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  • ペダル型プリアンプの元祖メーカーが放つ注目機種をチェック!

TECH21 SANSAMP meets 瀧田イサム

TECH21 SANSAMP

  • 制作:ベース・マガジン 動画撮影・編集:熊谷和樹 音声:嵩井翔平 写真撮影:星野俊(人物)

ペダル型プリアンプの元祖にして代名詞的存在である“サンズ”。テック21が開発したサンズアンプ・テクノロジーは、1989年のサンズアンプ・クラシックの登場以来脈々と受け継がれ、今年で30周年を迎えた。今回は、そんなサンズアンプ・シリーズのなかから、超定番機種のベース・ドライバーDI V2、 “もうひとつのサンズアンプ”であるVT BASS DI 、そしてサンズアンプの新たなる可能性を示唆するマルチ・エフェクターBASS FLY RIGというベーシスト注目の3モデルを、自身もサンズアンプの愛用者である瀧田イサムが試奏した。

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TECH21 SANSAMP × 瀧田イサム

BASS DRIVER DI V2
現代の音楽シーンに合わせて進化した
ペダル型ベース・プリアンプの代名詞

TECH21 SANSAMP / BASS DRIVER DI V2

 1994年の登場以来、ペダル型ベース・プリアンプ/DIの先駆けとして多くのベーシストに愛用されてきたテック21サンズアンプ・ベース・ドライバーDI。本機は現代の音楽シーンに合わせた仕様を追加して2016年にリニューアルされたV2となる。旧モデルからの機能的な変更点は、ミドルのノブが追加されたことと、ミドルとベースの周波数帯域がボタン・スイッチにより2種類(ミドルが500Hzと1000Hz、ベースが40Hzと80Hz)から選択できるようになったこと。これにより、音作りの幅が広がり操作性も向上した。そのほか、これまでスライド・スイッチであった、出力インピーダンス切り替えスイッチやファンタム&グラウンド・コネクト・スイッチもボタン化された。トレブルやプレゼンスのEQや、レベル、ブレンドといったノブは旧モデル同様に装備している。また、インプットのほか、フォン・アウト、XLRアウト、パラレル・アウトプットなどの充実の入出力端子も引き継がれているので、プリアンプとして、歪みエフェクターとして、DIとしてなど、ライヴ/レコーディングを問わず、様々なシチュエーションで活躍する。

サンズアンプ・サウンドは、通常のフォン・アウトとXLRアウトの両方から出力される

パラレル・アウトプットは、インプットに入力された信号をそのまま出力する

【SPECIFICATIONS】
●コントロール・ノブ:レベル、ブレンド、トレブル、ミドル、ベース、プレゼンス、ドライブ●スイッチ:ファンタム&グラウンド・コネクト、フォンアウト・インピーダンス、XLRアウト・インピーダンス、ミドル周波数、ベース周波数、オン/オフ●入出力端子:インプット、アウトプット、XLRアウトプット、パラレルアウト●電源:9V乾電池、9V DCアダプター、ファンタム●サイズ:120(W)×95(D)×50(H)mm(スイッチ、ノブを含む)●重量:389g●価格:オープンプライス(市場実勢価格:29,000円前後)

Takita's Impression

 歌ものからハードなロックまで使えるオールマイティな感じになった。

T1_191119.jpg これは僕も今、使っています。V1からの変更点でいうと、ミドルのつまみがついたというのが大きいですよね。V1を使っていたときには、ブレンドのつまみを下げることで楽器本来の中域感を足して、ミドルをコントロールしていたんです。V2はミドルのつまみがあるから、ブレンドのつまみは純粋に、エフェクト音とドライ音のミックスという考え方で操作できるから使いやすいし、例えばほかのつまみはいじらずに、“今日はハードなバンドだからちょっとブレンドを上げ目”とか“今日はポップなバンドだからちょっと下げよう”と、ブレンドのつまみで一気に変えていくような使い方もできますよね。
 V2全体のキャラクターとしては、V1よりも重心が下がって、ローがけっこう出ますね。ベースの周波数帯域がスイッチで40Hzと80Hzを切り替えられるということも、ローBを意識して開発されたことの表われだと思いますけど、全部のつまみを12時の位置にしてスイッチがフラットでも、ローに特徴があるように感じます。逆に、上の帯域はちょっとマイルドになっていて、サンズというと“ドンシャリ”というイメージが強いと思いますが、歌ものからハードなロックまで使えるオールマイティな感じになったと思いますね。もちろん、コントロールを詰めていけばV1のエグい感じも出せるし、どんなジャンルでも、どんなベーシストでも使いやすいと思います。

