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“アナログ感”を強く感じさせる個性派ディレイ〜現行“アナログ・ディレイ・ペダル”試奏分析

アナログ・ディレイ

エフェクター・ファンのバイブル『THE EFFECTOR book』(シンコーミュージック刊)。最新刊のVol.44ではアナログ・ディレイを大特集! ここではアナログ感”をキーワードに、BBDタイプのみならず、デジタル・ハイブリッド系までも範疇に、「楽曲に魔法をかけてくれそうな魅力」を宿すモデル9機種を厳選してみた。各ブランドのエンジニアがそれぞれの解釈で練り上げた“アナログ感”を感じてみてほしい。

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アナログ・ディレイには“ロマン”が詰まっている!

 「自分の出音に何かが足りない……」「弾いていて気持ちがアガらない……」、そんなアナタに贈りたいのが“アナログ・ディレイ”。ポンと踏むだけで、一発で音色がいきなりプロ・クオリティへ変貌するマジック・アイテムだ。

 アナログ・ディレイと言うと、どうしてもビンテージ個体にばかりに目が向いてしまうが、ここでは“アナログ感”をキーワードに、可能な限り最新のモデルからチョイス。よって、往年の名器であるBOSSのDM-2の遺伝子を継承したDM-2Wなど、超王道モデルを欠いていたりするがご心配なく。そうした定番中の定番である人気モデルは、THE EFFECTOR book Vol.44で別途しっかりフィーチャーしてあるので、そちらを参照してほしい。

01 MXR / M299 Carbon Copy Mini[BBD回路]

MXR / M299 Carbon Copy Mini

[Specifications]
●ディレイ・タイム:20msec〜600msec ●コントロール:Regen、Mix、Delay、Speed(内部)、Depth(内部) ●スイッチ:ON/OFF、Mod、Bright ●端子:Input、Output ●サイズ:45mm(W)×92mm(D)×55mm(H) ●電源:9VDC ●価格:¥26,000(税別) (問)03-3862-5041/モリダイラ楽器

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小さくなっても名機の個性は健在、機能も大きく進化

 アナログ・ディレイの大ヒット作、「M169 Carbon Copy」が小型化されると聞いて、期待が募らないはずがありません。MXRが近年力を入れて開発しているミニ・サイズ・ペダルは、「ただ小さくしただけ」ではない完成度の高さから、音楽制作の現場での評判もすこぶる良いのです。僕も普段から「M169 Carbon Copy」を愛用しているので、早速本機と比べてみました。小型化による音質の低下を心配されている方、どうぞご安心ください。「Carbon Copy」ならではの音色は大健在です。

 メーカーの商品説明の通り、アナログ・ディレイならではの温かさと使いやすさがそのまま引き継がれていると感じました。もっと踏み込んで、細かく音色の比較をしてみると、「M299 Carbon Copy Mini」は、従来機よりもほんの少しスッキリしたチューニングが施されているようで、多くの方がアンサンブル内での使いやすさの向上を実感できると思います。

 そして、さらなる音抜けが欲しい場合に明らかな効果が得られる“BRIGHT”スイッチ、従来機よりもオン/オフではっきりとした差が感じられるようになったモジュレーション機能(“MOD”スイッチでオン/オフ)も搭載。小型化と機能の進化を見事に両立してくれています。

【オフィシャルHP】

02 electro-harmonix / Deluxe Memory Man[BBD回路]

electro-harmonix / Deluxe Memory Man

[Specifications]
●ディレイ・タイム:最大550msec ●コントロール:Blend、Level、Feedback、Depth、Delay ●スイッチ:ON/OFF、Chrs/Vibr ●端子:Input、Direct Out、Effect Out ●サイズ:144mm(W)×119mm(D)×60mm(H) ●電源:24VDC ●価格:¥43,000(税別) (問)support@kyoritsu-group.co.jp/キョーリツコーポレーション

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オンにするだけでフレーズの存在感が120%増

 憧れのミュージシャンたちが使用していることに影響され、何台も試してきましたが、これほどまでに全部が全部、微妙にキャラクターの異なる、“生き物のようなエフェクター”をほかに知りません。

