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  • "夢の空間"を実現した自宅スタジオに大接近!

アコースティックエンジニアリングが手がけた"ドラムが叩ける"プライベート・スタジオ Vol.07

アコースティックエンジニアリング

“自宅でドラムを叩きたい!”というドラマーの夢を叶えるべく、アコースティックエンジニアリングが手がけたプライベート・スタジオを紹介していく本連載。今回はスタジオの新たな使い方に迫る特別編として、昨今のコロナ禍で需要の高まった“オンライン・レッスン”にフォーカス。リズム&ドラム・マガジン2015年3月号で取材した田中 陽さんのお宅を再訪し、5年を経て変化したというスタジオ内部と、あらためて思うドラム部屋の魅力についてうかがった。オンライン・レッスンの実際の映像と共に、自宅スタジオがもたらす新たな可能性を探っていこう。

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CASE:7 東京都 田中 陽さん宅スタジオ

ドラマーとして数々のアーティストをサポートする傍ら、自身が代表を務めるHelios Drum Schoolを立ち上げ、ドラマーの育成にも尽力する田中さん

仕事の内容が変わるにつれてスタジオの使い方にも変化が出てきた

 前回取材していただいたときは、ちょうど僕が自分のバンドを辞めた時期だったんです。そこからはセッション・ミュージシャンのような形で、いろいろなアーティストのバックでドラムを叩かせてもらう機会が増えてきました。この5年間で、ドラムの叩き方や仕事の内容が変わっていくにつれて、スタジオの使い方にも変化が出てきたように思います。

 今のスタジオ活用の割合として一番高いのは、ドラム・レッスンですね。自宅スタジオを作った当初、ドラムは1台だけ置くという想定だったんですけど、何とかスペースを工面して、生徒さん用のドラム・キットをもう1台設置しました。やっぱり2台あると、生徒さんもすごくやりやすいみたいです。他には、クライアントさんからオファーを受けて、自宅でドラム録りをすることも増えました。

主にドラム・レッスン、レコーディング、自宅練習という3つの用途で使っているという、田中さんのプライベート・スタジオ。周辺は住宅街だが、スタジオの遮音性はかなり高いそうで、近所からのクレームなどもこれまでまったくないという。「スタジオ内では、ドラムの音が良い意味で響きすぎないので、音作りは結構しやすいですね。アンビエンスのマイクでも、そんなに広がりすぎないようなイメージです」と田中さん


2015年の取材時、スタジオにはドラム・キット1台の他にピアノが置かれていたが、レッスンを受ける生徒が演奏するため、2台目のキットに入れ替えられていた。田中さんがメインで使っているのは写真左、グレッチのUSA Custom。写真右に設置されているキットは、パールのGAX(ジャイアントステップス)

“オンラインだからこそ”できるメリットを探しながら進めていった

 僕のドラム教室はもともと対面レッスンがメインだったんですけど、コロナの自粛期間の影響で、2月末頃から僕が講師をしている教室が休業になってしまったこともあり、オンライン・レッスンを始められるように準備を進めました。

 オンライン・レッスンの環境を整えるにあたって、もともと演奏動画を撮るときに使っていたZoomのQ2nを流用したり、ルーム・マイクみたいな感じで使うコンデンサー・マイクも何本か新調したりしました。あと用意したものは、モニター・スピーカーですかね。レッスンでは、Zoomアプリを使っています。

5年間で、レコーディング用の機材も増やしていったという田中さん。ドラム・レコーディングで立てるマイクは約15本! スネア・ドラムはトップに2本+ボトムに1本、バス・ドラムには、バウンダリー・マイクを1本、ヘッドのホールに1本、外側にコンデンサー・マイクを1本設置。「アタック、内部の音、低音を録る用の3つに分けてバラで録ったものをクライアントに納品しています」と田中さんは語る

 オンライン・レッスンを始めたのは4月だったんですけど、僕も生徒さんも、慣れるまでには1ヵ月くらいかかりました。最初は“いかにリアルなレッスンに近づけるか”というところに気持ちが向いていたんですけど、音の遅延を考えると、そういうところまで追求するのはどうしても難しいということに気づいてから、“オンラインだからこそできるメリット”を探して進めていきました。

 僕の場合は、音の遅延は遅延として受け止めて、レッスン中には動画を見せてお手本の演奏を聴かせたり、譜面をパソコン上で共有したりしています。オンラインなら紙を大量に持って行かなくても、その場ですぐ画面に映すことができるので、そこはすごく便利ですね。生徒さん用に書いていた大量の譜面も、これを機に全部デジタル化しました。

