンプボックス・モデラーに含まれる“レガシー”エフェクト、ルーパーを含む300種類以上もの高品位かつ膨大な音色群。筐体の小ささに応じてフットスイッチの数は3つに絞られたが、Helixシリーズでお馴染みのカラーLEDリングをあしらった、タッチ・センシティブ機能付きスイッチによる直感的な操作性。HX Stompが、ハードからソフトまでが絶妙に噛み合った“最強のストンプボックス”であることは論をまたず、すでにデジマート製品レビューでもギタリスト向けにその実力を紹介しているが、ベースにおいても革新的機材であることは間違いない。というわけで、ここではベーシスト目線で本機を紐解いてみよう。

 まず内蔵のアンプ/キャビネット・モデルは、伝統的な王道チューブ・アンプ【Tuck n' Go】【SV Beast】やジャコらの愛した名トランジスタ・アンプ【Woody Blue】など、エフェクトはベース・フィルターの名機【Mutant Filter】、近年シーンを席巻するプリアンプ/ディストーション【Obsidian 7000】などベーシストのツボを絶妙に押さえたラインナップを揃える。ベース用のファクトリー・プリセットも、デフォルトで15種を収録。もちろん、それ以外のギター用のアンプ/エフェクト・モデルをベースに合わせてチューンナップすることも可能なので、内蔵された(そしてアップデートにより追加されていく)あらゆる音色が強力な味方になってくれるはずだ。さらにHX Stompのダイナミック・レンジは123dBで、ベース・トーンがスポイルされることなく、タッチのニュアンスも忠実に再現。ライン・アウトはアンバランス/バランス出力を兼用しているので、本機からの信号をPA卓に直接入力したり、自宅録音の要として活用することも可能だ。つまり本機がアンプとなり、エフェクターとなり、DIとなり、オーディオ・インターフェースとなるということである。

 以上の機能を、すべてこの小さな筐体に収めているのも最大のメリットで、どこへでも持ち運びができるため、もはやベースとHX Stompだけあれば、あらゆるシチュエーションで従来以上のパフォーマンスに寄与してくれる。それに、もし外すことができないお気に入りのペダルがあれば、本機のセンド/リターンに接続して内部のルーティングに組み込むことができたり、あるいは愛用ベース・アンプのプリアンプ部を本機に組み込む4ケーブル・メソッドで活用することも可能だ。

 ライブ用途で言えば“スナップショット”機能も大きなポイントで、これは同一プリセット内で最大3種類の異なる設定を保存することができるというもの。これまで音色を変える際は、プリセットの移動=DSPを介して処理せざるを得ず、どうしても音切れが生じていたが、本機能を活用すれば同一プリセット内でエフェクト構成やパラメーター変化を行なうため、その問題から解放されるというわけだ。ベース・サウンドを向上させるだけではなく、プレイヤーの音楽スタイルすらも大きく変貌させる革新的な機材だと言えるだろう。

Takamatsu's Impression
HX Stompとのファースト・コンタクトを終えて──

about Sound
〜サウンドについて

 これは僕だけに限った話ではないと思うんですが、デジタル・エフェクターを使うとレンジ感が狭まったり変な味付けがされたり、実用的じゃないと思っている人が多いんじゃないかって。その点HX Stompは、レンジ感が狭まることはなかったですし、音質的にも素晴らしいと思いました。レイテンシーもないですし、弾いた時の違和感がないというか。“こういう音を出したい”というイメージに、ちゃんと付いてきてくれる。あと、アナログ・エフェクターをモデリングしているエフェクトは、デジタル特有のきらびやかさがありつつアナログ感が加わっているので、いい塩梅に使いやすい。“ビンテージ機材はエッジが足りない”と思っている人は良い選択肢になるんじゃないかと思います。しかもLine 6のすごいところは、モデリングだとしても例えばオリジナル機にないEQが付いていたりと、細かいフォローがある。そこにLine 6のオリジナリティを感じて、すごく好感が持てます。

about Function
〜機能性について

 説明を聞いているだけだと“ちょっと難しいのかな”とも思いましたけど、実際触ってみるとインターフェースがシンプルでわかりやすい。僕は2〜3時間で普通に使えるくらいになりました。例えばHelixシリーズ特有の機能として、スナップショットは曲中で瞬間的に音切れもなくパッチを変えられたりする。それはアナログ・エフェクターでは絶対にできないことなので感動しました。スナップショットなどの機能は、やりたいことを明確に持っている人には、すごく良い武器になると思います。

