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  • Special Interview:Fender CEO Andy Mooney

【Fender/NAMM2020】フェンダーCEOアンディ・ムーニーが語る、2020年の展望

Fender / NAMM Show 2020 New Model

2015年の就任以来、フェンダーのブレインとして数々のヒット・プロダクトを仕掛けるCEOのアンディ・ムーニーへインタビューを敢行! 2020年の動向や、注目のAcoustasonic Stratocaster、Mustang Ampなどの新製品についても話を聞いた。

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Interview
Andy Mooney(CEO of Fender)

American Ultraシリーズは
世界的に予想を超える出荷数と実売数を記録しています。

──あなたが考えるThe NAMM Showの役割、魅力とはどのようなものでしょうか?
 NAMMは私たちの業界で最大級のショーケースです。NAMMに参加するすべての企業は業界を盛り上げていく使命感を持つべきですし、私たちも毎年プレイヤーとディーラーのみなさまに感動と驚きを与えられる新製品を携えて出展しています。

──昨年はAcoustasonic Telecasterやデジタル・アンプのTone Masterなど、革新的なアイディアのプロダクトが見事市場を賑わせました。2019年にフェンダーが仕掛けたチャレンジはどういう結果になったと感じていますか?
 楽器業界では、革新的な新製品というものは一般のお客様にもディーラー様にも、受け入れられ難い印象があります。ですが、Acoustasonic TelecasterもTone Masterも、今までの伝統的な楽器のあり方を問い直す、真に革新的な製品だと言えます。私たちは非常に意欲的な販売目標台数を掲げてこれらの製品を発表したのですが、出荷数、お客様への実売数ともに目標数を大幅に上回る結果となり、とてもうれしく思います。

──今回はAmerican Ultraシリーズを軸に、待望のAcoustasonic Stratocasterや新たなMustang Amp(Mustang GTX)もリリースされます。2020年のフェンダー社の展望はどのようなものですか?
 American Ultraシリーズは2019年の11月に発表したのですが、このシリーズに関しても世界的に予想を超える出荷数と実売数を記録しています。強い製品力と、製品の魅力を確実に伝える強力なマーケティング力は、結果的に業界全体の活性化と成長につながると信じており、American Ultraシリーズはその両面で成功した良い例と言えるでしょう。

──なるほど。Acoustasonic StratocasterとMustang Ampについては?
 Acoustasonic Stratocasterは、昨年のThe NAMM ShowでAcoustasonic Telecasterを発表した時と同じくらいの驚きと感動をみなさまに与えられると思います。実はAcoustasonic Stratocasterは単なるボディ・シェイプの追加ではなく、エレクトリック・トーンの幅が広がっていますので、「またひとつ新しい楽器が誕生した」と感じていただけるのではないでしょうか。そしてMustang Ampは競争が激化しているデジタル・アンプ市場において、フェンダーにとっても非常に重要な製品シリーズなんですよ。今回発表されたMustang GTXは、音質の良さはもちろん機能もパフォーマンスも既存モデルからさらなるアップデートがなされていますので、お客様にもディーラー様にも大変喜んでもらえる製品に仕上がっていると信じています。

──ペダルやアクセサリー類のラインナップも充実し、ギターにまつわるあらゆるアイテムがフェンダー製でそろえられるようになってきました。このような新機軸の製品について、市場の反応はどうですか?
 実は私はペダルやストラップ、そしてピックなど、ギターやベース、アンプ以外の製品のことを「アクセサリー」と呼ぶのに違和感を感じています。と言うのも、私のギタリストとしての経験上、これらのアイテムはギターやベース、アンプと同じくらいプレイヤーにとって大事なものなのですから。そのような思いから、4年前に私がフェンダーに入社した際には、この製品カテゴリーを強化することを決めたのです。このカテゴリーの製品開発チームの努力は目まぐるしく、ここ数年で非常に成長した分野だと感じています。特にペダル製品はディーラー様とお客様から高い評価をいただいており、ペダル市場において強い競争力を持った製品群を発表できていると思いますね。

