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Asoviva!meets Tycoon Percussion

Tycoon

  • 企画・制作・編集:リズム&ドラム・マガジン スチール&動画撮影:西槇太一(製品写真除く) 動画撮影・編集:熊谷和樹 録音:嵩井翔平

昨年創業35周年を迎えたタイの打楽器メーカー、Tycoon(タイクーン)。タイに自社工場を構え、カホン、コンガ、ボンゴ、カウベルなど幅広いパーカッションを開発/生産。緻密なマーケティング戦略と、演奏性とデザイン性を両立し、さらに環境保護まで視野に入れた“ものづくり”で話題を集めている。今回は昨年日本再上陸を果たしたタイクーンの実力を、朝倉真司、高橋結子、中北裕子によるパーカッション・トリオ=Asoviva!にチェックしてもらった。

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Asoviva! × Tycoon Percussion

安定感ある音色が魅力のコンガ & ボンゴ

コンガ&ボンゴ:Master Grand Series Congas(マスター・グランド・コンガ/写真上段)、30th Anniversary Bongos(30thアニバーサリー・ボンゴ/下段左)、Master Classic Series Bongos(マスター・クラシック・ボンゴ/下段右)

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パワーがありながらも優しいマスター・グランド・コンガ

高橋 すごく叩き心地が良くて、しっかり鳴る良いコンガだと思います。

朝倉 非常に鳴らしやすくて、それでいて音量もありますね。

高橋 力をたくさん必要としない、少ないエネルギーでしっかり鳴ってくれますね。パワーのあるコンガは打面から反発のようなものを感じるときがありますが、これはパワーがありながら優しくて、ストレスなく叩けます。

中北 確かにパワーは出るよね。最初に見た瞬間は、ボディがどっしりしているなと思いました。

高橋 チューニングは低めの方が得意なのかな? でもそれぞれの音域がしっかり鳴っているし、嫌な倍音がない。水牛を使った本皮なので、馴染んでくればさらにもっとレンジが広がると思います。皮は柔らかすぎず硬すぎず、薄すぎず厚すぎず、叩き心地がバッチリです。

中北 皮が良い感じで鳴らしやすくて、1打の音の密度もぎゅっとあり、とてもバランスの良いコンガだと思います。叩いていくたびに音がまた良くなる気がしましたね。

ヘッドには厳選した水牛の本皮を装着。厚み、硬さが程よく、叩き心地も抜群という

シェルには上質なアメリカン・アッシュ材を採用。木片を円筒状に並べた伝統的な造り

杢目を強調するグランド・フィニッシュが施され、ステージ上でもインパクトを放つ

温かくてカラっとしている30thアニバーサリー・ボンゴ/
明るくてカラっとしている
マスター・クラシック・ボンゴ

中北 私が叩いたボンゴ(30thアニバーサリー・ボンゴ)は高級感があり、チューニングしやすくて、指で叩いてもカラっとしている上に、他の楽器に混ざってもちゃんと音がヌケて、存在感が出ると思います。初めてタイクーンの楽器を叩いたのは、違うシリーズのボンゴだったんですが、1打叩いて、印象がすごく良かったんです。

高橋 指で鳴らすオープンもすごく気持ち良くて、ボンゴ特有の高いところの嫌な倍音が少ないからポップスでも使いやすいんじゃないかな。

朝倉 (30thアニバーサリー・ボンゴとマスター・グランド・コンガは)材質が同じということもあって、コンガと一緒で音が温かくて太い感じに聴こえますね。中低域が充実している印象。ドシっとしていて、腹に来るような部分もちゃんとあって、しっかりと支えてくれる感じ。安定感がある音色ですね。

