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yasu2000 × CANAL WORKS CW-U77 / CW-U12AEX / CW-U02

CANAL WORKS/CW-U77、CW-U12AEX、CW-U02

カスタム・インイヤー・モニターを製作しているCANAL WORKS。耳型の採取を行なうことで自分の耳にぴったりフィットしたシェルを作成でき、イヤフォン本来の性能を最大限に発揮できるのが魅力だ。また、価格を抑えつつもカスタム・モデルの性能はそのまま、耳型の採取無しに誰でも使用できるようになっているユニバーサル・モデルもラインナップされている。今回、そのユニバーサル・モデルのイヤー・モニター3機種を、origami PRODUCTIONSのエンジニアyasu2000氏に試してもらった。

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CANAL WORKS ユニバーサル・モデル

CW-U77

CANAL WORKS / CW-U77(価格:148,000円)

 CW-U77は同社のカスタムIEMモデルのCW-L77をユニバーサル化したモデル。バランスドアーマチュア方式(高域×4、中域×2、低域×2)の3ウェイ/8ドライバ-仕様。

◎この製品を購入する → http://www.canalworks.jp/product/cw-u77/

CW-U12AEX

CANAL WORKS / CW-U12AEX(価格:58,000円)

 CW-U12AEXは同社のカスタムIEMモデルCW-L12AEXをユニバーサル化したモデル。バランスドアーマチュア方式(高域×1、低域×1)の2ウェイ/2ドライバーの仕様。

◎この製品を購入する → http://www.canalworks.jp/product/2way2driver-universal-in-ear-monitor/

CW-U02

CANAL WORKS / CW-U02(価格:40,000円)

 CW-U02は同社のカスタムIEMモデルCW-L02をユニバーサル化したモデル。バランスドアーマチュア方式(フルレンジ×1)のフルレンジシングル・ドライバーの仕様。

◎この製品を購入する → http://www.canalworks.jp/product/cw-u02/

yasu2000's Impressions

イヤフォンをしていることを忘れるくらいの一体感が得られます

痛いところが無くつややかな高域、分離感が良く定位がしっかりと見える

今回yasu2000が試聴したCW-U77、CW-U12AEX、CW-U02

 

 CANAL WORKSのユニバーサル・モデルはカスタム・モデルと同じくハンドメイドで製作されています。アルミ削り出しの高精度ノズルを採用し、高い遮音性のイヤー・チップは“サーモフィット・イヤー・チップ”というもので、体温によって柔らかくなり素早く耳になじむのが特徴。ケーブルは、しなやかで断線しにくい合成樹脂繊維とスパイラル銅線をより合わせた特殊構造で、断線したとしても簡単に交換可能です。

 まずはリスニングにフォーカスして3機種を試してみましょう。CW-U77はドライバー×8を備えた3ウェイ。高域は痛いところが無く、つややかです。クラシック曲では特にストリングスが奇麗に聴こえました。ジャズでは管楽器のつややかさが際立ち、存在感のあるピアノとの分離感が良いため、定位がしっかりと見えてきます。生楽器だけで構成されている落ち着いた曲は、倍音感と高域の伸びが感じられる上質な音で再生されました。

 EDMなどのダンス曲で低域をチェックしたところ、野太いシンベの音にもシェルが震えていっぱいいっぱいになることなく、ゆとりがあるように聴こえます。中域の解像度も良く、ポップス全般においてボーカルが立体的に太く聴こえ、楽器との距離感も分かりやすかったです。周波数ごとの情報量が多い分、音数の多いジャンルは聴き疲れるかもしれないので、ボリュームは下げた方がよいかもしれません。逆に音数の少ないR&Bなどのアカペラ部分ではうっとりしてしまいました。

 CW-U12AEXはドライバー×2を内蔵する2ウェイ仕様。CW-U77に比べると、レンジとパワーが少し落ち着きましたが、バランスが良く整っており、音の輪郭は明りょうです。ダンス・ミュージックやヒップホップで低域の出方を聴いてみると、こちらもゆとりのある鳴り方で、キックとベースの分離が良く感じました。十分に満足できる解像度です。ポップスやR&Bなど、歌を中心とする楽曲も歌詞がよく聴き取れます。リスニングという面では、3機種の中でCW-U12AEXが一番好みでした。程よい音圧とレンジ感が良いですね。

 CW-U02はフルレンジ・シングル・ドライバーのモデルです。ドライバーの数が1つなので、音域の幅やパワーは先述の2モデルに比べて落ち着きますが、1つのドライバーから音が出ているということもあり、周波数ごとのばらつきが無く統一感があります。高域や低域が落ち着いているので緊張感が無く、どのジャンルも安心して聴けました。1つの固まりとして感じられるので、音数が多いポップスやアニソンなどでも耳が疲れません。

