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キーボード購入ガイド2019【ポータブル・シンセサイザー編】

Synthesizer

キーボード・バイヤーズ・ガイドの最後を飾るのは、コンパクトで場所を選ばないポータブル・シンセサイザー&音源モジュール特集です。小型ながらも本格的なサウンド・メイキングができて即戦力になる3機種を厳選しました。こちらもキーボード・マガジンの名レビュアー陣が紹介します。

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SEQUNTIAL Prophet Rev2 Module

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[SPECIFICATIONS]
●音源方式:アナログ●ボイス数:16●オシレーター:1ボイスにつきDCO×2(ノコギリ波、三角波、ノコギリ波と三角波のミックス波形、矩形波を選択でき、オシレーター1はサブオクターブを搭載)●フィルター:1ボイスにつき1つのCURTIS製アナログ・ローパス・フィルターを搭載(2ポールと4ポールを選択可)●内蔵シーケンサー:ポリフォニック・ステップ・シーケンサー(最大64ステップの1tr仕様。1ステップあたり最大6ノート)とゲート・シーケンサー(最大16ステップの4tr仕様。モジュレーション・ソースとしても機能)を切り替えて使用可●アルペジエイター:プログラマブル、アップ/ダウン/アップ&ダウン/ランダム/アサインの5モードを搭載●メモリー:ファクトリー・プログラム×512とユーザー・プログラム×512●外形寸法:548(W)×84(H)×200(D)mm●重量:3.4kg

価格:オープン・プライス(市場予想価格:189,000円前後/8ボイス、255,000円前後/16ボイス)
問)福産起業 03-3746-0864

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歴史的名器の系譜を受け継ぎ進化した現代型アナログ・シンセのモジュール・バージョン

 伝説的アナログ・シンセサイザーProphet-5 の生みの親、デイヴ・スミス氏の会社デイヴ・スミス・インストゥルメンツが、Prophet シリーズの復活第1弾として2008年にリリースしたのが、Prophet ‘08だった。それ以降、サウンド・キャラクターや機能に個性を持たせたリアル・アナログ・シンセやハイブリッド・シンセが、Prophetの名を冠していくつかリリースされているが、Prophet Rev2はProphet ‘08の直接の後継機として、既存機能の強化そして新機能の追加をしてリニューアルされたものだ(だからProphet ‘08で作った音色を読み込みさらにエディットしていくことも可能)。そしてその音源モジュール版が、本機Prophet Rev2 Moduleである。

 そのサウンドはリアル・アナログのProphetシリーズらしい、全帯域に密度感があり、プレゼンスが効いた音だ。Prophet-5以来ずっと搭載されているカーティス製アナログ・フィルター(本機では2pole[-12dB]と4pole[-24dB]の切り替えが可能)によるシリーズ共通のキャラクターに加えて、ローミッドの若干の柔らかさ、ふくよかさが美しく、本機の個性となっている。

 ボイス数は16ボイス(8ボイス・モデルもある)。1プログラム(音色)に2レイヤーが使用可能で(バイティンバー方式)、自由にスプリットやスタックを組むこともできるのだが、その際にこの贅沢なボイス数が有効に使えるというわけだ。古典的なサウンドから現代的なサウンドまでを網羅したファクトリー・プログラム、そしてユーザー・プログラムはそれぞれ512あるので、どんどんライブにも持ち出していけることだろう。

 本機においては数多くのツマミがパネル上にあり、システム関連などを除いて、階層を潜らずほぼすべてのパラメーターにワンタッチで触れることができ、見やすい有機ELディスプレイでパラメーター数値を確認しながら、直感的かつスムーズに音作りをしていくことができる。本機は上級者向けの機種と思われるかもしれないが、実はシンセサイザーの入門者にとっても、このパラメーターの把握のしやすさや操作性の良さは大きなメリットになるはずだ。

 Rev2の新機能として大きなものは、まず“ウェーブシェイプ・モジュレーション”だ。アナログ・シンセの多くはオシレーターにパルス・ウィズ・モジュレーション(Pulse Width Modulation/PWM=パルス波幅変調)機能を備えているのだが、それをパルス波(矩形波)以外の波形にまで拡張しているのだ。ゆるやかに変化を繰り返すストリングス・パッドなどをはじめとして、いろいろな音に試してみるといいだろう。