 そんな「Deluxe Memory Man」シリーズは、エフェクト音にコーラスとビブラートをかけられることで有名ですが、個人的な特筆点はレベル調整が可能な点。他社製でも機種によってはエフェクト音のトーンを調整できるアナログ・ディレイもありますが、「確かに聴こえるようにはなったけど細くなってしまった」と感じることもあり、音抜けではなく、音量が欲しくなるシチュエーションも多くあります。

 その点、本機は太さを保ったままアンサンブルに埋もれない音色を作り上げたいとき、音量操作によるアプローチができるのが大きなメリット。……と、ついレベル機能のことばかり書いてしまいましたが、コーラス&ビブラート機能にも触れないわけにいきません。

 エフェクト音にさらにエフェクトを加えると音が細くなりがちですが、本機ではむしろ逆。存在感が増し、さらなる太さを感じるようになります。両モードとも“DEPTH”=9時あたりから設定を始めると扱いやすいのではないでしょうか。ぜひ試してみてください。

【オフィシャルHP】

03 Seymour Duncan / Vapor Trail[BBD回路]

Seymour Duncan / Vapor Trail

[Specifications]
●ディレイ・タイム:15msec〜600 msec ●コントロール:Rate、Mix、Repeats、Depth、Delay ●スイッチ:ON/OFF ●端子:Input、Output、Wet Insert ●サイズ:66mm(W)×120mm(D)×37mm(H) ●電源:006P(9V電池)/9-18VDC ●価格:¥25,000(税別) (問)049-274-3810/ESP

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“太さ”と“音抜け”を両立させたナイス・チューニング!

 リプレイスメント・ピックアップで有名なセイモア・ダンカンですが、古くからエフェクターも多数手掛けてきています。結論から言いますと、本機は「さすがトップ・アーティストたちの音色に長年携わる超老舗ブランドならでは」と感じさせる、音楽的な資質を備えた製品。楽器の中音域のうま味を知り尽くしたチューニングに仕上がっています。

 アナログ・ディレイと言えば音色の太さが特徴ですが、その太さ故に音量が下がって聴こえたり、アンサンブルに埋もれるといった弊害を起こしやすいもの。本機も太いアナログ・サウンドを備えていますが、処理しづらい低音域をすっきりと抑えることで、太さを保ったまま、抜けの良さも実現しています。また、サイド・ジャックにステレオY字ケーブルを接続することで、ディレイ音にエフェクトをかけることができたりと、機能も充実。一般に積極的な活用方法が見出すのが難しいモジュレーション機能に関しても、音色がとにかく秀逸です。

 “RATE”と“DEPTH”=10時くらいの位置でゆったりと淡く揺らす設定はもちろん、両コントローラー全開時で得られるトレモロがかかったような独特な音色は本機でしか表現できないので、ぜひとも体験してみてください。

【オフィシャルHP】

04 FOXGEAR / Echoes[BBD回路]

FOXGEAR / Echoes

[Specifications]
●ディレイ・タイム:60msec〜680msec ●コントロール:Level、Feedback、Time ●スイッチ:ON/OFF ●端子:Input、Output ●サイズ:60mm(W)×120mm(D)×30mm(H) ●電源:9-12VDC ●価格:¥8,500(税別) (問)03-3703-3221/オカダインターナショナル

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スタイリッシュなデザインに美しい残響成分を封入

 本機に初めて触れる人がまず驚くであろう点が、電源を入れた瞬間の演出。これはご自身の目でぜひ確認してみてください。エフェクターは音が良くて使いやすいことが購入の決め手の第1位だと思いますが、かなりの僅差でデザイン性も食い込んできますよね。僕自身、機能と同じくらい、物として愛せるかどうかがペダルボードに組み込む際の大事な基準。そこにあるだけで気分をブーストしてくれる、というのもエフェクターが持つ大切な役割の1つなのです。

 そんな素晴らしい独創性を備えたデザインに呼応するように、音色も特別な仕上がり。柔らかく滑らかな減衰はリバーブ的な設定でも効果を発揮します。そして、そうした使い方におけるキモにもなっているツマミ、“FEEDBACK”のチューニングがとにかく絶妙。まずは14時ぐらいに合わせてみてください。減衰はしていくものの消えそうで消えない、例えるならば白夜のような残響を演出してくれます。この設定で“LEVEL”も大きめにして飽和感を出してやると、シューゲイザーなどの轟音音響系ナンバーにもハマるでしょう。

