
音楽制作ツール購入ガイド【マイク&モニター編】
- 2019/02/14
DAW
現代の音楽制作はパソコンを使うのがスタンダードになっています。ローコストながら多彩な機能を手にできる上、あらゆる操作を直感的に行えるため、機材に詳しくなくても楽曲制作を始めやすいのです。ここではまず、楽曲制作に欠かせないDAWについて紹介していきましょう。
DAW は“Digital Audio Workstation”の略称で、歌や楽器演奏のレコーディング、MIDIの打ち込み、最終的なミックスといった音楽制作のあらゆる作業をカバーするソフトウェアのことです。MacとWindowsの両方で動作する製品と、一方に特化した製品があるため、手持ちのパソコンで使えるものを選びましょう。また、パソコンのCPU(プロセッサー)性能やRAM(メモリー)の容量、ディスクの空き容量などが、欲しい製品の動作条件を満たしているかどうかもチェックしてください。
DAWには“プラグイン”と呼ばれるインストゥルメント(ソフト・シンセ、ソフト・サンプラー)やエフェクトが付属しており、それらだけでも制作は可能。しかし、多くのメーカーからリリースされているプラグインを購入して音の幅を広げることもできます。プラグインは“VST”や“AU”“AAX”といった規格を使って動作するため、購入時は自身のDAWがサポートしているかどうかを確認しましょう。
[動作環境]
●Mac:OS X 10.11.6/10.12.6/10.13.3●Windows:Windows 8.1(64ビットのStandard/Proエディション)/Windows 10(64ビットのHome/Pro/Enterpriseエディション)●共通:16GBのRAM(32GB以上を推奨)、15GB以上のディスク空き容量(インストール時)、インターネット接続環境(インストール時)、64ビットのAAXプラグインに対応
問)アビッドテクノロジー https://www.avid.com
Pro Toolsはスタジオの標準DAWとされているソフトで、時間軸上にトラックが並ぶ“編集ウィンドウ”と、ハード・ミキサーを模した“ミックスウィンドウ”を基本構成としています。編集ウィンドウでは、別画面を開くことなくオーディオやMIDIをそのデータの最小単位まで編集可能。ミックスウィンドウでは信号の柔軟なルーティングが行なえます。
また、AvidCloudCollaboration機能を使えば、離れた場所にいる人とも1つのプロジェクト内で共同作業ができることもポイントです。1カ月または1年の単位でソフトを使用する権利を購入できるサブスクリプション・ライセンスのほか、永続ライセンス(70,800円)も用意されています。永続ライセンスを購入すれば期間の制限無く使用でき、1年間の無償アップグレード権や17種類のプラグイン特典(年間サプスクリプション)も利用できます。サポートが必要な場合は、年間サポート・プランも別途購入可能です。まずは、誰でも使用できるPro Tools|First(無償)で試してみるとよいでしょう。
[動作環境]
●Mac:OS X 10.11以降、INTELのCPU ●Windows:Windows 7以降(64ビット)、INTELまたはAMDのマルチコアCPU ●Linux:Ubuntu 16.04以降、マルチコアCPU ●共通:4GB以上のRAM、9GBのディスク空き容量、解像度1,280×768以上のディスプレイ、VSTプラグインに対応
問)ディリゲント TEL 03-6264-7820 https://dirigent.jp
2014年に発売されたドイツ産のDAW。Mac/Windowsだけでなく、Linuxにも対応しています。パッケージ版/ダウンロード版ともに価格は46,250円。バージョン1からのアップデート版は19,000円、対象のDAWからのクロスグレード版は31,000円にて発売されています。
従来のDAWと同様の時間軸をベースにする“アレンジビュー”に加え、オーディオ/MIDIファイルをインポートし、アレンジビューのタイムラインに縛られず再生できる“クリップランチャー”を備えているのが特徴。1つのトラックの中でオーディオ・クリップとMIDIクリップが混在できるのもポイントです。外部のモジュラー・システムとの連携もでき、同期信号の受け渡しやMIDIノートからのCV/Gate生成が可能。そのほか、自分好みのコントロール・パネルを作れるRemote Controls、インストゥルメントやエフェクトなどを柔軟にモジュレートできるModulation Systemなど、個性ある機能を備えたDAWになっています。購入後、1年間は無償バージョン・アップが可能。
[動作環境]
