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  • 西 慎嗣氏が貴重な59年&60年のバースト・レス・ポールを弾き倒す!

西 慎嗣のグルーヴで楽しむOriginal “Burst” Les Paul

Gibson / 1959 1960 Les Paul Standard

  • 制作:デジマート・マガジン 取材・文:井戸沼尚也 動画撮影・編集:熊谷和樹 音声録音:嵩井翔平 スチール撮影:星野俊(人物)、八島崇(ギター)

ロックのアイコンとして唯一無二の存在感を放ち、ソリッドのビンテージ・ギターとしては最も高額なモデルとなったギブソン“バースト”レス・ポール。1958年から1960年の僅かな間にしか生産されなかったこの貴重なギターが、東京・御茶ノ水の「クロサワ楽器 G'CLUB TOKYO」に複数入荷している。同店では、その貴重なサウンドを体感してもらう試奏イベントを実施。これまで、CREATIONの竹田和夫氏を迎えた1回目稲葉政裕氏と住友俊洋氏を迎えた2回目が、それぞれ大盛況となった。3回目となる今回は、試奏&解説に伝説のバンド、スペクトラムで名を馳せた西 慎嗣氏を迎えて開催された。その様子をレポートしていく。

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西 慎嗣のグルーヴで楽しむOriginal “Burst” Les Paul

Gibson 1959 Les Paul Standard “Blister Top”

Gibson 1959 Les Paul Standard “Blister Top”(Front)

Gibson 1959 Les Paul Standard “Blister Top”(Back)

 今ではほとんどお目にかかれない、状態の良い1959年製のオリジナル・バースト・レス・ポール。本器はボディ・トップにバーズアイ、またはブリスターなどと呼ばれる珍しい杢目を持つ材を使用した個体だ。褪色したチェリーがうっすらと残る、非常に美しいフィニッシュも印象的な1本。

 重量は4.3kgと、重すぎず、軽すぎずと言ったところ。バランスが良いせいか、4.3kgという数字からイメージするよりは、はるかに軽く感じる。またネックのグリップ感も太すぎず、細すぎず、万人に好まれるグリップだろう。ピックアップはもちろんオリジナルPAFで、フロントはゼブラ、リアにはダブル・ブラックのものが搭載されている。ジャックが交換されている以外は、アッセンブリーにはずされた形跡はない。

 サウンドは、パワフルでありながら色気があり、ビンテージ感を持ちつつ解像度も高いという、まさにバーストらしいサウンド。やや硬質なトーンを有しており、特にロックには最適だ。もちろんタッチに対する反応が良いので、よりブルージィなプレイにも十分にマッチする。

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Gibson 1959 Les Paul Standard “Cindy”

Gibson 1959 Les Paul Standard “Cindy”(Front)

Gibson 1959 Les Paul Standard “Cindy”(Back)

 非常にコンディションの良い1959年製のオリジナル・バースト。世界的に有名なバースト・コレクターであるヴィック・ダプラ氏の著作『Burst Believers Ⅱ』のP52〜53で、“Cindy”という女性の名を付けて紹介されている個体だ。名前の由来は、本器のブリッジ・ピックアップ横にある節が、ホクロがチャーミングな女優“シンディ・クロフォード”を連想させるということだ。

 個体としての特徴は、重量がわずか3.9kgと非常に軽量なこと。アッセンブリーのハンダにははずされた形跡がなく、フレットもオリジナルの貴重なものだ。ペグに関しては、一度交換されたあとオリジナルに戻されている。

 ピックアップはもちろんオリジナルPAFで、フロントがゼブラ、リアがダブル・ホワイトという組み合わせ。サウンドはやや甘めで、ロックやブルースはもちろん、ジャズにも使える極上のスウィート・トーンを放つ。出力もしっかりとあり、このサウンドを好む人も多いだろう。

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Gibson 1960 Les Paul Standard

Gibson 1960 Les Paul Standard(Front)

Gibson 1960 Les Paul Standard(Back)

 オリジナル・バースト・レス・ポールが製作された最終年である1960年、本器はその中でも後期のモデル。赤みがしっかりと残った“トマト・スープ”などと形容されるチェリー・サンバースト、メタル・トップのノブ、ダブル・リングのクルーソン・ペグと、この時期の特徴をしっかりと残した個体だ。

 プレイアビリティ面での本器の特徴は60年製らしいスリム・テーパー・ネックで、これが驚くほど薄い! 特にロー・ポジションの薄さは、現代のリイシュー・モデル以上ではないだろうか。59年製とはまったく別物と言っていいほど特徴があるので、真剣に購入を検討している方にはぜひ実際に握ってグリップ感を確かめてもらいたい。重量は4.12kg。

 サウンドは、倍音が豊かで音圧がある絶品のビンテージ・トーン。音が前に出てくる感じで実にロックだ。有名どころでは、エリック・クラプトンやジョー・ウォルシュ(イーグルス)などがバーストの中でも60年製を好むことで知られている。59年製とはまた違った魅力を持つギターだ。

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絶品のギター・プレイとビンテージ・レス・ポール・サウンド
そして饒舌なトークで大盛り上がりのバースト・イベント第3弾!

