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ギター・マガジン2012年4月号
James Tyler Variax デモ演奏&レビュー | James Tyler Variax 製品概要

さまざまなサウンドを1本で生み出すモデリング・ギターという、まったく新しいコンセプトのもと2002年に誕生した Line 6 Variax。以来、さまざまな進化を遂げてきたこのモデルが、あのジェームス・タイラーとタッグを組んでリニューアルされた。ギター本来のクオリティを高め、25ギター・モデル、11チューニングを備えた注目の本器を、ギター・マガジンでお馴染みの“名人”末原康志が試奏チェック!

James Tyler Variax サウンド・チェック!

 まずは“名人”こと末原康志によるサウンド・チェックを紹介しよう。今回名人は25種類のギター・モデルの中から、13種類をチョイス。チューニング・バリエーションなども含めて20フレーズをプレイしてもらった。また各ギター・モデルについてのコメントも掲載しているので、実際の音を聴きながら、James Tyler Variaxの実力をとくと味わってもらいたい。今回の試奏はすべてJTV-69を使用し、必要に応じてLine 6 POD HD500のエフェクターを使いながら、Line 6 DT 25 112アンプにて出力。映像ではエアマイクとラインのミックスで再生している。

■James Tyler Variax デモ演奏・パート1

01. ギター・モデル「T-MODEL」

 テレキャスターのモデリングでは、ブリッジのみで3パターンやってみました。まず"カントリー・フレーズ"は、その音にすると弾きたくなるようなカントリーのカリッとして枯れたリアのサウンドがいいですよね。そして何と言っても驚くのが、チューニングを瞬時に変えられる機能。本当に何の問題もないですね。"Open D /ローリング・ストーンズ風""Open G /ローリング・ストーンズ風"はそれを利用してストーンズ風のフレーズを弾いてみました。


02. ギター・モデル「SPANK」

 まずハーフ・トーンを聴いてもらえばわかると思いますけど、紛れもなく状態のいい感じのストラトですね。"ジョン・メイヤー風"はリアのハーフでカッティングを、次の"ジミ・ヘンドリックス風"はフロントで柔らかめのピッキングにして、ジミな感じでやってみました。あのハーフ・トーンが出るとやっぱりうれしいですよね。さっきまでテレだったのに(笑)


03. ギター・モデル「LESTER」

 これは使えますよ。レス・ポールが持つ粘っこい感じがたっぷり出てると思います。ちょっとビンテージな感じの、上の音域のギラッとした感じとかね。最初の2フレーズはポール・コゾフをイメージして弾いてみました。後者のフロントPUでのソロ・フレーズも本当に伸びと艶があって良かったです。"ジミー・ペイジ風(Drop D Tuning)"はZEP風のフレーズをドロップDでやりましたが、これまたチューニングが完璧でした。


04. ギター・モデル「SPECIAL」

 今回試奏した中で個人的に最も気に入ってるのがこれ。レズリー・ウェストを意識してレス・ポール・ジュニアのチョイスにしました。普通のP-90よりはパワーがあるような感じがしたけど、すごくいい音。太めのP-90 ってイメージでしたね。だからすごく弾きやすかったんですよ。

■James Tyler Variax デモ演奏・パート2

05. ギター・モデル「R-BILLY」

 "ブライアン・セッツァー風"はグレッチ6120ですね。これのセンター・ピックアップを使い、セッツァーな感じでロカビリーっぽいフレーズを弾いてみました。"ジョージ・ハリソン風"もすごかったですね。実際僕はデュオ・ジェットを持っているんですけど、まあ変わらないですよ(笑)。それくらい似てる。グレッチってすごく個性があるんだけど、それを見事に再現してくれています。ストラト・シェイプでこの音が出てくると不思議な感じがしますね(笑)。


06. ギター・モデル「CHIME」

 これはリッケンバッカー。6弦のモデリング・ギターも良かったんですけど、パッと浮かぶフレーズが出てきた12弦で2パターンやってみました。"ビートルズ風""バーズ風"です。複弦の高いほうはちょっとだけ、あとからついてくる気もなきにしもあらずだけど、音を聴いてもらえばわかるように演奏に支障があるほどではないですね。