 そしてこれも新機能であるエフェクト。レイヤーごとにかけることができる。エフェクトの種類はリバーブ、ディレイ(モノ、古典的ステレオ・デジタル、BBDの3種類)、コーラス、フェイズ・シフター(トム・オーバーハイム氏オリジナルの6ステージ・フェイザーを含む3種類)、フランジャー(2種類)、リング・モジュレーション(トム・オーバーハイム氏によるもののエミュレーション)、ディストーション、ハイパス・フィルター。どれも本機のサウンドに合って太い上にキレがよい印象で、筆者個人的には特にBBDディレイがまろやかな音で気に入った。

 そしてRev2は2つのシーケンサーとアルペジエーターを備えている。シーケンサーはポリフォニック・ステップ・シーケンサーとゲート・シーケンサーで、前者は1ステップ内に最大6ノートをコード状態でセットできて、最大64ステップをレイヤーごとに作成できる。後者はレイヤーごとに4トラックあり、ノート(音程)だけではなく各種パラメーターへのモジュレーション・ソースとしても機能する。アルペジエイターのモードはUP、DOWN、UP+DOWN、RANDOM(ランダム)、 ASSIGN(鍵盤を押した順序でのアルペジオ)の5種類。いずれも強力なパフォーマンスの後押しをしてくれることだろう。

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(文・堀越昭宏)

Roland SH-01A

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[SPECIFICATIONS]
●音源方式:ACB(Analog Circuit Behavior)テクノロジー ●最大同時発音数:4音 ●メモリー:サウンド・パッチ×64、シーケンサー・パターン×64 ●シーケンサー:100ステップ/4音ポリフォニック●アルペジエーター:DOWN/U&D/UP、1 OCT/2 OCT●接続端子:CV OUT、GATE OUT、EXT CLK IN、PHONES、OUTPUT、MIX IN、MIDI(IN、OUT)USB(マイクロBタイプ)●電源:単三電池×4(ニッケル水素充電池またはアルカリ電池)またはUSBバス電源●外形寸法:300(W)×46(H)×128(D)mm●重量:965g(電池含む)

価格:オープン・プライス(市場予想価格:46,000円前後)
問)ローランドお客様相談センター 050-3101-2555

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名機SH-101を再現し機能を現代的に拡張したBoutiqueシリーズのシンセ・モジュール

 ローランドSH-101と言えば、1983年に登場、それまで高価で重たいというシンセサイザーのイメージを見事に覆し、軽くてポップなシンセとして一世を風靡したモノシンセの名機中の名機。ビンテージ市場でもいまだに人気の機種が、ローランドのACBテクノロジーでSH-01Aとして現代に蘇った。しかも4音ポリフォニックにもなる上、現代の音楽シーンに適応すべくいくつかのパワーアップを果たしたのだ。

 まずはこのSH-01A、ローランドが近年展開しているBoutiqueシリーズにラインナップされる製品なので、驚くほどコンパクト。当然ながらBoutique Dockやサイズ感もぴったりな専用キーボード・ユニットK-25Mにドッキングさせての使用もできるが、メインに使うシンセやデジタル・ピアノの上にそのまま乗せるのもオススメ。CDケースを2枚並べたくらいの大きさなのでちょっとしたスペースに置けるのだ。制作がメインのトラックメーカーならよくお分かりいただけると思うが、自宅の制作スペースはとにかく機材の置き場所がない。しかしこのサイズならデスク上の隙間にちょこんと置ける。技術の進歩はありがたいものだと思う。

 コンパクトな筐体の中にオリジナルと同じ1VCO、1VCF、1VCA、1ENVというこれぞシンセサイズの基本と言える構成を持ち、SH-101を完全に再現。ノコギリ波と矩形波、サブオシレーター、ノイズのミックス具合でサウンドの基礎を作り、VCFのFREQやRESなどのスライダーでサウンドの変化をダイレクトに楽しむことができる。エンベロープはADSRタイプでシンプルだが、モジュレーションはオリジナルにあった三角波、矩形波、ランダム、ノイズに加え、ノコギリ波、逆ノコギリ波が搭載され音作りの幅が広がっている。オリジナルにはないディスプレイが用意され、モードやパッチの確認や変更が目に見えるのでステージでもとても有効であろう。ベンドやモジュレーションにはリボン・コントローラーが2つ用意されており、動きに追従し光るのでとても現代的になった印象。これらを使えばオリジナルよりはるかに派手なパフォーマンスができる。オクターブのトランスポーズやポルタメントのセクションも演奏には重要だが、ここもオリジナルと同じ作りになっていて安心だ。

