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  • 【ジャンク・ギターでこいち時間 デジマート出張版】第11回

「YAMAHA SC-3000」の改造ジャンク・ギターを修理する

エレキ・ギター(ジャンク)

ジャンク・ギターの修理がライフワーク、“こいち”によるジャンク沼誘導連載。今回は1980年代前半に登場した知る人ぞ知る「YAMAHA SC-3000」を修理する。最近軽症なジャンク・ギターが続いていたが、どうやら今回は一筋縄ではいかないようだ……

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【注意】
ジャンク・ギターの購入、及び修理の際は、個人の責任において、細心の注意を払って行なってください。当コーナーで示した修理内容や方法はあくまで参考であり、あらゆる人と環境、ギターに適応するものではございません。ジャンク・ギターの購入、修理において万が一の事故が発生した場合も、こいち氏、及びデジマート・マガジン編集部、デジマートで責任を負うことは出来かねますので、何卒ご了承ください。

登場人物

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こいち
ジャンク楽器に目がない。壊れた楽器をパズルや知恵の輪としか見ていない。難題を解いた時の快感が忘れられず、ズルズルと今に至る。

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助手
ブログ「こいち時間」の看板娘兼助手。楽器・機材の耳年増。ハンダづけされた部品を外す時に手伝ってくれたりする。

ジャンク・ギター出土
〜迷ったあげく「YAMAHA SC-3000」をピックアップ

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こいち

お店にジャンク・ギターが2本並んでいたんだけどさ

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助手

ほうほう

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こいち

自分が最初に「欲しい」と思ったのは今回のギターの方じゃなかったのよ

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助手

でもこっちを選んだ理由があるんですよね

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こいち

普段だったらスルーする個体なのに、記事映えを意識して自分を曲げてしまったことに悔いている

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助手

メチャクチャうれしそうにジャンク・ギターを持ち帰ってきましたけど

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こいち

一旦購入してしまうと「あーしたい、こーしたい」と妄想が膨らむばかりなのだ

YAMAHA SC3000。SCシリーズのスタンダード・モデル

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助手

これはまたかわいいギターですね

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こいち

いろんな影響を受けつつ良いとこ取りのオリジナル・ギターって感じで好き

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助手

毎度言ってますけどパッと見じゃどこも悪くなさそうですが

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こいち

だろー? でもよく見ると手のかかりそうなダメ具合にキュンときたたわけですよ

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助手

最近、軽症なジャンク・ギターばかりを引いて痛い目にあってませんからね

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こいち

他人の苦しみをコンテンツ化するなー!

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助手

では早速、どれほど大変な作業が待っているのか、状態を詳しく確認していきましょ~!

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こいち

こらこら

状態の確認
〜前オーナーがカスタマイズした箇所がチラホラ……

ヘッド部。トラスロッド・カバーには「SC3000」と入っている

ボディ部。センターPUは外され、リアPUはエスカッションとカバーがない状態。またPUセレクター付近にトグル・スイッチが追加されている

トレモロ・ユニットは弦の張力により大きく浮き上がっている状態

スキャロップ加工が施された指板部分。フレットも浮いており音が鳴らない箇所もある

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助手

パーツの欠品が多いですね

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こいち

ジャンク・ギターを処分する場合、最低限でもギターの形で葬りたいと思うのは前オーナーなりの情けなんですよ

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助手

粗いスキャロップ加工をされている点も見逃せません

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こいち

こういう一方通行の加工をされているジャンク・ギターはパーツ交換も出来ないし、 非常に扱いが困る

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助手

これは普段のセンセーならスルーしていたのもわかります

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こいち

気持ちが強くなる出張連載って怖いわ……

YAMAHAの「バイサウンドシステムMK II」。トーン・ノブはプッシュ・プッシュ・スイッチになっており、ピックアップの出力を切り替えることができる

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助手

YAMAHAのギターと言えばプッシュ・プッシュ・スイッチ付きのポットですね

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こいち

そうそう、よくあるプッシュ・プル・タイプじゃないところにメーカーのこだわりを感じる

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助手

中古で手に入れた人はこの機能に気づきませんよ

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こいち

あとカタログではアピールされてないけど、トーンをフルに回し切ると回路が遮断されるようになっているっぽい

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助手

中古で~(同上)

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こいち

隠し技みたくなっているところも優越感を得られて良いんだな~

追加改造されているトグル・スイッチ(銀色)

