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- 2024/03/22
Blackstar / HT-1R-MKⅡ、HT-5R-MKⅡ
Blackstarは2004年にスタートしたイギリスのアンプ・ブランドで、この十数年間でクラシカルとモダンを融合させた革新的なアンプを数多くラインナップしてきた。ギター・プレイヤーであれば一度はBlackstarのアンプに触れたことがあるのではないだろうか。今回はそんなBlackstarの新製品、自宅用小型アンプのHT-1R-MKⅡと、HT-5R-MKⅡを紹介しよう。
まずはHT-1R-MKⅡから。こちらは2ch仕様の1Wモデルとなっており、プリ管にECC82、パワー管にECC83を採用。コントロール部分はGAIN、VOLUME、EQ、REVERBの4つで、シンプルにまとまっている。クリーン・チャンネルとオーバードライブ・チャンネルの切り替えは、本体に設置されたミニ・スイッチ、もしく別売りのフット・スイッチ(HT-5R-MKⅡには付属)で操作をする。
サウンドだが、やはり真空管を搭載しているだけあり、クリーン・チャンネルでもVOLUMEツマミを上げることによってクランチ〜ドライブ・サウンドまで引き出すことできる。もちろんオーバードライブ・チャンネルでも真空管特有の温かいオーバードライブ〜ディストーション・サウンドまでを網羅。1W仕様という自宅用モデルで真空管の醍醐味を味わえるというのが、このアンプの魅力のひとつだと言える。
EQはBlackstar独自のISFというコントロールになっており、ツマミの0方向がアメリカン・サウンド、10方向がブリティッシュ・サウンドをイメージしたセッティングになっている。シームレスに音が変化するツマミなので、もちろん0から10の間で、アメリカンとブリティッシュをミックスした設定も可能だ。使い方としては、最終的にこのツマミで全体の雰囲気をコントロールすると良いだろう。
ISFの横にあるVOICEというミニ・スイッチは、オンにするとミドル〜ハイが持ち上がり、音がブライトになる印象だ。特にISFツマミをブリティッシュ方向にしている時は、よりその効果がわかりやすいだろう。
続いてHT-5R-MKⅡ。こちらは5W仕様のモデルだが、HT-1R-MKⅡと違いパワー管には12BH7が搭載されている。まずクリーン・チャンネルで音を出してみたが、やはり1Wのモデルとは印象が異なって感じた。ワット数が大きいので当然だが、本機のほうがクリーン・サウンドに余裕が感じられるだろう。
HT-5R-MKⅡには、クリーン・チャンネル専用のTONEツマミが設置されている。さらにクリーン・チャンネルにISFツマミはなく、代わりにVOICEスイッチによってアメリカン・サウンドとブリティッシュ・サウンドを切り替えられるので、より細かい音作りが可能だ。
一方、オーバードライブ・チャンネルにはISFツマミが搭載されているが、それに加えて3バンドEQも用意されているため、さらに追い込んだサウンドメイクを実現する。また、本機のVOICEスイッチでは、歪みのキャラクターをClassic/Modernで切り替えが可能。Classicモードでは1Wモデルと同様に真空管をプッシュした温かいオーバードライブ~ディストーション・サウンドになっているが、ModernモードではClassicモードよりもミドル~ハイが少し持ち上がり、歪みも深くなる印象だ。ザクザクした歯切れの良いサウンドなので、低音弦をミュートしたハードなプレイにも対応でき、さらにもう1歩踏み込んだ音作りを楽しめるようになっている。
5W出力となると自宅で鳴らすには少し難しいかもしれないが、こちらのモデルは出力を5W/0.5Wに切り替えられるパワー・リダクション機能が搭載されているので、自宅用のアンプとしても問題なく使えるようになっているのはありがたい。
どちらのモデルも、真空管アンプのサウンドを自宅で手軽に味わえることが一番の魅力だろう。Blackstar独自の機能を盛り込みつつも、必要最低限のシンプルなコントロールでしっかりと音作りを追求できる仕様であるところも、うれしいポイントだ。もちろん、さまざまなシーンでの使用を想定しているため、入出力端子は十分に搭載されている。USB端子、MP3などのライン・イン、さらにエミュレーテッド・アウトを使用すれば、音源を流して一緒に演奏もできるほか、練習&宅録などにもひと役買ってくれるだろう。また、スピーカー・アウトやセンド・リターン(HT-5R-MKⅡのみに搭載)も搭載されているので、より実践的にスタジオやライブなどで使うことも可能となっている。まさに、クラシカルとモダンが融合したアンプであると言えるだろう。
価格:¥45,000 (税別)
価格:¥79,500 (税別)
牛尾健太(おとぎ話)
◎うしお・けんた。1983年生まれ。広島県出身。2002年にロック・バンド、おとぎ話に加入。ビートルズ、レッド・ツェッペリン、ブラーといったブリティッシュ・ロックから影響を受けたメロディアスなフレーズ・ワークに定評がある。バンドはドレスコーズ、カジヒデキ、忘れらんねえよ、前野健太などのライブ/レコーディングにも参加。ライブ・バンドとしての評価の高さに加えて、映画や演劇など、多ジャンルにわたるアーティストやクリエイターからの共演を熱望する声があとをたたない。最新作は2018年にfelicityからリリースされた『眺め』。