高橋 バラードとかにも使えるかもしれない。

中北 確かにバラードにもこのボンゴを使ってみたいね。温かくてカラっと良い発想が自由に出てくるイメージでした。

朝倉 そうだね。私が叩いた“マスター・クラシック・ボンゴ”はもう少し硬い音色で、どちらかというと上モノっぽい。音量があって明るくて、カラっとしていて、ヌケる音ですね。“南国っぽい”感じ。ソロに向いているように思いますね。この2つは材質と、あとはフープが違うということなんですけど、どちらも鳴らしやすくて、手に優しい感じがします。

ヘッドにはブラック塗装を施した水牛の本皮仕様。黒字に白のロゴが映える

シェル材にはマスター・グランド・コンガと同じく、上質なアメリカン・アッシュをセレクト

ハードウェアはブラッシュド・クローム仕上げで、その高級感のあるルックスも特徴的

スタンダードから革新モデルまで幅広く揃ったカホン

カホン(L→R):Triple-Play Cajon(トリプル・プレイ・カホン)、Vertex Series Cajon(ヴァーテックス・カホン)、Crate Series Cajon(クレート・カホン)、24 Series Cajon(24シリーズ・カホン)

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打面にしなりがあって柔軟なクレート・カホン/
バズ音が迫力満点のヴァーテックス・カホン

朝倉 カホンはどれもとても扱いやすくて、普段から普通に使えそうな感じです。私が演奏したクレート・カホンは、見た目もすごく可愛らしくて、愛着が沸きますね。打面にしなりがあって、真ん中を叩いたときに“ボムッ”っとゴムまりのように柔軟にヘコむ感じ。最近は打面が厚くて硬いカホンが多いので、こういうのはめずらしい気がします。

中北 確かに最初から木がしなっているカホンって、なかなかないよね。私が叩いたヴァーテックス・カホンは自分にピッタリだなと思いました。台形だし、ローがちゃんと出るし、バズ音も迫力がありますね。それに、後ろから聴いたら低音がすごく鳴ってるんですよね。あと、とにかく反応がいいです。

高橋 3面が使えるトリプル・プレイ・カホン、こういうタイプのカホンは他のメーカーでも見たことがありましたけど、構造がシンプルじゃない分、肝心のカホンの部分(響き線がついている打面)の音色が手薄になってしまいがちという印象があったんですけど、このトリプル・プレイ・カホンは、カホンとしてちゃんと使えますね。ハイもローもしっかり出ます。響き線がついていない打面もすごく良い音で気持ちがいいです。特にボンゴのような音が出る打面は、高低差がきれいに出て楽しいですね。今日は3人でアンサンブルしましたけど、1人でも延々と遊べますね。

サイアム・オークを採用したクレート・カホン。響き線はワイヤー・タイプで、付属の6角レンチで、張り具合いの調整が可能

台形のフォルムが特徴のヴァーテックス・カホン。響き線は鈴つきのワイヤー・タイプ。もちろん張り具合いの調整ができる

1台で可能性が広がるトリプル・プレイ・カホン

朝倉 あとは3つ共に自分で叩いていて聴いている音よりも、離れて聴いた音の方がよく鳴っていると感じたのも面白かったですね。

中北 これ(ヴァーテックス)は即戦力で使えますね。

高橋 私もそう思いましたね。このカホンは使いやすいし、叩きやすい。

朝倉 “支え力”がすごい。音の叩き分けもはっきりできるので、ポップスの現場でドラムの代わりに使うようなときは、バッチリだと思います。

高橋 トリプル・プレイ・カホンは、カホンも皮ものも使いたい、でもカフェとかでスペースが限られていて、“楽器をたくさん持ち込めない!”というときに、これ1台持って行けばいろんな音が出せるので可能性が広がると思います。

