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  • ベース・アンプ界の革命児がベース本体に参入!

ついに登場! マークベースのベース

Markbass

ベース・アンプといえば大型で重いというイメージを覆し、現在では主流となった小型・軽量なベース・アンプのパイオニアとしてベース界に多大なインパクトを与えたイタリアのブランド、マークベース。同社は今年1月のNAMMショウにて、ベース本体に参入することを発表していたが、このたび、名手リチャード・ボナのシグネイチャー・モデル2種と、トラディショナルなルックスとマークベースならではの技術を融合したモデルが到着。話題を呼んでいた“マークベースのベース”とは?

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妥協を許さぬ究極のリチャード・ボナ・モデル

MB KILIMANJARO 4

Markbass/MB KILIMANJARO 4

Markbass/MB KILIMANJARO 4

 マーク・ベース・ブランドのフラッグシップ・ベースとなるMB KILIMANJARO 4は、リチャード・ボナ本人と共同開発したシグネイチャー・モデルだ。他社のどのモデルとも類似点を見いだせない独創的なデザインが目を惹くが、手にしてみるとボディは驚くほど自然に体にフィットする。指板Rは比較的フラットで24フレット仕様のネック・ジョイント部分はカッタウェイを深く、接合面を薄く仕上げることで高音域の演奏性を確保しつつ、低音弦側の接合面を広く取ることで剛性と鳴りを高めている。

 ヒップショット製のウルトラライト・ペグや弦間ピッチ調整可能なキックアス・ブリッジ、バルトリーニ製MK4CBCピックアップなどを搭載し、独特の着色をされたメイプル・トップ(今後はAAAAフレイム・メイプルのモデルも登場予定)&スワンプ・アッシュのボディなど厳選されたマテリアルを丁寧に組み込んだ本器は楽器自体の鳴りがとても豊かで、これを生かしたワイドレンジで高級感のあるサウンドが特徴的だ。多少粗い弾き方でも暴れずに整った音色をキープしてくれる。楽器内蔵用に専用設計された3バンドEQはオン/オフ時の音色変化が少なく楽器本来の音色も損なわないが、ブースト/カット時の有機的な音色変化は同社のベース・アンプに通じるものがあると感じた。

ピックアップにはハムバッキング・タイプのバルトリーニMK4CBCを採用。なお、オプションで両ピックアップ間に装着するエボニー製のフィンガー・ランプが用意されている。

コントロールは2ヴォリューム、1トーンのパッシヴ・セクションにマークベース・オリジナルの3バンドEQ(トレブル、ミドル、ベース)を搭載。トーンのノブはプリアンプのバイパス・スイッチを兼ねている。

ブリッジはヒップショット製を採用。サドル部分はブラス製で、弦間ピッチを17.7mmから20mmの間で調整することができる。なお、ペグもヒップショット製で軽量なウルトラライトを装備している。

ナットはグラフテック製BLACK TUSQ。チューニングの安定性と良好なサステインに寄与する。また、ネックにはメイプル、指板にはフレイム・メイプルを採用し、ネックには強度を高めるために2本のグラファイト・バーが挿入されている。

ヘッドには7度の角度が付けられており、ストリングス・リテイナーがなくても良好なテンションを生む。

ジョイント部分はボディから一段落とし込まれ、ヒールカットも施されているため、ハイ・ポジションでの演奏性は非常に高い。

【Specifications】
●ボディ:ペインテッド・メイプル(トップ)、スワンプ・アッシュ(バック)●ネック:ペインテッド・メイプル●指板:フレイム・メイプル●スケール:34インチ●フレット数:24●ピックアップ:バルトリーニMK4CBC×2●プリアンプ:オリジナル●コントロール:ヴォリューム×2、トーン(兼プリアンプ・バイパス・スイッチ)、トレブル、ミドル、ベース●ペグ:ヒップショット・ウルトラライト●ブリッジ:ヒップショット・キックアス●カラー:オールド・ホワイト(写真)、オールド・イエロー●価格:¥550,000 ※5弦モデル(¥590,000)もラインナップ

from Bona

リッチなサステインがポイントさ。

191119_markbassbona_mark.jpg ツアーに持って出ては修正してを繰り返し、2年ぐらいかけて開発したんだ。モデル名の“キリマンジャロ”は、“アフリカの富士山”に相当するナンバーワンの山で、そこから名前をいただいた。僕はこのベースを使う前は、フェンダーを長年使ってからフォデラに移ったので、両者の良いところを持ち合わせたようなものが作りたかったんだ。リッチなサステインがポイントで、パッシヴでプレイしても充分に素晴らしい。指弾きのスタイルでプレイするパッシヴ・サウンドとしてはバッチリさ。アクティヴにしてもブーストし過ぎずにエッジやきらびやかさを加えることを求めたから、パッシヴとアクティヴでサウンドが劇的に変わらないのもいい。あとは、長年重いベースを使ってきて腰を痛めたから、軽量さも大事。ぜひ多くのベーシストに弾いてもらいたいね。