07. ギター・モデル「SEMI」

 これもよくできてました。もちろんハムバッカーではあるんだけど、明らかにレス・ポールとは違う、ハコが鳴っている感じが出てます。隣りのスイッチに変えればエピフォン・カジノのモデリングになるんですけど、その差別化もちゃんとしてあってね。エピフォンはちょっと大人しい感じで、これまたいい音でしたよ。でかい音で335を弾くとハウリングしますけど、それがないのがいいです。爆音で335が弾けるっていう。これでクリームごっこができますね(笑)。


08. ギター・モデル「JAZZBOX」

 これが一番弾いていて違和感がありました(笑)。ボディとのギャップがすごくて。弾いたのはスーパー400のモデリングだけど、隣りにするとES-175になる。どっちも良かったです。400のほうが、よりハコ鳴りの感じがあったので、こちらを選びましたけど。とにかく艶がありましたね。弦がラウンドワウンドなのにフラットワウンドの音っていうのも、すごく不思議でしたよ。

■James Tyler Variax デモ演奏・パート3

09. ギター・モデル「ACOUSTIC」

 ここから先はライン直でリバーブだけをかけています。ストロークをジャランとやった時に、すごく雰囲気がありますよね。サステインもほどいい感じで。"ジミー・ペイジ風(DADGAD Tuning)"はDADGADでのプレイですけど、これも驚きますよ。自分でチューニングするより合ってるんだもん(笑)。ギター本体のピッチもすごく安定してるので、20テイク終わるまで、ほとんどチューニングし直さなかったはずですよ。


10. ギター・モデル「RESO」

 さっきの12弦もそうだったけど、これまたライブで使う用途はありますよ。たぶん映像を観ずに音だけパッと聴かされたら、モデリングだとはわからないんじゃないですかね。"Open Gスライド・フレーズ"のドブロはオープンGにしたので、どうしてもスライドを弾きたくなるような音ですからやってみました。まわりのスタッフも相当驚いてましたよね。音が伸びない感じとか(笑)。"ビートルズ風シタール"のシタールは、極端に言えばこの音が出るだけで、持っている価値があるんじゃないでしょうか。実際にツアーではこの音をすごく使っていたんですよ。曲の中でシタールの音も弾かなきゃいけないけど、コード・カッティングもやらなきゃいけないという場面があって、その時は重宝しましたね。今回マグネティックが付いたことで、可能性は本当に広がると思います。微妙に調整すると、トーンのところで複弦の鳴りを調整できるんですよ。ずっと弾いてても飽きない。"3フィンガー・フレーズ"はバンジョー。以前にライブの仕事でバンジョーを弾く機会があって、本物を借りて緊張しながらやりましたけど、ネックの形状とかもギターと違うでしょ。これがあれば良かったなあと思いました(笑)。

総評:オモチャの範囲は軽々と超えている。現場で十分に使えるモデルです。

 まずはギター本体の完成度の高さが何よりもすごいなと思います。前のタイプのVariaxをツアーで使っていたことがあるんですけど、確かあの時はピエゾだけでマグネティック・ピックアップが付いていなかったのかな。まずそこが変わったことで、すごく可能性が広がるんじゃないかと思いました。ギターの弾きやすさとかもまったく問題ないですね。わりと太めのネックで、僕は嫌いじゃないです。普通に“良いギター”ですよ。

 ジェームス・タイラーは僕も何本か使っているんですけど、タイラー名義のJOE-Xとか、あのへんに比べるともう少しワイルドな音がするなと感じました。タイラーは基本的に上品なギターが多いんですけど、わりとこれはやんちゃな音がしますね(笑)。とにかくタイラーのギターというのは弾きやすいので、その設計がVariaxにもしっかりと生きていますよ。

 試奏する前はチューニング・モードって大丈夫なの?と心配だったんですが、ここまですごいとは思わなかったですね。音が遅れるわけでもないし、完璧だと思いました。お世辞抜きでピッチ感も素晴らしい。これは本当にすごいです。まあ、もちろん生音が聴こえないくらいの音量でやらないと、えらいことになりますけど。機種によってチューニング・モードも違っていて、2ハムのやつはダウン系が多かったりするけど、あのへんもうれしいんじゃないでしょうか。もちろん自分で全部はカスタマイズできるんですけど、プリセットで入ってると楽だしね。

