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  • DEEPER’S VIEW 〜経験と考察〜 第15回

PARK Amp 〜50Wアンプが放つフル・ドライブ・サウンドの誘惑

PARK Amp(Marshall Amp)

いつだって100Wアンプのことばかり気にしている“ディーパーズ”の皆さんも、たまには50Wアンプの実力も見ておかないと……ということで、今回は1959 SUPER LEAD “BLACK FLAG”“NARB(Marshall)”に続き「PARK」の50Wヘッド+キャビをディープにチェック。

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マーシャル・メイドの50Wアンプ
“PARK 50”のサウンドを知る

※オープニングではファズフェイスとメモリーマン(メモリーマンはサウンドをブーストしないような設定)を使用しましたが、本編では接続しておりません

 普通のアンプはなかなか出てこない。ディープな目線でマーシャルを斜めに見るディーパーズ・ビュー。今回は1960年代のPARKの50Wアンプ・ヘッドをご紹介します。

100Wモデルに比べるとやや小ぶりなサイズ感

 このアンプのシリアルナンバーは147で、1967〜68年の個体だと思われます。PARKアンプはほとんど同じルックスでJTM45タイプ(KT66+整流管仕様)もありますが、こちらは整流部分が真空管からソリッドステートに変更となった後のモデル、マーシャルで言うところの1987となります。ブラック・プラスチックのパネル(プレキシではない)を持ち、アウト・トランスがDrake 784-139、メイン・トランスがDrake 1202-118の定番仕様と言えるでしょう。

真空管は左からECC83が3本、EL34が2本。右側はマーシャルでおなじみLCRの電解コンデンサだ

PARKの歴史

 1960年に小売店「マーシャル・ショップ」を開業してから、製造・販売を行なってきたジム・マーシャル(とそのスタッフ)。彼は、自らのショップと少数のディストリビューターを通じてアンプの販売を行なっていましたが、さらなる会社の発展・繁栄を目指して、1966年に「Rose Morris社」と販売代理店契約を結びます。ところが結果としてこの契約は、それまでのディストリビューターから権利を剥奪することになってしまいました。そして、その中にはジム・マーシャルの旧友である“ジョニー・ジョーンズ”も含まれていました。

 マーシャルとローズ・モーリスの契約では、ローズ・モーリス以外にアンプを製造・販売することはできなかったようです。しかし、ジムは友人にアンプを作って売りたかったし、ジョーンズもそれまでの顧客(店舗)にマーシャル・アンプを売りたかった。加えて、ローズ・モーリスは輸出時に価格を上乗せし、55%もの利益を得ていたと言います。単純に倍の価格になってしまい、マーシャル・アンプはかなり高額なアンプとして取り扱われていたということになります。

 前回、ディーパーズ・ビューで紹介したNARBアンプの誕生秘話と同じく、PARKもまた“契約をすり抜けて”、それまでの知人やディストリビューターのルートで“マーシャル・アンプ”を販売するための奥の手として生まれたブランドだったと言えるでしょう。また、マーシャルはジョーンズのために、彼の妻の旧姓である「パーク」をブランド名として使用し、PARKを立ち上げたと言われています。

このランプに印字された「RS」に心を奪われないように……

 PARKブランドは、45WのJTM45タイプのヘッドから始まり、多くのアンプを製造。これらのほとんどはマーシャルらしいアンプ構成、パーツのレイアウトなどを備えていました。代表的なPARK 45(俗称)、今回ご紹介するPARK 50(俗称)、ほぼ同仕様ながらモデル名をPARK 75(パネルに表記あり)とした50Wモデル、そしてPARK 150(パネルに表記あり。4本のKT88パワー管)もラインナップ。それに加えて、コンボ・アンプやPAタイプのスピーカーなどもラインナップしていたことからも、当時かなりの販売先・シェアを誇っていたということが容易に理解できます。ローズ・モーリスの販売するマーシャル・ブランドのアンプよりも、圧倒的に安かったこともその要因になるでしょう。