中北 穴を2つ空けることで音程感がちゃんと分かれているところも、素晴らしいですね。

3面が使えるトリプル・プレイ・カホン。右側の打面にはレッド・オーク材を採用。こちらは響き線はなし

トリプル・プレイ・カホンのフロントにはビーチ材をセレクト。あえてスクリューで固定していない仕様となっている

異なる3つの音色を鳴らすために、ホールは2つ設けられ、それぞれ干渉しないように内部空間が緻密に設計されているという

環境保護にも取り組んで採用したサイアム・オーク材の打楽器

サイアム・オーク製パーカッション:Cowhide Maracas(カウハイド・スキンマラカス)、Master Classic Series Bongos(マスター・クラシック・ボンゴ)、Wood Claves(クラベス)、Crate Series Cajon(クレート・カホン)、Cowbell Beater(サイアム・オーク・カウベル・ビーター)、Mountable Wood Blocks(ウッド・ブロック)、24 Series Cajon(24シリーズ・カホン)

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カラっと明るい打楽器向きの材質

中北 木材を限定して演奏すること自体が初めてだったんですけど、面白かったですね。第一印象としては、どの楽器も反応がすごく良いなと思いました。

高橋 カラっとしていて、とにかく明るいなと思いましたね。

朝倉 軽くて目が詰まっていて、やっぱり明るい音がする印象ですね。クラベスもすごく軽い。

高橋 このクラベスはすごく扱いやすいですね。簡単に良い音が鳴ります。

朝倉 ちゃんと遠鳴りしてくれますね。

高橋 マラカスは柄がサイアム・オークなんですけど、すごく握り心地が良くて、軽くて、音量感もすごく良いんです。これ私買います(笑)! 

朝倉 この小さいカホン(24シリーズ・カホン)もサイアム・オークなんですよね。普通の大きさのカホンとも遜色のない音で、バランスもいい。(動画の)セッションではいろいろ楽器をスイッチするはずだったんですけど、気持ち良くてずっと叩いてしまいました(笑)。打楽器向きの材なんじゃないかなと思いました。

高橋 オークと聞くとスティックのイメージがありますけど、楽器に使ってもとても鳴らしやすく、見た目も杢目が綺麗ですよね。

朝倉 とにかく鳴らしやすいので、ビギナーの人が初めて触る楽器としてもすごく良いと思います。自分も現場で使ってみたいと思いますね。

中北 そうそう。ビギナーも使えるし、仕事でもバッチリ使えるクオリティだと思います。

Total Impression from Asoviva!

Asoviva!:打楽器奏者として多方面で活動する高橋結子(中央)、朝倉真司(左)、中北裕子(右)によるパーカッション・トリオ。2006年打楽器イベントに出演する際の一夜限りのプロジェクとして発足。あまりの相性の良さにそのままバンドを結成し、レコーディングとライブ・ツアーを敢行。以降、ワンマン・ライブ・シリーズ「imaginary numbers」をゆっくりのペースながらコンスタントに続けている。三者三様の音色、リズム、感性が交わり呼応し響き合い生まれる唯一無二の空間は、Asoviva!だけの歓び。次回のライブは11月8日(金)祐天寺FJ'sにて開催予定

基本を押さえた鳴らしやすい楽器が集まっている

朝倉真司

朝倉 どれも楽器としてのクオリティが高いですね。音が明るくて、鳴らしやすいのにパワー感があって扱いやすいです。シェイカーやマラカスなど、ちょうど良いという意味で、"実はこういうの、案外なかったかもなぁ"っていう発見もありました。カホンもコンガ、ボンゴも楽器として剛性と余裕があって、触っていて安心感がありますね。個人的にもいくつか購入したいなと思いました。これから楽器を始める人にもとても良いんじゃないですかね。ど真ん中を行くような、鳴らしやすい楽器が集まっていて、個人的にもビックリしました。良い出会いでした。

かしこまらずに触れる、叩いていて楽しい楽器

高橋結子

高橋 私は実はずいぶん前にタイクーンのカホンを買ったことがあるんですけど、その頃に比べてクオリティが格段に上がっていて驚きました。当時買ったカホンも良かったんですけど、仕事で使うには少し足りないところがあって。でも今回試奏させてもらったものは即戦力になるものばかりでした。しかも“優しい”というか、こっち(奏者)寄りにいるというか、かしこまらずに触れる楽器という感じがして、どれも叩いていてすごく楽しかったです。私も朝ちゃんと同じで、いくつか購入しようと思います。

