今回の試奏で使ったメイプルのモデルは、20"×16"BD、10"×7"TT、12"×8"TT、14"×13"FTというやや小口径の構成です。とりあえず好き勝手に叩いてみてビックリ!　鳴りますねー!!　小口径セットならではの小気味良いピッチと、サイズ以上に感じられるボリューム感、音ヌケの良さに驚きました。そしてとにかく叩きやすい。これはYESS II-mの効果でしょう。ハイ・タムからフロア・タムへの3点の流れも実に自然です。今回のモデル・チェンジから、フロア・タムは口径に対して深さが1〜2インチ浅くなっており、そのサイズ設定とベント・ホールの数の違いが、良いバランスを作っていると思います。

　スネアは、メイプル、バーチ共に14"×6"のサイズをチェックしました。まずメイプルの方は、明るく突き抜けてくるようなサウンドが印象的。クセのない“オールマイティな音”が作りやすい印象です。ピアニッシモで叩いたときの繊細なサウンドから、オープン・リム・ショットの爆発的な音まで、どのレンジも見事に反応してくれました。

　今回チェックしたバーチの方は、まずカラーが衝撃的でした。新色“ホワイトグレープスパークル”のフル・セットは視覚的なインパクトがすごいですね。しかも、バス・ドラムのサイズが新しく加わった22"×20"というド迫力サイズということもあり、初めて見た瞬間は“これって本当にヤマハのドラム!?”と目を疑ってしまうほどでした。でも、サウンドの方は、ヤマハ伝統の芯のあるバーチ・サウンドをしっかり継承しています。バーチ・ファンの私は“ああ、やっぱりバーチっていいなぁ！”と叩いていてうれしくなってしまいました。同じバーチでも、レコーディング・カスタムは“鳴り過ぎ”を意図的に抑えた仕様に思えますが、こちらは“とことん鳴らすバーチ！”という印象ですね。

　バーチのスネアも、チェックに使ったのは14"×6"のモデルです。メイプルと比較してみると、基本的な長所（強弱の反応の良さなど）は同じですが、バーチの方が太い成分の豊かさを感じましたね。多少クセがあっても、ノー・ミュートで味わいのある木胴の響きを好むならば、このバーチの選択も良いかと思います。