 70年代に人気絶頂だったアイドル「キャンディーズ」のサポートをわずか16歳で務め、18歳でスペクトラムに加入し、日本最高峰のファンク・ギターを聴かせていた早熟の天才、西 慎嗣氏。この名手が59年と60年のオリジナル・“バースト”を弾き倒すという贅沢なイベント、「西 慎嗣のグルーヴで楽しむOriginal “Burst” Les Paul」が、2018年12月15日(土)に東京・御茶ノ水のクロサワ楽器 G'CLUB TOKYOで開催された。

 この日は開演前から立ち見が並ぶ満員の観客で大盛況! 熱気溢れる中で西氏が登場し、あいさつ代わりにブルースを1曲演奏した。西氏は、その珍しい杢目から“Blister Top”と呼ばれる59年製のバーストを、近年製のフェンダー・ブルース・デラックスに「エフェクターをつなぐとレンジが狭くなるから」と直結! 有名スタンダード・ナンバーを「素敵なおじさん」という日本語詞にアレンジして沸かせる一方で、圧倒的に良いバースト・トーンで会場を圧倒した。ブリッジ・ピックアップでも太く色気があり、しっかりとエッジも立って、ピッキングのコツンとしたアタックが心地良い。弾き終えた西氏は「このギターには弾かされるね! ミックス・ポジションやネック・ピックアップも使おうと思っていたけど、気持ち良くてブリッジだけで1曲弾いちゃった」とのこと。ネックのグリップ感も太すぎず、細すぎず、実に弾きやすいということだった。

 続いては、“Blister Top”よりも少し赤みが強い個体である59年製の“Cindy”を手にニューオーリンズ・ファンクをプレイ。ここではミックス・ポジションやネック・ピックアップを使い、粘り気のある演奏を披露。持ち前のリズム感の良さ、ギリギリまで音を引っ張るプレイ・スタイルに加え、バーストならではのサステインとそれに相反するようなエッジィなキレ味で、とにかくリズミカルなプレイが冴えわたる。演奏後、「1本目(Blister Top)に比べるとネックが少し太くて甘めの音。ジャジィなプレイにもよく合う。それから、レス・ポールは実はすごくカッティングに合うんだよね。あとは、とにかく軽量(3.9kg)なのがいいよ」とコメント。西氏は現在コンテンポラリーなギターも使うが、実は大のビンテージ・ギブソン・フリークだったのだ。かつては57年製レス・ポール、59年製レス・ポール、59年製ES-335、63年製ファイヤーバード、66年製ES-335などなど錚々たる名器を所有し、弾き倒してきた。それだけにプレイ、サウンド、コメントすべてに説得力があり、会場はどんどん引き込まれていった。

 3本目に60年製のバーストを手にした西氏。これは60年製造の特徴である赤みが強く残った個体だ。手にした瞬間「ネックの感じがSGっぽいよね」と一言。確かに60年を最後にオリジナル・レス・ポールは一度生産終了となり、その後61年にSGが(当時は「新しいレス・ポール」として)登場する。60年製のバーストは後のSGに通じるようなスリム・テーパー・ネックの個体が多く、特にこの個体は驚くほど薄い。このギターを手に南部色の強いアップテンポのブギを演奏。「この個体の音は元気ですね! 見た目はジョー・ウォルシュのギターみたい。ずっと弾いていたいなぁ」とコメント。

 ここまで3本通して弾いた感想は「1本1本、全部違いますね。もちろん59年と60年という違いはあるけど、この頃のギターは1本ずつ全部違うんだよね。どれも素晴らしかったけど、自分が特に好きなのは1本目かな」ということで、最後に“Blister Top”で1曲目をオリジナルのアレンジで演奏。今回はミックス・ポジション、ネック・ピックアップも交えながら、素晴らしい演奏を披露してくれた。ちなみに西氏のオリジナル・ピックは、ティア・ドロップの丸いほうが肥大した変形ティア・ドロップ。通常は丸いほうで弾きつつ、エッジを立てるときだけ尖った部分で弾く。この弾き方にオリジナル・バーストがしっかりと反応し、時に歌うような、時に叫ぶようなトーンを聴かせてくれた。

 イベントの最後には、この日使用したバック・トラック音源やオリジナル・ピックを来場者に抽選でプレゼント! 西氏は写真撮影などにも応じてくれ、来場者全員が大満足で会場をあとにした。

過去のバースト・イベントはこちら!

竹田和夫(CREATION)と味わうOriginal “Burst” Les Paulの世界

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サザン・ロック・スタイルで楽しむ
Original “Burst” 59 Les Paul feat. 稲葉政裕&住友俊洋

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製品情報

プロフィール

西 慎嗣
にし・しんじ。1960年11月19日、長崎県生まれ。16歳でキャンディーズのバック・バンドMMPに加入。18歳でスペクトラムに加入。解散後はラディックスを結成。バンド活動と並行してアン・ルイス、矢沢永吉、桑名正博、Char、ジョニー吉長など、さまざまなアーティストのライブ・サポートやプロデュースを行なう傍ら、桑田佳祐プロデュースによる『NISHI.』や『SHINJI BACK TO THE ROOTS』などのソロ・アルバムをリリース。また、ユニットのミックスナッツを結成し、アルバムもリリースしている。海外ではレゲエ界の重鎮であるベレス・ハモンドやスライ&ロビーを始め、多くのレゲエ・アーティストのアルバムに参加。スライ&ロビーとの共作アルバムは、第49回グラミー賞の“ベスト・レゲエ・アルバム”にもノミネートされる。現在はおもに西 慎嗣バンドや岡本定義とのナタデココ、山﨑まさよしとの“さだまさよしんじ”、小原礼&屋敷豪太とのThe Renaissanceなどのライブ活動及び、アーティストのサウンド・プロデュースなどを行なっている。

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