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  • 令和初! オーク"最強進化系"ドラムがついに完成!!

山本真央樹 meets YAMAHA Live Custom Hybrid Oak〜歴代モデルと比較してその実力を検証〜

YAMAHA/Live Custom Hybrid Oak

2019年のWinter NAMM showでお披露目となったヤマハドラムスの最新モデル、Live Custom Hybrid Oak。Oak Custom、Live Customに続く、オーク材を使ったドラム・キットの第三弾で、さまざまな最新スペックを搭載。現在のライヴ・シーンにマッチしたモデルに仕上がっている。今回はそんな注目のHybrid Oakの実力を、若手最高峰のテクニシャン=山本真央樹[DEZOLVE]による試奏レポートを通じて、詳しく探っていこう!

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山本真央樹×Live Custom Hybrid Oak

歴代オーク・モデルから探る"Hybrid Oak"の進化

オーク材を採用したヤマハ・ドラムの第三弾となるLive Custom Hybrid Oak

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幅広く浸透した初代Oak Custom

 今回発売となったLive Custom Hybrid Oakは、ヤマハのオーク・ドラムとしては3モデル目となります。その初代となるOak Customの発売は2002年4月。シェルはバス・ドラムが7プライ、タム、フロア・タム、スネア・ドラムは6プライ。サイズで興味深いのは、バス・ドラムの深さがすべて17"で統一され(口径は18"、20"、22"、24")、フロア・タムには14"×13"、15"×14"、16"×14"という特殊なサイズも存在。そんなOak Customのサウンドの魅力は、徐々にドラマー界に広まり、アリーナ・クラスのステージからリハスタの備品まで、本当に幅広く浸透していきましたが、ヤマハの工場移転のタイミングで生産完了のアナウンス。“オークは終わってしまうのか?”と残念に思っていたのですが……ある日、私はヤマハの試奏室で斬新なルックスのドラムと出会います。これこそがヤマハの新工場で最初に生産されることとなったOak Customの後継機種、Live Customのプロトタイプでした。

新時代へと突入したLive Custom

 Live Customの国内発売は2013年の7月。シェルにはマット・ブラックの内面塗装が施され、ダーク・シルバーの金属パーツや高級感のあるエンブレム・プレートを組み合わせたドラムは、ヤマハドラムスが新時代に突入したことを実感させるオーラを放っていました。シェル・スペックの変化に目を向けると、スネア・ドラム、タム、フロア・タムは6プライのままですが、プライ1枚の厚みが増したため、シェル厚は6mmから7.2mmにアップ。そしてバス・ドラムは8プライとなり、Oak Customよりもさらに中低域の成分がパワフルになったと感じました。サイズ面では、タムが浅胴(レギュラー・サイズ)で、フロア・タムも口径より深さが1~2インチ浅くなる仕様にチェンジ。この浅胴化によって、パワーのあるオークのドラムにレスポンスの鋭さも加わり、さらに幅広いジャンルのドラマーへと浸透していきました。

歴代モデルを引き継いだLive Custom Hybrid Oak

 ヤマハでは新工場発のAbsolute Hybrid MapleやRecording Customの復刻版など、上位機種が次々と発表されたため、オーク・シェルとしてはLive Customがこのまま最高峰として君臨するのかと思いきや、2019年1月のNAMMショウで突如発表されたのが、今回のLive Custom Hybrid Oak(以下Hybrid Oak)でした。ヤマハのフラッグシップ・モデル=PHXからスタートしたハイブリッド・シェル構造を、ついにオークにも採用。しかも硬質なオークの中心に、硬質樹脂のフェノール・シートを挟むという“極硬”シェル仕様。叩いた第一印象としては、初代Oak Customで衝撃を受けた、突き抜けてくるトーンと、Live Customの太くパワフルな存在感をバランス良く備え、かつ各音の分離がスッキリとしたことで、演奏性、いわゆる“叩きやすさ”がグンと向上した印象です。

"Hybrid Oak"の特徴的なスペックをチェック!