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VT BASS DI
キャラクター・スイッチがキモ
真空管アンプ・テイストのサンズアンプ

TECH21 SANSAMP / VT BASS DI

 2008年に、特定のアンプ・サウンドを再現する“キャラクター・シリーズ”のベース用モデルとして登場したVT BASS。本機は、そのVT BASSをベース・ドライバーDIと同様のフォーマットに落とし込み、DIアウトやパラレル・アウトプットなどの出力端子を充実させることで、あらゆるシチュエーションに対応させたモデルで、2013年に登場した。ベース・ドライバーDIの方向性とは異なる、フェンダーのベースマンやアンペグのSVTといった真空管アンプのサウンドを再現する、“もうひとつのサンズアンプ”として人気を集めている。
 注目のコントロールは“キャラクター”のツマミで、これにより前述のアンペグ風からフェンダー・ベースマン風まで幅広い音色を得ることができる。そのほかのコントロールは、レベル、3バンドEQ、ドライブ、ドライ音とサンズアンプ回路のサウンドをミックスできるブレンドと、低域をカットしプレゼンス帯域をブーストするバイト・スイッチという構成。スピーカー・シミュレーションのオン/オフ・スイッチを備えているのはベース・ドライバーDIとは異なる点で、よりシチュエーションに合わせた使い方ができるだろう。

ベース・ドライバーDI同様のアウトプット。XLR端子からはファンタム電源の供給もできる

こちらの端子もベース・ドライバーDIと同様の構成。パラレル・アウトプットはチューナー・アウトなどとしても活用できる

【SPECIFICATIONS】
●コントロール・ノブ:レベル、ブレンド、ロー、ミッド、ハイ、キャラクター、ドライブ●スイッチ:ファンタム&グラウンド・コネクト、フォンアウト・インピーダンス、XLRアウト・インピーダンス、バイト、スピーカー・シミュレーション、オン/オフ●入出力端子:インプット、アウトプット、パラレル・アウトプット、XLRアウトプット●電源:9V乾電池、9V DCアダプター、ファンタム●サイズ:120(W)×95(D)×50(H)mm(スイッチ、ノブを含む)●重量:370g●価格:オープンプライス(市場実勢価格:29,000円前後)

Takita's Impression

 真空管アンプのようなテイストがあって、好き嫌いで言えば、ものすごく好き(笑)。

T2_191119.jpg ベース・ドライバーDIとはまったく別ものの“サンズアンプ”ですね。真空管アンプのようなテイストがあって、好き嫌いで言ったらものすごく好きです(笑)。すべて12時の位置で、気持ちいいチューブ感の温かい歪みが得られる。でも、ロックしかできないかというとそんなこともなくて。歪みを下げて使うとマイルドなオーバードライブ・トーンも出せて、オールマイティに使っていけると思いますよ。ベース・ドライバーDI V2を使う前はこのVT BASS DIを使っていたんですが、それはやっぱりV1にはついていなかったミドルのつまみが使いやすかったから。V2にはミドルがつくわけですが、その前の段階でこれについていたというのは大きな功績かなと思いますね。
 本機はキャラクター・ノブというのが特徴で、上げるとわりとドライな質感になって、絞るとちょっとブーミーな、ハイが抑えられて重心がグッと下に行く質感になります。好きな歪みを作ったあとに、例えば会場によって、“今日はちょっと音がこもって感じるな”と思ったら、キャラクター・ノブを上げていくと音抜けのいいサウンドになってくる。逆に、“今日は弦も張り替えたばかりだし、ちょっとハイが気になるな”っていうときには下げることでちょうどいいバランスのところに持っていくことができる。そうやって、最終調整のEQとして活用するのもいいと思いますよ。

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BASS FLY RIG
コンパクトな筐体に多彩な音色
現場視点のアナログ・マルチ

TECH21 SANSAMP / BASS FLY RIG

 マルチ・エフェクターFLY RIGシリーズのベース版として2016年に登場。軽量コンパクトなモデルで、ベースのソフト・ケースのポケットにも余裕で収納できる。サンズアンプ回路はVT BASS DIスタイルとなっており、キャラクターつまみを備えている。そのほかのエフェクターは、ヴィンテージ・タイプのFETコンプレッサー、ブースター、エンヴェロープ・フィルターを基盤にオクターバーとファズを個別にかけられるオクタフィルター、コーラスとなっており、信号は見た目どおり筐体右から左へと流れる(ブースターはプリ/ポストが選択可能)ので、デジタル・マルチに苦手意識がある人も使いやすいだろう。
 入出力端子はインプット、アウトプット、XLRアウトとなっており、ヘッドフォン・スイッチをオンにすればアウトプットからヘッドフォンでのモニターが可能になるということで、ライヴ/宅録のほか、自宅練習でも重宝するだろう。その際には、コーラス・セクションのオン/オフ・スイッチを長押しすることで起動するクロマチック・チューナー機能も便利だ。