すべてのパーカッションに個性があって使いやすい音色

中北裕子

中北 タイクーンのカホン、ボンゴ、コンガ、サイアム・オークの楽器など叩きましたが、全体的に素晴らしいバランスで、とても好きな楽器でした。Asoviva!で試奏して、3人とも鳴らし方や音色、プレイ・スタイルが違うのですが、個々に気に入った楽器があり、タイクーンは幅が広いな、と思いました。叩いた楽器も、ベスト・チョイスでした。だから初めてパーカッションをやる方にも、タイクーンをオススメしたいし、もちろん演奏する方や楽器屋さんにも、お伝えしたいな、と思いました。ちょっと重量感ありますが、カバサがとても好きな音質で、細かいニュアンスも出しやすく、回しやすかったです。

リズム&ドラム・マガジン 2019年9月号 発売中!

 本記事は、7月25日発売のリットーミュージック刊『リズム&ドラム・マガジン 2019年9月号』の特集を転載した先行公開記事になります。表紙特集は、ドラマーにとって永遠のテーマとも言える"チューニング"にフォーカス。2号連続特集の前編となる本号では、UVERworld、THE YELLOW MONKEYなど数々のアーティストのサウンドを手がけるMASUOのインタビューを皮切りに、江島啓一[サカナクション]×土田"つっちー"嘉範、Ryosuke Takahashi[PAELLAS]×山本拓矢、MARCY[THE BAWDIES]×小関"Koseking"純匡という、チューナー×ドラマーのスペシャル対談を掲載。Tycoon特集では、同社の副社長がその歴史を語るロング・インタビューも掲載しています。ぜひ併せてチェックしてみてください。

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製品情報

プロフィール

朝倉真司
音楽家、ドラマー、パーカッショニスト 。ヨシンバやパーカッション・グループ、"Asoviva!”のメンバーとして活動しながら、森山直太朗、一青窈、くるり、Superfly、秦基博、いきものがかり、レキシなどさまざまなアーティストのライブ、レコーディングに参加している。御徒町凧作・演出の森山直太朗劇場公演「あの城」、20th Century (トニセン)TWENTIETH TRIANGLE TOUR「カノトイハナサガモノラ」(2019年7月-9月)には演奏と共に役者としても参加した。

高橋結子
1999年GOMES THE HITMANのメンバーとしてメジャー・デビュー。2002年頃からドラマー/パーカッショニストとして桑田佳祐、杉真理、伊藤銀次、元ちとせ、中孝介、キマグレン、Chara、花澤香菜、加藤千晶ほか、ジャンルや世代を超えた幅広いアーティストのサポートを行う。平行して数多くのバンド、プロジェクトに参加。作家の町田康(ex.町田町蔵)の新プロジェクト「汝、我が民に非ズ」、俳優の相島一之のバンド「相島一之 & The Blues Jumpers」、精神科医の名越康文による「The Bardic Band」など参加バンド多数。デビュー20周年を迎えたGOMES THE HITMANは現在14年ぶりのアルバムを制作中。Asoviva!の発起人。

中北裕子
2 月 11 日生まれ。滋賀県出身。 O型。現在、フリーのパーカッショニストとして、コンサートのサポートやREC 、 TV 収録に参加。楽器だけにとらわれず、楽器を自作したり、生活の中にあるもので音の出るものは、全部叩いてしまう自由さもある。インドネシア、中国、台湾、ドイツ、ロンドンなど、枠にはまらずさまざまな国で演奏活動をする。パーカッション即興ユニット、Asoviva!(高橋結子、朝倉真司、中北裕子)、鍵盤ハーモニカを循環呼吸で吹く夏秋文彦氏とのユニット、UooMoo でも活動中。

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