ハイブリッド・シェル

センターに見える黒い部分がフェノール・シートで、その内外に3プライずつオーク材を配した7プライ仕様

シェル厚はバス・ドラムが8.8mmで、それ以外が7.3mmという構成。エッジ形状は45°/R1となっている

 ハイブリッド・シェル構造とは、ヤマハに特許がある独自のシェル成形方式です。メイプルやバーチといった単一の素材ではなく、複数素材の組み合わせですが、それをただ重ね合わせるのではなく、その重ね方に法則があるのが大切なポイント。今回のHybrid Oakの場合は、中央に最も硬いフェノール・シートが1枚あり、その内側と外側には次に硬質なオークを3プライずつ重ねた計7プライとなっています。Hybrid Oakに関して言えば、Live Customと口径×深さ、シェルの総厚もほぼ同じでありながら、“図太い高域”と表現したくなるような、独特の成分が加味されたように私は感じました。これはオーク材のみでは出せなかったサウンドかもしれません。

ベース・エンハンスメント・ウェイト

バス・ドラムの円周上に全部で20個、計600グラム配することで、低域成分を向上させる

ウェイトは1つ30グラム。デザインにもこだわりが見られ、丁寧に作られていることが伝わってくる

 Hybrid Oakには、シェル構造以外にも新たな技術が注ぎ込まれています。その中でも目新しいのは“ベース・エンハンスメント・ウェイト”と名づけられた、バス・ドラム内のウェイト。一般的に“バス・ドラムのウェイト”というと、ミュートがズレないように入れる“重り”をイメージするかと思います。ところがこれは、まったく別次元からの発想。ラグの取りつけ位置の内側に、計20個のウェイトを装着することで、低音成分を強調させる効果があるとのことです。幾多のシミュレーションの繰り返しの中で辿り着いたゴールということですが、バス・ドラムの内側に潜ませたパーツで、ハイブリッド・シェルの低域成分を“エンハンス=向上させる”というのは画期的ですね。

"浮造り"フィニッシュ

Hybrid Oakに採用された“浮造り”。実物は立体感のある仕上がりで、カラーは計5種類。木目がそれぞれで異なるため、完成品はすべて“1点モノ”

和のテイストが印象的な日本伝統の加工法。表面を磨くことで木目の柔らかい部分に凹みを作り、塗装工程によってオークならではの木目を強調している

 Hybrid Oakはシェルのフィニッシュにも新たな技術が導入されました。表面に独特の木目が浮き上がる、高級感溢れる仕上げで、これは“浮造り”という日本の伝統的な木材加工方法を用いているということです。この大胆に木目を強調した仕上げは、塗装の前に表面を削って凹凸を強調し、凹んだ部分に黒い塗料を塗るという工程からスタートするとのこと。その木目の凹凸には暖かい時期と寒い時期との木の成長の違いが出るようで、美しいフィニッシュの中にも大自然のロマンが漂いますね。カラーリング自体は“UZU”を冠につけた全5種類。品番、カラーは同一だとしても完成品はすべて“一点モノ”。手に入れたらきっと愛着が湧くでしょう。

▼カラー・バリエーション

UZU Natural

UZU Ice Sunburst

UZU Magma Sunburst

UZU Earth Sunburst

UZU Charcoal Sunburst

山本真央樹 meets Live Custom Hybrid Oak

"Hybrid Oak"はドラムというパートに
まとまったものの完成形だと思います

●Hybrid Oakの第一印象を教えてください。

山本 僕がヤマハさんのお世話になるようになったときから、ずっとLive Customを継続して使ってきたんですけど、まずLive Customに対して“分離がとても良いな”という印象を持っていたんです。スネアや金物を叩いたときのタムの共鳴が少なくて、そこが気に入ってたんですけど、新しいHybrid Oakを一発叩いた瞬間に、さらに分離が良くなったということがすぐにわかりました。1つ1つの音の個性が、よりしっかりと出てくるようになったと思います。バンドの中でも埋もれることなく、スネアの2、4拍がバシっと出てくるし、タムのフィルを叩いたときにも、スネアのスナッピーが邪魔することなく、しっかりと音が前に出てきてくれる。音楽にミックスしやすいドラム……DTM的なミックスというのではなく、音楽的にミックスがとってもしやすいドラムという印象を受けました。先日まで角松敏生さんのツアーで使っていたんですけど、PAの方から「すごく音が良くなった」と言われましたね。メンバーからも2、4の(スネアの)音がしっかり聴こえてくるからグルーヴしやすいねということを言われました。総じて好評でしたね。

●動画では、Oak Custom、Live Custom、そしてHybrid Oakと3つのモデルを比較して試奏していただきましたが、それぞれどういう印象を持ちましたか?