 さて肝心の音であるが、オリジナルのピッチの揺らぎや回路同士の干渉によるクセまでもACBテクノロジーで再現したというそのサウンドは、確かにSH-101らしい。特にそれを感じるのはサウンドのアタック感の速さと、スパッと爽快なキレのフィルターによる暴れ過ぎずに絶妙にスッキリした出音だ。もっとエグい音の出るモーグやアープといったシンセとは全く違う価値観、それが今も世界中でSH-101が愛される理由であり、SH-01Aは確かにその特徴を再現していると感じた。こういったサウンドは、トラックや楽曲に抑制の効いたインテリジェントな雰囲気を与えたい時に有効であろう。

 また、SH-01Aはオリジナルの再現にとどまらず、モノに加えて、ユニゾンや4音ポリのモードも内蔵している。サウンドのカラーや使い道によってモードを使い分ければいろいろな可能性が見えてくる。またオリジナルにはなかったプリセット・メモリーも64音色可能なので気に入ったサウンドが保存できるし、ライブでの使用にも向いた作りと言える。サウンドを呼び出して、ツマミやスライダーでのパフォーマンスをする際も、すべてのパラメーターの動作においてオリジナル以上のスピード感が体感でき、操作していてとても心地よい。スピード感があるのにサウンド自体には昨今のデジタル・シンセのようなギラギラ感がないのが本機の一番の魅力であろう。

 また、オリジナルに内蔵された100ステップ・シーケンサーやアルペジエーターが、レトロ感の演出ができると非常に人気があったわけだが、その辺りもボタンの並びまで含めて再現されている。シーケンス・パターンを64個記憶できるのも嬉しい。さらにCV/GATEでビンテージ・シンセと連携させるということも可能だ。MIDIのほかマイクロUSBでも鳴らすことができる上、内蔵スピーカーもあり電池駆動も可能なので、どこでも使用することができる。

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(文・YANCY)

ARTURIA MiniBrute 2

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[SPECIFICATIONS]
●鍵盤: 25鍵(ベロシティ、アフタータッチ対応)●最大同時発音数:1●オシレーター:アナログVCO×2、VCO1=ノコギリ波+Ultra Saw、矩形波(パルス・ウィズス可変)、三角波+Metalizer、各波形のミキシング可能、VCO2=サイン波、ノコギリ波、矩形波(選択式、3種類のチューニング・レンジ)、VCO2→1ハード・シンク、VCO1リニア&エクスポネンシャルFM、ホワイト・ノイズ・ジェネレーター、外部オーディオ入力●フィルター:Steiner-Parkerフィルター(12dB/Oct)、ローパス、ハイパス、バンドパス、ノッチ●LFO:シンク機能付きLFO×2:サイン波、三角波、ノコギリ波、矩形波、ランダム、スリー・ランダム●エンベロープ:ADSR×1、AD×1(トリガー、ゲート・モード)、ワンショットまたはループ動作、アタックとディケイ・タイムをCVで制御可能●パッチベイ:48ポイントCV/Gateパッチベイ、音色パラメーターとシーケンサー制御用インプット&アウトプット、ユーティリティ・モジュール(インバーター、アッテネーター、VCA)●アルペジエイター:Up、Down、Inclusive、Exclusive、Random、Note Order、Double Up、Double Down●シーケンサー:8ステップ・シーケンス、最大64ステップ●入出力端子:オーディオ・イン/アウト、ライン出力、ヘッドフォン出力、MIDI IN/OUT、USB IN/OUT●外形寸法:484(W)×336(D)×58(H)mm●重量:4.8kg

価格:95,000円
問)コルグお客様相談窓口 0570-666-569

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パッチベイと新機能の追加で強力にリニューアル。シリーズ第二弾のアナログ・モノシンセ

 ソフト・シンセのパイオニア、アートリアが突如としてデビューさせたリアル・アナログ・シンセMiniBruteが、モデル・チェンジを果たした。単なるアップデートというよりも、初代MiniBruteの基本構成を受け継ぎながらその発展性や使いやすさにおいて完全にリニューアルされた別物と言った方がよいだろう。

