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ディープすぎるエフェクター沼「CULT」に行ってみた!

CULT

  • 制作・企画・編集:デジマート 文:井戸沼尚也 協力:CULT

日本各地に点在するという、ハマったら抜け出せない機材の沼スポット。自他共に認める機材好きで1日に5回デジマートを見る男が、全国の沼を訪ねて歩く連載、それが「ニッポン沼めぐりっ」! 今回は、神奈川県横浜市の「CULT」に突撃です!

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※取材は2020年3月に行なわれました。取材時の距離感など気になる点もあるかもしれませんがご容赦ください。

 私自身は、それほどディープに沼にハマっているわけではない。楽器好き、機材好きではあるが、所詮はバンドマン目線でその機材が好きか好きじゃないかを判断しているだけだし(嫌いは、ない笑)、エフェクターに関しては好きなものを持っていればとりあえず満足だ。

 ところが、世の中にはエフェクターが好きすぎて

エフェクター全部欲しいですね

という人がいる。

全部だよ?

例えばエレハモ全部とか、ファズならなんでも、とかじゃなくて、

世の中にあるエフェクター

全部手に入れるには
いくらぐらいっすかね?
とか

真顔で言うんだぞ?

ヤバイでしょ?

 今回は、その人細川雄一郎さんが主宰するショップ「CULT」に行ってみることにする。

駅で細川さんと合流

 というわけで、都内から東京メトロ半蔵門線、JR横浜線と乗り継ぎ、中山駅に到着!

じゃん! もう着いちゃいました! ……と言いたいところですが、正直なところ意外と遠かったっす……

 いつもの「沼めぐりっ!」ならここで何かを食べるところだが(笑)、「中山名物」というのも聞いたことがないし、訪問先の「CULT」は駅からちょっと遠いこともあって、まずは細川さんが迎えに来てくれることに。

 駅前のロータリーで待っていると……キターッ!

細川雄一郎さん登場!

この方が細川さんです。ど〜も〜こんちわ〜

 ちなみに細川さんは「CULT」の主宰者であるだけでなく、エフェクター収集家、エフェクター写真家としても知られている。加えて日本のロック・バンド「MONO」「Boris」のギター・テックとして世界を回ったり、いろいろな媒体で機材関係の記事を執筆したりと、多忙な人だ。私たちは挨拶もそこそこに、早速ショップに向かって歩き出した。

川沿いを歩く。なんとなくロック・スターのような佇まいの細川さんと、冬の国から取材に来たような私……

 2人でちょっと川でも見てみますか、ということになり土手を降りる。思春期か?

沼に行く前に川を見る、謎行動

 さらにその後、インダストリアル感にあふれる街の一角を通り抜け……

……ここまで何も食べていない。「沼めぐりっ」史上、初?(笑)

 ようやく「CULT」が入っている、ビルの入り口に到着!

この建物の中に、お宝が!!

 ここで「CULT」豆知識。このビルは土足厳禁なので、来訪者は入り口でスリッパに履き替えることになる。

スリッパにCULTと書いてあったらアガるが、ここは残念ながら普通のスリッパ(笑)

 で、そこから階段を上がると、玄関に続いて2つ目の入り口が登場! ここから先は関係者以外立ち入り禁止の聖域である。

ダメ! ゼッタイ!!

 そして、その中に入るとついに本日3つ目の入り口が! いよいよ到着!!

入り口を示すCULTの文字! ご、ごくり……

いよいよ、カルトなCULTへ潜入……

 緊張しながら入店。「沼めぐりっ!」では、いつもこの瞬間がたまらんのだ!

ごんぬずばー

ジャーン!!

決して広くはないが
置いてあるもの
すべてがヤバい!!

ぼーぜん……(良すぎて)

 まずは入って左側の「CULT」の取り扱い製品をチェック! 私も愛用しているTS808 1980 #1 Cloning mod.OD-820 Secede from T.S. mod.のほかに、BANANANA EFFECTSELECTROGRAVEなどの製品が!

おおおおお

この一角だけでヨダレが出るという人も多いのでは?

 さりげなく置いてある、「CULT」のカード。可愛い!

可愛いロゴだが、よく見ると失禁モノな世界の名器でデザインされていますよー

↓試奏する場所は、こんな感じ↓

試奏環境。エフェクターを使わない状態でも、音が良いです。立てかけてあるストラトのピックアップにも注目!

 せっかくだからと、いろいろと試させてもらう。

試奏している顔がニンマリしているの、わかりますか?

ぬおお、欲しいものばかり!! 