 飛び道具としても活躍しますが、扱いやすいモデルなので初めてのアナログ・ディレイとしてもオススメできます。

【オフィシャルHP】

05 Mooer / Ana Echo[BBD回路]

Mooer / Ana Echo

[Specifications]
●ディレイ・タイム:20msec〜300msec ●コントロール:Echo、Rate、Intense ●スイッチ:ON/OFF ●端子:Input、Output ●サイズ:42mm(W)×93.5mm(D)×52mm(H) ●電源:9VDC ●価格:open price (問)info@lep-international.jp/LEP INTERNATIONAL

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優等生のフリをしながら、刺激的な音色もしっかり同居

 低価格モデルだからといって侮ることなかれ。ムーアーのラインナップはプロにも愛用者が多く、特に現場での評価が高いのが本機。プロの現場では何にでも対応できる多機能性と同じくらい、音色を迷わずに決められるスピード感も重要です。

 本機が備える迷う余地のないシンプルな操作系、これぞアナログ・ディレイという温かな音色、自然な減衰感を瞬時に演出できる点、それがプロに好まれる理由でしょう。安価な製品にはあからさまに低音域のない、音色が痩せるものもありますが、ムーアー製品はどれもレンジが安定していて、広さを感じます。アナログ・ディレイ選びに迷ったらコレと言って、間違いのないモデルと言えるのではないでしょうか。そんな風に説明すると、当たり障りのない機種かと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。一筋縄ではいかない愛せるポイントもちゃんとあるからこそ、オススメできるのです。

 本機を使いこなすキモは“INTENSE”の設定。12時くらいまではどんなシチュエーションでも使いやすいものの、それ以降は急激に暴れ出すので心してください。13時くらいの「ギリギリ演奏はできるけれども常に薄く発振している状態」はなかなかに刺激的ですよ。

【オフィシャルHP】

06 Chase Bliss Audio / Tonal Recall Red Knob Mod[BBD回路+デジタル制御]

Chase Bliss Audio / Tonal Recall Red Knob Mod

[Specifications]
●ディレイ・タイム:20msec〜1,100msec ●コントロール:Ramp、Mix、Time、Regen、Rate、Depth ●スイッチ:ON/OFF、Tap/Hold、Note Division、S-L-B、Wave Shape、Preset(Dip Switch)、Trails ●端子:In、Out、Tap/Midi、Exp/CV ●サイズ:69mm(W)×121mm(D)×61mm(H) ●電源:9VDC ●価格:¥57,500(税別) (問)042-519-6855/アンブレラカンパニー

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アナログ・ディレイで実現可能なサウンドのすべてを網羅

 輸入代理店のウェブ・ページで公開されている説明文にある、「最強のアナログ・ディレイ」の文言に嘘偽りナシ! アナログ信号をデジタル制御することにより、アナログ・ディレイでできることのすべてが網羅されていると言っても過言ではない、多彩な音作りを実現しています。

 背面に用意されたDIPスイッチを使って“RAMP”ノブにさまざまなパラメーターをアサインし、オリジナリティあふれる音色を作り出す、というのが本機ならではの楽しみ方。操作への理解が深まるにつれ新たな使用方法が見つかり、ユーザーに飽きる隙を一切与えません。一見難しそうに見える操作方法も、同封されているプリセット・マニュアルを試していけば、各パラメーターの働きを意外と簡単に理解することができます。コツは言葉で解釈するのではなく、効果を感じること。

 僕のオススメは、左右両方の“TIME”、“BOUNCE”をオンにした状態から始める設定、間違いなく本機でしか作れない音色が飛び出します。そしていろいろと試し尽くしたら、“RAMP”に何もアサインしない状態に立ち返ってみてください。そうすると本機のクオリティの高さを実感できるはず。もとの音色の良さがあるからこそ、多彩な音作りが可能なのです!