スピーカー・キャビネット

 今回使用したPARKキャビネットは、4x12の一般的なマーシャル1960キャビネットに比べ、板厚が半分程度となっています。当然ながら低域は1960のほうがガッツがあります。一方で、箱鳴り感はPARKキャビのほうが感じられると思います。また、グリル・ネットも1960はかなりキツめに編まれたバスケット・ウィーブですが、PARKは薄い“ネット”……大音量になればネットが揺れるほど。ここでも音色の違いが生まれ、PARKキャビネットのほうが明るく、ややブライトなサウンドだと言えます。スピーカーに搭載されたユニットは75HzのG12Mです。

サウンドの傾向

 このPARKヘッドに限らず、50Wモデルは100Wモデルに比べて、歪み出す(クリップする)位置が早いと言えます。ボリュームを上げていくと、時計12時方向を超えたあたりで急に歪みが深くなる(歪み量が増える)のが動画でも確認できます。

ダレットボードに整然と並べられたパーツは本当に美しい!

 今回紹介した個体は、その“歪み出し”を遅らせる(少し抑える)ためにパワー管のスクリーン・グリッド抵抗を増設(マーシャルの1987だと付いてないことが多い)していますが、それでも100Wモデルに加えて歪みが深く、柔らかい感じのドライブ・サウンドだと言えます。他にもこのアンプは、ブライト・チャンネル(CH1)のハイパスの値を少々変更し、信号のロスをなるべく少なくするべくメンテナンスをし、電源のフィルタリングもオリジナルを尊重しつつ手を入れてもらいました。これによりVOLUMEを下げても“張りのあるサウンド”……つまり100Wモデルのような音をイメージした50Wモデルと言えるかもしれません。ストックのまま(オリジナル)のPARK 50はもう少し歪みが強く、やや濁り気味のドライブ・サウンドだと言えます。

50Wの真空管アンプ、その魅力とは?

外装を外した状態。大型のレイダウン・スタイルのトランスが確認できる

 以前取り上げたJTMやNARB(SUPER LEAD)の魅力は、キレの良さと歪んでいてもどこかクリーンなサウンドにありました。回路的には似ていますが、この50Wはややスポンジーなサウンドが印象的だと思います。そこまでの爆音にならずとも深い歪みが得られることからも50Wマーシャルの愛用者は多く、中でもジェフ・ベックは有名かもしれません。ベックが近年使用するアンプは100Wのものもありますが、1987やMAGNATONEも愛用しています。MAGNATONEのSuper Fifty-Nine Mk IIを初めて弾いた時“うわ、まんまビンテージの1987と同じ歪み方じゃん”と思ったものでした。回路的な話は不明ですが、音量を上げていくと急にドライブする感じ、スパークルな高域、そして唸るような低域に、かなり60年代マーシャルの45/50Wアンプとの共通点を感じました。MAGNATONEは整流部分が真空管なのも、そのサウンドの要因かもしれません。現行のマーシャル1987Xはもっとタイトでクリアなサウンドで、1959の50Wバージョン、という印象でした。タイトなリフ/ハードロックに向けても、非常に使いやすい印象です。

最後に

 一般的に50Wマーシャルと言えば“100Wよりも歪んで、扱いやすい”というイメージかもしれませんが、実際は音色的に大きく異なると言えるでしょう。“歪ませなければ似たような音”ではありますが、歪み出したあとのサウンドは別物と言えます。50Wは歪むとややマイルドなドライブ・サウンド、100Wモデルは歪んでもガッツがあり、50Wモデルとは対照的な力強さを感じます。当然、歪みペダルなどを組みわせた際の反応も変わってきます。ぜひこのあたりの違いも参考にしてください。

火が灯る真空管。ただそれだけなのに良い音がしそうな予感

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製品情報

PARK / Amps

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プロフィール

Deeper's View #15 使用機材
■AMP:PARK 50W(1967-68)
■CAB:PARK 4x12 (4xG12M 75c/s)
■GUITAR#1:Gibson 1958 LP CUSTOM w/K&T NOS GOLD TONE PICKUP
■GUITAR#2:Crews LED-1960 SG w/K&T VALVE VAMPER PICKUP
■GUITAR #3:FENDER 1963 Stratocaster Stock PICKUP
■PEDALS:UOZ BB-01、1966 FUZZFACE(オープニングのみ)、E/H DLX MEMORYMAN(オープニングのみ)
■MIC:ROYER R-121
■MIC CABLE:VOVOX sonorus direct s
■GUITAR CABLE:Albedo TYPE-B CABLE

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