──ここ最近のフェンダーは、はオンライン・ギター・レッスンのFender Playや、Apple Music上の楽曲のギター/ウクレレ・コード進行や歌詞を表示するFender Songsなど、ギター・メーカーの枠を飛び越えて発展しているように感じます。また、日本ではWebと紙媒体で“Fender News”を発行していますが、これもほかのどのブランドも行なっていないものです。業界のリーディング・カンパニーであるフェンダーは、今後のギター・ブランドの在り方をどう考えていますか?
 実際にFender Playは多数の新しいプレイヤーを楽器業界に引き込んでいるんですよ。現時点で登録者数は13万人を超えており、その数字は2020年にはさらに伸びるでしょう。楽器を長く続けられるようなコンテンツ構成になっていますので、結果的には業界の成長に貢献できていると思いますね。Fender Songsは新しい試みですが、膨大なソング・ライブラリーの中からお気に入りの楽曲のコード進行や歌詞を瞬時に入手できる点に、お客様が価値を見出してくれると信じています。そしてFender Newsは日本独自のメディアです。日本はいまだに紙媒体が根強い人気を誇る国ですが、私たちは国によって異なるコミュニケーション特性の違いを見極めながら、最適なコミュニケーション・ツールを選んでいます。

──新しいカルチャーを生み出す現代のアーティストたちをサポートするFender NEXTという取り組みについても教えてください。毎年新しいアーティストが世界中から選ばれているそうですが、このプロジェクトはどのような目的でスタートしたのでしょうか? また、今後どのような展開をしていく予定ですか?
 特にギターを使って新しい表現にチャレンジしている次世代アーティストたちをつなぎ、サポートすることはとても重要です。私たちは70年間にわたりさまざまなアーティストたちをサポートしてきた実績があり、その過程で多くの偉大なプレイヤーたちともめぐり合ってきました。しかし、現在活躍しているプレイヤーたちと彼らが作る音楽こそが今最もエキサイティングであるべきで、私たちはそのようなプレイヤーたちを今後も応援したいと考えています。

──音楽教育プログラムに楽器や機器を付与するFender Play Foundationの取り組みについても教えてください。
 社会貢献活動を行なうことも私たちにとっては大切なミッションですが、そのためにはアーティスト、フェンダー・ファンのみなさん、ビジネス・パートナー、そして社員の全員に喜んで賛成してもらえるような取り組みが必要です。楽器メーカーであるフェンダーとしては、学校の生徒たちに楽器を提供し、喜びとインスピレーションを与えることが最もシンプルで自然な取り組みですので、その活動をFender Play Foundationの根幹に置き、今後も広く展開していきたいと考えています。

──American Performerシリーズではトム・ミッシュを、Vinteraシリーズではクリストーン・“キングフィッシュ”・イングラムを、American Ultraシリーズではコリー・ウォンをアンバサダーに起用しています。どのギタリストも新しい世代のギター・ヒーロー的存在で、このチョイスにも今のフェンダーらしい姿勢を感じます。現在の音楽シーンにおけるフェンダー・ギターの役割を、あなたはどのように考えていますか?
 すべてのアーティストは影響力を持っています。今名前があがったアーティストたちは、プレイ・スタイルもファン層も一人一人異なりますが、彼らは今日の音楽シーンの「多様性」を象徴する存在ですよね。そして音楽において、「多様性」はパワフルでポジティブなエネルギーになります。フェンダーの楽器が彼らの活動をサポートすることで、音楽業界の進化に貢献できていると信じています。

──今後、フェンダーが挑戦したい分野について教えてください。
 フェンダーは成長を続ける業界の中で、成長を続けているリーディング・ブランドです。なので、私たちには業界全体を成長させる義務があります。それは非常にチャレンジングなことで、そのためには新しい分野への参画も必要な場合が出てくることでしょう。少なくともこの4年間、私たちは業界の成長に貢献できていると感じています。

──最後に日本のFender Loverへメッセージをお願いします!
 私はこれまでにナイキ、ディズニー、フェンダーでのキャリアを通して日本を100回以上訪れていますが、国、人、そして文化の美しさとユニークさに魅了され続けています。プレイヤーやディーラー様の日本独自のニーズを理解し尊重しながら、みなさまの期待に最大限応えられるよう引き続き努力していきたいと考えていますので、これからも応援をお願いします。

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フェンダーミュージック TEL:0120-1946-60 https://fender.co.jp
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