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  • 【連載】HELIXの達人 〜HELIX Masters 第16回

佐藤大剛 〜卓抜の職人マルチ・インストゥルメンタリストを支えるLine 6 Helix Floorの多機能性

Line 6 / Helix Floor

Line 6 Helixシリーズを愛用するトップ・アーティストたちに、その活用法とインプレッションを披露してもらう本連載。その第16回目は、ももいろクローバーZやHYなどをはじめ、トップ・アーティストをさまざまな面で支えるギタリスト、佐藤大剛に登場いただく。エレキ/アコースティック問わず多彩な弦楽器を使いこなし、色とりどりの演奏で音楽を彩る佐藤は、すべての楽器を束ねる旗艦としてHelixをフル活用。あらゆる現場で高いパフォーマンスを求められる彼が“夢のよう”と評する、Helixの多機能性について話を聞いた。

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佐藤大剛 × Line 6 Helix Floor

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about Helix Floor
フロア・タイプの最高位マルチ・プロセッサー

Line 6 / Helix Floor

Line 6 / Helix Floor

 最新テクノロジーとこれまでLine 6が培ってきたノウハウをすべて投入した“最高のギター・プロセッサー”を実現するべく、6年にも及ぶ開発期間を経て2015年にリリースされたHelixシリーズ。現在までにフロア・タイプ2種とラック型、プラグインをラインナップしているが、中でも宅録/ライブといったシチュエーションを問わず人気を呼んでいるのが、フロア・タイプのHelix Floorだ。最新のVer2.82では、ベース用を含む8タイプのアンプ・モデリングと8種のエフェクトなどを追加。さらに、Helix/HXファミリー製品間のコア・エンジンの共通化によるプリセット互換を実現したのに加え、HelixをMac/PCと接続して、DAW、DJソフト、照明ソフト、メディア・プレイヤーなどのコントローラーとしても機能させることができる“ホットキー”の他、Line 6のPowercab Plus、DT25/50、Variaxとの連携強化などを含む多数の新機能を実装した。ギター・サウンドメイクの中枢システムとしてだけではなく、まさにマルチプルな“デジタル・デバイス”としての進化を続けている。

 そのHelix、中でもHelix Floorをエレキ・ギター/ベースだけに活用するのはもったいない、という好例が今回の佐藤大剛の使用法だ。動画では①エレキ・ギター②エレアコ③エレガット④スティール・ギター⑤マンドリンと多彩な弦楽器を演奏しているが、それらを柔軟に受け止めているのがHelix Floorの豊富な入出力と信号処理。Helix Floorには通常の[GUITAR IN]のほか、アクティブ・ギターなどにも最適な[AUX IN]、48Vファンタム電源を供給できる[MIC IN]、4系統の[SENDS/RETURNS]を装備しており、[RETURN]もインプットとして活用することができる。特に通常ならエフェクト・ループというイメージの[SENDS/RETURNS]だが、Helix Floorならパッチごとに何をインプット扱いにし、何に出力するかを設定できるため、上記のような楽器の持ち替えも簡単、確実に行なえるわけだ。もちろん、入力信号はそれぞれアンプやエフェクター、レベル調整などを個別に設定できるので、それぞれに最適なサウンドを作り込める。エレキとアコギの持ち替え時などにぜひ試してほしい機能だ。

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SATO's View
佐藤大剛が語るHelix Floor

Helixはエレキ・ギターのためだけではなく、自分がやりたいと思うあらゆることに応えてくれる

 僕はもともとアナログな機材ばかり使っていたんですが、Helix Floorは操作がしやすいという話を聞いて興味を持ち、4年ほど前から使い始めました。現在は常に自分の手元に1台、それとツアーが同時進行していたりするので各現場用に2台と、計3台持っていて、欠かせない機材になっていますね。

 数あるアンプ・シミュレーターやプロセッサーの中でのHelixの評判はよく聞きますけど、僕が思うにHelixの何が一番優れているかと言うと、エレキ・ギターのためだけではなく、自分がやりたいと思うあらゆることに応えてくれるという点なんです。例えばエレキ・ギターに加えて、アコギやガット・ギターを使う場合はそれ用のプリアンプやボリューム・ペダルなどが必要になりますし、スティール・ギターも通常のエレキ用機材に繋げて音を出すことはできますが、コンプレッション感なども考えるとやっぱり独立したセットにしたい。そうなると物量やかかるお金が大変なことになってしまいますが、それらは全部Helix Floorでできるんじゃないかという考えに、2年ほど前にたどり着いたんです。

 今回のセットで言うと、エレキ・ギターは通常の[GUITAR IN]から接続して、【Brit Plexi Brt】や【German Ubersonic】などのアンプを通し、サード・パーティのIRのスピーカーを使っています。アコギの場合は、これまでは搭載している2つのピックアップをステレオ・ジャックで出力し、ミキサーを通してプリアンプなどに繋いでいたんですが、Helix Floorなら[RETURN 1/2]に入力した信号にそれぞれマイク・プリなどを通し、ミックスすることができます。これまでのシステムと同じことを1台でできるんじゃないかと思って試してみたんですが、これまでより高いクオリティで、特にリバーブなどは桁が違うと感じました。センド&リターンは任意にインプットとしても使うことができるので、マンドリンなど入力レベルが違う楽器などを接続したりもしています。あと、ガット・ギターはバッファーを内蔵した特殊なケーブルを使っているんですが、Helix Floorの[MIC IN]ならそのバッファーを駆動するファンタム電源を送ることができるので便利ですね。

