CASE：20　栃木県　小森谷啓太さん宅スタジオ

パンク／メロコア系の速い曲が好きだったという高校時代、「最初に耳に入ってきたのがドラムの音だった」ことから、文化祭に出るために友人達と組んだバンドでドラムを担当したという小森谷さん。現在のバンドでは2〜3ヵ月に1回ほどのペースでライヴを行っているそうだ。「システム・オブ・ア・ダウンとかのコピーと、少しだけオリジナル曲もやっています。ドラマーで好きなのは、パンク系だとトラヴィス・バーカー。デス・メタルやブラック・メタルとかのエクストリーム系もよく聴くので、ブラスト・ビートがカッコいいドラマーは好きですね」

家ならではの雰囲気で楽しくバンド練習できる、最高の環境です

　プロ用のスタジオやライヴ・ハウスなどを手がける防音／音響建築の専門業者アコースティックエンジニアリングが設計した自宅スタジオで、“好きな時間に思いきりドラムを叩きたい”という夢を叶えたドラマーを紹介しているこの連載。今回の訪問先は、栃木県に住む小森谷啓太さんの自宅スタジオだ。

　高校時代にドラムを始めた小森谷さん。最初は自宅でドラム・セットを叩いていたそうだが、「音がうるさすぎてすぐに叩けなくなりました（笑）」。

　社会人になってからも趣味のバンドをマイペースで続け、「2年ほど前から仕事仲間でバンドをやる機会が増えてきたので、またちょっとうまくなりたいと思って」、知人の紹介でドラム教室へ通い始めた。

「そして結婚して家を建てることになり、どうせ建てるならドラムを叩ける防音室を作りたいと思ったんです。実は、今通っているドラム教室が、先生のご自宅にアコースティックエンジニアリングさんが作った防音室で、木造の普通の家でもここまでできるんだというのを実感していたので、業者選びはほとんど即決でした」。

バンド練習も余裕で行える約7.1畳のスタジオ。大きめの鏡や高めの天井（2.55m）の効果もあり、実際のスペース以上に広く感じる。床はもともとフローリングだったが、小森谷さん自身によってカーペットが貼られたことで、より吸音性の高いスタジオになっている

　特に重視したのは遮音性能。屋外に対してはもちろん、隣接する部屋への音漏れも可能なかぎり抑え、木造住宅内のスタジオとしては最高レベルの遮音を実現している。

「スタジオの中の音もすごく良いです。このくらいの広さのリハスタでバンド練習すると、ヴォーカルが埋もれてしまって全然聴こえないことが多いんですけど、ここではものすごく良く聴こえます。ドラムも、スネアやシンバルの音で耳がキンキンすることがありません。リハスタのように予約時間に縛られることもなく、やりたいときに練習できるのは本当にありがたいです。バンド・メンバーが集まったときはだいたいお酒が入って、途中にカラオケで遊んだりもしながら（笑）、家ならではの雰囲気で楽しく練習しています。最高の環境ですね」。

ドラム・セットから見て正面の壁にはTVを設置。参考動画を見たりする他、練習の合間のカラオケにも活用

スタジオ完成後に新調したドラム・セットはYamahaのStage Custom Birch。20"BDを中心に組まれたコンパクトなキットだ。シンバルは以前から少しずつ揃えてきたもの

出入り口は鉄製防音ドア2枚。遮音性能の高さに加えて、「デザインが良かったし、ガラス窓から中が見えた方が安心だろうって妻と話し合って決めました」

※本記事はリズム＆ドラム・マガジン2018年9月号の記事を転載したものです。

アコースティックエンジニアリングとは？

　株式会社アコースティックエンジニアリングは、音楽家・音楽制作者のための防音・音響設計コンサルティングおよび防音工事を行う建築設計事務所。1978年に創業して以来、一貫して「For Your Better Music Life」という理念のもと、音楽家および音楽を愛する人達へより良い音響空間を共に創り続け、携わった物件の数は2,000件を超えている。現在も時代の要請に答えながら、コスト・パフォーマンスとデザイン性に優れ、「遮音性能」、「室内音響」、「空調設備」、「電源環境」、「居住性」というスタジオの性能を兼ね備えた、新しいスタイルのスタジオを提案し続けている。

株式会社アコースティックエンジニアリング

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