 特にLeqtique Roger Supremeが個人的にツボで、取材後、帰宅してオンライン・ショップをのぞいたらアウト・オブ・ストックだった……(泣)。

CULT限定のアイテム、Leqtique Roger Supreme

 これは細川さんの私物のOKKO DIABLO初期型×2台。最高! 

欲、欲しい……

 セッティング&チューニングをしてくれる細川さん。佇まいからやっぱりロック感が!

何をやっても様になりますな〜

 「この後、CULTで発売するんですよ」と言って見せてくれたのはBJFE Pale Green Compressor

コレなんですけどね、と見せてもらったのが……

 幻のコンプとして高額で取引されているオリジナルを、細川さんが製作者のBjörn Juhlと直接やり取りして復刻したのだとか。世界でも「CULT」でしか買えない貴重なものだ(後日、初回入荷分が即完売となった模様)。

世界でもCULTでしか買えないBJFE Pale Green Compressorの復刻モデル! 次回入荷が待ち遠しい……

あー、試奏が楽しい!

 楽器店に行ってエフェクターを試奏させてもらい、良い1台に当たるとすごく高揚するが、ここではその高揚感がずーっと続く感じ。夢の国か!?

 いろいろと弾かせてもらったが、この日、最も印象に残ったのはMAESTRO ECHOPLEX EP-2(これも細川さんの私物)! 

MAESTRO ECHOPLEX EP-2(上)とKORG STAGE ECHO SE-300(下)。どちらもテープ・エコーの名器!

あまりにも良かったので記念撮影!

 ちょっと、こんなに音の良いテープ・エコーは今までに弾いたことがない……。これまでに弾いたテープ・エコーの音よりも、ずっとクリアな印象。それでいて、テープの温かさ、太さも持ち合わせており、非常に音楽的に響く。細川さん曰く「テープ自体のコンディションによるところも大きいので、この音を維持するためにはテープは変えられない」とのこと。

はあああああ〜(昇天中)

EP-2を弾いている時の私。昇天中かというキモさで、本当に申し訳ない……。でも、これで音を想像できるのでは? いや、できないですよね……

エフェクター沼はさらに深く……

 さて、ここからはお待ちかねの、細川さんが所有するエフェクターの数々を紹介していこう!

ジャーン! ……私の顔がジャーンって感じではないのは、コレクションがあまりにもすごすぎ、興奮しすぎて吐きそうになっているためです……

 まずはこれ! 多分皆さんがギャーッとなるであろうBig Muff、Big Muff、Big Muff!!

一面すべてBig Muff、Big Muff、Big Muff……! 

 以前、これらの音をできるだけたくさんの人達に聞いてもらいたくて、細川さんと「Big Muff総会」というイベントを開催したこともある。それくらい素晴らしいコレクションだ。

 次はSmall Stone!!

右側の、赤地に黒文字のロゴのものは、ほかでは見たことがありません……

 続いてはHONEY、UNIVOX、GUYATONEなど、和ファズの数々!

アッパー・オクターブ好きの私は、ここで軽く失禁しました

 MXR! この中のDyna Compを弾かせてもらったことがあるが、嫌になるほど良い音だった。

1番手前のPhase 90の小さいロゴに注目! こんなの見たことありますか? 私はこれ以外ないです

 ここは沼だらけの「CULT」の中でも最深部のひとつかもしれない……Fuzz FaceBuzz Around、そしてTone Bender…… ひえー。怖いよう。この中ではBuzz Aroundを弾かせてもらったことがあるが、それはそれは素晴らしいサウンドで、皆がバズバズ言うのも納得。

奥の方にチラリと見えるColorsoundもたまらないです。たまらないです。2回言いました

 憧れのBINSON Echorec! 手前のタイプはケースがレアらしい。しかし細川さんの言うレアがどのくらいレアなのか、私には想像もつかない!

ラック・タイプのエフェクターの数々

 釘が刺さりまくったオブジェに飾ってあるPhantom Fx Sabbath Russian! このオブジェを作っていることだけも、細川さんがこのペダルをどれだけ愛しているかが、伝わってくる。実際、音も素晴らしかった。……今後、Phantom Fxが「CULT」と組んで久しぶりにペダルを発表するようで、非常に楽しみ!

ここの棚もSabbath Russianに限らず全部注目!!!

 比較的ポピュラーなペダルが並ぶ一角……とはいえBOSS SP-1 Spectrumなんかもさりげなく置いてあるし、一般的な評価は高くなくても唯一無二の音がするペダルなんかも混ざっているので、まったく油断はできない。

比較的ポピュラーなペダルが並んでいるが……オンリー・ワンなアイテムも!