 もうひとつすごいなと思ったのが、スナップショット機能です。お気に入りのエフェクターとアンプがあって、その組み合わせは最高だけれども、アンプを同じセッティングのまま別のお気に入りのエフェクターを組み合わせると、例えばイヤなローが出てしまったりすることがあります。それがHelix Floorのスナップショットなら、あるエフェクターをオンにしたときにイヤだった部分のEQや、アンプのバイアスなどもその時だけ変えることができる。これまでは最大公約数で妥協して目を瞑っていたことが、Helixがあることで100%、120%を狙えるようになるわけで。負担やストレスが減りますし、夢のようですね。

▲ここでは佐藤によるオリジナル・プリセットを、動画内で使用している順にご紹介していく。まずはエレアコで活用する【Mix-AG】。ギターにマウントしたふたつのピックアップそれぞれに独立したルートを設け、それぞれに【10 Band Graphic(EQ)】─【LA Studio Comp】─【Studio Tube Pre】を通過させる。そこから両者のシグナルをミックスさせ、【Volume】─【Gain】─【Glitz(Reverb)】を接続している

▲ピエゾ・ピックアップを搭載したマンドリン用のプリセット【piezo AG】。アンプ/エフェクトはすべて直列で接続しており、【LA Studio Comp】─【Studio Tube Pre】─【10 Band Graphic(EQ)】─【IR 1024】─【Volume】─【Glitz(Reverb)】を組み込む

▲単音のギター・フレーズで使用した【NASHVILLE】。メイン・シグナルには【Kinky Comp】─【Kinky Boost】─【US Deluxe Nrm】─【IR 1024】─【10 Band Graphic(EQ)】─【Volume】─【60s Bias Trem】─【Simple Pitch】─【Spring】─【Gain】となり、すべて直列で接続する。また、【US Deluxe Nrm】の後段で信号がスプリットされ、【A30 Fawn Brt】が組み込まれる

▲【PLEXI&BOGNER】は、エレキ・ギターのバッキング&ソロで使用したプリセット。【Chrome(Wah)】─【Deluxe Comp】─【Compulsive Drive】─【Brit Plexi Brt】─【IR 1024】─【German Ubersonic】─【IR 1024】─【10 Band Graphic(EQ)】─【Volume】─【Gain】─【Spring(Reverb)】という流れがメインの信号となる。そして【Gain】と【Spring(Reverb)】の間の信号をスプリットさせ、【U-Vibe】─【Opto Tremolo】─【Dual Delay】をインサートしている

▲スティール・ギター用のプリセット【CLEANtoDRIVE】。エフェクト/アンプは、【Chrome Custom(Wah)】─【Kinky Comp】─【Teemah!(Distortion)】─【US Deluxe Nrm】─【IR 1024】─【10 Band Graphic(EQ)】─【Volume】─【Gain】─【Dual Delay】─【'63 Spring(Reverb)】を直列で接続し、【Gain】の後段で信号を分けて【Trinity Chorus】─【Opto Tremolo】─【Analog w/Mod】を配置する(【Dual Delay】後段へとリターン)

▲最後はガット・ギターで活用した【GUT GUITAR】。エフェクト/アンプはすべて直列で【LA Studio Comp】─【10 Band Graphic(EQ)】─【Studio Tube Pre】─【IR 1024】─【Volume】─【Glitz(Reverb)】─【Gain】の順に接続している

達人の格言

佐藤大剛「使い込むほどに旨味が増す、あらゆる弦楽器奏者のためのパーフェクト・ギア、Helix

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製品レビュー:Line 6 / Helix

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特集:日向秀和(ひなっち) meets Line 6 Helix LT

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製品レビュー:Line 6 / Helix LT

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製品情報

Line 6 / Helix Floor

価格:オープン

【スペック】
●プリセット・ロケーション:1024 ●エフェクト数:194 ●アンプ数:72 ●キャビネット数:37 ●マイク数:16(※以上ファームウェア・バージョン:v2.71の場合)●液晶:6.2インチ ●コントロール:プリセット、セーブ、メニュー、ホーム、アンプ、ジョイ・スティック、バイパス、アクション、ページ、ノブ×6、ボリューム、ヘッドフォン・ボリューム、フット・スイッチ×12、エクスプレッション・ペダル、パワー・スイッチ、グランド/リフト・スイッチ ●入出力端子:EXP2、同3、EXTアンプ、CV/エクスプレッション・アウト、ギター・イン、AUXイン、MICイン、センド/リターン×4、XLRアウト×2、1/4インチ・アウト×2、ヘッドフォン・アウト、VARIAXインプット、MIDIイン、MIDIアウト/スルー、S/PDIFイン/アウト、AES/EBU-L6 LINKアウト、USB、ACイン ●電源:電源ユニット内蔵 ●外形寸法:560(W)×301(D)×92(H)mm ●重量:6.6kg
【問い合わせ】
株式会社ヤマハミュージックジャパン Line 6インフォメーションセンター TEL:0570-062-808
Helix製品ホームページ Line 6 Helix Japan User Group(Facebook)
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プロフィール

佐藤大剛
さとうひろたか●1977年生まれ、仙台市出身。高校時代にキース・リチャーズに憧れギターを始める。20代前半からセッション・ギタリストとして活動。下記アーティストのレコーディング、ツアー・サポート、FNS歌謡祭などテレビの生演奏番組での演奏など、数々のアーティストをさまざまな場面でサポート。自身のアコースティック・ユニットHi-Litesとしての活動も行なっている。 【参加アーティスト(順不同)】 家入レオ HY 関ジャニ∞ JUJU スキマスイッチ Back Number 一青窈 ももいろクローバーZ SMAP KAN 土屋アンナ Do As Infinity 他多数  【Special Thanks】 Sugi Guitars Tupli Guitar

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