【オフィシャルHP】

07 Bondi Effects / Art Van Delay[BBD回路+デジタル制御]

Bondi Effects / Art Van Delay

[Specifications]
●ディレイ・タイム:40msec〜1,200msec ●コントロール:Time、Depth、Rate、Level、Feedback ●スイッチ:ON/OFF、Tap、Sub Div、Reset、Kill Dry(内部) ●端子:Input、Output、Aux(Exp Pedal、Tap、Midi)、USB ●サイズ:71mm(W)×122mm(D)×59mm(H) ●電源:9VDC ●価格:¥50,000(税別) (問)042-519-6855/アンブレラカンパニー

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アナログの響きを磨き上げるためにデジタル制御を採用

 本機は良質なアナログ・サウンドの徹底追求のためにデジタル制御を採用。多彩な音色を実現するためではなく、1つの音色をとことん追い込む操作性を高めるためにデジタルを導入したという点に、音色への自信を強く感じます。

 手触りを感じられるほどに柔らかで有機的な減衰は、エフェクターであることを忘れてしまうくらい自然界の効果そのもの。各パラメーターの可変もデジタル制御ならではの滑らかさで、かなり繊細なセッティングも可能です。「自然界」という例えを用いたように、音色が想起させる風景は(ブランド名からも連想できるように)やはり海辺でしょう。

 そして、そんな響きにメランコリックな風情を付加してくれるのがモジュレーション機能。これは、普段「モジュレーション機能は使い方がよくわからないので使っていない」という方にこそ特にオススメしたい機能です。本機のそれはどんなセッティングにしても使える音を得られるのが特徴。強めにもかけられ、決して崩壊することのない“DEPTH”のチューニングが絶妙なのです。“DEPTH”=15時、“RATE”=9時くらいで得られる、ほかの機種だと使うのが難しい「かかりの深いゆったりしたうねり」も見事に成立させてくれます。

【オフィシャルHP】

08 Emma Electronic / Navigator[デジタル回路+アナログ回路]

Emma Electronic / Navigator

[Specifications]
●ディレイ・タイム:20msec〜1,000 msec ●コントロール:Main D、Color、Second、Depth、Speed、Feedback、Time ●スイッチ:ON/OFF、Tap、Sub Division、Tail ●端子:Input、Mixed/Wet、Dry ●サイズ:94mm(W)×120mm(D)×51mm(H) ●電源:006P(9V電池)/9VDC ●価格:¥38,000(税別) (問)03-3232-7601/日本エレクトロ・ハーモニックス

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デジタル・ディレイなのに音色は心地よいアナログ感

 ファースト・インプレッションは、「ほかと何かが違う」。とても良い意味で、最新感がないのです。まさに僕がそうなんですが、本機は「ハイファイ疲れ」をおこしている方々に強くオススメします。“COLOR”で調整できる音色幅が広く、全開にするとデジタル・ディレイならではのクリアさを得られるのですが、自然な減衰はアナログを感じさせるもの。“SECOND”ノブで2つ目のディレイ音を足していける機能も面白いです。

 そして、他メーカーの機種と一線を画すのがモジュレーション機能。かなりきつめのコーラス効果が得られます。僕個人の趣味ではあるのですがこのモジュレーションが心地よく、どうしてこんなに気に入ったのかを考えていたら、説明書の設定例に「ジャコとジョニ」という文言を発見して納得。まさにあの時代、70年代の肌触りなんです。しかしサウンド全体のレンジ感は最新技術できっちり調整されているので、現代のアンサンブル事情にも違和感なくなじんでくれるテイスト。

 最後に僕なりの「ジョニ的セッティング例」を紹介しておくと、“COLOR”=全開、“FEEDBACK”と“TIME”=12時ぐらい、“MAIN D”と“SECOND”=11時、“DEPTH” =13時、“SPEED”=9時。ギターはぜひジャガーで!

【オフィシャルHP】

09 MastroValvola / Timelab[デジタル回路+アナログ風味]

MastroValvola / Timelab

[Specifications]
●ディレイ・タイム:0msec〜1,000msec ●コントロール:Delay、Repeats、Mix、FIlter ●スイッチ:ON/OFF、Tap、Type(Digital、Analog、Resonance、Mod)、Ratio ●端子:In、Out ●サイズ:115mm(W)×90 mm(D)×70mm(H) ●電源:9VDC ●価格:open price(市場想定税別価格:¥30,000前後) (問)0561-53-3007/キクタニミュージック

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特殊フィルターの採用で極めて自然なアナログ感を演出

 1台で色々な音色を使い分けられ、しかもコンパクトなのでペダルボードにも収めやすい。堅実なディレイ効果が得られる“DIGITAL”と“ANALOG”モード、飛び道具セッティングにおいても活躍する“RESONANCE”&“MOD”モード、このコンパクト・サイズながら4つの音色を使い分けられることに驚かされます。