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MB KIMANDU 5

Markbass/MB KIMANDU 5

Markbass/MB KIMANDU 5

 MB KILIMANJAROのボディ・デザインを踏襲しつつ価格を抑えたモデルがMB KIMANDU。アルダーのボディとヘッド・トップはモデルを象徴する鮮やかなグリーンでカラーリングされ、ピックアップやペグ、ブリッジなどのハードウェアは驚くことにすべて自社製である。タイトさや音の抜け感は上位機種に一歩譲るものの、ワイドレンジな音色の方向性は変わらず演奏性も引けを取らないのでボナ・フリークに限らず幅広いジャンルで活用できるモデルだと言えるだろう。

こちらのブリッジはマークベース・オリジナルのものを搭載。重厚なタイプだ。

ペグもオリジナル。非常に軽量化が実現されたタイプで、ヘッド・バランスも良い。

【Specifications】
●ボディ:アルダー●ネック:メイプル●指板:メイプル●スケール:34インチ●フレット数:24●ピックアップ:マークベース・カスタム・ソープバー×2●プリアンプ:オリジナル●コントロール:ヴォリューム×2、トーン(兼プリアンプ・バイパス・スイッチ)、トレブル、ミドル、ベース●ペグ:オリジナル●ブリッジ:オリジナル●カラー:グリーン●価格:¥240,000 ※4弦モデル(¥225,000)もラインナップ

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普遍性とオリジナリティを融合

MB GOLD 4

Markbass/MB GOLD 4

Markbass/MB GOLD 4

 ゴールドのカラーリングが目を惹くMB GOLDはPBタイプのボディ・シェイプにシングルコイル・ピックアップ2基を搭載という、MB KILIMANJAROとは対照的でトラディショナルなデザインだ。MB KIMANDU同様に自社製ハードウェアを多用し(弦も自社製!)、リュートの製法を取り入れたイタリアの職人により製作されるという本器は、厳選されたアルダー・ボディ、メイプル・ネック、パーフェロー指板といったマテリアルで重量は軽く、ネック・シェイプはかなり細め。パッシヴでも元気で明るい音色が特徴的で、アクティヴEQは楽器自体の音色が明るいこともあり、ミドルはやや高めの帯域で効くように感じる。普遍性がありつつも抜けの良い音色は、同社のベース・アンプと同じく、多くのベーシストが受け入れやすい楽器と言えるだろう。

コントロールはボナ・モデルと同様で、アクティヴ/パッシヴの切り替えが可能。

ツバ出し仕様の20フレットを装備。細めのネック幅だがバインディングが巻かれている。

【Specifications】
●ボディ:アルダー●ネック:メイプル●指板:パーフェロー●スケール:34インチ●フレット数:20●ピックアップ:オリジナル・カスタムJ×2●プリアンプ:オリジナル●コントロール:ヴォリューム×2、トーン(兼プリアンプ・バイパス・スイッチ)、トレブル、ミドル、ベース●ペグ:オリジナル●ブリッジ:オリジナル●カラー:ゴールド●価格:¥255,000

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Interview
マルコ・デ・ヴァージリス(マークベース社長)

ついに発売された“マークベースのベース”について、マルコ社長にインタビュー!

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━━ベース本体の分野に進出したのはなぜですか?

 世界的マーケットでのベース・アンプ界を牽引する会社として、私たちは長年にわたり何千人ものベーシストたちとコンタクトを取ってきました。そのなかでたくさんの要望が寄せられ、その結果高いレベルのノウハウを得ることとなりました。私たちのチームには楽器への情熱を持ったエキスパートや膨大な量の経験を積んだルシアーたちがいて、マーケットに関する知識も有しています。こういったことから、ベース本体に着手するという私の決断はある意味“不可避なこと”だったのです!

━━マークベース・ブランドのベースを製作するにあたり、リファレンスにした既存のモデルはどんなものでしたか?

 リチャード・ボナのシグネイチャ・シリーズに関して言いますと、どんなベーシストにも馴染みのあるスタンダードなデザインとは大きくかけ離れたオリジナルなデザインを目指しました。また人間工学的にもかなり優れたバランスの良い楽器とすべく、リチャードとともに改良を重ねてきました。その一方でMB GOLD 4に関してはクラシックでヴィンテージな楽器からインスパイアされており、多くのベーシストたちに重要視かつ支持されてきたスペックをデザインに盛り込み、さらに私たちの革新的なものを送り出したいというアティチュードも込めました。さらに現在では新たなシェイプやフィニッシュのデザインに取りかかっています。

━━ベース本体に関するプロジェクトはいつから開始されたのですか?

楽器そのもののプロジェクトとしてはわずか2年ほど前にさかのぼりますが、その数年前から構想はあり作業に取りかかっていました。我々が誇るスキル溢れるスタッフを集め、さらにルシアーや専門的なテクニシャンたちを加えて楽器製作に精通したチームを作りました。彼らによってハイレベルな製作環境が作られて、問題に直面した際には即座に解決策が見出されていきました。マーケットに新たなものを提供することは私にとって極めて重要なことであり、それは常に私が主題としていることです。

━━オリジナルのプリアンプは、マークベースのベース・アンプがもとになっているのですか?