 オンライン・レッスンでは、対面のレッスンよりかなり近い距離で手元を映すことができるので、手首や指の細かい動きを伝えることには向いていると思います。他にもキットを上から映して見せられたりと、アングル面でのメリットは大きいですね。

田中さんが手書きで作成した生徒の練習用譜例。オンライン・レッスンの開始をきっかけに、紙をすべて電子化したという。これにより、紙で大量に運ぶ必要もなく、オンライン・レッスンでも即座に生徒に見せることができるそうだ

手の届くところにドラム・セットがある環境は魅力

 コロナ禍を含めたこの5年間であらためて感じるスタジオの魅力といえば、やっぱり、自分の手の届くところにドラム・セットがある環境というのが一番大きいと思います。時間も気にすることなく、発信できる場があるっていうところも強みだなって。

 今後は、ドラマーの方をこのスタジオに呼んで、叩いてもらったものを僕がレコーディングしたり、ドラムを叩ける環境がない方にも共有できるような場を作ったり、そういう形で新しい使い方ができたら良いなと思っています。

実際に田中さんが行っているオンライン・レッスンの模様。現在は少しずつ対面レッスンも元通り増やしつつあるそう。オンライン・レッスンは、主に遠方に住んでいる生徒向けとのこと

プライベート・スタジオを活用したオンライン・レッスン動画

生徒が語るオンライン・レッスン

生徒側の立場から、オンライン・レッスンはどのように映っているのだろうか。また、受講する上ではどのような準備が必要なのか? 実際に田中さんのレッスンを対面/オンラインの両形式で受講している生徒の方にコメントをいただいた。

 「もともと田中先生のドラム教室では対面形式で教えてもらっていましたが、コロナでの自粛期間をきっかけに、オンライン・レッスンを受けることになったんです。最初は1画面だけで自分のドラム演奏を映す形でレッスンを受けていたんですけど、タイコの位置などが先生からは見えにくいということで、三脚を新しく使ってみたり、いろいろと工夫を重ねていきました。今は、自分のキットを2アングルで映して、イヤホンは使わずに昔使っていたスピーカーからオープンで音を出す形でレッスンを受けています。

 スネアだけの基礎練習であれば、そこだけをオンラインの画面で集中的に見ることができるんですけど、足を一緒に使う場合とか、そういうドラム・キット全体の動きはカメラの画面にどうしても入りきらないので、そういうところはやはりオンラインよりも、対面で先生に見ていただいた方が良いところはあると思います。でもオンライン・レッスンは、移動時間もいらず、すぐに授業が始められる面では非常に手軽で、気楽な印象です。私の場合は基本のパターンを中心に教えてもらっていることもあって、対面でもオンラインでも、遜色なくレッスンを受けることができているかなと思います」。

アコースティックエンジニアリングとは?

 株式会社アコースティックエンジニアリングは、音楽家・音楽制作者のための防音・音響設計コンサルティングおよび防音工事を行う建築設計事務所。1978年に創業して以来、一貫して「For Your Better Music Life」という理念のもと、音楽家および音楽を愛する人達へより良い音響空間を共に創り続け、携わった物件の数は2,000件を超えている。現在も時代の要請に答えながら、コスト・パフォーマンスとデザイン性に優れ、「遮音性能」、「室内音響」、「空調設備」、「電源環境」、「居住性」というスタジオの性能を兼ね備えた、新しいスタイルのスタジオを提案し続けている。

株式会社アコースティックエンジニアリング

【問い合わせ】
TEL:03-3239-1871
Mail:info@acoustic-eng.co.jp
住所:東京都千代田区九段北2-3-6九段北二丁目ビル

HP:http://www.acoustic-eng.co.jp

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プロフィール

田中 陽
たなかあきら●2012年、ロック・バンド=オトループのメンバーとしてBellwood Recordよりデビュー。2015年同バンドを脱退、セッション・ドラマーとして活動を開始。ナノ、和田光司、藤巻亮太をはじめ、さまざまなアーティストのコンサート、ミュージカル、レコーディングに参加。国内はもちろんアジア各国、アメリカ、ヨーロッパなどでの海外公演や、内外のフェスにも多数出演している。自らのドラム・スクール“Helios Drum School”にて、幅広い世代にレッスン、クリニックを行っている

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