 まず、MiniBruteの特徴であったオシレーターそれぞれの波形(三角波にはMetalizer、ノコギリ波にはUltrasaw、矩形波にはPWM)を増強させる形のモジュレーションを搭載。また、ちょっとザラついたタフな印象のスタイナー・パーカー・タイプのフィルター、穏やかなオーバードライブから過激な歪みによる音色変化まで対応できるアンプ部のBrute Factorなど、アナログ・シンセの骨格部分の特徴はしっかりと受け継がれている。また、各波形のミキシングやエンベロープなどはスライダーで、モジュレーションのアマウントやフィルターのカットオフなどは回転ポッドで、という非常に理にかなったレイアウトも初代どおりの美点だ。また、鍵盤は2オクターブで何とベロシティー/アフタータッチ対応である。

 モデル・チェンジしたMiniBrute2最大の特徴は、48端子にも及ぶパッチベイの搭載だろう。もちろん内部結線によって、基本的な信号の流れはケーブルによるパッチングなしで扱えるのはコルグのMS-20などと同じだが、この48端子によるパッチングの自由度はこのクラスの単体アナログ・シンセとしては桁外れと言っていい。特に、先述したこの機種ならではのオシレーター内のモジュレーション・ファクター(Metalizer、Ultrasaw、PWM)が変調のデスティネーションとして使えるのが、音色作りにおける1番の魅力だ。

 また、48端子の中にはシンセ内部のパッチング要素だけではなく、インバーターやMIDI/CVコンバーター、アッテネーターなど本来それだけで独立したモジュールとして用意するべきオプションも含まれている(モジュラーでこれをそろえるだけでもウン万円だ!)。ここまでやってあるのはもちろん、外部にモジュラー・シンセのシステムを組んでいく際のコントロール・センターとして最適であることを狙っているのだろう。

 もう1つ大きな追加機能がシーケンサー/アルペジエーターである。初代MiniBruteにはシンプルなアルペジエーターのみが装備されていたが、MiniBrute2のそれは非常に操作しやすいシーケンサー・モードが追加されており(リアルタイム・パフォーマンスを非常に意識したと思われる)、これがまた外部との連携に優れた仕様になっていて心強い。右端のSyncボタンで瞬時にしてクロック・ソースをINT/USB/MIDI/CLICKの4つから選べるなど、何よりも使い勝手に泣ける。モノトラックではあるが、ゲート・タイム/スウィング値/リトリガー機能まで備えた専用機顔負けの仕様だ。本機はシンプルなアナログ・シンセにしては珍しく、エディット用にShiftボタンが装備されているが、Shiftモードでの操作のほとんどは、鍵盤との併用でシーケンサー機能に関する設定に用いるため、決して煩雑になっていない。

 また、本機には“COOK BOOK”(懐かしいモーグのアルバムを思い出させるタイトルだ)と称する、スパイラル・ノート状のパッチ集が付属しているのだが、コレがハッキリ言って秀逸! 例えばアープOdysseyなど、黎明期のアナログ・シンセには、こういう紙に印刷したパッチ・シート集とブランク・シートが必ず付属していたものだ。勉強になるぞ! 本機にはメモリーが存在しないが、アナログ・シンセの基本をしっかり把握するためには逆にその方が強みなのだ。メモリーがあるとついプリセット的な使い方をしてしまい、スクラッチから1音色立ち上げる努力をしなくなってしまうからである。それは大変勿体ない話なのだ!

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(文・飯野達彦)

キーボード・マガジン 2019年 WINTER 発売中!

 本記事は、リットーミュージック刊『キーボード・マガジン 2019年 WINTER』の記事を転載したものです。誌面では森山公稀、カメダタク、野村太一へのインタビュー記事も掲載、各人のキーボード選びのポイントも紹介していますので、参考にしてみてください。

 また本号では、YMO結成40周年記念企画 Vol.2「楽器で巡るYMOサウンド」と題して、YMOのアルバムで使用された楽器・機材を徹底検証。関係者の証言とともに当時の制作現場の様子に迫り、そのサウンドの裏側を掘り下げます。ぜひ手に取ってチェックしてください!

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