●Mac:OS X 10.11以降●Windows:Windows 7以降●共通:4GB以上のRAM、4GB以上のディスク空き容量、XGA以上の解像度のディスプレイ(SXGA以上を推奨)、インター ネット接続環境
問)フックアップ TEL 03-6240-1213 https://hookup.co.jp
ステップ・シーケンサーで作成したパターンを“プレイリストと呼ばれるプロジェクト画面に並べて曲を作るDAWです。こうしたパターン・ベースの制作環境により、トラック・メイカーを中心に人気を博しています。
オーディオ機能が省かれたエントリー・グレードのFL Studio 20 Fruity Editon(16,000円)、オーディオ/シーケンス機能や基本的なプラグインが備わったFL Studio 20 Producer Editon(26,000円)、Producer Editonに7つのプラグインを追加したFL Studio 20 Signature Bundle(34,000円)、IMAGE-LINEのすべてのプラグインを収録したFL Studio 20 All Plungins Bundle(120,000円)をラインナップ。パッケージ版では、SignatureBundleと解説本のセットになったFL Studio 20 Signature解説本バンドル(35,800円)やクロスグレード版(22,000円)も用意されています。また、バージョン20ではMac/Windowsの両OSで使用できるようになりました。
[動作環境]
●Windows:Windows 7以降(64ビット、日本語版OSのみ対応)、INTELまたはAMDのマルチコアCPU、4GB以上のRAM、24GB以上のディスク空き容量(Ability Pro)3GB以上のディスク空き容量(Ability Elements)、解像度1,280×800以上のフル・カラー・ディスプレイ、VSTプラグインに対応
問)インターネット TEL 06-6309-1002(大阪)、03-3226-0240(東京) www.ssw.co.jp
国内メーカーのINTERNETによるWindows用DAW。Ability Pro(パッケージ版:54,000円/ダウンロード版:36,000 円)とAbility Elements(パッケージ版:30,000円/ダウン ロード版:22,500円)のほか、Ability Proクロス・アップグレード版(対象の他DAW所有者に特別価格で提供)が用意されています。
64ビット・エンジンによるクリアな音質が特徴で、Pro版なら最大8つのエフェクトを用いたかけ録りも可能。MIDIはリアルタイム入力、ステップ入力に加え、ピアノロールやステップ・エディター、スコア・エディターなどでも 打ち込みができるようになっています。作成したMIDIデー タは譜面化することも可能です。コード進行の作成などに役立つ“コンポーズ・アレンジ・リミックス支援機能”、歌のピッチやタイミングを調整できる“ボーカルエディタ”なども搭載。Pro版はNATIVE INSTRUMENTS Komplete ElementsやSONNOXのエフェクトなど52種類のVSTプラグイン、Elements版は33種類のVSTプラグインを付属します。
[動作環境]
●Mac:OS X 10.11以降(64ビット)、INTEL Core 2 Duoプロセッサー(Core I3以上推奨)、AU/VSTプラグインに対応●Windows:Windows 7(64ビット、SP1+プラットフォーム・アップデート)/Windows 8.1/Windows 10、INTEL Core 2DuoまたはAMD Athlon X2プロセッサー(INTEL Core I3またはAMD Athlon X4以上推奨)●共通:4GBのRAM(8GB以上を推奨)、40GBのディスク空き容量、解像度1,366×768以上のディスプレイ(High DPIディスプレイを推奨、タッチ操作にはマルチタッチに対応したディスプレイが必要)、インターネット接続(インストールとアクティベーションに必要)、VSTプラグインに対応
問)エムアイセブンジャパン www.mi7.co.jp
STEINBERG Cubaseを設計していた技術者、ヴォルフガング・クンドゥルス氏らの手掛けたMac/Windows対応のDAW。Studio One 4 Professional(ダウンロード版:39,630円/ボックス版:オープン・プライス/市場予想価格40,556円前後)、Studio One 4 Artist(ダウンロード版:11,852円/ボックス版:オープン・プライス/市場予想価格12,778円前後)、Studio One 4 Prime(ダウンロード版のみ:無償)の3グレードをそろえています。