山本 Oak Customは1つ1つの楽器に良い意味での主張があって、タム、スネア、キックそれぞれが独立してカッコいい音で鳴っているなと思いました。オークの良さである重低音がすごくズッシリしていて、それもいいなと思いましたね。Live Customはその独立してカッコいいと思っていたものが、ちょっとまとまった印象を受けました。Live Customはその名の通り、ライヴ用に作られていると思うんですけど、そのためにはタム、スネアといった単体ではなく、ドラム全体を聴かせないといけないわけで、Live Customはそのフェーズ・アップの第一歩として、完成度が高いと思いました。そして新しいHybrid Oakは、ドラムというパートにまとまったものの完成形だと思いました。さっきプレイ・バックをOak Custom、Live Custom、Hybrid Oakの順で聴かせてもらったんですけど、ドラムという楽器に一番バシッとまとまっているのがHybrid Oakだったように感じました。3つのモデルを叩き比べてみて、個人的にはHybrid Oakが一番好きですね。

●Hybrid Oakはスペック面でもいろいろと進化しましたが、山本さんが効果を感じたのは、どんなところでしょうか?

山本 ベース・エンハンスメント・ウェイトですね。今まではシェルの中にウェイトや砂の重りを入れて、音のバランスを作ってきたんですけど、どうしても特定の場所に重力の負荷がかかってしまって。でもこれはキット全体に均等に重しがついているので、キックがバランス良く鳴るのかなと思います。あとはY.E.S.S.Ⅲですね。Live Customではマウント・システムにY.E.S.S.が採用されていて、タムとクランプの接合部分が金属だったんですけど、Y.E.S.S.Ⅲは樹脂パーツが用いられていて、タムの響きがより自然になったように感じました。

●Hybrid Oakに興味を持っている読者に何かメッセージをお願いします!

山本 ドラムという楽器は、音楽の中でも大黒柱、音楽を作る上で1つのピースとなる楽器なんですけれども、このHybrid Oakは、音楽の中の1つのピースにすごくなりやすい楽器だと思います。バンドと自分の音が馴染まない、どうしようと悩んでいる人もいるかと思いますけど、この楽器を鳴らすことができれば、音楽の1つのピースになれると思います。このHybrid Oakを叩いてみて、ぜひそれを実感していただければなと思います。

Recording Gear

今回の試奏で山本が演奏したのは、“UzuMagma Sunburst”フィニッシュのHybrid Oak。タム・パッケージ“LHP6FS”を基本とした、1バス、2タム、1フロア・タムという構成

ヘッドは標準装備されたもので、バス・ドラムの打面はヤマハレモのパワースロトーク3クリア。タム、フロア・タムは打面がヤマハレモのクリア・エンペラー、ボトムがクリア・アンバサダーという組み合わせ。スネア・ドラムはコーテッド・アンバサダーで、こちらも標準装備のまま。シンバルはすべてジルジャン

リズム&ドラム・マガジン 2019年10月号 発売中!

 本記事は、8月25日発売のリットーミュージック刊『リズム&ドラム・マガジン 2019年10月号』の特集を転載した先行公開記事になります。表紙特集は、今年生誕100周年を迎えるジャズの巨人、アート・ブレイキー。さらにチューニング特集の後編、DM Debut the Specialなど多彩な内容。Hybrid Oak特集では、開発者インタビューの他、角松敏生のツアーで使用した山本のHybrid Oak、そしてLiSAのツアーで石井悠也が愛用している最新機材をそれぞれ掲載。本記事と併せてぜひお楽しみください

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製品情報

YAMAHA / Live Custom Hybrid Oak(Drum Kit)

価格:オープン

【発売日】
2019/5/25
【スペック】
●22"x18”バス・ドラム、●16”x15"フロア・タム、●12"×8”タム、●10”×7”タム
【問い合わせ】
ヤマハお客様コミュニケーションセンターギター・ドラムご相談窓口 TEL:0570-056-808 http://jp.yamaha.com/drums/
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YAMAHA / Live Custom Hybrid Oak(Snare Drums)

価格:オープン

【発売日】
2019/5/25
【スペック】
●14"×5.5"スネア・ドラム
【問い合わせ】
ヤマハお客様コミュニケーションセンターギター・ドラムご相談窓口 TEL:0570-056-808 http://jp.yamaha.com/drums/
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プロフィール

山本真央樹
やまもとまおき:1992 年生まれ。幼い頃よりさまざまな音楽に触れ、独学でドラムを始める。中高時代は吹奏楽部でパーカッションを担当。卒業後はバークリー音楽大学へ進学。帰国後よりプロとしてのキャリアを本格スタートさせる。14 年にDEZOLVE を結成。バンド活動の傍ら、角松敏生、Little Glee Monster、ゴスペラーズなどのサポートや、DTM を中心とした楽曲提供を行うなど、幅広い活動を展開している

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