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YUTA×Line 6 POD HD・デモ演奏

YUTA×POD HD・デモ演奏&レビュー
『なんだかもう、使いやすすぎてズルいなあって感じです(笑)』


取材/文:西本 勲(studio130)
撮影:鈴木千佳(製品写真除く)

YUTA
YUTA×Line 6 POD HD・デモ演奏&レビュー by YUTA | YUTA×Line 6 POD HD・YUTAインタビュー

YUTAお気に入りのPOD HDアンプ&エフェクト・サウンドを動画で紹介!

YUTA

まずは、POD HDに搭載されたアンプ・モデル&エフェクトの中からYUTAが選んだお気に入りのサウンドを、カテゴリー別に聴いていこう。収録には2本のギターが持ち込まれ、以下に紹介する順に演奏してもらっている。音色に合わせてさまざまに変化するギター・プレイと、YUTAのコメントと各プリセットのセッティングもチェックしながら楽しんでほしい。

▼各アンプ/エフェクトのデモ動画へジャンプします:
アンプ・モデル | ディレイ | モジュレーション | ディストーション | コンプ/EQ | フィルター | リバーブ | アンプ&エフェクト・コンビネーション

アンプ・モデル 5種(※モデル名のカッコ内は元になったアンプ)

"PhD Motorway"(*Dr.Z Route 66)
クリーンで、パーンとした感じのする良い音ですね。エフェクトの乗りも良さそう。ローもよく出ていて気持ちいいです。

"Hiway 100"(*Hiwatt Custom 100/DR103)
Dr.Zと似た傾向ですけど、もうちょっと野太い感じ。これもエフェクトの乗りが良さそうですね...って全部そうなんですけど(笑)。

"Brit J-800"(*Marshall JCM-800)
どのスタジオにも置いてあるマーシャルの慣れ親しんだ音。本当にスタジオでアンプに直で挿して出しました!っていうのと同じ音がしますね。これでしょ!って感じ。

"Treadplate"(*Mesa/Boogie Dual Rectifier)
これはヤバイ(笑)。レクチならではのローの感じがすごく出ていて気持ちいいです。目の前でアンプが鳴ってる感じそのままの、素晴らしい音だと思います。

"Divide 9/15"(*Divided by 13 JRT 9/15)
最近人気のあるアンプですよね。カラッとして抜ける感じというか。これイイなあ。欲しくなります。

*上記各アンプ名は各社が所有する商標であり、Line 6との関連や協力関係はありません。それらはLine 6がサウンド・モデルの開発において研究した特定の製品を識別する目的でのみ使用されています。

ディレイ 3種

"Ping Pong"
とてもきれいな音です。途中でタイムをいじりながら弾きましたけど、セッティング次第でいろいろ面白くできると思いますね。

"Tape Echo"
いわゆるアタマの部分のブースト機能的な、ザラッとした質感。テープならではの感じもバッチリ出ていて素晴らしいです。

"Sweep Echo"
僕が持ってるM9でもよく使うエフェクトです。タイムを変えた2台を使って、変な揺らぎが出るようなセッティングで弾いてみました。

モジュレーション 3種

"Rotary Drum/Horn"
レズリー・エフェクト、僕の原点です。ここではスピードを変化させながら弾きました。実機でも徐々に遅くなっていく感じがバッチリ出てますね。最高です。

"Opto Tremolo"
トレモロって、陶酔できるので僕はけっこう好きなんです。これは音圧もあって気持ちいいですね。ずっと弾いていたくなります(笑)。

"Dual Phaser"
これも「入り込む」系の音ですね。フェイザーはいろいろ使ってますけど、ついついこれを選んでしまうという感じの、色気のある音だと思います。これにディレイを足すとさらにいい感じになります。

ディストーション 3種

"Tube Drive"
本当にオーバードライブを「踏んだ」という感じの、一番自然な音がします。これもすごく好きですね。

"Fuzz Pi"
普段よく使うファズがいわゆるビッグマフ系のやつなので、それに近いニュアンスの音にしてみましたけど、セッティング次第でいろんな雰囲気になります。ビッグマフのどの世代の音にもできそう。

"Sub Octave Fuzz"
気分的に高揚する音ですね。燃えるというか、自分が強くなったような気がする(笑)。ここぞというときにリフとかで使ったら気持ちいいですね。

コンプ/EQ 3種

"Red Comp"
ダイナコンプの感じがよく出ていて「コンプだなあ、これ」っていうわかりやすさがすごくありますね。今はそうじゃないものが流行ってたりしますけど、僕はこういう音が好きです。

"Studio EQ"
フレーズ的に、ローがもうちょっと単音で抜けてほしいなっていうシチュエーションもあるかなと思って、そういうセッティングにしてみました。効きはすごくいいですね。それでいて、かかり方も自然です。

"Boost Comp"
バンドを始めてから最初に買ったエフェクターがMXRのマイクロアンプなので、勝手な思い入れで選んでみました(笑)。これだけ上がるブースターがあるといいですよね。僕が持ってる実機よりもさらに上がるんじゃないかな。