 どうだろう? 私は今、これらのエフェクターのことを思い出しただけで軽い過呼吸になっている。まだまだあるのだが、正直紹介しきれない。

エフェクター専門店をはじめた理由

 ここらでちょっと一息つきたくなって、改めて細川さんに話を聞いてみた。

細川さんにいろいろ聞いちゃうぞ!

── えーと……あまりにもすごいエフェクターの数々を前に言葉がないんですけど……いったい何をどうすれば、こんなに集まってくるんですか?

細川さん ── そうですね、10年ほど生活費のすべてをかけるとこうなるかと……。僕、一時はエフェクターを買うために1日1食で、体脂肪率4.5%とかでしたから

── えーっ!? 4.5? アスリートでもそこまでの人ってなかなかいないのでは?

細川さん ──だから、その頃はダルシムみたいな体型でした。

 ダルシム……「ストリートファイター」の、あの人か(笑)。

それにしてもあの奥一帯は、離れて見ても、やはりすごいオーラを放っています……

── そもそもの話ですが、どうして「CULT」を設立したんですか?

細川さん ── いくつか理由がありますけど、やっぱり最高のエフェクターがそろった最高の店をやりたいと思ったということが1番ですね。それと、すごいコレクターは結局、お金をたくさん持っている人なんですよ。でも自分は同じレベルにはなれない。じゃあ、どうしようかなーと思った時に、エフェクターを買うことを仕事にすればいいじゃんと(笑)。

── エフェクター購入のプロ(笑)。

細川さん ── まぁ、クッキー好きの人がクッキー屋さんに、本好きの人が本屋さんになるのと同じようなものだと思ってもらえれば。

 とはいえ、クッキーが好きな人がみんなクッキー屋さんに、本好きの人がみんな本屋さんになるわけではない。大抵はどこかで興味がほかに移り、無難な仕事を選ぶ。本当に好きな仕事に就けるのは、ほんのひと握りのブレない人だけだ。

さりげなく置かれた、コンデンサーのオブジェ。中には非常に貴重なものも

 「CULT」は今後、中古品の取り扱いを始めるとのこと。

 手始めにBJFEのコレクション(!!!!!)が発売される予定だ。

 さらに、「CULT」オリジナルのエフェクターの開発にも着手しているという。その内容はまだ明らかにされていないが、筐体のプロトタイプを見せてもらった。

 強度が高くて軽量な、超々ジュラルミン製の筐体。デザインにしろ、材質にしろ、こんなエフェクター見たことがない……。

これも楽しみ! しかし、この店では「見たことがない」ばっかり言っているような気がしますね(笑) 


 ふうーっ。ものすごいものばかり、見せてもらった……。

 もうお腹がいっぱい、胸もいっぱいで、いつもの「ぷはぁーっ」のビールすら入りそうにない。

 というわけで「沼めぐりっ!」としては極めて異例だが……

今回の取材はこれにて終了!
ミッション・コンプリート! 

 「この後、残って仕事をします」という、“プロ・エフェクター購入者”の細川さんと別れ(さすが!)、「CULT」を後にした。

 ……ふっふっふっ

 これでもう「沼めぐりっ!」=食レポとは言わせないぞ(笑)。

「CULT」の沼度

水深(ギターの品ぞろえ)★★★★★
(本当は星100個でも足りないが、今のところ購入できるエフェクターが限られているため5個)
水質(スタッフの対応)★★★★★
沼の面積(フロアの広さ)
周辺状況(近隣の飲食店など)
判定:こんなに極端な星の付き方をする店は初めて。類を見ない深い沼なので、近寄る際は十分な注意が必要。

店舗情報

cult-33.jpgCULT
住所:〒224-0057 神奈川県横浜市都築区川和町268
営業時間:12:00〜19:00
定休日:不定
※来店する場合は事前連絡が必要です。
info@cult-pedals.com

デジマート・ショップページ
https://www.digimart.net/shop/5258/

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プロフィール

井戸沼尚也(いどぬま なおや)
日本で唯一の、沼鑑定士(自称)。 1日5回デジマートを見る、機材大好きのギタリスト/レビュアー/ライター/ワウペダル奏者。 インスト・ファンク・バンドZubola Funk Laboratoryのメンバー。 2019年3月より、ドラムとギターのみの変態インスト・バンド「Ragos」を始動。マスクをするとデジマート地下実験室の室長に似ているらしい。

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