 ベースに搭載したプリアンプにはベース・アンプに関する私たちのノウハウと哲学が含まれていますが、もちろんベース・アンプとは別ものです。トーン・コントロール回路はブーストする際にはアメイジングなまでにユニークでリッチなレスポンスを生み出し、カットする際には常にとてもクリーンで締まったベース・トーンを提供します。極端なセッティングにした際でも、すべての周波帯のレンジでトーンの輪郭を失うことはありません。さらにアクティヴ/パッシヴを交互に切り替える際の音量差をかなり微量な範囲に収まるように設計しています。

━━木工や組み立ても自社で行なっているのですか?

 楽器に用いる木材は独自にセレクトして購入し、湿度やその他の重要なポイントを管理しながら私たちの工場に保管しています。木工の過程は我々のルシアーやテクニシャンの直接の監督のもとに外部のイタリアの職人たちにより行なわれ、工場に戻ってきます。それからエキスパートなルシアーたちがひとつ残らず検査を行ない、楽器としての組み立て、電気回路やハードウェアの組み込み、そして徹底的な最終調整へと作業は続きます。キーワードは“パーフェクトでなければならない!”ということです。

━━ペグやブリッジといったパーツはもちろん、弦に至るまで自社製にした理由は?

 当社のアンプに用いるパワーアンプは、多くの会社が使っている第三者のメーカーが提供する一般的なアンプではなく、当社専用のアンプを製作して搭載させています。これは私独自そしてマークベースとしての哲学およびスタイルであり、オリジナルなパーツを用いることを常に好み、それは我々が送り出すすべての楽器にも言えることです。我々が製作するものやそのクオリティのすべてに関してコントロールを行なうこと、そして新たなアイディアの迅速な実現に向けて私たちは常に最大限の努力をしています。

━━ベース本体第一弾製品となるMB GOLD 4は名前のとおりゴールド・カラーの採用が鮮烈です。これは、マークベースのイメージ・カラーである黄色に由来しているのですか?

 最初のモデルのスペックについて取り組んだ際に、第一号のカラーはマークベースらしい“貴重な”印象を持たせなければならないと考えました。ゴールドの質感についてさまざまな試作を経るなかで緑青を帯びたカラーが有力な候補となり、それは次第に我々の思い描いていたものに近付いてきました。そしてベース・ファンからはMB GOLD 4について“この重量感にピッタリのゴールドのカラーだ!”という素晴らしいコメントも寄せられました。我々のベースについて、ほかにもアメイジングで革新的なカラーを提供しておりまして、美しく自分にピッタリなカラーを見つけるのは難しいことではないでしょう。

━━シグネイチャー・モデル・アーティストの第一弾をリチャード・ボナにした理由は?

 リチャード・ボナと私はともに妥協を許さないこと以外、特に理由はありませんでした! リチャードは世界で最も評価されリスペクトされているミュージシャンのひとりで、もし最高のクオリティのものができなければ彼は自身の名前を冠することやプレイすること自体さえも拒否すると、このプロジェクトのかなり早い段階から言っていました。

 私たちのチームは彼と密に作業を行ない、設計と改良をリチャードとひとつずつ行なって全員が100%満足する結果に辿り着きました。熾烈な価格競争のなかで劣ることのない価格で最高のクオリティを実現したのです。私とリチャードは昼夜を問わず常にコンタクトを取ってアイディアを共有し結果を分かち合い、絶えることのない情熱を注ぎ続けてきました。

━━マークベースはアンプの世界において、小型軽量化の先駆けとして業界に大きなインパクトを与えました。ベース本体の分野においてはどのような独自性を打ち出そうとしているのでしょうか?

 私たちは現在たくさんの革新的な楽器のプロジェクトを抱えていて、それはデザイン、木工、電気回路、特別なスペックといった多岐にわたっていて、なかにはとてもユニークなものがいくつかあります。今のところこれ以上のことは言えませんが、ぜひ注目してみてください。マークベース流に言うなら、“いくつかのニュースによって驚くことになるでしょう!”ということです。革新的であることは当社が最も大切にして追い求め続けていることであり、チーム全員が新たな挑戦に深く関与しているのを目にして、私はとても満足しています。

ベース・マガジン 2019年11月号 発売中!

BM_2019_11h1.jpg 本記事はリットーミュージック刊『ベース・マガジン 2019年11月号』の特集記事を転載したものです。今月号の表紙は、デビュー25周年を迎えたGLAYのJIRO。最新アルバム『NO DEMOCRACY』の話題のほか、ゆかりのあるミュージシャンからのコメントなども掲載しています。そのほか、日向秀和や岡峰光舟(THE BACK HORN)の特集インタビューのほか、ウィル・リーとリチャード・ボナの直伝ベース・レッスンやコーティング弦の弾き比べなどなど盛りだくさんの内容ですので、ぜひチェックしてみてください!

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