コントロール内部。追加されたトグル・スイッチは、絆創膏で絶縁(?)されている

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こいち

ふたを開けたら絆創膏(ばんそうこう)が入っていてビックリした

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助手

前オーナーとギターの思い出を感じたいセンセーもちょっと引いていたくらいです

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こいち

絆創膏は生活感がありすぎる

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助手

ちなみに増設されたのは、リア・ピックアップの位相切り替えスイッチでした

ボディ部
~コントロール部の修理、再配線

シングル・コイル・ピックアップ「ニューCマイク」。ピックアップの固定は3本のネジを使用する

ピックアップ・セレクター部。汎用ピックアップ・セレクターではネジ固定ピッチが合わない

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こいち

今回、電装系は特に新しいパーツを購入せずスマートにまとめたいと思います

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助手

ピックアップもピックアップ・セレクターも特殊な形をしていますね

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こいち

規格が独特すぎるし、交換部品を探す手間やコストは他に回すことにする

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助手

では早速、増設されたフェイズ・スイッチは除去しまして~

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こいち

5WAYのピックアップ・セレクターは①フロント、②ミックス、③ミックス、④ミックス、⑤リアの力技配線に変更しまーす

増設されたトグル・スイッチを取り付けるために開けられた穴。木部がチップしている

100円ショップで購入したUVレジン。クリア・レッドとクリア・イエロー

UVライトを当て、UVレジンを硬化させている

硬化したUVレジン

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こいち

トグル・スイッチが取り付けられていた穴はUVレジンで埋めちゃいました

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助手

UVレジンを最近めちゃくちゃ多用しますね

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こいち

乾燥や硬化時間を待てないせっかちな性分にピッタリなのだ

指板周り
~スキャロップ指板の修復

15フレット以降の高音弦側に前オーナーによるスキャロップ加工が施されている指板

指板をスチーム・アイロンで加熱している

柔らかくなった木部からフレットを抜いている。作業にはスリーピークスのトップカッターを使用した

取り外されたフレット。再利用するため並べて保管している

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助手

フレット抜いちゃいましたね

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こいち

個人的にこのギターにスキャロップ指板は似合わないと思った

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助手

そもそもスキャロップ加工された指板を元に戻したい人っているんですか?

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こいち

それがね~、調べても出てこないものよ

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助手

ボルト・オン仕様だったらネックを交換すれば済む話ですけど、これセット・ネック仕様ですからね

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こいち

まさかネックじゃなくてフレットを外す羽目になるとはな!

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助手

わはは

UVレジンを乗せた指板。最適な色味を試行錯誤していたため、クリア・イエローとクリア・レッドを交互に使用している

指板面を整えフレットを打ち直した状態。ハンマーも100円ショップで入手したものを使用した

指板にワックスを塗り、素材ごとの光沢を確認している

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助手

またUVレジン使ってる……!

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こいち

この連載の根底にあるのは「素人でも軽率にジャンク・ギターを弄っていこう」なので、安価かつ入手性の良いもので対処できるならどんどん試行錯誤して情報共有したいのだ

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助手

ギター界隈にもスタビライズド・ウッドみたいな文化が浸透してきてますし、木部の補修にレジンは案外ありなのかもしれませんね

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こいち

樹脂素材だし劣化の不安はあるけど、その時がきたら今度は色付きレジンじゃなくて透明レジンを使いたいですね

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助手

今回一番の反省点だ

最後のトラブル
~スプリング・ハンガー部の補修~

ボディ裏。入手時、トレモロ・スプリングは2本掛けで調整幅が少ない状態だった

スプリングを5本掛けにしてチューニングした状態。トレモロ・ハンガーのネジがボディから抜けてしまった

スプリング・ハンガーに使用されている木ネジ。先端からテーパー状に太くなっている

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こいち

トレモロ・スプリングを3本追加したら、スプリング・ハンガー側のネジが引っこ抜けました

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助手

木ネジの構造上、仕方ないのかもしれませんが、一度奥まで締め込んだネジを緩めるとネジ穴がバカになっちゃいますね

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こいち

ケチって組み上げられたジャンク・ギターは必要最低限のスプリングしか付けられてないことが多いので、必然的にこの部分の木ネジは限界までねじ込まれちゃうんだろうな

ネジ穴を埋め直すために用意した直径5mmのマホガニーの丸棒

フランクリン社の木工用ボンド「Titebond」

5mmの穴を開け、丸棒をさしこみ接着している状態

下穴を開け、トレモロ・ハンガーを木ネジで固定した

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こいち

硬化の待ち時間が苦手だと散々アピールしてきたのに、まさかここでボンドの硬化待ちの足止めを食らうとは思わなかった

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助手

ほとんどの作業が終わってあとはチューニングするだけ!って時にネジが抜けましたからね

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こいち

早く弾いてみたかったのにガッカリですよ

修理完了!

ヘッド部。全体的に清掃している

ボディ部。見た目のバランスからピックアップ・カバーは外されている。レジンで埋めた指板部もこの距離ならわからない

全体の様子

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助手

ジャンク・ギター感が薄れて、全体的にまとまりが良くなりました

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こいち

最近は「古い国産ギター」ってだけで粗悪なものでも付加価値を付けられたりするから、ひとくくりに絶賛はしないけど、このギターはていねいな作りで良かったです

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助手

ハズレを引いて失敗した人の声が大きいのも古い国産ギターの特徴ですからね

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こいち

ジャンク・ギターでもそうだけど、お得だと思って購入するんじゃなく、しっかりと素性の良いものを見定めてくれたらと思います

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助手

世のジャンク愛好家の審美眼向上を目指しているわけですね!

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こいち

素性は良いのに過小評価されて叩き売られているギターを掻っさらってみんなに見せつけたい

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助手

自慢する相手にも価値がわかってないと意味がないですからね……

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こいち

そしてジャンク・コーナーから法外な値段を付けられた古いだけのギターがなくなるのが願いです

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助手

わかる〜

過去記事一覧

第8回:スタビライザーの圧倒的造形美! 国産ギター・シンセ「Roland / G-707」をカスタムする

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第9回:高いコスパで人気のPacificaシリーズ「YAMAHA / PAC312II TLR」をレストアする

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第10回:ポール・ギルバート・シグネイチャー「Ibanez PGM-30」を修理する

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