 心臓部がデジタルなのでモードごとにはっきりとしたキャラの違いがあり、使い分けがしやすい印象も持ちました。ただしそれだけだと、他メーカーの機種にも選択肢がありそうですが、本機はデジタルのバキっとした音色にまろ味を与える特徴的なアクティブ・アナログ・フィルターを搭載。デジタル臭さを薄めるためのトーン・カットではなく、フィルターという点がポイントです。モードによってはアナログ・シンセサイザーのように音色を劇的に変化させることも可能で、その効果がしっかり現われるのが“RESONANCE”モード。ボリューム奏法と併用するとギターとは思えない音色が飛び出します。

 余談ですが、“MOD”モードの発振音がかなり独特で、エンジン音のごときバリバリブリブリ感は本機でしか作り得ないもの。かなり低音も出るので、クラブ・ミュージックなどに使うのも面白そうです。

【オフィシャルHP】

THE EFFECTOR book編集者が語る「アナログ・ディレイ特集」後記

 「ディレイを使うと、曲にマジックが生まれることがあるんですよ」とは、Nothing's Carved In Stoneの生形真一さんの発言。ビンテージのアナログ・ディレイを大量に試奏するという過酷な取材の中、その口からぽろっと漏れ出た一言がしももの胸に突き刺さったわけです。「うんうん。そうですよね! その通りなんですよ!」と。

 ディレイの中でも、特にアナログ・ディレイはただのディレイじゃないというか。遅延信号を生成するという機能以上の何かを有しているのです。踏むだけで出音が妙に色っぽくなるというか。一度それを味わってしまうと病み付きになってしまう何かが加味されるのです。今回の特集記事では、そんな“ハッピーターンの粉”のごとく、謎多き成分を「ロマン」と称して検証。そのうま味成分を解析すべく記事作りを進めたわけですが、徐々にその正体が判明してきました。

 70年代~90年代までの個体を一気に試してくれた生形真一さん、MXR「Carbon Copy」の設計に関わったジョージ・トリップス氏、エレクトロ・ハーモニックスのマイク・マシューズ氏といった著名人の証言、そして村田善行氏、井戸沼室長を始めとする優秀な本誌ライター陣の経験則、そこから浮かび上がってきたキーワードは「歪み成分」「コンプ感」「ダークな響き」「35msec」「BPM=120の付点8分」「等ラウドネス曲線」「“0”ディレイ」……などなど。ふむふむ。あーなるほど、それらがこーなってあーなってこーなるから、アナログ・ディレイの中でマジックが生成されるわけですね!

 そうかあ、そりゃあ弾いていて心地よいわけだよなあ、と。しもも的には納得なんですが、キーワードだけ眺めていても一体なんのことだかよくわからないと思います。“エフェクター界の魔法の箱”、ロマンあふれるアナログ・ディレイの秘密を深く知りたい方は「The EFFECTOR book Vol.44」の特集記事をぜひチェックしてみてください! (下総淳哉/THE EFFECTOR book)

【The EFFECTOR BOOK Vol.44】Analog Delay vs Digital Delay(Jake Cloudchair実験)

THE EFFECTOR book Vol.44 BUCKET BRIGADE SUMMER 2019で詳細をチェック!

EB44_Cover_Small.jpg 本記事はシンコーミュージック刊『THE EFFECTOR book Vol.44 BUCKET BRIGADE SUMMER 2019』での特集企画「“現行アナログ・ディレイ・ペダル”試奏分析」を転載したものです。このほかにも生形真一氏による13台のビンテージ・ディレイ試奏レビュー、エレクトロ・ハーモニックス「Memory Man」、BOSS「DM」、MXR「Carbon Copy」特集、アナログ・ディレイの動作原理についての回路解説など、アナログ・ディレイについて徹底的に追究しています。

項数:112P
定価:1,728円(税込)
問い合わせ:シンコーミュージック

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THE EFFECTOR book Vol.44』のページ・サンプル


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製品情報

アナログ・ディレイ

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プロフィール

坂本夏樹(さかもと・なつき)
チリヌルヲワカ、She Her Her Hers、Over The Topでのバンド活動を経て、スタジオ・ミュージシャン、プロデューサーとして、Creepy Nuts、DE DE MOUSE、HOME MADE 家族、たんこぶちん、酸欠少女さユり、新山詩織など、数多のライブ、レコーディングに参加。

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