インプットとフォン・アウトプットは背面にまとめられている。筐体も非常に薄くコンパクトなので、持ち運びも容易だ

XLRアウトは筐体左側の側面に設置。なお、電源は9V DCアダプターのみとなる

【SPECIFICATIONS】
●コントロール・ノブ:コーラス、ミックス、Q、レンジ、レベル、ハイ、ミッド、ロー、キャラクター、ドライブ、ブースト、レベル、トーン、コンプ●スイッチ:セクション切り替えフット・スイッチ×5、グラウンド・コネクト、ヘッドフォン、オクターヴ、ファズ、バイト、プリ/ポスト、インプット・パッド●入出力端子:インプット、アウトプット、XLRアウトプット●電源:9V DCアダプター●サイズ:318(W)×64(D)×32(H)mm●重量:587g●価格:オープンプライス(市場実勢価格:41,500円前後)

Takita's Impression

使って一番オイシイところだけで抑えてあるから、
どんな設定にしてもいい音がする。

T3_191119.jpg サンズアンプ・セクションは、VT BASS DIをもとにしているということなんですが、印象はちょっと違いますね。ドライブを上げていっても、歪みとしてはめちゃくちゃ歪むというわけではなくて。アンサンブルのなかでオーバードライブさせたベースというところで使いやすいものになっている。やりすぎないVT BASSというんですかね。ただ、VT BASSと同じような部分として、キャラクター・ノブがあって、この使い勝手というのは単体のVT BASS DIと同じ感じでいけますね。個人的にはVT BASSのすごく使いやすい点が、このキャラクター・ノブだと思っているので、これがついているのは嬉しいです。
 本機を試したときにいいなと思ったのは、コンプ・セクション。コンプって設定が難しかったりするじゃないですか。これはコンプ・ノブひとつでコンプ感のコントロールができ、しかもかかりすぎないのがいい。あとは、コンプをかけると音がこもりがちなんですけど、トーンのつまみでそこを戻すことができて、これは重宝すると思います。
 オクタフィルター・セクションは、エンヴェロープ・フィルター、オクターバー、ファズの3つを混ぜたサウンドが出せます。全部オンにして上げ目の設定で使うと、シンセ・ベースみたいな飛び道具っぽい感じでも使えますし、ファズとオクターバーのスイッチをオフにすると、いわゆるタッチ・ワウ的にファンキーなサウンドでも使えますね。これもオイシイところにちゃんとかかってくれて、好印象ですね。
 コーラス・セクションも好きですね。これもつまみはひとつなんです。設定が簡単なのがなによりいい。サウンドも、コーラスをかけても細くならない。そこが素晴らしいと思います。コーラス・セクションのオン/オフ・スイッチを長押しすると使えるチューナー機能も嬉しい装備ですよね。
 本機は、どのエフェクター・セクションも使い勝手がいい。それぞれが主張をしすぎない程度の味付けになっている。すべてが、使って一番オイシイところだけで抑えてあるから、どんな設定にしてもいい音がする。そういう意味では使いやすいマルチ・エフェクターだと思います。