 本物と比べてまったく同じってわけはないんだけれど、オモチャの範囲は軽々と超えていて、現場で使えるレベルには十分あると思います。例えばレス・ポール・ジュニアのモデリングでライブやることにも僕はまったく抵抗ないですよ。

PROFILE:
末原康志(すえはら・やすし)
末原名人の名でもお馴染みのプロ・ギタリスト。サウンド・プロデュース、アレンジャーとしても活躍。CHEMISTRY、石井竜也、『けいおん!!』など、数多くの作品に関わっている。また『最上のリラクゼーション曲集』、『エレクトリック・ギターのしらべ』(リットーミュージック刊)など教則作品も多い。オール・インストの最新ミニ・アルバム『BALLAD』(写真)が好評発売中。心優しい愛犬家でもある。
◎http://sueharayasushi.com/

取材協力:



今回の試奏収録では、東京・九段の防音工事・音響建築工事専門会社「(株)アコースティックエンジニアリング」にご協力いただいた。同社は建築音響・設計施工(防音・遮音・響き具合・騒音制御)専門の設計・調査コンサルタント及び建築工事を行う会社。ギター・マガジンでは同社が手がけたアマチュア・ギタリストのプライベート・スタジオを紹介するコーナーを連載中だ。
◎http://www.acoustic-eng.co.jp/

James Tayler Variax モデル・ラインアップ

【Specification】●ボディ:アルダー●ネック:ソリッド・メイプル●指板:ローズウッド●スケール:648mm●ネック・シェイプ:Tyler '59●フレット数:22●マグネティック・ピックアップ:Tylerデザイン・ビンテージ・スタイル・シングルコイル(フロント&センター)、同アルニコ・ハムバッキング(リア)●ブリッジ&ピエゾ・ピックアップ:L.R.バッグスRadiance Hex搭載Tylerデザイン・カスタム・トレモロ・ブリッジ●コントロール:ボリューム、トーン、ギター・モデル、オルタネート・チューニング・コントロール、5ウェイ・セレクター・スイッチ●フィニッシュ:キャンディ・アップル・レッド、ブラック、3トーン・サンバースト、レイク・プラシッド・ブルー●付属品:リチウムイオン電池、充電器、Variax Workbench USBアダプター、ギグバッグ


 



【Specification】●ボディ:カーブド・メイプル(トップ)、マホガニー(バック)●ネック:マホガニー●指板:ローズウッド●スケール:624mm●ネック・シェイプ:Tyler '59●フレット数:22●マグネティック・ピックアップ:Tylerデザイン・ビンテージ・スタイル・アルニコ・ハムバッキング×2●ブリッジ&ピエゾ・ピックアップ:L.R.バッグスRadiance Hex搭載Tylerデザイン・ストップテイル・ブリッジ●コントロール:マスター・ボリューム、トーン、ギター・モデル、オルタネート・チューニング・コントロール、3ウェイ・トグル・スイッチ●フィニッシュ:タバコ・バースト、ブラック、チェリー・サンバースト●付属品:リチウムイオン電池、充電器、Variax Workbench USBアダプター、ギグバッグ


 



【Specification】板:ローズウッド●スケール:648mm●ネック・シェイプ:Tyler Fast'n Flat●フレット数:24●マグネティック・ピックアップ:Tylerデザイン・PAFスタイル・アルニコ・ハムバッキング×2●ブリッジ&ピエゾ・ピックアップ:L.R.バッグスRadiance Hex搭載Tylerデザイン・ストップテイル・カスタム・ブリッジ●コントロール:ボリューム、トーン、ギター・モデル、オルタネート・チューニング・コントロール、5ウェイ・セレクター・スイッチ●フィニッシュ:ブラック、ブラッド・レッド●付属品:リチウムイオン電池、充電器、Variax Workbench USBアダプター、ギグバッグ


 



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