サウンドの後ろの空間が感じられるので、空間系エフェクトの調整がしやすい

 次にミックス作業でも試してみました。特にCW-U77は、大きいサイズの箱の中から音が飛び出してくるような印象があります。その箱の中のどの部分が空いているのか、ということが分かりやすいので、楽器同士がぶつからないよう、音の配置が容易にできました。サウンドの後ろの空間もよく感じられるので、リバーブやディレイなどの空間系エフェクトの調整がしやすいです。

 普段ミックスをするときは、スピーカーで全体の音圧感と音像の上下/左右/前後の幅や広さ、キックやベースなどの40Hz以降の低域処理を主に行ないます。そして、ヘッドフォンで細部のザラつきやつるつる具合といった質感、ノイズやパンニングをチェック。ラジカセでも鳴らして、印象が変わらないように調整し直します。周波数のバランスが整っているCW-U12AEXやCW-U02は、ラジカセ・チェックと同じ感じでミックス全体を振り返るときに使うのもよいと思います。

 ミックス作業のときは、スピーカーとヘッドフォンを使用することが多いと思います。しかし、僕が必ず最後に行なっているのがイヤフォンでのチェックです。家に帰り、お風呂に入って体を休ませた後、目を閉じて曲を聴きます。なぜなら、ヘッドフォンは鼓膜からドライバー・ユニットまでの少しの空気を通して、耳全体を震わせて体感させるというメリットがありますが、その構造ゆえに外の音を遮断することは難しく、無音に近い状態で音の細部を鮮明に聴くことができるイヤフォンの方が没入感を得られるからです。薄暗い部屋で少し現実感がある状況で映画を見るのと、真っ暗な部屋で現実感が無い状況で映画を見るのと同じ違いと言えるでしょう。

 今回試したCANAL WORKSのイヤフォンはどれも音のバランスが良く、ユニバーサル・モデルではありますが装着感もとても優れていて、長時間付けていても耳が痛くなりません。耳になじむサーモフィット・イヤー・チップのおかげで、イヤフォンをしていることを忘れるくらいの一体感が得られます。リスニング/音楽制作問わず、音の世界に入り込めるインイヤー・モニターとして重宝するでしょう。

サウンド&レコーディング・マガジン 2019年4月号 発売中!

SunrecMag1904.jpg 本記事はリットーミュージック刊『サウンド&レコーディング・マガジン 2019年4月号』の特集記事「ヘッドフォン特集 2019!」を一部転載したものです。今号のサンレコでは約100ページの大ボリュームで、第一線で活躍する“アーティスト/クリエイター/エンジニア総勢30名の愛用モデル紹介”をメインに、約100ページに渡ってヘッドフォン/イヤフォンの“今"を切り取る大特集を展開。特集内では、ヘッドフォンの歴史を紐解いたり、注目製品の試用レポートを収録するなど、決定版と言える内容に仕上がっています。ぜひチェックしてみてください!

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製品情報

CANAL WORKS / CW-U77

価格:¥148,000 (税別)

【スペック】
●ドライバー:バランスド・アーマチュア(高域×2、中域×2、低域×2) ●インピーダンス:15Ω ●感度:118dB ●ケーブル長:127cm ●付属品:セミハード・ケース、イヤー・チップ(S/M/L)
【問い合わせ】
カナルワークス TEL:04-2941-4852 http://www.canalworks.jp/

CANAL WORKS / CW-U12AEX

価格:¥58,000 (税別)

【スペック】
●ドライバー:バランスド・アーマチュア(高域×1、低域×1) ●インピーダンス:79Ω ●感度:121dB ●ケーブル長:127cm ●付属品:セミハード・ケース、イヤー・チップ(S/M/L)
【問い合わせ】
カナルワークス TEL:04-2941-4852 http://www.canalworks.jp/

CANAL WORKS / CW-U02

価格:¥40,000 (税別)

【スペック】
●ドライバー:バランスド・アーマチュア(フルレンジ×1) ●インピーダンス:37Ω ●感度:117dB ●ケーブル長:127cm ●付属品:セミハード・ケース、イヤー・チップ(S/M/L)
【問い合わせ】
CANAL WORKS TEL:04-2941-4852 http://www.canalworks.jp/

プロフィール

yasu2000
レコーディング/ミックス・エンジニア。1999年に単身渡米し、滞在中はDJ活動をしながら、NYの専門学校IARでエンジニアリングを学ぶ。現在はorigami PRODUCTIONSのハウス・エンジニアとして多くのアーティストの制作に携わる。

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