Professional版は64ビットのミックス・エンジンを搭載し、マスタリング専用のプロジェクト・ページを備えるのも特徴です。最新のバージョン4では、パッド型サンプラーのImpact、音階演奏ができるサンプラーのSample Oneが“ImpactXT”“Sample OneXT”となり、サンプル編集機能が強化。そのほか、楽曲のキーやコード進行を指定できるコード・トラック機能、指定したキー/コード進行にMIDI/オーディオを合わせることができるハーモニー機能なども備わりました。
[動作環境]
●Mac:OS X 10.7以降(64ビット)、INTELのマルチコアCPU●Windows:Windows 7以降(64ビット)、INTELまたはAMDのマルチコアCPU●共通:4GBのRAM(8GB以上を推奨)、4GBのディスク空き容量(スクラッチ・ディスク・スペースとして最大20GB使用)、解像度1,280×768以上のディスプレイ、VSTプラグインに対応
問)コルグお客様相談窓口 TEL 0570-666-569 https://www.propellerheads.com/ja/reason
アウトボード・ラックのような画面にプラグインを立ち上げ、仮想のケーブルでパッチングして音を作るという、特徴的なユーザー・インターフェースを持つDAW。すべての機能と16のインストゥルメント、26のエフェクト、7GBのライブラリーを備えるReason 10(オープン・プライス:市場予想価格35,000円前後<通常版>、12,000円前後<アップグレード版>)のほか、収録インストゥルメントやエフェクト、使用可能トラック数を絞ったReason 10 Intro(オープン・プライス:市場予想価格8,000円前後)が用意されています。
個性的なフィルターを用いて複雑なオシレーターを生成できるシンセのEuropaや、さまざまな再生アルゴリズムを搭載したグラニュラー・シンセのGrainなど、高性能なインストゥルメントを付属。ピッチ・エディット機能やSSL XL9000Kを元に作られたミキサーなどもあり、本格的なミックスがすぐにスタートできます。Reasonに完全統合する独自規格のデバイス=Rack Extensionで機能を拡張が可能。
[動作環境]
●Mac:OS 10.12以降、INTELのマルチコアCPU ●Windows:Windows 7以降、INTELまたはAMDのマルチコアCPU、Direct X 10、WDDM 1.1 に対応したグラフィック・ ボード●共通:4GB以上のRAM(8GB以上を推奨)、30GB以上のディスク空き容量、解像度1,440×900以上のディスプレイ(1920×1,080以上を推奨)、インターネット接続環境(アクティベーションなどに必要)、VSTプラグインに対応
問)ヤマハ スタインバーグ・コンピューターミュージック・インフォメーションセンター https://new.steinberg.net/ja/cubase/
1989年に発売がスタートしたMac/Windows用のDAW。64ビット浮動小数点のミキシング・エンジンを採用しています。 最新バージョンではピッチ/タイミング補正ツールのVariAudioの操作性が向上したほか、複数のボーカル・トラックのタイミングを瞬時に合わせるオーディオアライメント、チャンネルストリップのインターフェースの改良などが行われました。また、VRコンテンツ制作用のツール“SteinbergVirtual Reality Production Suite”やひずみ系エフェクトのDistroyerが追加され、IRリバーブReverenceのIRデータも20種類増強。さらに幅広いジャンルのサンプル/ループ/プリセットを約5GB分収録するなど、サウンド面も進化したバージョン・アップ内容です。
Cubase Elements 10(オープン・プライス:市場予想価格12,000円前後)、Cubase Artist 10(オープン・プライス:市場予想価格32,000円前後)、Cubase Pro 10(オープン・プライス:市場予想価格57,000円前後)という3つのグレードを用意しています。
『サンレコ for ビギナーズ 2019』とは、これから音楽制作をスタートしたい!という人たちに向けた、音響機材購入ガイド・ブックです。音楽制作に欠かせないDAWソフトからモニタリングに必要なスピーカーやヘッドフォン、マイクやギターなどのレコーディングに使うオーディオ・インターフェース、MIDIの打ち込みに便利なMIDIコントローラーなど、さまざまな機材の特徴と製品カタログを掲載しています。