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TOTAL IMPRESSION

サンズアンプの持っているドライブ部分の質感。
それはモデルそれぞれ違うんですけど、それぞれに良さがある。

 僕は今、ベース・ドライバーDI V2をエフェクター・ボードの最後につないで、V2のXLRアウトから直接PAに音を送って、文字どおり“アンプ”として使っています。ステージ上でもキャビネットは鳴らしていますけれど、あくまでもメインはサンズの音。なぜ、そうしているのかというと、ひとつは、音のスピード感。アンプをマイクで拾って伝えるよりも、ラインで直接お客さんのところにズコーンと届くほうが好きで、ラインの音で完結というのが理想なんです。そのライン音にアンプ感が乗るっていうのは、サンズアンプが最も得意とするところだと思うんですよ。あと、DIを別で用意せずにサンズから直接PAに送るというのは、接点を少なくしたいから。ライヴでのトラブルって、やっぱり接点不良というのがほとんどなんです。そういう意味でも、サンズのDI機能を使って直接PAに送るというのは、理にかなっていますよね。
 今回のデモ演奏では、最終的なアンプ・シミュレーター兼DIとしてベース・ドライバーDI V2を使いました。そして、プリアンプとしてBASS FLY RIGのサンズアンプ・セクションをボトム・パートで、VT BASS DIのアナログな歪みをメロディ・パートで使っています。
 最近レコーディングのときに使っているのが、ラック・タイプのゲディ・リー・モデルなんですけど、それを使ったときも“これいいなぁ”って思ったんです。サンズアンプのシリーズは、どれを使っても、“これいいなぁ”って思っちゃうんですけど(笑)。サンズアンプの持っているドライブ部分の質感、それはベース・ドライバーDIもVT BASSもBASS FLY RIGも、それぞれ違うんですけど、それぞれに良さがあって。最近、VT BASS DIは使う機会が減っていたんですが、この企画のために改めて使ってみたら、やっぱりいいなとなって、先日あったGRANRODEOのレコーディングの現場では使いました。純粋に、サンズアンプの歪みが好きなんですよね。

ベース・マガジン 2019年12月号 発売中!

BM_2019_12_191119.jpg 本記事はリットーミュージック刊『ベース・マガジン 2019年12月号』の特集記事に連動しています。表紙は、サンズアンプ・ベース・ドライバーDIをオマージュしたもので、歴代サンズアンプ・モデルの紹介や愛用者のインタビュー/アンケートなど、全44ページにわたってサンズアンプを大特集! そのほか、フェンダーから登場した要注目のアクティヴ・ベース・シリーズであるアメリカン・ウルトラや、音楽学校の講師陣が厳選して教える練習フレーズ45連発など、注目記事が盛りだくさん。ぜひチェックしてみてください!

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製品情報

TECH21 / BASS DRIVER DI V2

価格:オープン

【スペック】
●コントロール・ノブ:レベル、ブレンド、トレブル、ミドル、ベース、プレゼンス、ドライブ●スイッチ:ファンタム&グラウンド・コネクト、フォンアウト・インピーダンス、XLRアウト・インピーダンス、ミドル周波数、ベース周波数、オン/オフ●入出力端子:インプット、アウトプット、XLRアウトプット、パラレルアウト●電源:9V乾電池、9V DCアダプター、ファンタム●サイズ:120(W)×95(D)×50(H)mm(スイッチ、ノブを含む)●重量:389g
【問い合わせ】
キクタニミュージック TEL:0561-53-3007 https://www.kikutani.co.jp/
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TECH21 / VT BASS DI

価格:オープン

【スペック】
●コントロール・ノブ:レベル、ブレンド、ロー、ミッド、ハイ、キャラクター、ドライブ●スイッチ:ファンタム&グラウンド・コネクト、フォンアウト・インピーダンス、XLRアウト・インピーダンス、バイト、スピーカー・シミュレーション、オン/オフ●入出力端子:インプット、アウトプット、パラレル・アウトプット、XLRアウトプット●電源:9V乾電池、9V DCアダプター、ファンタム●サイズ:120(W)×95(D)×50(H)mm(スイッチ、ノブを含む)●重量:370g
【問い合わせ】
キクタニミュージック TEL:0561-53-3007 https://www.kikutani.co.jp/
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TECH21 / BASS FLY RIG

価格:オープン

【スペック】
●コントロール・ノブ:コーラス、ミックス、Q、レンジ、レベル、ハイ、ミッド、ロー、キャラクター、ドライブ、ブースト、レベル、トーン、コンプ●スイッチ:セクション切り替えフット・スイッチ×5、グラウンド・コネクト、ヘッドフォン、オクターヴ、ファズ、バイト、プリ/ポスト、インプット・パッド●入出力端子:インプット、アウトプット、XLRアウトプット●電源:9V DCアダプター●サイズ:318(W)×64(D)×32(H)mm●重量:587g
【問い合わせ】
キクタニミュージック TEL:0561-53-3007 https://www.kikutani.co.jp/
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プロフィール

瀧田イサム
たきたいさむ●8月8日生まれ、神奈川県出身。中学の頃にベースを始め数々のセッションやバンド活動を行なう。専門学校時代に6弦ベースを手にし、1995年には六三四Musashi、2002年にはアーク・ストームに加入し、テクニカルかつ流麗なプレイで辣腕を振るう。並行してGRANRODEOを始めとしたサポート・ワークでも精力的に活動している。2015年12月にはソロ・アルバム『Rising Moon』を発表した。

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