フィルター 3種

"Obi Wah"
フィルター・モデラー(FM4)でハマッて以来、M9でもよく使うエフェクトで、僕の中では鉄板アイテム。音がすごくきれいで、変化がランダムなところがまた良いですね。ルーパーも入っているので、1人で延々弾けます。時間を忘れそう。

"Octisynth"
この制御不能な感じがすごく好きです(笑)。リング・モジュレーター的な音で、使いどころによってはすごくカッコ良くなる。センスも問われますね。

"Comet Trails"
まさに「宇宙」な感じ。こういうのは本当にいいですね。昔は、いわゆるフィルター系=ワウっていうイメージがあったんですけど、フィルター・モデラーを買ってから一気に世界が広がりました。

リバーブ 3種

"Octo"
荘厳な雰囲気がたまらんです(笑)。M9で初めて使って、これはすごいなと思いました。大好きで、普段もよく使う音です。

"Particle Verb"
これもM9で初めて使ってビックリした音。リバーブってこんなにいろいろできるんだって、僕にとっては新しい発見でした。ここまでくるとギターだけの世界じゃないですよね。ありがたいです(笑)。

"Ducking"
これぞリバーブ!みたいなイメージの音ですね。ピッキングに合わせて「ガッ!」とくるようにセッティングしました。気持ちいいです。

複数のアンプ&エフェクトの組み合わせ例 3種

"Amp&Effect Combo #01"
2系統のトーンを使っていて、片方はLine6の現代的なアンプの音、もう片方はスプロのアンプにファズフェイスというクラシックな音。これがLR両方から来るという夢の組み合わせです。実際にやってみたこともあるんですけど、なかなかここまできれいに混ざらないですよ。それがいとも簡単にできてしまうのがデジタルの素晴らしさだと思います。

"Amp&Effect Combo #02"
単体のデモで使ったものを組み合わせてみました。アンプはパーク75にヴォックスAC-30というクラシック系の2機で、エフェクトはレズリーとディレイとチューブスクリーマー。割とお金のかかる組み合わせですね(笑)。

"Amp&Effect Combo #03"
アンプを使わない、いわゆるノイズ系のセッティングもできるという例です。まずオーバードライブを薄くかけて、次にカラードライブというのを薄くかけて、その次にファズフェイス。そしてオクターブファズで一気に上げて、最後にダメ押しでチューブドライブ。やろうと思ってもなかなかできないセッティングですけど、こういうの好きなんですよ(笑)。オススメです!

〜試奏を終えて〜

YUTA

 なんだかもう、使いやすすぎてズルいなあって感じです(笑)。アンプやエフェクターの実機をいろいろ使い分けるのってけっこう面倒だし、古い製品だと特にそうですよね。それがコンパクトにまとまっているんだから、そりゃあみんな使いますよねって。僕の友達とかも、PODシリーズは必ず何かしら持っているし。レコーディングのときはいろんな音を、それこそちょっとしたツマミの操作で変えるというよりも、ギター替えたりアンプ替えたりってことの方が多いので、そういうのがこれ1台で済んじゃうというのはすごく大きいですね。

 もちろん、1つ1つの音も本当によくできています。基本ビンテージものが多いと思うんですけど、時間をかけてその機材を研究した結果がたくさん詰まっているところに、すごく愛情を感じます。感動的ですよ。

 使い方のアドバイスですか? うーん...最後に僕がやったみたいにエフェクトを8つアサインできたりするので、例えばファズフェイス8個というのも面白いでしょうね(笑)。実際にやろうと思ってもなかなかできないことが手軽にできてしまう。これを買った人は、せっかくだからそういうところまでとことん使い込んでみればいいと思います。

 

 今回こうして使わせていただく機会をもらえて嬉しかったんですけど、これが終わって返さなきゃいけないと思うとすごく嫌ですね(笑)。そのくらいビシッとくる機材でした。

機材写真

Recording Gears:
今回の試奏は、本人が持ち込んだESPのアーティスト・シリーズ“Yasuno N。5”(左)とSTEINBERGER Spirit(右)の2本を使用。これらをPOD HD経由でスタジオのコンソールに立ち上げ、モニター・スピーカーで鳴らした音をビデオ・カメラの外部マイクで収録した。

YUTA

Profile:
YUTA(安野勇太):1997年に結成されたメロディック・パンク・バンドHAWAIIAN6のギター&ボーカル。2002年に1stフル・アルバム『SOULS』をPIZZA OF DEATHからリリース。現在は、2007年に設立した自主レーベルIKKI NOT DEADに所属。2011年からは自身のソロ・プロジェクトThe Yasuno N。5 Groupも始動し、精力的に活動中。◎http://ikkinotdead.com ◎http://yasuno-no5.com

POD HD 製品概要

Line 6 POD HD

■サウンド:
・22種類のHDアンプ・モデル
・100以上のMクラス・エフェクト・モデル
・最大8同時エフェクト
・デュアル・トーン機能
・ルーパー
・内蔵チューナー
・USB 2.0
■入出力/1/4インチ入力、XLR入力、バランス1/4出力、1/4インチ・ステレオ・ヘッドフォン出力、S/PDIFデジタル出力、FBVフット・コントローラー・ジャック
■外形寸法/89(H)×279(W)×190(D)mm
■重量/1.4kg
■価格:オープンプライス

 

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