The way to use
〜活用法について

 もともとベーシストって、基本的な歪みとかコンプとかは自分のお気に入りを用意して、ちょっとだけ使う空間系エフェクトを、マルチ・エフェクターで補う方が多いと思うんです。僕も最初はHX Stompはそういう使い方ができると思っていたんですが、実際に使ってみると、これ一台だけでいけるクオリティがある。もちろんお気に入りのコンパクトがある場合はHX Stomp内のルーティングに組み込めるし、いわゆるマルチ・エフェクターとしての使い方もできますけど、ちょっとしたセッションなら一台でこなせるし、DIやオーディオ・インターフェースにもなるから宅録も完結できる……もう抜群ですよね(笑)。一家に一台あってもいいくらいのクオリティです。一方で、HX Stompはコンパクトな分フットスイッチの数が少なかったりするので、直感的に操作したい方はHelix FloorやHelix LTという選択肢になるのかなと思います。

Total Impression
〜総評

 なにより、すごくコンパクトだということが一番ショッキングでした。このコンパクトさで、Helixシリーズの音色が継承されているというのが、すごい技術ですよね。それに、Helixは未来がありますよね。アンプ・モデルとかエフェクト・モデルも今後、アップデートで増えていくでしょうし。この良さを味わってもらうには、まず音を出してみてほしいですね。ファクトリー・プリセットを鳴らすだけでも充分良さがわかりますし、偏見なく触れてほしいです。僕は普通に欲しいです!

ひと言で表わせば“可能性”
──後日談

写真:高松浩史

 その後、HX Stompをお借りし、家やスタジオ、レコーディングでも使用してみました。本機で最も優れているなと思ったのは、やはりデスクトップでの利便性です。ツアー先でHX StompとPCがあるだけで曲も作れますし、単独で音作りも煮詰めることができる……これは本当に便利だと思います。サイズの大きなHelixに比べてフットスイッチが少ない分、直感的にその場で音を作り込むというより、ある程度事前に音を作っておき、現場で微調整をする使い方のほうが向いているように思いました(もちろん慣れればその場で作り込むことも簡単にできそうです)。

写真:高松浩史

 エフェクトで気に入っているのは、【LA Studio Comp】や【70s Chorus】です。どちらもデジタルならではの質感とアナログを狙った滑らかさが良いバランスで、とても使いやすいです。レコーディングで使用しましたが、かなり良い感触でした。あと、【Obsidian 7000】も自宅録音で多用しています。“それっぽい”音が簡単に出せるので重宝しています。
 Distortionセクションの中でも、ファズはユニークな音が多かったです。世の中のファズに比べて、歪みの質がゴツゴツしているものが多いので、ベースで使用しても“歪んでいる感じ”が出せて、パンチ力がある音作りができます。総じて、オリジナル機より扱いやすく感じるものが多いのも嬉しいです。ベースでオーバードライブやディストーションが欲しい場合には、Ampセクションを使用すると良いなと思いました。【SV Beast】や【Busy One】などは“お!”と思いました。けっこう歪みます。
 ディレイやリバーブなど、ベーシストはあまり多用しないようなエフェクトもおもしろかったです。リバーブに関しては、わりとエフェクティブなものが多く感じましたが、“レガシー”というMシリーズのエフェクトも内蔵されていて、そこでオーソドックスなリバーブが補完されている印象です。こういった、頻繁には使用しないエフェクトも気軽に使用できるのは本当にありがたいです。しかもひとつひとつが高品質という。

 おもにレコーディングやデスクトップでの使用ですので、正直まだ“スナップショット”などのライブ的な機能は使いこなせていないのですが、これからマニュアルを開きつつ、勉強していきたいなと思っています。HX Stompをひと言で表わすと“可能性”だと思います。使い手次第ではいろいろなことに応えてくれそうな、そんな余白、器の広さを感じました。(高松浩史)

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デジマート製品レビュー:Line 6 / HX Stomp

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製品情報

Line 6 / HX Stomp

価格:オープン

【スペック】
■入出力:インプット×2(L/MONO、RIGHT)、アウトプット×2(L/MONO、RIGHT)、センド(ステレオ)、リターン/AUXイン×2(L/MONO、RIGHT)、ヘッドフォン・アウト、MIDIイン、MIDIアウト、TRSエクスプレッション・ペダル/フットスイッチ・イン、USB ■外形寸法:64(H)×122(D)×170(W)mm ■重量:820g
【問い合わせ】
Line 6 インフォメーションセンター TEL:0570-062-808 https://line6.jp/hx-stomp/index.html
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プロフィール

高松浩史
たかまつひろふみ●2005年からTHE NOVEMBERSとしての活動を開始する。2007年に1st EP『THE NOVEMBERS』をリリースし、現在までに6枚のフル・アルバムや1枚のベスト・アルバムを発表している。来春には新たなEP『ANGELS』をリリースすることが決定しており、3月よりワンマン・ツアーを開催する予定だ。高松はバンドと並行して、Lillies and RemainsやBAROQUEのサポート・メンバーとしても活躍している。

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